(目的等)
第一条 この法律は、ポリ塩化ビフェニルが難分解性の性状を有し、かつ、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であること並びに我が国においてポリ塩化ビフェニル廃棄物が長期にわたり処分されていない状況にあることにかんがみ、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等について必要な規制等を行うとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理のための必要な体制を速やかに整備することにより、その確実かつ適正な処理を推進し、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的とする。
2 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理については、この法律に定めるもののほか、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)の定めるところによる。
(定義)
第二条 この法律において「ポリ塩化ビフェニル廃棄物」とは、ポリ塩化ビフェニル、ポリ塩化ビフェニルを含む油又はポリ塩化ビフェニルが塗布され、染み込み、付着し、若しくは封入された物が廃棄物(廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物をいう。)となったもの(環境に影響を及ぼすおそれの少ないものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
2 この法律において「事業者」とは、第十三条を除き、その事業活動に伴ってポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する事業者をいう。
(事業者の責務)
第三条 事業者は、そのポリ塩化ビフェニル廃棄物を自らの責任において確実かつ適正に処理しなければならない。
(ポリ塩化ビフェニルを製造した者等の責務)
第四条 ポリ塩化ビフェニルを製造した者及びポリ塩化ビフェニルが使用されている製品を製造した者(以下「ポリ塩化ビフェニル製造者等」という。)は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理が円滑に推進されるよう、国及び地方公共団体が実施する施策に協力しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第五条 国は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に関する技術開発の推進、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理を確保するための体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 都道府県は、当該都道府県の区域内におけるポリ塩化ビフェニル廃棄物の状況を把握するとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理が行われるように必要な措置を講ずることに努めなければならない。
3 国、都道府県及び市町村は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の推進に関する国民、事業者及びポリ塩化ビフェニル製造者等の理解を深めるよう努めなければならない。
(ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画)
第六条 環境大臣は、廃棄物処理法第五条の二第一項に規定する基本方針に即して、環境省令で定めるところにより、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」という。)を定めなければならない。
2 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の発生量、保管量及び処分量の見込み
二 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設の整備その他ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理を確保するために必要な体制に関する事項
三 前二号に掲げるもののほか、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の推進に関し必要な事項
3 環境大臣は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画)
第七条 都道府県又は政令で定める市(以下「都道府県等」という。)は、廃棄物処理法第五条の三第一項に規定する廃棄物処理計画及びポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に即して、その区域(都道府県にあっては、当該都道府県の区域内にある当該政令で定める市の区域を除く。次項において同じ。)内におけるポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理に関する計画(以下「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
2 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画には、環境省令で定める基準に従い、当該都道府県等の区域内におけるポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の発生量、保管量及び処分量の見込み
二 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の体制の確保に関する事項
三 前二号に掲げるもののほか、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理の推進に関し必要な事項
3 都道府県等は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。