海軍大学校令
法令番号: 勅令第三百十七號
公布年月日: 大正7年8月15日
法令の形式: 勅令
朕海軍大學校條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年八月十四日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
海軍大臣 加藤友三郞
勅令第三百十七號
海軍大學校令
第一條 海軍大學校ハ海軍將校機關將校及將校相當官ニ高等ノ學術ヲ敎授スル所トス
第二條 海軍大學校ノ敎育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第三條 海軍大學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
敎頭
敎官
主計長
第四條 校長ハ海軍敎育本部長ニ隸シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ總理ス
第五條 校長ハ部下ノ職員缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第六條 校長缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ將校席次ノ順序ニ從ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第八條 敎頭ハ校長ヲ佐ケ敎務ヲ監理シ紀律ヲ維持ス
第九條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ各學科ノ敎授ヲ擔任ス
第十條 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ會計及給與ニ關スルコトヲ掌ル
第十一條 海軍大學校ニハ第三條ノ職員ノ外判任文官ヲ置キ上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十二條 海軍大學校ニ於テ修習スル海軍將校機關將校及將校相當官ヲ海軍大學校學生ト稱ス
第十三條 海軍大學校學生ハ之ヲ左ノ四種ニ區別ス
一 甲種學生
二 航海學生
三 機關學生
四 選科學生
第十四條 甲種學生ハ海軍少佐又ハ大尉ニシテ左ノ各號ニ該當スル者ニ就キ樞要職員又ハ高級指揮官ノ素養ニ必要ナル高等ノ兵學其ノ他ノ學術ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
一 身體强健實務ノ成績優等ニシテ高等ノ兵學ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル者
二 入學試驗ニ合格シタル者
第十五條 航海學生ハ身體强健實務ノ成績優等ニシテ高等ノ航海術ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル海軍大尉又ハ中尉ニ就キ航海長ノ素養ニ必要ナル學術技能ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
第十六條 機關學生ハ海軍機關大尉又ハ機關中尉ニシテ左ノ各號ニ該當スル者ニ就キ要職ニ充ツルニ適スル素養ニ必要ナル高等ノ機關術其ノ他ノ學術ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
一 身體强健實務ノ成績優等ニシテ高等ノ機關術ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル者
二 入學試驗ニ合格シタル者
第十七條 選科學生ハ海軍將校機關將校又ハ將校相當官ニシテ專門ノ學科ヲ硏究スルコトヲ志願シ且實務ノ成績優等ニシテ之ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル者ニ就キ其ノ學科ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
海軍大臣必要ト認ムルトキハ海軍將校機關將校又ハ將校相當官ニ其ノ專修スヘキ學科ヲ指定シテ選科學生ヲ命スルコトヲ得
第十八條 入學試驗ノ規程ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第十九條 海軍大學校學生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十條 甲種學生、航海學生又ハ機關學生其ノ敎程ヲ修了シタルトキハ之ニ修業證書ヲ授與ス
第二十一條 甲種學生ニ修業證書ヲ授與スルトキハ其ノ修業ヲ表彰スヘキ徽章ヲ併與ス
第二十二條 校長ハ海軍敎育本部長ノ認可ヲ受ケ實地硏究ノ爲學生ヲ軍艦、海軍諸學校、水路部又ハ海軍事業廳ニ派遣シ修業セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル學生ハ其ノ硏究ニ關シ當該艦長又ハ廳長ノ指揮ヲ受ク
第二十三條 校長ハ海軍敎育本部長ノ認可ヲ受ケ選科學生ヲ海軍部外ノ學校ニ委託シ修業セシムルコトヲ得
第二十四條 校長ハ學生中不適當ト認ムル者アルトキハ之ヲ海軍敎育本部長ニ禀申シ海軍敎育本部長其ノ禀申ヲ至當ト認ムルトキハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ海軍大臣ハ其ノ學生ヲ免スルコトヲ得
第二十五條 海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ學生ヲ免スルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ學生ヲ免セラレタル者ニ對シ第十四條乃至第十六條ノ規定ニ拘ラス再ヒ學生ヲ命スルコトヲ得
第二十六條 海軍大臣ハ海軍大學校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍將校又ハ機關將校ヲシテ必要ナル學術ノ講習ヲ受ケシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍大學校ニ在學スル航海術專修學生ハ之ヲ航海學生、機關術專修學生ハ之ヲ選科學生ト看做ス
