第一條 相續開始シタルトキハ開始地カ帝國內ニ在ルト否トヲ問ハス又被相續人若ハ相續人カ帝國臣民タルト否トヲ問ハス本法施行地ニ在ル相續財產ニハ本法ニ依リ相續稅ヲ課ス
第二條 被相續人カ本法施行地ニ住所ヲ有スルトキハ左ニ揭クル財產ヲ以テ本法施行地ニ在ル相續財產トス
被相續人カ本法施行地ニ住所ヲ有セサルトキハ前項第一號及第二號ノ財產ヲ以テ本法施行地ニ在ル相續財產トス
相續開始前一年內ニ本法施行地內ヨリ本法施行地外ニ轉シタルモノノ住所又ハ船籍ハ本法施行地內ニ在ルモノト看做ス
第三條 被相續人カ本法施行地ニ住所ヲ有スルトキハ相續開始ノ際本法施行地ニ在ル相續財產ノ價額ニ相續開始前一年內ニ被相續人カ本法施行地ニ在ル財產ニ付爲シタル贈與ノ價額ヲ加ヘ其ノ中ヨリ左ノ金額ヲ控除シタルモノヲ以テ課稅價格トス
被相續人カ本法施行地ニ住所ヲ有セサルトキハ相續開始ノ際本法施行地ニ在ル相續財產ノ價額ニ相續開始前一年內ニ被相續人カ本法施行地ニ在ル財產ニ付爲シタル贈與ノ價額ヲ加ヘタルモノヨリ左ノ金額ヲ控除シタルモノヲ以テ課稅價格トス
二 其ノ財產ヲ目的トスル留置權、特別ノ先取特權、質權又ハ抵當權ヲ以テ擔保セラルル債務
公共團體又ハ慈善事業ニ對シ爲シタル贈與及遺贈ハ課稅價格ニ算入セス
船舶、地上權、永小作權及定期金ニ付テハ政府ハ左ノ方法ニ依リ其ノ價格ヲ評定ス
一 船舶ニ付テハ其ノ製造費中ヨリ製造後ノ年數ニ應シ一年ニ付其ノ二十五分ノ一宛ヲ控除シタルモノヲ以テ其ノ價額トス但シ製造後二十年ヲ經過シタルモノハ製造費ノ五分ノ一ヲ以テ其ノ價額トス
一年ニ滿タサル端數ハ之ヲ一年トシテ計算ス
二 地上權ニ付テハ左ノ金額ヲ以テ其ノ價額トス
殘存期間十年以下ナルモノ 地上權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 二倍
殘存期間三十年以下ナルモノ 地上權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 三倍
殘存期間五十年以下ナルモノ又ハ存續期間ノ定ナキモノ 地上權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 五倍
殘存期間百年以下ナルモノ 地上權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 七倍
殘存期間百年ヨリ長キモノ 地上權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 十二倍
三 永小作權ニ付テハ左ノ金額ヲ以テ其ノ價額トス
殘存期間十年以下ナルモノ 永小作權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 二倍
殘存期間三十年以下ナルモノ又ハ存續期間ノ定メナキモノ 永小作權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 三倍
殘存期間五十年以下ナルモノ 永小作權ノ目的タル土地ノ賃貸價格 五倍
四 有期定期金ハ其ノ殘存期間ニ於ケル總金額ヲ以テ其ノ價額トス但シ一年ノ定期金ノ二十倍ヲ超ユルコトヲ得ス
五 無期定期金ハ其ノ一年ノ定期金ノ二十倍ヲ以テ其ノ價額トス
六 終身定期金ハ目的トセラレタル人ノ年齡ニ依リ左ノ期間ニ於ケル定期金ノ總額ヲ以テ其ノ價額トス
前項ニ於テ土地ノ賃貸價格ト稱スルハ貸主カ公課、修繕費、保險料其ノ他土地ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得スヘキ金額ヲ謂フ
第五條 條件附權利、存續期間ノ不確定ナル權利又ハ訴訟中ノ權利ニ付テハ政府ノ認ムル所ニ依リ其ノ價格ヲ評定ス
第三條ニ依リ控除スヘキ債務金額ハ政府カ確實ト認メタルモノニ限ル
第六條 課稅價格カ家督相續ニ在リテハ千圓、遺產相續ニ在リテハ五百圓ニ滿タサルトキハ相續稅ヲ課セス
第七條 軍人、軍屬ノ戰死又ハ戰爭ノ爲受ケタル傷痍疾病ニ起因シタル死亡ニ因リ相續開始シタルトキハ相續稅ヲ課セス但シ傷痍者又ハ疾病者ニシテ負傷又ハ發病後一年ヲ經過シ死亡シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第八條 相續稅ハ課稅價格ヲ左ノ各級ニ區分シ其ノ各區分ニ對シ相續人ノ種類ニ從ヒ遞次ニ各稅率ヲ適用シテ之ヲ課ス
家督相續
課稅價格 |
稅率 |
相續人カ被相續人ノ家族タル直系卑屬ナルトキ |
相續人カ被相續人ノ指定シタル者、民法第九百八十二條ニ依リ選定セラレタル者、被相續人ノ家族タル直系尊屬又ハ入夫ナルトキ |
相續人カ民法第九百八十五條ニ依リ選定セラレタル者ナルトキ |
