朕外國旅費規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年八月三十日
內閣總理大臣 原敬
大藏大臣 子爵 高橋是淸
勅令第四百一號
外國旅費規則
第一章 總則
第一條 官吏公務ニ依リ本邦外國間ヲ旅行シ又ハ外國ヲ旅行スルトキハ本令ニ依リ旅費ヲ支給ス但シ南滿洲ノ旅費ニ關シテハ別ニ之ヲ定ム
勅令ノ定ムル所ニ依リ賜暇歸朝ヲ許サレタル者任地本邦間ヲ旅行スルトキハ公務ニ依リ旅行スルモノト看做ス
第二條 旅費ハ鐵道賃、船賃、車馬賃、日當、宿泊料、食卓料、支度料、移轉料、著後手當及家族移轉料ノ十種トス
第三條 旅費ハ順路ニ依リ之ヲ計算ス但シ公務ノ都合ニ依リ順路ニ依リテ旅行シ難キ場合ニ於テハ其ノ現ニ經過シタル通路ニ依ル
第四條 年度又ハ日ニ依リテ旅費ヲ區分計算スルノ必要アル場合ニ於テ其ノ區分判明ナラサルトキハ最近ノ到達地ニ著シタル日ヲ以テ其ノ旅程ヲ區別シ計算ス
第五條 所管大臣ハ旅費ノ定額ヲ減シ又ハ旅費ノ全部若ハ一部ヲ支給セサルコトヲ得
第六條 本邦外國間ヲ旅行スル爲本邦又ハ南洋群島關東州南滿洲內ヲ通過スルトキハ其ノ地域ニ於ケル旅行ニ付定メラレタル旅費ヲ支給ス但シ南滿洲以外ノ外國直通ノ汽車又ハ南滿洲以外ノ外國航路ノ船舶ニ依リ本邦ヲ出發シ又ハ本邦ニ歸著シタルトキハ當該鐵道賃、船賃及乘船港出發ノ日ヨリ又ハ歸著港ニ上陸ノ日迄ノ日當ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第七條 一日中旅費ノ定額ヲ異ニスル場合ニ於テハ多キニ從ヒ之ヲ支給ス
第八條 新ニ任用スル爲召喚セラレタル者ニハ官吏ノ赴任、轉勤又ハ歸朝ノ例ニ準シ新官相當ノ旅費ヲ支給ス
第九條 私事ノ爲在勤地又ハ出張地以外ニ滯在スル者滯在地ヨリ直ニ旅行スル場合ニ於テハ滯在地ヨリ目的地ニ至ル旅費額カ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費額ヨリ多キトキハ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費ヲ支給ス
第十條 特別ノ事情ニ因リ本令ニ依リ難キ場合ノ旅費ニ關シテハ所管大臣大藏大臣ト協議シ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
特殊ノ要務ニ從事スル爲外國ニ出張ヲ命セラレタル者ニハ所管大臣大藏大臣ト協議シ旅費ヲ支給セス旅行手當ヲ支給スルコトヲ得
第十一條 雇員傭人其ノ他本令ニ規定ナキ者ノ旅費ニ關シテハ所管大臣大藏大臣ト協議シ本令ニ準シテ之ヲ定ム
第十二條 旅費ノ支給ヲ受クル者ニ對シテハ所管大臣大藏大臣ト協議シテ定メタルモノヲ除クノ外別ニ手當ヲ支給スルコトヲ得ス
第十三條 本令中所管大臣ノ職務ハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、關東州ニ在リテハ關東長官、樺太ニ在リテハ樺太廳長官之ヲ行フ但シ大藏大臣ト協議ヲ要スル事項ニ關シテハ所管大臣ヲ經由スヘシ
第二章 鐵道賃、船賃及車馬賃
第十四條 鐵道旅行ニハ鐵道賃、水路旅行ニハ船賃、其ノ他ノ旅行ニハ車馬賃ヲ支給ス
第十五條 鐵道賃及船賃ハ大藏大臣ノ定ムル所ニ從ヒ實際ノ料金ニ依リ、車馬賃ハ實費ニ依リ之ヲ支給ス
第十六條 鐵道旅行又ハ水路旅行ノ場合ニ於テ別ニ急行料金又ハ寢臺料金ヲ要シタルトキハ之ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ寢臺料金ノ支給ヲ受クル場合ニ於ケル宿泊料ハ勅任官以上ニ在リテハ定額ノ十分ノ六、奏任官以下ニ在リテハ定額ノ十分ノ七トス
第十七條 出張ヲ命セラレタル者ノ旅行中携帶スル私屬ノ荷物ハ百五十「キログラム」迄ヲ限リ其ノ運賃ヲ支給スルコトヲ得
第十八條 官用ノ船、車、馬等ニ依リテ旅行スルトキハ鐵道賃、船賃又ハ車馬賃ハ之ヲ支給セス
第三章 日當、宿泊料及食卓料
第十九條 日當、宿泊料及食卓料ハ別表ニ揭クル所ニ從ヒ定額ニ依リ之ヲ支給ス
第二十條 日當ハ日數ニ應シ宿泊料ハ夜數ニ應シテ之ヲ支給ス
