(地方税ニ関スル法律(大一五法二四)施行ニ関スル件)
法令番号: 勅令第三百三十九號
公布年月日: 大正15年11月17日
法令の形式: 勅令
朕大正十五年法律第二十四號地方稅ニ關スル法律施行ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年十一月十六日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
內務大臣 濱口雄幸
大藏大臣 片岡直溫
勅令第三百三十九號
第一條 大正十五年法律第二十四號第九條ノ家屋トハ住家、倉庫、工場其ノ他各種ノ建物ヲ謂フ
第二條 家屋ノ賃貸價格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ家屋ヲ賃貸スル場合ニ於テ賦課期日ノ現狀ニ依リ貸主ノ收得スベキ金額ノ年額ヲ以テ之ヲ算定ス
第三條第一項及第二項ノ場合ニ於テハ其ノ家屋ノ賃貸價格ハ前項ノ規定ニ依リテ算定シタル類似ノ他ノ家屋ノ賃貸價格ニ比準シテ之ヲ定ム
第三條 家屋稅ノ賦課期日後建築セラレタル家屋ニ付テハ工事竣成ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ家屋稅ヲ賦課ス
大正十五年法律第二十四號第十一條ノ規定ニ基キテ家屋稅ヲ賦課セザル家屋又ハ法律ニ依リテ家屋稅ヲ賦課スルコトヲ得ザル家屋ガ家屋稅ノ賦課期日後之ヲ賦課スルコトヲ得ベキモノト爲リタルトキハ其ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ家屋稅ヲ賦課ス
家屋稅ノ賦課期日後家屋ガ滅失シ其ノ他家屋トシテノ效用ヲ失ヒタルトキハ納稅義務者ノ申請ニ依リ其ノ月迄月割ヲ以テ家屋稅ヲ賦課ス大正十五年法律第二十四號第十一條ノ規定ニ基キテ家屋稅ヲ賦課セザル家屋又ハ法律ニ依リテ家屋稅ヲ賦課スルコトヲ得ザル家屋ト爲リタルトキ亦同ジ
家屋稅ノ賦課後前項ノ事實ヲ生ズルモ其ノ賦課額ハ之ヲ變更セズ
第四條 大正十五年法律第二十四號附則第四項ノ規定ニ依リテ府縣ニ於テ家屋稅ヲ賦課スル場合ニ於テハ建物ノ構造、坪數、用途及敷地ノ地位ニ依リ家屋ニ等差ヲ設ケテ之ヲ賦課ス
第五條 大正十五年法律第二十四號附則第四項ノ規定ニ依リテ家屋稅ヲ賦課スル場合ニ於テハ府縣ハ家屋稅總額ヲ市町村ニ配當スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ家屋稅總額ノ半額ハ之ヲ豫算ノ屬スル年度ノ前年度始ニ於ケル市町村內宅地地價ニ、他ノ半額ハ之ヲ豫算ノ屬スル年度ノ前年度始ニ於ケル市町村ノ戶數(法人ノ本店及支店ノ數ヲ含ム)ニ比例シテ配當スベシ
家屋稅ヲ賦課スベキ年度ノ前年度又ハ家屋稅ノ配當前ニ於テ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタルトキハ關係市町村ニ於ケル配當標準ハ府縣知事之ヲ定ム但シ配當標準ニ異動ナキ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
家屋稅ノ配當額ハ配當標準ニ異動アルモ配當後ハ之ヲ改定セズ但シ配當標準ニ錯誤アリタルトキハ當該市町村ニ限リ當初ノ配當率ヲ以テ其ノ配當額ヲ改定スルコトヲ得
家屋稅ノ配當後其ノ賦課前ニ於テ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタルトキハ府縣知事關係市町村ノ配當額ヲ新ニ定メ又ハ改定ス但シ配當標準ニ異動ナキ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條 前二條ノ規定ニ依リ難キ特別ノ事情アル府縣ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ別ノ賦課方法ニ依リ家屋稅ヲ賦課スルコトヲ得
