第一條 防禦營造物地帶ハ陸地ト水面トヲ問ハス防禦營造物ヲ基㸃トシ其ノ外方地域ヲ左記標準ニ依リ三區ニ分ツ
前項ノ規定ハ防禦營造物ヲ設クルコトニ豫定シタル箇所ニ付亦之ヲ適用ス
第二條 防禦營造物地帶ハ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ關東都督其ノ區域ヲ定メ之ヲ吿示ス其ノ變更ノ場合亦同シ
第三條 防禦營造物ニ出入セムトスル者ハ其ノ所屬ニ從ヒ要塞司令官又ハ旅順鎭守府司令長官ノ許可ヲ受クヘシ
第四條 防禦營造物地帶ニ於ケル水陸ノ形狀又ハ防禦營造物ハ要塞司令官ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ヲ測量、撮影、模寫、模造又ハ錄取スルコトヲ得ス
第五條 防禦營造物地帶第一區及第二區ニ於テハ要塞司令官ノ許可ヲ受クルニ非サレハ左記各號ノ行爲ヲ爲スコトヲ得ス
二 溝渠、鹽田、水道、道路、橋梁、繫泊場ノ新設又ハ其ノ變更
五 運河、永久棧橋ノ新設、水面ノ埋立、河海岸ノ堀鑿又ハ其ノ變更
前項ニ關スル處分ニ付テハ要塞司令官ハ關東都督ノ認可ヲ受クヘシ
第六條 防禦營造物地帶第一區ニ於テハ要塞司令官ノ許可ヲ受クルニ非サレハ左記各號ノ行爲ヲ爲スコトヲ得ス
第七條 要塞司令官ハ防禦營造物地帶ニ於テ兵備ノ狀況其ノ他地形等ノ視察ヲ爲ス者ト認メタルトキハ之ヲ地帶外ニ退去セシムルコトヲ得
第八條 要塞司令官ハ防禦營造物地帶ニ於ケル水陸ノ形狀又ハ防禦營造物ニ關スル文書、圖畫、模型ノ類ニシテ軍事上有害ナリト認ムルモノヲ發見シタルトキハ之ヲ沒入スルコトヲ得
第九條 要塞司令官ハ第五條及第六條ノ違反者ニ對シ期限ヲ定メテ其ノ復舊ヲ命スルコトヲ得義務者指定ノ期限迄ニ復舊セサルトキ又ハ復舊ヲ終了シ能ハスト認メタルトキハ要塞司令官ニ於テ之ヲ執行シ國稅徵收ノ例ニ依リ其ノ費用ヲ義務者ヨリ徵收スルコトヲ得
前項ニ依リ第五條ノ違反者ニ對シ復舊ヲ命スル場合ニ於テハ關東都督ノ認可ヲ受クヘシ
第十條 關東都督ハ一定ノ區域ヲ限リ第四條乃至第六條ノ禁止ノ一部又ハ全部ヲ解除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ解除ノ事項及其ノ區域ヲ吿示ス其ノ變更又ハ取消ヲ爲シタルトキ亦同シ
第十一條 防禦營造物地帶ニシテ專ラ海軍ニ關スルモノニ付テハ本令ニ定メタル關東都督及要塞司令官ノ職權ハ旅順鎭守府司令長官之ヲ行ヒ陸軍大臣ノ職權ハ海軍大臣之ヲ行フ
防禦營造物地帶ニシテ海軍ニ關係アルモノニ付テハ第七條及第八條ニ定メタル要塞司令官ノ職權ハ旅順鎭守府司令長官ニ於テモ之ヲ行フコトヲ得
第十二條 第二條、第五條、第六條、第九條及第十條ノ場合ニ於テ其ノ海軍ノ防禦營造物地帶ニ關聯スルモノニ在リテハ陸軍官憲ハ之ヲ海軍官憲ニ協議スヘシ
第十三條 要塞司令官及旅順鎭守府司令長官ハ防禦營造物ノ地帶ヲ畫スル爲其ノ他必要アル場合ニ於テ部下官僚ヲシテ防禦營造物地帶及其ノ附近ノ地ニ出入セシムルコトヲ得
第十四條 官廳ニ於テ第三條乃至第六條ニ定メタル行爲ヲ爲サムトスル場合ニ於テハ豫メ陸海軍官憲ニ協議スヘシ
第十五條 左記各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ重禁錮又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 防禦營造物地帶ニ關スル標木、標石又ハ標札ノ類ヲ移轉シ又ハ毀損シタル者
第十六條 本令ノ施行ニ關シ必要ナル細則ハ關東都督旅順鎭守府司令長官ト協議シテ之ヲ定ム