水路旅行ニハ宿泊料ヲ支給セス但シ天災其ノ他已ムヲ得サル事故ノ爲上陸宿泊ヲ要シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
食卓料ハ船賃ノ外別ニ食料ヲ要スル場合又ハ船賃ヲ要セサルモ食料ヲ要スル場合ニ於テ夜數ニ應シテ之ヲ支給ス
第二十一條 陸路二十哩未滿、鐵道六十哩未滿、水路四十海里未滿ノ旅行ニ在リテハ公務ノ都合ニ依リ宿泊シタル場合ヲ除クノ外支給スヘキ日當ハ定額ノ半額トス
一旅行ニシテ陸路、鐵道又ハ水路ニ亙ルトキハ鐵道ハ三哩、水路ハ二海里ヲ以テ陸路一哩ト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十二條 日當及宿泊料ハ同一地ニ滯在三十日ヲ超ユルトキハ其ノ超過日數ニ付定額ノ二割、六十日ヲ超ユルトキハ其ノ超過日數ニ付定額ノ三割ヲ減ス
同一地ニ滯在中一時他ノ地ニ旅行シタル場合ニ於テハ前項ノ期間ハ前後ノ日數ヲ通算シテ之ヲ定ム
第四章 支度料、移轉料、著後手當及家族移轉料
第二十三條 支度料ハ外國ニ赴任又ハ出張ヲ命セラレタル者ニ別表ニ依リ之ヲ支給ス
南洋群島關東州南滿洲又ハ外國ニ赴任又ハ出張ヲ命セラレ支度料ノ支給ヲ受ケタル者其ノ赴任又ハ出張ヲ命セラレタル日ヨリ一年內ニ再ヒ外國ニ赴任又ハ出張ヲ命セラレタルトキ支給スル支度料ハ定額ノ二分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス但シ其ノ金額前ニ受ケタル金額ト合シテ定額ノ十五割ニ滿タサルトキハ定額ヲ超エサル範圍內ニ於テ通シテ十五割迄ヲ支給スルコトヲ妨ケス
外國ニ在勤又ハ出張中ノ者他ノ地ニ轉勤又ハ出張ヲ命セラレタル場合ニ於テハ前ニ受ケタル支度料ノ額新ニ轉勤又ハ出張ヲ命セラレタル地方ニ付定メラレタル支度料ノ定額ニ達セサルトキニ限リ其ノ差額ノ範圍內ニ於テ支度料ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ規定ハ南洋群島關東州南滿洲ニ在勤中又ハ出張中ノ者南滿洲以外ノ外國ニ轉勤又ハ出張ヲ命セラレタル場合ニ之ヲ準用ス
支度料定額ノ少額ナル地方ニ滯在中新ニ任用セラレタル者其ノ多額ナル地方ニ赴任、轉勤又ハ出張ヲ命セラレタル場合ニ於テハ滯在中ノ地方ニ付定メラレタル支度料ト赴任、轉勤又ハ出張ヲ命セラレタル地方ニ付定メラレタル支度料トノ差額ノ範圍內ニ於テ支度料ヲ支給ス
第二十四條 移轉料及著後手當ハ左ニ揭クル者ニ之ヲ支給ス
一 外國ニ赴任ヲ命セラレタル者
二 外國ニ在勤中轉勤ヲ命セラレ又ハ本邦勤務ノ爲歸朝ヲ命セラレタル者
三 賜暇歸朝ヲ許サレタル者及賜暇歸朝中歸任スル者
第二十五條 外國ニ滯在中外國在勤ヲ命セラレ又ハ新ニ任用セラレタル者ニハ移轉料及著後手當ヲ支給スルコトヲ得
第二十六條 移轉料ハ別表ニ依ル
著後手當ハ目的地ニ於ケル旅行ニ付定メラレタル日當五日分及宿泊料五夜分ニ相當スル額トス
第二十七條 家族移轉料ハ左ノ場合ニ之ヲ支給ス
一 第二十四條又ハ第二十五條ニ揭クル者許可ヲ受ケ妻子ヲ隨伴スルトキ
二 外國ニ在勤中公務ノ爲歸朝ヲ命セラレタル者又ハ公務歸朝中歸任スル者許可ヲ受ケ妻子ヲ隨伴スルトキ
三 外國ニ在勤中又ハ歸朝後許可ヲ受ケ妻子ヲ呼寄セ又ハ歸朝セシムルトキ但シ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外同一任地ニ付往返各一囘限リトス
第二十八條 家族移轉料ハ妻ニ付テハ本人相當ノ鐵道賃、船賃、車馬賃及食卓料ノ全額竝日當、宿泊料、支度料、著後手當ノ半額トシ子ニ付テハ十二歲以上ノ者ニ在リテハ本人相當ノ鐵道賃、船賃、車馬賃、日當、宿泊料、食卓料及著後手當ノ半額トシ十二歲未滿ノ者ニ在リテハ更ニ其ノ半額トス
第二十九條 外國ニ赴任若ハ出張ヲ命セラレタル者、外國ニ在勤中轉勤若ハ歸朝ヲ命セラレタル者又ハ外國ニ滯在中外國在勤ヲ命セラレ若ハ新ニ任用セラレタル者其ノ出發前死亡シ又ハ命令ヲ取消サレ其ノ他旅行ノ必要ナキニ至リタルトキハ支度料及移轉料ノ全額以內ヲ支給スルコトヲ得
隨伴シ又ハ呼寄スルコトヲ許サレタル妻其ノ出發前死亡シ又ハ許可ヲ取消サレ其ノ他旅行ノ必要ナキニ至リタルトキハ本人ニ支給スヘキ支度料ノ半額以內ヲ支給スルコトヲ得
第五章 退官退職者旅費及死亡手當