第七條 第四條及前條ノ規定ハ府縣費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ニ於テ大正十五年法律第二十四號附則第四項ノ規定ニ依リテ家屋稅ヲ賦課スル場合ニ關シ之ヲ準用ス
第八條 家屋ノ賃貸價格ニ對スル賦課率ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ府縣ニ於テ之ヲ定ム
第四條乃至第六條ノ規定ニ依リテ家屋稅ヲ賦課セントスル場合ニ於テハ府縣ハ其ノ豫算總額ニ付內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ
第九條 前條ノ規定ハ府縣費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ニ於テ賦課スベキ家屋稅ニ關シ之ヲ準用ス
第十條 戶數割ヲ賦課スル市町村ニ於テ賦課スベキ家屋稅附加稅ノ賦課率ハ本稅百分ノ五十以內トス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シ其ノ百分ノ十二以內ニ於テ課稅スルコトヲ得
左ニ揭グル場合ニ於テハ特ニ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課稅スルコトヲ得
一 內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケテ起シタル負債ノ元利償還ノ爲費用ヲ要スルトキ
二 非常ノ災害ニ因リ復舊工事ノ爲費用ヲ要スルトキ
三 水利ノ爲費用ヲ要スルトキ
四 傳染病豫防ノ爲費用ヲ要スルトキ
前二項ノ規定ニ依リテ制限外課稅ヲ爲スハ特別地稅附加稅ガ大正十五年法律第二十四號第七條ノ規定ニ依リテ制限外課稅ヲ爲ス場合ニ限ル但シ特別地稅附加稅ナキトキハ地租附加稅又ハ段別割ガ明治四十一年法律第三十七號第五條ノ規定ニ依リテ制限外課稅ヲ爲ス場合ニ限ル
第十一條 內務大臣及大藏大臣ガ戶數割ヲ賦課シ難キモノト認メタル市町村ニ於テ賦課スベキ家屋稅附加稅ハ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ズ
一 市ニ在リテハ其ノ總額當該年度ニ於ケル市稅豫算總額ノ百分ノ三十六但シ明治四十一年法律第三十七號第三條第三項ノ規定ニ依リテ所得稅附加稅ヲ賦課スル場合ニ於テハ當該年度ニ於ケル市稅豫算總額ノ百分ノ三十
二 町村ニ在リテハ其ノ總額當該年度ニ於ケル町村稅豫算總額ノ百分ノ六十但シ明治四十一年法律第三十七號第三條第三項ノ規定ニ依リテ所得稅附加稅ヲ賦課スル場合ニ於テハ當該年度ニ於ケル町村稅豫算總額ノ百分ノ五十五
特別ノ必要アル場合ニ於テハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課稅スルコトヲ得
第十二條 大正十五年法律第二十四號第十五條ノ規定ニ依リ營業稅ヲ賦課スベキ營業ノ種類ヲ定ムルコト左ノ如シ
運河業
棧橋業
船舶碇繫場業
貨物陸揚場業
兩替業
湯屋業
理髮業
寄席業
遊技場業
遊覽所業
藝妓置屋業
第十三條 營業收益稅法第二條ニ揭グル營業ニ對スル營業稅ノ賦課額ハ同法ニ依ル個人ノ營業收益稅額ノ最低額未滿トス
第十四條 營業稅ノ課稅標準ハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第十五條 年稅又ハ期稅タル營業稅ノ賦課期日後納稅義務ノ發生シタル者ニ對シテハ其ノ發生ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ營業稅ヲ賦課ス
前項ノ營業稅ノ賦課期日後納稅義務ノ消滅シタル者ニ對シテハ其ノ消滅シタル月迄月割ヲ以テ營業稅ヲ賦課ス
第一項ノ營業稅ニ付テハ其ノ賦課後營業ノ承繼アリタル場合ニ於テハ前營業者ノ納稅ヲ以テ後ノ營業者ノ納稅ト看做シ前二項ノ規定ヲ適用セズ
月稅タル營業稅ノ賦課期日後其ノ月十五日迄ニ納稅義務發生シタルトキハ其ノ營業稅ノ全額、十六日以後納稅義務發生シタルトキ又ハ十五日迄ニ納稅義務消滅シタルトキハ其ノ半額ヲ賦課ス
