(趣旨)
第一条 この法律は、大規模な公有水面の埋立て(干拓を含む。以下同じ。)により生ずる土地に係る区域をもつてあらたに村を設置する場合の地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の特例を定めるとともに、当該村の組織及び運営に係る地方自治法その他の法律の特例を定めるものとする。
(村の設置の特例)
第二条 大規模な公有水面の埋立てが行なわれる場合において、当該埋立てによりあらたに生ずる土地に係る区域をもつて村を設置することが適当であると認めるときは、内閣は、関係普通地方公共団体の意見をきいて、あらたに村を設置することができる。
2 前項の意見については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
3 自治大臣は、第一項の規定による処分があつたときは、直ちにその旨を告示しなければならない。
4 第一項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
(設置選挙の特例)
第三条 新村(前条第一項の規定による処分により設置された村をいう。以下同じ。)の設置による議会の議員の一般選挙及び長の選挙に関する公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三十三条第三項の規定の適用については、同項中「地方自治法第七条第六項((市町村の設置の告示))の告示による当該市町村の設置の日」とあるのは、「自治大臣が指定する日」と読み替えるものとする。
(職務執行者)
第四条 新村の設置があつたときは、都道府県知事は、都道府県の議会の同意を得て、当該都道府県の吏員で市町村長の被選挙権を有する者のうちから、新村の長の職務を行なう者(以下「職務執行者」という。)を定めなければならない。
2 職務執行者は、新村の長が最初に選挙され、就任する時まで、この法律に定めるもののほか、新村の長及び収入役の権限に属するすべての職務を行なう。
4 都道府県知事は、職務執行者が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は職務執行者に職務上の義務違反その他職務執行者たるに適しない非行があると認めるときは、その任期中においてもこれを解職することができる。
5 地方自治法第百四十二条及び第百四十五条の規定は、職務執行者に準用する。この場合において、同法第百四十五条中「当該普通地方公共団体の議会の議長」又は「議会」とあるのは、「都道府県知事」と読み替えるものとする。
6 職務執行者は、市町村長の被選挙権を有しなくなつたとき、又は前項において準用する地方自治法第百四十二条の規定に該当するときは、その職を失う。この場合において、同条の規定に該当するかどうかは、都道府県知事が決定しなければならない。
(職員)
第五条 職務執行者の補助機関たる常勤の職員は、都道府県知事の補助機関たる職員のうちから、当該都道府県知事の同意を得て、職務執行者がこれを命ずる。
2 職務執行者は、その権限に属する事務の一部を前項の職員に委任し、又はこれをして臨時に代理させることができる。
(条例の特例)
第六条 新村は、新村の設置による議会の議員の一般選挙が行なわれ、当該議会が成立するまでの間においては、地方自治法第九十六条の規定にかかわらず、当該議会の議決に代えて都道府県知事の承認を得て、条例を設け、又は改廃することができる。
2 都道府県知事は、前項の承認をしようとする場合において、当該条例が地方税の賦課徴収、分担金若しくは使用料の徴収又は行政事務の処理に関する条例であるときは、あらかじめ、当該都道府県の議会の同意を得なければならない。
3 新村の長は、新村の設置後最初に招集された議会の会議において、第一項の規定による条例の制定について、その承認を求めなければならない。
(議決事項の特例)
第七条 職務執行者は、新村の設置による議会の議員の一般選挙が行なわれ、当該議会が成立するまでの間においては、その事務を管理し、及び執行する場合において地方自治法その他の法令により議会の議決を要することとされているときは、これらの法令の規定にかかわらず、当該議決に代えて都道府県知事の承認を得なければならない。
(委員会等の特例)
第八条 新村には、地方自治法第百八十一条の選挙管理委員会及び同法第百九十五条の監査委員、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二条の教育委員会、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第七条の公平委員会、農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第三条の農業委員会並びに地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第四百二十三条の固定資産評価審査委員会は、これらの規定にかかわらず、選挙管理委員会については新村の議会において最初に選挙管理委員が選挙されるまでの間、監査委員、教育委員会、公平委員会及び固定資産評価審査委員会については新村の議会の同意を得てこれらの委員が最初に選任されるまでの間、農業委員会については新村の設置による長の選挙が行なわれ、新村の長が就任するまでの間、これを置かないものとする。
2 前項の規定により選挙管理委員会、監査委員、教育委員会、公平委員会及び農業委員会が置かれない間においては、新村の選挙管理委員会、監査委員、教育委員会及び公平委員会の事務については都道府県の選挙管理委員会、監査委員、教育委員会及び人事委員会が、新村の農業委員会の事務については職務執行者が管理し、又は執行するものとする。
(議会の議員、長及び委員の任期の特例)
第九条 第三条の規定により読み替えて適用される公職選挙法第三十三条第三項の規定に基づいて自治大臣が指定した日(以下「指定日」という。)から起算して四年を経過した日の前日までの間において選挙され、又は選任される新村の議会の議員、長、選挙管理委員、監査委員及び農業委員会の選挙による委員の任期は、地方自治法第九十三条第一項、第百四十条第一項、第百八十三条第一項本文及び第百九十七条本文並びに農業委員会等に関する法律第十五条第一項本文の規定にかかわらず、二年とする。
2 指定日から起算して四年を経過した日の前日までの間において選任される新村の教育委員会、公平委員会及び固定資産評価審査委員会の委員の任期は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五条第一項本文及び附則第八条、地方公務員法第九条第十項本文及び附則第五項並びに地方税法第四百二十三条第六項及び第四百二十四条第一項の規定にかかわらず、二年とし、指定日から起算して四年を経過した日以後最初に選任されるこれらの委員の任期については、当該選任される委員を新村の最初の教育委員会、公平委員会及び固定資産評価審査委員会の委員とみなして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律附則第八条、地方公務員法附則第五項及び地方税法第四百二十四条第一項の規定をそれぞれ適用する。