第三十條 外國在勤中又ハ任所往返中ノ者廢官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ轉役ト爲リタルトキハ其ノ命令又ハ通知到達ノ日迄日當及宿泊料ヲ支給ス
第三十一條 前條ニ揭クル外國在勤中ノ者命令又ハ通知到達ノ日ヨリ三月內ニ舊任地ヲ出發シ相當ノ期間內ニ本邦ニ歸著スルトキハ其ノ出發ノ日迄ノ滯在日數三十日ヲ限リ日當及宿泊料ヲ支給スルノ外賜暇ニ依ル歸朝ノ例ニ準シ其ノ地ヨリ本邦迄ノ旅費ヲ支給ス但シ著後手當ハ之ヲ支給セス
第三十二條 外國在勤中ノ者他ノ地ニ出張中又ハ公務若ハ賜暇ニ依ル歸朝中廢官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ轉役ト爲リ其ノ命令又ハ通知到達ノ日ヨリ一月內ニ出發シ相當ノ期間內ニ舊任地ニ歸著スルトキハ其ノ出發ノ日迄ノ滯在日數十五日ヲ限リ日當及宿泊料ヲ支給スルノ外其ノ地ヨリ舊任地迄ノ旅費ヲ支給ス
前項ノ場合ニ於テ舊任地ニ於ケル滯在中ノ日當及宿泊料ヲ支給スル日數ハ前條ノ規定ニ依リ日當及宿泊料ヲ支給スル滯在日數ト通シテ四十日以內トス
第一項ニ揭クル者其ノ出張地ヨリ直ニ歸朝スルトキハ前條ノ規定ニ準シ其ノ地ヨリ本邦迄ノ旅費ヲ支給ス
前三項ノ規定ハ公務又ハ賜暇ニ依リ任所往返中廢官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ轉役ト爲リタル者ニ之ヲ準用ス
第三十三條 天災其ノ他已ムヲ得サル事由ニ因リ又ハ事務引繼殘務整理等ノ爲前二條ニ規定スル期間內ニ出發スルコト能ハサルトキハ所管大臣ハ事情ヲ斟酌シ其ノ期間ヲ延長スルコトヲ得
第三十四條 在勤俸ヲ受クル期間ニ對シテハ第三十條乃至第三十二條ノ規定ニ依リ支給スル滯在中ノ日當及宿泊料ハ之ヲ支給セス但シ在勤地以外ノ地ニ於ケル出張中又ハ公務歸朝中ノ日數ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第五十五條 第三十條、第三十一條及第三十三條ノ規定ハ外國出張中ノ者廢官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ轉役ト爲リタル場合ニ之ヲ準用ス
第三十六條 外國在勤中、任所往返中又ハ出張中ノ者在勤地ニ於テ又ハ旅行中死亡シタルトキハ外國在勤者又ハ任所往返中ノ者ニ在リテハ其ノ任地ニ付定メラレタル額ニ依リ、外國出張中ノ者ニ在リテハ其ノ出張地ニ付定メラレタル額ニ依リ別表ニ從ヒ死亡手當ヲ其ノ遺族ニ支給ス但シ出張地數地方ニ亙ルトキハ最近ノ出發地又ハ到達地ニ付定メラレタル額ニ依リ多キニ從ヒ之ヲ支給ス
妻夫ノ任地ニ於テ又ハ許可ヲ受ケテ其ノ任所往返中死亡シタルトキハ本人ニ對スル死亡手當ノ半額以內ノ金額ヲ死亡手當トシテ支給スルコトヲ得
第三十七條 第三十一條、第三十二條及前條ノ場合ニ於テハ其ノ妻子ニ付第二十八條ノ規定ニ準シ其ノ地ヨリ本邦迄ノ旅費ヲ支給ス
第三十八條 第三十一條乃至第三十三條、第三十五條及前條ノ規定ハ刑事裁判若ハ懲戒處分ニ依リ失官シ若ハ免官セラレ又ハ自己ノ便宜ニ依リ退官若ハ退職シタル者及其ノ妻子ニ付テハ之ヲ適用セス
第六章 雜則
第三十九條 入國稅若ハ出國稅ヲ支拂ヒ又ハ旅行券ニ外國官公署ノ査證ヲ求ムル爲手數料ヲ支拂ヒタルトキハ其ノ實費ヲ支給スルコトヲ得
第四十條 特別ノ危險アル場合ニ於テ旅行中ニ於ケル身體ノ傷害又ハ荷物ノ損害ニ付保險ニ付シタルトキハ大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ保險料ノ全部又ハ一部ニ相當スル金額ヲ支給スルコトヲ得
第四十一條 許可ヲ受ケ從者ヲ伴ヒ旅行スルトキハ親任官ニ在リテハ二人、勅任官ニ在リテハ一人、奏任官以下ニ在リテハ出張ノ場合ヲ除クノ外六歲未滿ノ子ヲ同伴スルトキ一人ヲ限リ傭人相當ノ鐵道賃、船賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
外國在勤中若ハ歸朝後妻ヲ呼寄セ若ハ歸朝セシムル場合又ハ外國在勤中若ハ任所往返中死亡シタル者ノ妻歸朝スル場合ニ於テ許可ヲ受ケ從者ヲ伴ヒ旅行スルトキハ親任官ノ妻ニ在リテハ二人、勅任官又ハ奏任官ノ妻ニ在リテハ一人、判任官ノ妻ニ在リテハ六歲未滿ノ子ヲ同伴スルトキ一人ヲ限リ前項ノ規定ニ準シ支給スルコトヲ得