前二項ノ場合ニ一ノ府縣ニ於テ納稅義務消滅シ他ノ府縣ニ於テ納稅義務發生シタルトキハ納稅義務ノ發生シタル府縣ハ納稅義務ノ消滅シタル府縣ニ於テ賦課シタル部分ニ付テハ營業稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
第十六條 營業稅附加稅ノ賦課率ハ本稅百分ノ八十以內トス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ府縣知事ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課稅スルコトヲ得
第十七條 大正十五年法律第二十四號第十九條ノ規定ニ依リ雜種稅ヲ賦課スルコトヲ得ベキモノノ種類ヲ定ムルコト左ノ如シ
水車
市場
電柱
金庫
牛馬
狩獵
屠畜
不動產取得
漁業
遊藝師匠、遊藝人、相撲、俳優、藝妓其ノ他之ニ類スル者
演劇其ノ他ノ興行
遊興
前項ニ揭グル課目ハ府縣ニ於テ之ヲ取捨スルコトヲ得
特別ノ必要アル場合ニ於テ第一項ノ種類以外ノモノニ對シ雜種稅ヲ賦課セントスルトキハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十八條 第十五條ノ規定ハ雜種稅ノ賦課ニ之ヲ準用ス
第十九條 雜種稅ノ課稅標準及其ノ制限率其ノ他賦課ニ關シ必要ナル事項ハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第二十條 雜種稅附加稅ノ總額ハ本稅總額ノ百分ノ八十九以內トス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ府縣知事ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ賦課スルコトヲ得
第二十一條 戶數割總額中納稅義務者ノ資產ノ狀況ニ依リ資力ヲ算定シテ賦課スベキ額ハ戶數割總額ノ十分ノ二ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二十二條 戶數割納稅義務者ト生計ヲ共ニスル同居者ノ所得ハ之ヲ其ノ納稅義務者ノ所得ト看做ス但シ其ノ納稅義務者ヨリ受クル所得ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十三條 同一人ニ對シ數市町村ニ於テ戶數割ヲ賦課スル場合ニ於テハ各其ノ市町村ニ於ケル所得ヲ以テ其ノ者ノ資力算定ノ標準タル所得トス其ノ所得ニシテ分別シ難キモノアルトキハ關係市町村ニ平分ス
戶數割ヲ納ムル市町村以外ノ地ニ於ケル所得ハ納稅義務者ノ資力算定ニ付住所地市町村ニ於ケル所得ト看做ス
前二項ニ規定スル所得計算ニ付關係市町村異議アル場合ニ於テ其ノ府縣內ニ止マルモノハ府縣知事、數府縣ニ涉ルモノハ內務大臣之ヲ定ム
第二十四條 所得ニ依ル資力算定方法ニ關シテハ第二十一條乃至前條ニ定ムルモノノ外內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第二十五條 戶數割ノ賦課期日後納稅義務ノ發生シタル者ニ對スル賦課額ハ大正十五年法律第二十四號第二十四條乃至第二十七條及本令第二十一條(又ハ附則第六項)乃至前條ノ規定ニ依リテ定マリタル他ノ納稅義務者ノ賦課額ニ比準シテ之ヲ定ム
第十五條第一項、第二項及第五項ノ規定ハ戶數割ノ賦課ニ之ヲ準用ス但シ戶數割ノ賦課後納稅義務消滅スルモ其ノ賦課額ハ之ヲ變更セズ
第二十六條 市町村長ハ其ノ市町村住民ニ非ザル者(法人ヲ除ク)ノ當該市町村內ニ於テ生ズル其ノ年度分所得及其ノ所得ノ基本タル事實ヲ每年四月末日迄ニ其ノ住所地市町村長ニ通報スベシ但シ當該市町村ニ於テ其ノ者ニ戶數割ヲ賦課スルトキ又ハ其ノ住所地市町村ニ於テ戶數割ノ賦課ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七條 戶數割ハ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ズ