五千圓以下ノ金額 |
千分ノ十二 |
千分ノ十五 |
千分ノ二十 |
五千圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ十五 |
千分ノ十七 |
千分ノ二十五 |
一萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ十七 |
千分ノ二十 |
千分ノ三十 |
二萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ二十 |
千分ノ二十五 |
千分ノ三十五 |
三萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ二十五 |
千分ノ三十 |
千分ノ四十 |
四萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ三十 |
千分ノ三十五 |
千分ノ四十五 |
五萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ三十五 |
千分ノ四十 |
千分ノ五十 |
七萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ四十 |
千分ノ四十五 |
千分ノ五十五 |
十萬圓ヲ超ユル金額ハ其ノ五萬圓每ニ(百萬圓ニ至テ止ム) |
千分ノ五ヲ加フ |
千分ノ五ヲ加フ |
千分ノ五ヲ加フ |
遺產相續
課稅價格 |
稅率 |
相續人カ直系卑屬ナルトキ |
相續人カ配偶者又ハ直系尊屬ナルトキ |
相續人カ其ノ他ノ者ナルトキ |
千圓以下ノ金額 |
千分ノ十五 |
千分ノ十七 |
千分ノ二十五 |
千圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ十七 |
千分ノ二十 |
千分ノ三十 |
五千圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ二十 |
千分ノ二十五 |
千分ノ三十五 |
一萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ二十五 |
千分ノ三十 |
千分ノ四十 |
二萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ三十 |
千分ノ三十五 |
千分ノ四十五 |
三萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ三十五 |
千分ノ四十 |
千分ノ五十 |
四萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ四十 |
千分ノ四十五 |
千分ノ五十五 |
五萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ四十五 |
千分ノ五十 |
千分ノ六十 |
七萬圓ヲ超ユル金額 |
千分ノ五十 |
千分ノ五十五 |
千分ノ六十五 |
十萬圓ヲ超ユル金額ハ其ノ五萬圓每ニ(百萬圓ニ至テ止ム) |
千分ノ五ヲ加フ |
千分ノ五ヲ加フ |
千分ノ五ヲ加フ |
外國ノ法律ニ依リ開始シタル相續ニ關シテハ遺產相續ニ關スル稅率ヲ準用ス
第九條 相續人ノ廢除若ハ其ノ取消ニ關スル裁判ノ確定前又ハ相續ノ承認若ハ抛棄前ト雖政府ハ必要ニ依リ其ノ推定家督相續人又ハ推定遺產相續人ニ對スル稅率ヲ適用シ相續稅ヲ課スルコトヲ得
相續人アルコト分明ナラサルトキハ稅率ノ最高キ相續人ニ對スル稅率ヲ適用シテ相續稅ヲ課ス
前二項ニ依リ課稅シタル後相續人確定シタルトキハ稅率ノ適用ヲ改訂シ稅金ノ差額ヲ追徵シ又ハ還付ス
第十條 相續稅ヲ課セラレタル後三年以內ニ於テ更ニ相續開始シタルトキハ前ノ相續額ニ對スル相續稅ニ相當スル相續稅ヲ免除ス
相續稅ヲ課セラレタル後五年以內ニ於テ更ニ相續開始シタルトキハ前ノ相續額ニ對スル相續稅ノ半額ニ相當スル相續稅ヲ免除ス
第十一條 相續人ハ相續開始ヲ知リタル日ヨリ遺言執行者又ハ相續財產管理人ハ就職ノ日ヨリ三箇月以內ニ相續財產ノ目錄及相續財產ノ價額中ヨリ控除セラルヘキ金額ノ明細書ヲ政府ニ提出スヘシ
相續カ帝國外ニ於テ開始シタルトキ又ハ前項ノ書類ヲ提出スヘキ者カ帝國內ニ住所ヲ有セサルトキハ前項ノ期間ハ六箇月トス
相續人確定シタルトキハ前二項ノ書類ヲ提出スルト同時ニ又ハ其ノ確定ノ日ヨリ一箇月以內ニ相續人ノ相續關係ヲ記載シタル書面ヲ政府ニ提出スヘシ
第十二條 戶籍吏左ノ事項ニ關スル屆書ヲ受理シタルトキハ之ヲ收稅官廳ニ報吿スヘシ