第三十一條、第三十二條、第三十五條又ハ第三十六條ノ場合ニ於テ許可ヲ受ケ伴ヒタル從者アルトキハ前二項ノ規定ニ準シ旅費ヲ支給スルコトヲ得但シ此ノ場合ニ於テハ第三十八條ノ規定ヲ準用ス
第四十二條 事務引繼殘務整理等ノ爲廢官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ轉役ト爲リタル者ニ旅行又ハ滯在ヲ命シタルトキハ旅費ヲ支給ス
第三十四條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十三條 第二十九條乃至第三十五條及前條ノ規定ニ依リ支給スル旅費ハ前官又ハ本官相當ノ旅費額ニ依ル
第四十四條 本令ニ依リ旅費ノ支給ヲ受クヘキ者旅行ノ必要ナキニ至リタル場合ニ於テ未タ旅行ヲ爲ササル區間ノ鐵道賃、船賃、急行料金、寢臺料金又ハ車馬賃ノ支拂ヲ要スルトキハ之ヲ支給スルコトヲ得
第四十五條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外旅費ノ支給ニ關シ必要ナル規程ハ大藏大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ本令中支度料、移轉料、著後手當、妻ニ對スル支度料及著後手當ニ相當スル家族移轉料又ハ死亡手當ニ關スル規定ハ在外公館費用條例ノ適用又ハ準用ヲ受クル者ニハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ適用ス
左ノ勅令ハ之ヲ廢止ス
明治三十年勅令第四百四十三號
遞信省部內官吏外國在勤者妻携帶旅費給與規則
大正四年勅令第百九十六號
大正七年勅令第三百八十七號
大正八年勅令第二十號
大正八年勅令第百二十九號
大正八年勅令第百七十一號
本令施行ノ際從前ノ規定ニ定額ノ定アル區間ヲ旅行中ノ者ニ支給スル鐵道賃又ハ船賃ハ其ノ區間ニ限リ仍從前ノ例ニ依ル
本令施行前ヨリ引續キ同一地ニ滯在スル者ニ對スル第二十二條ノ規定ノ適用ニ關シテハ前後ノ日數ヲ通算シテ之ヲ定ム
本令施行前外國ニ赴任ヲ命セラレタル者、外國在勤中轉勤ヲ命セラレ若ハ本邦勤務ノ爲歸朝ヲ命セラレタル者、賜暇歸朝ヲ許サレタル者又ハ賜暇歸朝中歸任スル者本令施行後目的地ニ到著シタルトキハ本令ニ依リ移轉料ヲ支給ス
本令施行前外國ニ滯在中外國在勤ヲ命セラレ又ハ新ニ任用セラレタル者本令施行後目的地ニ到著シタルトキハ本令ニ依リ移轉料ヲ支給スルコトヲ得
前二項ニ揭クル者妻子ヲ隨伴シ、呼寄セ又ハ歸朝セシムル場合ニ於テ其ノ妻子本令施行後目的地ニ到著シタルトキハ本令ニ依リ家族移轉料ヲ支給スルコトヲ得
(別表)
     區分
官階
日當
宿泊料
食卓料
支度料
移轉料
死亡手當
甲地方
乙地方
丙地方
甲地方
乙地方
丙地方
甲額
乙額
甲地方
乙地方
丙地方
親任官
二十圓
七十圓
六十圓
三十圓
八圓
千四百圓以內
千圓以內
六百圓以內
四百圓以內
七千五百圓以內
五千圓以內
勅任官
十五圓
五十圓
四十二圓
二十二圓
七圓
九百圓以內
七百圓以內
四百五十圓以內
三百圓以內
四千五百圓以內
三千圓以內
奏任官
五等以上
十圓
三十二圓
二十四圓
十七圓
五圓
七百圓以內
五百五十圓以內
三百圓以內
二百圓以內
二千五百圓以內
千七百圓以內
六等以下
八圓
三十圓
二十二圓
十六圓
五圓
七百圓以內
五百五十圓以內
三百圓以內
二百圓以內
二千圓以內
千三百圓以內
判任官
六圓
二十四圓
十八圓
十三圓
四圓
五百圓以內
三百圓以內
二百圓以內
百五十圓以內
千五百圓以內
千圓以內
備考
一 甲地方トハ南北亞米利加、乙地方トハ歐羅巴亞弗利加太洋洲竝支那及西比利亞以外ノ亞細亞、丙地方トハ支那及西比利亞ヲ謂フ
二 移轉料ノ甲額ハ甲乙地方ト本邦又ハ丙地方トノ間竝甲乙地方間及甲乙各地方內ノ移轉ニ付之ヲ支給シ移轉料ノ乙額ハ本邦丙地方間及丙地方內ノ移轉ニ付之ヲ支給ス
朕外国旅費規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年八月三十日