一 市ニ在リテハ其ノ總額當該年度ニ於ケル市稅豫算總額ノ百分ノ三十七
二 町村ニ在リテハ其ノ總額當該年度ニ於ケル町村稅豫算總額ノ百分ノ六十
特別ノ必要アル場合ニ於テハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課稅スルコトヲ得
第二十八條 本令中市町村ニ對スル許可ノ職權ハ內務大臣及大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ府縣知事ニ委任スルコトヲ得
第二十九條 本令中府縣、府縣知事又ハ町村ニ關スル規定ハ北海道ニ付テハ各北海道、北海道廳長官又ハ町村ニ準ズルモノニ之ヲ適用ス
町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部ヲ共同處理スルモノハ第五條ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村ト看做ス
第三十條 北海道移住民ニシテ主トシテ耕作又ハ牧畜ノ事業ニ引續キ從事シ移住ノ日ヨリ三年ヲ經過セザル者ニ對シテハ戶數割ヲ賦課スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ大正十六年度分ヨリ之ヲ適用ス
明治三十二年勅令第二百七十六號、府縣稅戶數割規則及大正十一年勅令第二百八十二號ハ大正十五年度分限リ之ヲ廢止ス
明治十三年第十七號布告第九條ノ規定ニ依リテ爲シタル處分ニシテ第十七條第一項ノ課目ニ該當セザルモノニ對スルモノハ本令施行ノ際內務大臣及大藏大臣ノ指定スル雜種稅ノ課目ニ對スルモノニ限リ之ヲ第十七條第三項ノ規定ニ依リテ爲シタル許可ト看做ス
本令施行ノ際現ニ府縣稅家屋稅附加稅ヲ賦課スル市町村ハ第十一條ノ規定ニ依ル承認ヲ受ケタルモノト看做ス
市町村特別稅家屋稅及之ニ類スル特別稅ニ關スル條例ニシテ本令施行ノ際內務大臣及大藏大臣ノ指定スルモノハ大正十五年度分限リ其ノ效力ヲ失フ
戶數割總額中納稅義務者ノ資產ノ狀況ニ依リテ資力ヲ算定シ賦課スベキ額ハ特別ノ事情アル市町村ニ於テハ當分ノ間戶數割總額ノ十分ノ四迄ト爲スコトヲ得
朕大正十五年法律第二十四号地方税ニ関スル法律施行ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年十一月十六日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
内務大臣 浜口雄幸
大蔵大臣 片岡直温
勅令第三百三十九号
第一条 大正十五年法律第二十四号第九条ノ家屋トハ住家、倉庫、工場其ノ他各種ノ建物ヲ謂フ
第二条 家屋ノ賃貸価格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル経費ヲ負担スル条件ヲ以テ家屋ヲ賃貸スル場合ニ於テ賦課期日ノ現状ニ依リ貸主ノ収得スベキ金額ノ年額ヲ以テ之ヲ算定ス
第三条第一項及第二項ノ場合ニ於テハ其ノ家屋ノ賃貸価格ハ前項ノ規定ニ依リテ算定シタル類似ノ他ノ家屋ノ賃貸価格ニ比準シテ之ヲ定ム
第三条 家屋税ノ賦課期日後建築セラレタル家屋ニ付テハ工事竣成ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ家屋税ヲ賦課ス
大正十五年法律第二十四号第十一条ノ規定ニ基キテ家屋税ヲ賦課セザル家屋又ハ法律ニ依リテ家屋税ヲ賦課スルコトヲ得ザル家屋ガ家屋税ノ賦課期日後之ヲ賦課スルコトヲ得ベキモノト為リタルトキハ其ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ家屋税ヲ賦課ス
家屋税ノ賦課期日後家屋ガ滅失シ其ノ他家屋トシテノ効用ヲ失ヒタルトキハ納税義務者ノ申請ニ依リ其ノ月迄月割ヲ以テ家屋税ヲ賦課ス大正十五年法律第二十四号第十一条ノ規定ニ基キテ家屋税ヲ賦課セザル家屋又ハ法律ニ依リテ家屋税ヲ賦課スルコトヲ得ザル家屋ト為リタルトキ亦同ジ
