府県税戸数割規則
法令番号: 勅令第四百二十二號
公布年月日: 大正10年10月11日
法令の形式: 勅令
朕府縣稅戶數割規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年十月十日
內閣總理大臣 原敬
大藏大臣 子爵 高橋是淸
內務大臣 床次竹二郞
勅令第四百二十二號
府縣稅戶數割規則
第一條 戶數割ハ一戶ヲ構フル者ニ之ヲ賦課ス
戶數割ハ一戶ヲ構ヘサルモ獨立ノ生計ヲ營ム者ニ之ヲ賦課スルコトヲ得
第二條 戶數割ハ納稅義務者ノ資力ニ對シ之ヲ賦課ス
第三條 資力ハ戶數割納稅義務者ノ所得額及住家坪數ニ依リ之ヲ算定ス但シ所得額及住家坪數ノミニ依ルヲ適當ナラスト認ムル場合ニ於テハ納稅義務者ノ資產ノ狀況ヲ斟酌シテ之ヲ算定スルコトヲ得
第四條 戶數割總額ハ豫算ノ屬スル年度ノ前前年度ニ於テ市町村住民(法人ヲ除ク)ノ賦課ヲ受ケタル直接國稅及直接府縣稅ノ稅額竝前年度始ニ於ケル戶數割納稅義務者ノ數ヲ標準トシ市町村ニ之ヲ配當ス但シ戶數割納稅義務者ノ數ヲ標準トスル配當額ハ戶數割總額ノ十分ノ五ヲ超ユルコトヲ得ス
特別ノ事情アルトキハ府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ得テ前項ノ規定ニ拘ラス別ニ標準ヲ設クルコトヲ得
配當額ハ配當後標準ニ異動ヲ生スルモ之ヲ更正セス
第五條 前條ノ規定ニ依リ市町村ニ配當セラレタル戶數割ノ總額中住家坪數ニ依リ資力ヲ算定シテ課スヘキモノハ其ノ總額ノ十分ノ一ヲ、納稅義務者ノ資產ノ狀況ヲ斟酌シテ資力ヲ算定シ課スヘキモノハ其ノ總額ノ十分ノ二ヲ超ユルコトヲ得ス
第六條 納稅義務者ト生計ヲ共ニスル同居者ノ所得ハ之ヲ其ノ納稅義務者ノ所得ト看做ス但シ其ノ納稅義務者ヨリ受クル所得ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 同一人ニ對シ數府縣ニ於テ戶數割ヲ賦課スル場合ニ於テハ各其ノ府縣ニ於ケル所得ヲ以テ其ノ者ノ資力算定ノ標準タル所得トス其ノ所得ニシテ分別シ難キモノアルトキハ關係府縣ニ平分ス
戶數割ヲ納ムル府縣以外ノ地ニ於ケル所得ハ納稅義務者ノ資力算定ニ付住所地府縣ニ於ケル所得ト看做ス
前二項ノ規定ハ府縣內ノ市町村間ニ於ケル所得ノ計算方法ニ付之ヲ準用ス
前三項ニ規定スル所得計算ニ付府縣內關係市町村異議アル場合ニ於テ其ノ郡內ニ止マルモノハ郡長、其ノ郡市又ハ數郡市ニ涉ルモノハ府縣知事之ヲ定メ關係府縣知事異議アルトキハ內務大臣之ヲ定ム
島司ヲ置ク地ニ於テハ前項中郡長ニ關スル規定ハ島司ニ、郡ニ關スル規定ハ島廳管轄區域ニ關シ之ヲ適用ス
第八條 二人以上ノ納稅義務者カ同一住家ヲ使用スル場合ニ於テハ各使用者ニ專屬スル部分ノ住家坪數ヲ以テ資力算定ノ標準タル住家坪數トス其ノ共同シテ住家又ハ其ノ一部分ヲ使用スル場合ニ於テハ其ノ住家坪數ハ之ヲ平分ス
第九條 住家ノ附屬建物ハ住家坪數ニ之ヲ算入ス
住家坪數ニ依ル資力算定ニ付テハ建物ノ構造、用途及敷地ノ地位ニ依リ等差ヲ設クルコトヲ得
第十條 前二條ニ定ムルモノヲ除クノ外住家坪數ノ計算方法ニ付テハ府縣ノ賦課規則ノ定ムル所ニ依ル
第十一條 戶數割ノ賦課期日後納稅義務ノ發生シタル者ニ對シテハ發生ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ賦課ス但シ一ノ府縣ニ於テ納稅義務消滅シ他ノ府縣ニ於テ納稅義務發生シタル場合ニ於テハ納稅義務ノ發生シタル府縣ハ他ノ府縣ノ賦課セサル部分ニ付テノミ賦課ス