内閣総理大臣 原敬
大蔵大臣 子爵 高橋是清
勅令第四百一号
外国旅費規則
第一章 総則
第一条 官吏公務ニ依リ本邦外国間ヲ旅行シ又ハ外国ヲ旅行スルトキハ本令ニ依リ旅費ヲ支給ス但シ南満洲ノ旅費ニ関シテハ別ニ之ヲ定ム
勅令ノ定ムル所ニ依リ賜暇帰朝ヲ許サレタル者任地本邦間ヲ旅行スルトキハ公務ニ依リ旅行スルモノト看做ス
第二条 旅費ハ鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料、食卓料、支度料、移転料、著後手当及家族移転料ノ十種トス
第三条 旅費ハ順路ニ依リ之ヲ計算ス但シ公務ノ都合ニ依リ順路ニ依リテ旅行シ難キ場合ニ於テハ其ノ現ニ経過シタル通路ニ依ル
第四条 年度又ハ日ニ依リテ旅費ヲ区分計算スルノ必要アル場合ニ於テ其ノ区分判明ナラサルトキハ最近ノ到達地ニ著シタル日ヲ以テ其ノ旅程ヲ区別シ計算ス
第五条 所管大臣ハ旅費ノ定額ヲ減シ又ハ旅費ノ全部若ハ一部ヲ支給セサルコトヲ得
第六条 本邦外国間ヲ旅行スル為本邦又ハ南洋群島関東州南満洲内ヲ通過スルトキハ其ノ地域ニ於ケル旅行ニ付定メラレタル旅費ヲ支給ス但シ南満洲以外ノ外国直通ノ汽車又ハ南満洲以外ノ外国航路ノ船舶ニ依リ本邦ヲ出発シ又ハ本邦ニ帰著シタルトキハ当該鉄道賃、船賃及乗船港出発ノ日ヨリ又ハ帰著港ニ上陸ノ日迄ノ日当ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第七条 一日中旅費ノ定額ヲ異ニスル場合ニ於テハ多キニ従ヒ之ヲ支給ス
第八条 新ニ任用スル為召喚セラレタル者ニハ官吏ノ赴任、転勤又ハ帰朝ノ例ニ準シ新官相当ノ旅費ヲ支給ス
第九条 私事ノ為在勤地又ハ出張地以外ニ滞在スル者滞在地ヨリ直ニ旅行スル場合ニ於テハ滞在地ヨリ目的地ニ至ル旅費額カ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費額ヨリ多キトキハ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費ヲ支給ス
第十条 特別ノ事情ニ因リ本令ニ依リ難キ場合ノ旅費ニ関シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
特殊ノ要務ニ従事スル為外国ニ出張ヲ命セラレタル者ニハ所管大臣大蔵大臣ト協議シ旅費ヲ支給セス旅行手当ヲ支給スルコトヲ得
第十一条 雇員傭人其ノ他本令ニ規定ナキ者ノ旅費ニ関シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シ本令ニ準シテ之ヲ定ム
第十二条 旅費ノ支給ヲ受クル者ニ対シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ定メタルモノヲ除クノ外別ニ手当ヲ支給スルコトヲ得ス
第十三条 本令中所管大臣ノ職務ハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、関東州ニ在リテハ関東長官、樺太ニ在リテハ樺太庁長官之ヲ行フ但シ大蔵大臣ト協議ヲ要スル事項ニ関シテハ所管大臣ヲ経由スヘシ
第二章 鉄道賃、船賃及車馬賃
第十四条 鉄道旅行ニハ鉄道賃、水路旅行ニハ船賃、其ノ他ノ旅行ニハ車馬賃ヲ支給ス
第十五条 鉄道賃及船賃ハ大蔵大臣ノ定ムル所ニ従ヒ実際ノ料金ニ依リ、車馬賃ハ実費ニ依リ之ヲ支給ス
第十六条 鉄道旅行又ハ水路旅行ノ場合ニ於テ別ニ急行料金又ハ寝台料金ヲ要シタルトキハ之ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ寝台料金ノ支給ヲ受クル場合ニ於ケル宿泊料ハ勅任官以上ニ在リテハ定額ノ十分ノ六、奏任官以下ニ在リテハ定額ノ十分ノ七トス
第十七条 出張ヲ命セラレタル者ノ旅行中携帯スル私属ノ荷物ハ百五十「キログラム」迄ヲ限リ其ノ運賃ヲ支給スルコトヲ得
第十八条 官用ノ船、車、馬等ニ依リテ旅行スルトキハ鉄道賃、船賃又ハ車馬賃ハ之ヲ支給セス
第三章 日当、宿泊料及食卓料
第十九条 日当、宿泊料及食卓料ハ別表ニ掲クル所ニ従ヒ定額ニ依リ之ヲ支給ス
第二十条 日当ハ日数ニ応シ宿泊料ハ夜数ニ応シテ之ヲ支給ス