家屋税ノ賦課後前項ノ事実ヲ生ズルモ其ノ賦課額ハ之ヲ変更セズ
第四条 大正十五年法律第二十四号附則第四項ノ規定ニ依リテ府県ニ於テ家屋税ヲ賦課スル場合ニ於テハ建物ノ構造、坪数、用途及敷地ノ地位ニ依リ家屋ニ等差ヲ設ケテ之ヲ賦課ス
第五条 大正十五年法律第二十四号附則第四項ノ規定ニ依リテ家屋税ヲ賦課スル場合ニ於テハ府県ハ家屋税総額ヲ市町村ニ配当スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ家屋税総額ノ半額ハ之ヲ予算ノ属スル年度ノ前年度始ニ於ケル市町村内宅地地価ニ、他ノ半額ハ之ヲ予算ノ属スル年度ノ前年度始ニ於ケル市町村ノ戸数(法人ノ本店及支店ノ数ヲ含ム)ニ比例シテ配当スベシ
家屋税ヲ賦課スベキ年度ノ前年度又ハ家屋税ノ配当前ニ於テ市町村ノ廃置分合又ハ境界変更アリタルトキハ関係市町村ニ於ケル配当標準ハ府県知事之ヲ定ム但シ配当標準ニ異動ナキ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
家屋税ノ配当額ハ配当標準ニ異動アルモ配当後ハ之ヲ改定セズ但シ配当標準ニ錯誤アリタルトキハ当該市町村ニ限リ当初ノ配当率ヲ以テ其ノ配当額ヲ改定スルコトヲ得
家屋税ノ配当後其ノ賦課前ニ於テ市町村ノ廃置分合又ハ境界変更アリタルトキハ府県知事関係市町村ノ配当額ヲ新ニ定メ又ハ改定ス但シ配当標準ニ異動ナキ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第六条 前二条ノ規定ニ依リ難キ特別ノ事情アル府県ハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ別ノ賦課方法ニ依リ家屋税ヲ賦課スルコトヲ得
第七条 第四条及前条ノ規定ハ府県費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ニ於テ大正十五年法律第二十四号附則第四項ノ規定ニ依リテ家屋税ヲ賦課スル場合ニ関シ之ヲ準用ス
第八条 家屋ノ賃貸価格ニ対スル賦課率ハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ府県ニ於テ之ヲ定ム
第四条乃至第六条ノ規定ニ依リテ家屋税ヲ賦課セントスル場合ニ於テハ府県ハ其ノ予算総額ニ付内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クベシ
第九条 前条ノ規定ハ府県費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ニ於テ賦課スベキ家屋税ニ関シ之ヲ準用ス
第十条 戸数割ヲ賦課スル市町村ニ於テ賦課スベキ家屋税附加税ノ賦課率ハ本税百分ノ五十以内トス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シ其ノ百分ノ十二以内ニ於テ課税スルコトヲ得
左ニ掲グル場合ニ於テハ特ニ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課税スルコトヲ得
一 内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケテ起シタル負債ノ元利償還ノ為費用ヲ要スルトキ
二 非常ノ災害ニ因リ復旧工事ノ為費用ヲ要スルトキ
三 水利ノ為費用ヲ要スルトキ
四 伝染病予防ノ為費用ヲ要スルトキ
前二項ノ規定ニ依リテ制限外課税ヲ為スハ特別地税附加税ガ大正十五年法律第二十四号第七条ノ規定ニ依リテ制限外課税ヲ為ス場合ニ限ル但シ特別地税附加税ナキトキハ地租附加税又ハ段別割ガ明治四十一年法律第三十七号第五条ノ規定ニ依リテ制限外課税ヲ為ス場合ニ限ル