賦課期日後新ニ納稅義務ノ發生シタル者ニ對スル賦課額ハ第二條、第三條及第五條ノ規定ニ依リ定リタル他ノ納稅者ノ賦課額ニ比準シテ之ヲ定ム
戶數割ノ賦課期日後納稅義務ノ消滅シタル者ニ對シテハ其ノ消滅シタル月迄月割ヲ以テ賦課ス但シ旣ニ徵稅令書ヲ發シタル場合ニ於テハ其ノ賦課額ハ之ヲ變更セス
第十二條 府縣ハ特別ノ事情アル者ニ對シ戶數割ヲ課セサルコトヲ得
第十三條 市町村長ハ其ノ市町村住民ニ非サル者(法人ヲ除ク)ノ當該市町村內ニ於テ生スル其ノ年度分所得竝當該市町村ニ於テ賦課ヲ受ケタル前年度ノ直接國稅及直接府縣稅ノ稅額ヲ每年五月末日迄ニ其ノ住所地市町村長ニ通報スヘシ但シ所得ニ付テハ其ノ住所地市町村ニ於テ戶數割ノ賦課ナキトキハ此ノ限ニ在ラス
第十四條 左ノ制限ヲ超エ戶數割又ハ戶數割附加稅ヲ賦課セムトスルトキハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クヘシ
一 戶數割總額カ當該年度ニ於ケル府縣稅豫算總額ノ百分ノ三十ヲ超ユルトキ
二 戶數割附加稅總額カ市區ニ在リテハ當該年度ニ於ケル市區稅豫算總額ノ百分ノ五十、町村ニ在リテハ當該年度ニ於ケル町村稅豫算總額ノ百分ノ八十ヲ超ユルトキ
第十五條 前條ノ規定ノ適用ニ付テハ府縣稅家屋稅又ハ家屋稅附加稅若ハ市町村稅家屋稅ハ之ヲ戶數割又ハ戶數割附加稅ト看做ス
第十六條 所得ニ依ル資力算定方法、直接稅ノ種類其ノ他本令施行上必要ナル事項ハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ大正十一年度分ヨリ之ヲ施行ス
朕府県税戸数割規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年十月十日
内閣総理大臣 原敬
大蔵大臣 子爵 高橋是清
内務大臣 床次竹二郎
勅令第四百二十二号
府県税戸数割規則
第一条 戸数割ハ一戸ヲ構フル者ニ之ヲ賦課ス
戸数割ハ一戸ヲ構ヘサルモ独立ノ生計ヲ営ム者ニ之ヲ賦課スルコトヲ得
第二条 戸数割ハ納税義務者ノ資力ニ対シ之ヲ賦課ス
第三条 資力ハ戸数割納税義務者ノ所得額及住家坪数ニ依リ之ヲ算定ス但シ所得額及住家坪数ノミニ依ルヲ適当ナラスト認ムル場合ニ於テハ納税義務者ノ資産ノ状況ヲ斟酌シテ之ヲ算定スルコトヲ得
第四条 戸数割総額ハ予算ノ属スル年度ノ前前年度ニ於テ市町村住民(法人ヲ除ク)ノ賦課ヲ受ケタル直接国税及直接府県税ノ税額並前年度始ニ於ケル戸数割納税義務者ノ数ヲ標準トシ市町村ニ之ヲ配当ス但シ戸数割納税義務者ノ数ヲ標準トスル配当額ハ戸数割総額ノ十分ノ五ヲ超ユルコトヲ得ス
特別ノ事情アルトキハ府県知事ハ府県会ノ議決ヲ経内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ得テ前項ノ規定ニ拘ラス別ニ標準ヲ設クルコトヲ得
配当額ハ配当後標準ニ異動ヲ生スルモ之ヲ更正セス
第五条 前条ノ規定ニ依リ市町村ニ配当セラレタル戸数割ノ総額中住家坪数ニ依リ資力ヲ算定シテ課スヘキモノハ其ノ総額ノ十分ノ一ヲ、納税義務者ノ資産ノ状況ヲ斟酌シテ資力ヲ算定シ課スヘキモノハ其ノ総額ノ十分ノ二ヲ超ユルコトヲ得ス