朕海軍大学校条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年八月十四日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
海軍大臣 加藤友三郎
勅令第三百十七号
海軍大学校令
第一条 海軍大学校ハ海軍将校機関将校及将校相当官ニ高等ノ学術ヲ教授スル所トス
第二条 海軍大学校ノ教育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍教育本部長之ヲ定ム
第三条 海軍大学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
教頭
教官
主計長
第四条 校長ハ海軍教育本部長ニ隷シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ総理ス
第五条 校長ハ部下ノ職員欠員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第六条 校長欠員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ将校席次ノ順序ニ従ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第八条 教頭ハ校長ヲ佐ケ教務ヲ監理シ紀律ヲ維持ス
第九条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ各学科ノ教授ヲ担任ス
第十条 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ会計及給与ニ関スルコトヲ掌ル
第十一条 海軍大学校ニハ第三条ノ職員ノ外判任文官ヲ置キ上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十二条 海軍大学校ニ於テ修習スル海軍将校機関将校及将校相当官ヲ海軍大学校学生ト称ス
第十三条 海軍大学校学生ハ之ヲ左ノ四種ニ区別ス
一 甲種学生
二 航海学生
三 機関学生
四 選科学生
第十四条 甲種学生ハ海軍少佐又ハ大尉ニシテ左ノ各号ニ該当スル者ニ就キ枢要職員又ハ高級指揮官ノ素養ニ必要ナル高等ノ兵学其ノ他ノ学術ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
一 身体強健実務ノ成績優等ニシテ高等ノ兵学ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル者
二 入学試験ニ合格シタル者
第十五条 航海学生ハ身体強健実務ノ成績優等ニシテ高等ノ航海術ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル海軍大尉又ハ中尉ニ就キ航海長ノ素養ニ必要ナル学術技能ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
第十六条 機関学生ハ海軍機関大尉又ハ機関中尉ニシテ左ノ各号ニ該当スル者ニ就キ要職ニ充ツルニ適スル素養ニ必要ナル高等ノ機関術其ノ他ノ学術ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
一 身体強健実務ノ成績優等ニシテ高等ノ機関術ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル者
二 入学試験ニ合格シタル者
第十七条 選科学生ハ海軍将校機関将校又ハ将校相当官ニシテ専門ノ学科ヲ研究スルコトヲ志願シ且実務ノ成績優等ニシテ之ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル者ニ就キ其ノ学科ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
海軍大臣必要ト認ムルトキハ海軍将校機関将校又ハ将校相当官ニ其ノ専修スヘキ学科ヲ指定シテ選科学生ヲ命スルコトヲ得
第十八条 入学試験ノ規程ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍教育本部長之ヲ定ム
第十九条 海軍大学校学生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十条 甲種学生、航海学生又ハ機関学生其ノ教程ヲ修了シタルトキハ之ニ修業証書ヲ授与ス
第二十一条 甲種学生ニ修業証書ヲ授与スルトキハ其ノ修業ヲ表彰スヘキ徽章ヲ併与ス
第二十二条 校長ハ海軍教育本部長ノ認可ヲ受ケ実地研究ノ為学生ヲ軍艦、海軍諸学校、水路部又ハ海軍事業庁ニ派遣シ修業セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル学生ハ其ノ研究ニ関シ当該艦長又ハ庁長ノ指揮ヲ受ク
第二十三条 校長ハ海軍教育本部長ノ認可ヲ受ケ選科学生ヲ海軍部外ノ学校ニ委託シ修業セシムルコトヲ得
第二十四条 校長ハ学生中不適当ト認ムル者アルトキハ之ヲ海軍教育本部長ニ禀申シ海軍教育本部長其ノ禀申ヲ至当ト認ムルトキハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ海軍大臣ハ其ノ学生ヲ免スルコトヲ得
第二十五条 海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ学生ヲ免スルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ学生ヲ免セラレタル者ニ対シ第十四条乃至第十六条ノ規定ニ拘ラス再ヒ学生ヲ命スルコトヲ得
第二十六条 海軍大臣ハ海軍大学校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍将校又ハ機関将校ヲシテ必要ナル学術ノ講習ヲ受ケシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍大学校ニ在学スル航海術専修学生ハ之ヲ航海学生、機関術専修学生ハ之ヲ選科学生ト看做ス