第十一条 内務大臣及大蔵大臣ガ戸数割ヲ賦課シ難キモノト認メタル市町村ニ於テ賦課スベキ家屋税附加税ハ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ズ
一 市ニ在リテハ其ノ総額当該年度ニ於ケル市税予算総額ノ百分ノ三十六但シ明治四十一年法律第三十七号第三条第三項ノ規定ニ依リテ所得税附加税ヲ賦課スル場合ニ於テハ当該年度ニ於ケル市税予算総額ノ百分ノ三十
二 町村ニ在リテハ其ノ総額当該年度ニ於ケル町村税予算総額ノ百分ノ六十但シ明治四十一年法律第三十七号第三条第三項ノ規定ニ依リテ所得税附加税ヲ賦課スル場合ニ於テハ当該年度ニ於ケル町村税予算総額ノ百分ノ五十五
特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課税スルコトヲ得
第十二条 大正十五年法律第二十四号第十五条ノ規定ニ依リ営業税ヲ賦課スベキ営業ノ種類ヲ定ムルコト左ノ如シ
運河業
桟橋業
船舶碇繋場業
貨物陸揚場業
両替業
湯屋業
理髪業
寄席業
遊技場業
遊覧所業
芸妓置屋業
第十三条 営業収益税法第二条ニ掲グル営業ニ対スル営業税ノ賦課額ハ同法ニ依ル個人ノ営業収益税額ノ最低額未満トス
第十四条 営業税ノ課税標準ハ内務大臣及大蔵大臣之ヲ定ム
第十五条 年税又ハ期税タル営業税ノ賦課期日後納税義務ノ発生シタル者ニ対シテハ其ノ発生ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ営業税ヲ賦課ス
前項ノ営業税ノ賦課期日後納税義務ノ消滅シタル者ニ対シテハ其ノ消滅シタル月迄月割ヲ以テ営業税ヲ賦課ス
第一項ノ営業税ニ付テハ其ノ賦課後営業ノ承継アリタル場合ニ於テハ前営業者ノ納税ヲ以テ後ノ営業者ノ納税ト看做シ前二項ノ規定ヲ適用セズ
月税タル営業税ノ賦課期日後其ノ月十五日迄ニ納税義務発生シタルトキハ其ノ営業税ノ全額、十六日以後納税義務発生シタルトキ又ハ十五日迄ニ納税義務消滅シタルトキハ其ノ半額ヲ賦課ス
前二項ノ場合ニ一ノ府県ニ於テ納税義務消滅シ他ノ府県ニ於テ納税義務発生シタルトキハ納税義務ノ発生シタル府県ハ納税義務ノ消滅シタル府県ニ於テ賦課シタル部分ニ付テハ営業税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
第十六条 営業税附加税ノ賦課率ハ本税百分ノ八十以内トス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ府県知事ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課税スルコトヲ得
第十七条 大正十五年法律第二十四号第十九条ノ規定ニ依リ雑種税ヲ賦課スルコトヲ得ベキモノノ種類ヲ定ムルコト左ノ如シ
水車
市場
電柱
金庫
牛馬
狩猟
屠畜
不動産取得
漁業
遊芸師匠、遊芸人、相撲、俳優、芸妓其ノ他之ニ類スル者
演劇其ノ他ノ興行
遊興
前項ニ掲グル課目ハ府県ニ於テ之ヲ取捨スルコトヲ得
特別ノ必要アル場合ニ於テ第一項ノ種類以外ノモノニ対シ雑種税ヲ賦課セントスルトキハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十八条 第十五条ノ規定ハ雑種税ノ賦課ニ之ヲ準用ス
第十九条 雑種税ノ課税標準及其ノ制限率其ノ他賦課ニ関シ必要ナル事項ハ内務大臣及大蔵大臣之ヲ定ム
第二十条 雑種税附加税ノ総額ハ本税総額ノ百分ノ八十九以内トス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ府県知事ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ賦課スルコトヲ得