水路旅行ニハ宿泊料ヲ支給セス但シ天災其ノ他已ムヲ得サル事故ノ為上陸宿泊ヲ要シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
食卓料ハ船賃ノ外別ニ食料ヲ要スル場合又ハ船賃ヲ要セサルモ食料ヲ要スル場合ニ於テ夜数ニ応シテ之ヲ支給ス
第二十一条 陸路二十哩未満、鉄道六十哩未満、水路四十海里未満ノ旅行ニ在リテハ公務ノ都合ニ依リ宿泊シタル場合ヲ除クノ外支給スヘキ日当ハ定額ノ半額トス
一旅行ニシテ陸路、鉄道又ハ水路ニ亘ルトキハ鉄道ハ三哩、水路ハ二海里ヲ以テ陸路一哩ト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十二条 日当及宿泊料ハ同一地ニ滞在三十日ヲ超ユルトキハ其ノ超過日数ニ付定額ノ二割、六十日ヲ超ユルトキハ其ノ超過日数ニ付定額ノ三割ヲ減ス
同一地ニ滞在中一時他ノ地ニ旅行シタル場合ニ於テハ前項ノ期間ハ前後ノ日数ヲ通算シテ之ヲ定ム
第四章 支度料、移転料、著後手当及家族移転料
第二十三条 支度料ハ外国ニ赴任又ハ出張ヲ命セラレタル者ニ別表ニ依リ之ヲ支給ス
南洋群島関東州南満洲又ハ外国ニ赴任又ハ出張ヲ命セラレ支度料ノ支給ヲ受ケタル者其ノ赴任又ハ出張ヲ命セラレタル日ヨリ一年内ニ再ヒ外国ニ赴任又ハ出張ヲ命セラレタルトキ支給スル支度料ハ定額ノ二分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス但シ其ノ金額前ニ受ケタル金額ト合シテ定額ノ十五割ニ満タサルトキハ定額ヲ超エサル範囲内ニ於テ通シテ十五割迄ヲ支給スルコトヲ妨ケス
外国ニ在勤又ハ出張中ノ者他ノ地ニ転勤又ハ出張ヲ命セラレタル場合ニ於テハ前ニ受ケタル支度料ノ額新ニ転勤又ハ出張ヲ命セラレタル地方ニ付定メラレタル支度料ノ定額ニ達セサルトキニ限リ其ノ差額ノ範囲内ニ於テ支度料ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ規定ハ南洋群島関東州南満洲ニ在勤中又ハ出張中ノ者南満洲以外ノ外国ニ転勤又ハ出張ヲ命セラレタル場合ニ之ヲ準用ス
支度料定額ノ少額ナル地方ニ滞在中新ニ任用セラレタル者其ノ多額ナル地方ニ赴任、転勤又ハ出張ヲ命セラレタル場合ニ於テハ滞在中ノ地方ニ付定メラレタル支度料ト赴任、転勤又ハ出張ヲ命セラレタル地方ニ付定メラレタル支度料トノ差額ノ範囲内ニ於テ支度料ヲ支給ス
第二十四条 移転料及著後手当ハ左ニ掲クル者ニ之ヲ支給ス
一 外国ニ赴任ヲ命セラレタル者
二 外国ニ在勤中転勤ヲ命セラレ又ハ本邦勤務ノ為帰朝ヲ命セラレタル者
三 賜暇帰朝ヲ許サレタル者及賜暇帰朝中帰任スル者
第二十五条 外国ニ滞在中外国在勤ヲ命セラレ又ハ新ニ任用セラレタル者ニハ移転料及著後手当ヲ支給スルコトヲ得
第二十六条 移転料ハ別表ニ依ル
著後手当ハ目的地ニ於ケル旅行ニ付定メラレタル日当五日分及宿泊料五夜分ニ相当スル額トス
第二十七条 家族移転料ハ左ノ場合ニ之ヲ支給ス
一 第二十四条又ハ第二十五条ニ掲クル者許可ヲ受ケ妻子ヲ随伴スルトキ
二 外国ニ在勤中公務ノ為帰朝ヲ命セラレタル者又ハ公務帰朝中帰任スル者許可ヲ受ケ妻子ヲ随伴スルトキ
三 外国ニ在勤中又ハ帰朝後許可ヲ受ケ妻子ヲ呼寄セ又ハ帰朝セシムルトキ但シ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外同一任地ニ付往返各一回限リトス
第二十八条 家族移転料ハ妻ニ付テハ本人相当ノ鉄道賃、船賃、車馬賃及食卓料ノ全額並日当、宿泊料、支度料、著後手当ノ半額トシ子ニ付テハ十二歳以上ノ者ニ在リテハ本人相当ノ鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料、食卓料及著後手当ノ半額トシ十二歳未満ノ者ニ在リテハ更ニ其ノ半額トス
第二十九条 外国ニ赴任若ハ出張ヲ命セラレタル者、外国ニ在勤中転勤若ハ帰朝ヲ命セラレタル者又ハ外国ニ滞在中外国在勤ヲ命セラレ若ハ新ニ任用セラレタル者其ノ出発前死亡シ又ハ命令ヲ取消サレ其ノ他旅行ノ必要ナキニ至リタルトキハ支度料及移転料ノ全額以内ヲ支給スルコトヲ得