第六条 納税義務者ト生計ヲ共ニスル同居者ノ所得ハ之ヲ其ノ納税義務者ノ所得ト看做ス但シ其ノ納税義務者ヨリ受クル所得ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 同一人ニ対シ数府県ニ於テ戸数割ヲ賦課スル場合ニ於テハ各其ノ府県ニ於ケル所得ヲ以テ其ノ者ノ資力算定ノ標準タル所得トス其ノ所得ニシテ分別シ難キモノアルトキハ関係府県ニ平分ス
戸数割ヲ納ムル府県以外ノ地ニ於ケル所得ハ納税義務者ノ資力算定ニ付住所地府県ニ於ケル所得ト看做ス
前二項ノ規定ハ府県内ノ市町村間ニ於ケル所得ノ計算方法ニ付之ヲ準用ス
前三項ニ規定スル所得計算ニ付府県内関係市町村異議アル場合ニ於テ其ノ郡内ニ止マルモノハ郡長、其ノ郡市又ハ数郡市ニ渉ルモノハ府県知事之ヲ定メ関係府県知事異議アルトキハ内務大臣之ヲ定ム
島司ヲ置ク地ニ於テハ前項中郡長ニ関スル規定ハ島司ニ、郡ニ関スル規定ハ島庁管轄区域ニ関シ之ヲ適用ス
第八条 二人以上ノ納税義務者カ同一住家ヲ使用スル場合ニ於テハ各使用者ニ専属スル部分ノ住家坪数ヲ以テ資力算定ノ標準タル住家坪数トス其ノ共同シテ住家又ハ其ノ一部分ヲ使用スル場合ニ於テハ其ノ住家坪数ハ之ヲ平分ス
第九条 住家ノ附属建物ハ住家坪数ニ之ヲ算入ス
住家坪数ニ依ル資力算定ニ付テハ建物ノ構造、用途及敷地ノ地位ニ依リ等差ヲ設クルコトヲ得
第十条 前二条ニ定ムルモノヲ除クノ外住家坪数ノ計算方法ニ付テハ府県ノ賦課規則ノ定ムル所ニ依ル
第十一条 戸数割ノ賦課期日後納税義務ノ発生シタル者ニ対シテハ発生ノ翌月ヨリ月割ヲ以テ賦課ス但シ一ノ府県ニ於テ納税義務消滅シ他ノ府県ニ於テ納税義務発生シタル場合ニ於テハ納税義務ノ発生シタル府県ハ他ノ府県ノ賦課セサル部分ニ付テノミ賦課ス
賦課期日後新ニ納税義務ノ発生シタル者ニ対スル賦課額ハ第二条、第三条及第五条ノ規定ニ依リ定リタル他ノ納税者ノ賦課額ニ比準シテ之ヲ定ム
戸数割ノ賦課期日後納税義務ノ消滅シタル者ニ対シテハ其ノ消滅シタル月迄月割ヲ以テ賦課ス但シ既ニ徴税令書ヲ発シタル場合ニ於テハ其ノ賦課額ハ之ヲ変更セス
第十二条 府県ハ特別ノ事情アル者ニ対シ戸数割ヲ課セサルコトヲ得
第十三条 市町村長ハ其ノ市町村住民ニ非サル者(法人ヲ除ク)ノ当該市町村内ニ於テ生スル其ノ年度分所得並当該市町村ニ於テ賦課ヲ受ケタル前年度ノ直接国税及直接府県税ノ税額ヲ毎年五月末日迄ニ其ノ住所地市町村長ニ通報スヘシ但シ所得ニ付テハ其ノ住所地市町村ニ於テ戸数割ノ賦課ナキトキハ此ノ限ニ在ラス
第十四条 左ノ制限ヲ超エ戸数割又ハ戸数割附加税ヲ賦課セムトスルトキハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クヘシ
一 戸数割総額カ当該年度ニ於ケル府県税予算総額ノ百分ノ三十ヲ超ユルトキ
二 戸数割附加税総額カ市区ニ在リテハ当該年度ニ於ケル市区税予算総額ノ百分ノ五十、町村ニ在リテハ当該年度ニ於ケル町村税予算総額ノ百分ノ八十ヲ超ユルトキ
第十五条 前条ノ規定ノ適用ニ付テハ府県税家屋税又ハ家屋税附加税若ハ市町村税家屋税ハ之ヲ戸数割又ハ戸数割附加税ト看做ス
第十六条 所得ニ依ル資力算定方法、直接税ノ種類其ノ他本令施行上必要ナル事項ハ内務大臣及大蔵大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ大正十一年度分ヨリ之ヲ施行ス