第二十一条 戸数割総額中納税義務者ノ資産ノ状況ニ依リ資力ヲ算定シテ賦課スベキ額ハ戸数割総額ノ十分ノ二ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二十二条 戸数割納税義務者ト生計ヲ共ニスル同居者ノ所得ハ之ヲ其ノ納税義務者ノ所得ト看做ス但シ其ノ納税義務者ヨリ受クル所得ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十三条 同一人ニ対シ数市町村ニ於テ戸数割ヲ賦課スル場合ニ於テハ各其ノ市町村ニ於ケル所得ヲ以テ其ノ者ノ資力算定ノ標準タル所得トス其ノ所得ニシテ分別シ難キモノアルトキハ関係市町村ニ平分ス
戸数割ヲ納ムル市町村以外ノ地ニ於ケル所得ハ納税義務者ノ資力算定ニ付住所地市町村ニ於ケル所得ト看做ス
前二項ニ規定スル所得計算ニ付関係市町村異議アル場合ニ於テ其ノ府県内ニ止マルモノハ府県知事、数府県ニ渉ルモノハ内務大臣之ヲ定ム
第二十四条 所得ニ依ル資力算定方法ニ関シテハ第二十一条乃至前条ニ定ムルモノノ外内務大臣及大蔵大臣之ヲ定ム
第二十五条 戸数割ノ賦課期日後納税義務ノ発生シタル者ニ対スル賦課額ハ大正十五年法律第二十四号第二十四条乃至第二十七条及本令第二十一条(又ハ附則第六項)乃至前条ノ規定ニ依リテ定マリタル他ノ納税義務者ノ賦課額ニ比準シテ之ヲ定ム
第十五条第一項、第二項及第五項ノ規定ハ戸数割ノ賦課ニ之ヲ準用ス但シ戸数割ノ賦課後納税義務消滅スルモ其ノ賦課額ハ之ヲ変更セズ
第二十六条 市町村長ハ其ノ市町村住民ニ非ザル者(法人ヲ除ク)ノ当該市町村内ニ於テ生ズル其ノ年度分所得及其ノ所得ノ基本タル事実ヲ毎年四月末日迄ニ其ノ住所地市町村長ニ通報スベシ但シ当該市町村ニ於テ其ノ者ニ戸数割ヲ賦課スルトキ又ハ其ノ住所地市町村ニ於テ戸数割ノ賦課ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七条 戸数割ハ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ズ
一 市ニ在リテハ其ノ総額当該年度ニ於ケル市税予算総額ノ百分ノ三十七
二 町村ニ在リテハ其ノ総額当該年度ニ於ケル町村税予算総額ノ百分ノ六十
特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課税スルコトヲ得
第二十八条 本令中市町村ニ対スル許可ノ職権ハ内務大臣及大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ府県知事ニ委任スルコトヲ得
第二十九条 本令中府県、府県知事又ハ町村ニ関スル規定ハ北海道ニ付テハ各北海道、北海道庁長官又ハ町村ニ準ズルモノニ之ヲ適用ス
町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部ヲ共同処理スルモノハ第五条ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村ト看做ス
第三十条 北海道移住民ニシテ主トシテ耕作又ハ牧畜ノ事業ニ引続キ従事シ移住ノ日ヨリ三年ヲ経過セザル者ニ対シテハ戸数割ヲ賦課スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ大正十六年度分ヨリ之ヲ適用ス
明治三十二年勅令第二百七十六号、府県税戸数割規則及大正十一年勅令第二百八十二号ハ大正十五年度分限リ之ヲ廃止ス
明治十三年第十七号布告第九条ノ規定ニ依リテ為シタル処分ニシテ第十七条第一項ノ課目ニ該当セザルモノニ対スルモノハ本令施行ノ際内務大臣及大蔵大臣ノ指定スル雑種税ノ課目ニ対スルモノニ限リ之ヲ第十七条第三項ノ規定ニ依リテ為シタル許可ト看做ス
本令施行ノ際現ニ府県税家屋税附加税ヲ賦課スル市町村ハ第十一条ノ規定ニ依ル承認ヲ受ケタルモノト看做ス
市町村特別税家屋税及之ニ類スル特別税ニ関スル条例ニシテ本令施行ノ際内務大臣及大蔵大臣ノ指定スルモノハ大正十五年度分限リ其ノ効力ヲ失フ
戸数割総額中納税義務者ノ資産ノ状況ニ依リテ資力ヲ算定シ賦課スベキ額ハ特別ノ事情アル市町村ニ於テハ当分ノ間戸数割総額ノ十分ノ四迄ト為スコトヲ得