随伴シ又ハ呼寄スルコトヲ許サレタル妻其ノ出発前死亡シ又ハ許可ヲ取消サレ其ノ他旅行ノ必要ナキニ至リタルトキハ本人ニ支給スヘキ支度料ノ半額以内ヲ支給スルコトヲ得
第五章 退官退職者旅費及死亡手当
第三十条 外国在勤中又ハ任所往返中ノ者廃官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ転役ト為リタルトキハ其ノ命令又ハ通知到達ノ日迄日当及宿泊料ヲ支給ス
第三十一条 前条ニ掲クル外国在勤中ノ者命令又ハ通知到達ノ日ヨリ三月内ニ旧任地ヲ出発シ相当ノ期間内ニ本邦ニ帰著スルトキハ其ノ出発ノ日迄ノ滞在日数三十日ヲ限リ日当及宿泊料ヲ支給スルノ外賜暇ニ依ル帰朝ノ例ニ準シ其ノ地ヨリ本邦迄ノ旅費ヲ支給ス但シ著後手当ハ之ヲ支給セス
第三十二条 外国在勤中ノ者他ノ地ニ出張中又ハ公務若ハ賜暇ニ依ル帰朝中廃官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ転役ト為リ其ノ命令又ハ通知到達ノ日ヨリ一月内ニ出発シ相当ノ期間内ニ旧任地ニ帰著スルトキハ其ノ出発ノ日迄ノ滞在日数十五日ヲ限リ日当及宿泊料ヲ支給スルノ外其ノ地ヨリ旧任地迄ノ旅費ヲ支給ス
前項ノ場合ニ於テ旧任地ニ於ケル滞在中ノ日当及宿泊料ヲ支給スル日数ハ前条ノ規定ニ依リ日当及宿泊料ヲ支給スル滞在日数ト通シテ四十日以内トス
第一項ニ掲クル者其ノ出張地ヨリ直ニ帰朝スルトキハ前条ノ規定ニ準シ其ノ地ヨリ本邦迄ノ旅費ヲ支給ス
前三項ノ規定ハ公務又ハ賜暇ニ依リ任所往返中廃官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ転役ト為リタル者ニ之ヲ準用ス
第三十三条 天災其ノ他已ムヲ得サル事由ニ因リ又ハ事務引継残務整理等ノ為前二条ニ規定スル期間内ニ出発スルコト能ハサルトキハ所管大臣ハ事情ヲ斟酌シ其ノ期間ヲ延長スルコトヲ得
第三十四条 在勤俸ヲ受クル期間ニ対シテハ第三十条乃至第三十二条ノ規定ニ依リ支給スル滞在中ノ日当及宿泊料ハ之ヲ支給セス但シ在勤地以外ノ地ニ於ケル出張中又ハ公務帰朝中ノ日数ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第五十五条 第三十条、第三十一条及第三十三条ノ規定ハ外国出張中ノ者廃官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ転役ト為リタル場合ニ之ヲ準用ス
第三十六条 外国在勤中、任所往返中又ハ出張中ノ者在勤地ニ於テ又ハ旅行中死亡シタルトキハ外国在勤者又ハ任所往返中ノ者ニ在リテハ其ノ任地ニ付定メラレタル額ニ依リ、外国出張中ノ者ニ在リテハ其ノ出張地ニ付定メラレタル額ニ依リ別表ニ従ヒ死亡手当ヲ其ノ遺族ニ支給ス但シ出張地数地方ニ亘ルトキハ最近ノ出発地又ハ到達地ニ付定メラレタル額ニ依リ多キニ従ヒ之ヲ支給ス
妻夫ノ任地ニ於テ又ハ許可ヲ受ケテ其ノ任所往返中死亡シタルトキハ本人ニ対スル死亡手当ノ半額以内ノ金額ヲ死亡手当トシテ支給スルコトヲ得
第三十七条 第三十一条、第三十二条及前条ノ場合ニ於テハ其ノ妻子ニ付第二十八条ノ規定ニ準シ其ノ地ヨリ本邦迄ノ旅費ヲ支給ス
第三十八条 第三十一条乃至第三十三条、第三十五条及前条ノ規定ハ刑事裁判若ハ懲戒処分ニ依リ失官シ若ハ免官セラレ又ハ自己ノ便宜ニ依リ退官若ハ退職シタル者及其ノ妻子ニ付テハ之ヲ適用セス
第六章 雑則
第三十九条 入国税若ハ出国税ヲ支払ヒ又ハ旅行券ニ外国官公署ノ査証ヲ求ムル為手数料ヲ支払ヒタルトキハ其ノ実費ヲ支給スルコトヲ得
第四十条 特別ノ危険アル場合ニ於テ旅行中ニ於ケル身体ノ傷害又ハ荷物ノ損害ニ付保険ニ付シタルトキハ大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ保険料ノ全部又ハ一部ニ相当スル金額ヲ支給スルコトヲ得
第四十一条 許可ヲ受ケ従者ヲ伴ヒ旅行スルトキハ親任官ニ在リテハ二人、勅任官ニ在リテハ一人、奏任官以下ニ在リテハ出張ノ場合ヲ除クノ外六歳未満ノ子ヲ同伴スルトキ一人ヲ限リ傭人相当ノ鉄道賃、船賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