三 戶主カ婚姻又ハ養子緣組ノ取消ニ因リテ其ノ家ヲ去リタルコト
課稅價格ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人ニ通知スヘシ
第十四條 相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人前條ノ決定ニ對シ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ申立テ再審査ヲ求ムルコトヲ得
相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人帝國內ニ住所ヲ有セサルトキハ前項ノ期間ハ之ヲ三箇月トス
第十五條 前條ノ請求アリタルトキハ相續稅審査委員會ノ諮問ヲ經テ政府之ヲ決定ス
審査委員會ノ組織及會議ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條 課稅價格ノ決定ニ對シ不服アル者ハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第十七條 相續稅ハ一時ニ之ヲ納付スヘシ但シ稅金額百圓以上ナルトキハ相續稅ニ相當スル擔保ヲ提供シ三年以內ノ年賦延納ヲ求ムルコトヲ得
前項ニ依リテ年賦延納ヲ求メムトスル者ハ第十三條ノ通知ヲ受ケタル後二十日以內ニ政府ニ出願スヘシ
相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人帝國內ニ住所ヲ有セサルトキハ前項ノ期間ハ三箇月トス
第十八條 審査ヲ求メ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲シタル場合ト雖相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人ハ通知ヲ受ケタル金額ニ依リ稅金ヲ納付スヘシ
第十九條 相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人ハ相續稅ヲ納付シ又ハ其ノ延納ノ許可ヲ受ケタル後ニ非サレハ遺贈ノ辨濟ヲ爲スコトヲ得ス
第二十條 相續財產ヲ以テ相續稅ヲ完納スルコト能ハサルトキハ相續開始前一年內ニ被相續人ヨリ本法施行地ニ在ル財產ノ贈與ヲ受ケタル者ハ其ノ限度ニ於テ不足額ヲ納付スヘシ但シ相續稅ノ延納ヲ許可シタル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條 相續稅ノ審査ニ參與シタル者ハ其ノ審査ニ關スル事項ヲ他ニ漏洩スルコトヲ得ス
第二十二條 相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人期限內ニ第十一條ニ依ル書類ヲ提出セサルトキハ政府ハ期間ヲ定メテ催吿ヲ爲スコトヲ得
相續人二人以上ナル場合ニ於テハ政府ハ其ノ一人ニ對シテ前項ノ催吿ヲナスコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人其ノ期間內ニ書類ヲ提出セサルトキハ政府ノ認ムル所ニ依リ課稅價格ヲ決定シ催吿ニ關スル費用及稅金ノ十分ノ一ニ相當スル金額ヲ相續人、遺言執行者又ハ相續財產管理人ヨリ徵收スルコトヲ得
相續人二人以上ナル場合ニ於テハ各相續人ハ前項ノ徵收金ニ付連帶納付ノ責ニ任ス
第三項ノ金額ノ徵收ニ關シテハ國稅徵收法ノ規定ヲ準用ス
第二十三條 左ニ揭クル場合ニ於テ本法施行地ニ在ル不動產及船舶以外ノ財產ニ付爲シタル贈與ノ價額カ五百圓以上ナルトキハ遺產相續開始シタルモノト看做シ其ノ財產ノ價額ヲ課稅價格トシテ本法ニ依リ相續稅ヲ課ス
一 被相續人カ推定家督相續人又ハ推定遺產相續人ニ贈與ヲ爲シタルトキ
二 分家ヲ爲スニ際シ若ハ分家ヲ爲シタル後本家ノ戶主又ハ家族カ分家ノ戶主又ハ家族ニ贈與ヲ爲シタルトキ
第二十四條 第十一條ニ依リ提出シタル書類ニ虛僞ノ記載ヲ爲シタル者其ノ他不正ノ所爲ヲ以テ相續稅ノ逋脫ヲ圖リ又ハ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シ又ハ逋脫セムトシタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金ニ處ス但シ自首シタル者ハ其ノ稅金ヲ徵收シ其ノ罪ヲ問ハス
第二十五條 第二十一條ニ違反シタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條 府縣市町村其ノ他ノ公共團體ハ相續稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得ス