民事訴訟法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第100号
公布年月日: 昭和46年6月3日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

民事裁判手続の合理化を図るため、二点の改正を行う。第一に、簡易裁判所で成立した訴訟上の和解に関する請求異議の訴えについて、請求価額が30万円を超える場合は地方裁判所の管轄とする。第二に、裁判関係文書における署名押印について、決定書、命令書、調書、訴状等は記名押印または認印で足りることとする。これは、事件数の増加に伴う民事裁判手続の近代化、迅速化を目的とするものである。

参照した発言:
第65回国会 衆議院 法務委員会 第10号

審議経過

第65回国会

衆議院
(昭和46年3月10日)
参議院
(昭和46年3月11日)
衆議院
(昭和46年3月16日)
(昭和46年3月19日)
(昭和46年3月23日)
(昭和46年3月26日)
(昭和46年3月26日)
参議院
(昭和46年5月20日)
(昭和46年5月24日)
(昭和46年5月24日)
(昭和46年5月24日)
民事訴訟法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十六年六月三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百号
民事訴訟法等の一部を改正する法律
第一条 民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)の一部を次のように改正する。
第百四十三条各号列記以外の部分を次のように改める。
調書ニハ左ノ事項ヲ記載シ裁判所書記官之ニ署名捺印シ尚裁判長之ニ捺印スルコトヲ要ス但シ裁判所書記官ハ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得
第百四十三条に次の一項を加える。
裁判長支障アルトキハ陪席裁判官之ニ代リテ捺印シ且其ノ事由ヲ記載スルコトヲ要ス但シ裁判官皆支障アルトキハ裁判所書記官其ノ旨ヲ記載スルヲ以テ足ル
第百五十条第三項、第百五十一条第四項、第二百七条及び第二百四十四条に次のただし書を加える。
但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得
第二百五十条第一項中「準備手続ニ於テハ調書ヲ作リ」を「準備手続ノ調書ニハ」に改める。
第二百五十六条中「第百四十一条」を「第百四十八条」に改める。
第五百十七条第三項に次のただし書を加える。
但署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得
第五百四十条第一項中「作ル可シ」を「作リ之ニ署名捺印ス可シ但署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得」に改め、同条第二項第六号を削る。
第五百六十条ただし書中「第五百六十一条、」を「第五百六十条ノ二、第五百六十一条又ハ」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第五百六十条ノ二 簡易裁判所ニ於テ為シタル和解ニ関シテハ執行文付与ニ付テノ訴又ハ請求ニ関シ異議ヲ主張スル訴又ハ執行文付与ノ際証明シタリト認メタル事実ノ到来ニ係リ此ニ因リテ和解ノ執行ヲ為シ得ベキモノヲ争ヒ若クハ認メタル承継ヲ争フ訴ハ其和解ニ係ル請求ガ簡易裁判所ノ管轄ニ属セザルモノナルトキハ其簡易裁判所ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ニ之ヲ起ス可シ
第二条 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項中「署名、捺印スべシ」を「署名捺印スベシ但署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得」に改める。
第十七条第二項及び第三項中「署名、捺印」を「署名捺印」に改め、同条に次の一項を加える。
前二項ノ署名捺印ハ記名捺印ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第百二十七条第二項中「署名、捺印スベシ」を「署名捺印スベシ但署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得」に改める。
第三条 競売法(明治三十一年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
第十四条第一項中「署名、捺印スベシ」を「署名捺印スベシ但署名捺印ニ代へテ記名捺印スルコトヲ得」に改め、同条第二項中「署名、捺印」を「署名捺印」に改める。
第二十四条第二項、第二十五条第二項及び第四十一条第一項中「署名、捺印スベシ」を「署名捺印スベシ但署名捺印ニ代へテ記名捺印スルコトヲ得」に改める。
第四条 鉄道抵当法(明治三十八年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第四十三条第二項及び第四十五条第二項に次のただし書を加える。
但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得
第五条 破産法(大正十一年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。
第百八十七条に次のただし書を加える。
但シ署名捺印ニ代へテ記名捺印スルコトヲ得
第百八十九条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。
前項ノ署名捺印ハ記名捺印ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第六条 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第十四条第五項及び第百七十八条第三項に次のただし書を加える。
ただし、署名押印に代えて記名押印することができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十六年七月一日から施行する。
(民事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)
2 この法律の施行前に簡易裁判所に提起された第一条の規定による改正後の民事訴訟法第五百六十条ノ二に規定する訴えについては、同条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
法務大臣 植木庚子郎
運輸大臣 橋本登美三郎
内閣総理大臣 佐藤栄作