外国在勤中若ハ帰朝後妻ヲ呼寄セ若ハ帰朝セシムル場合又ハ外国在勤中若ハ任所往返中死亡シタル者ノ妻帰朝スル場合ニ於テ許可ヲ受ケ従者ヲ伴ヒ旅行スルトキハ親任官ノ妻ニ在リテハ二人、勅任官又ハ奏任官ノ妻ニ在リテハ一人、判任官ノ妻ニ在リテハ六歳未満ノ子ヲ同伴スルトキ一人ヲ限リ前項ノ規定ニ準シ支給スルコトヲ得
第三十一条、第三十二条、第三十五条又ハ第三十六条ノ場合ニ於テ許可ヲ受ケ伴ヒタル従者アルトキハ前二項ノ規定ニ準シ旅費ヲ支給スルコトヲ得但シ此ノ場合ニ於テハ第三十八条ノ規定ヲ準用ス
第四十二条 事務引継残務整理等ノ為廃官、退官、退職、休職、非職、停職、待命又ハ転役ト為リタル者ニ旅行又ハ滞在ヲ命シタルトキハ旅費ヲ支給ス
第三十四条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十三条 第二十九条乃至第三十五条及前条ノ規定ニ依リ支給スル旅費ハ前官又ハ本官相当ノ旅費額ニ依ル
第四十四条 本令ニ依リ旅費ノ支給ヲ受クヘキ者旅行ノ必要ナキニ至リタル場合ニ於テ未タ旅行ヲ為ササル区間ノ鉄道賃、船賃、急行料金、寝台料金又ハ車馬賃ノ支払ヲ要スルトキハ之ヲ支給スルコトヲ得
第四十五条 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外旅費ノ支給ニ関シ必要ナル規程ハ大蔵大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ本令中支度料、移転料、著後手当、妻ニ対スル支度料及著後手当ニ相当スル家族移転料又ハ死亡手当ニ関スル規定ハ在外公館費用条例ノ適用又ハ準用ヲ受クル者ニハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ適用ス
左ノ勅令ハ之ヲ廃止ス
明治三十年勅令第四百四十三号
逓信省部内官吏外国在勤者妻携帯旅費給与規則
大正四年勅令第百九十六号
大正七年勅令第三百八十七号
大正八年勅令第二十号
大正八年勅令第百二十九号
大正八年勅令第百七十一号
本令施行ノ際従前ノ規定ニ定額ノ定アル区間ヲ旅行中ノ者ニ支給スル鉄道賃又ハ船賃ハ其ノ区間ニ限リ仍従前ノ例ニ依ル
本令施行前ヨリ引続キ同一地ニ滞在スル者ニ対スル第二十二条ノ規定ノ適用ニ関シテハ前後ノ日数ヲ通算シテ之ヲ定ム
本令施行前外国ニ赴任ヲ命セラレタル者、外国在勤中転勤ヲ命セラレ若ハ本邦勤務ノ為帰朝ヲ命セラレタル者、賜暇帰朝ヲ許サレタル者又ハ賜暇帰朝中帰任スル者本令施行後目的地ニ到著シタルトキハ本令ニ依リ移転料ヲ支給ス
本令施行前外国ニ滞在中外国在勤ヲ命セラレ又ハ新ニ任用セラレタル者本令施行後目的地ニ到著シタルトキハ本令ニ依リ移転料ヲ支給スルコトヲ得
前二項ニ掲クル者妻子ヲ随伴シ、呼寄セ又ハ帰朝セシムル場合ニ於テ其ノ妻子本令施行後目的地ニ到著シタルトキハ本令ニ依リ家族移転料ヲ支給スルコトヲ得
(別表)
     区分
官階
日当
宿泊料
食卓料
支度料
移転料
死亡手当
甲地方
乙地方
丙地方
甲地方
乙地方
丙地方
甲額
乙額
甲地方
乙地方
丙地方
親任官
二十円
七十円
六十円
三十円
八円
千四百円以内
千円以内
六百円以内
四百円以内
七千五百円以内
五千円以内
勅任官
十五円
五十円
四十二円
二十二円
七円
九百円以内
七百円以内
四百五十円以内
三百円以内
四千五百円以内
三千円以内
奏任官
五等以上
十円
三十二円
二十四円
十七円
五円
七百円以内
五百五十円以内
三百円以内
二百円以内
二千五百円以内
千七百円以内
六等以下
八円
三十円
二十二円
十六円
五円
七百円以内
五百五十円以内
三百円以内
二百円以内
二千円以内
千三百円以内
判任官
六円
二十四円
十八円
十三円
四円
五百円以内
三百円以内
二百円以内
百五十円以内
千五百円以内
千円以内
備考
一 甲地方トハ南北亜米利加、乙地方トハ欧羅巴亜弗利加太洋洲並支那及西比利亜以外ノ亜細亜、丙地方トハ支那及西比利亜ヲ謂フ
二 移転料ノ甲額ハ甲乙地方ト本邦又ハ丙地方トノ間並甲乙地方間及甲乙各地方内ノ移転ニ付之ヲ支給シ移転料ノ乙額ハ本邦丙地方間及丙地方内ノ移転ニ付之ヲ支給ス