郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律
法令番号: 法律第七十二号
公布年月日: 平成2年6月29日
法令の形式: 法律
郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二年六月二十九日
内閣総理大臣 海部俊樹
法律第七十二号
郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、民間の発意に基づく開発途上にある海外の地域の住民の福祉の向上に寄与する等のための援助の充実に資するため、郵便貯金の預金者がその利子の寄附を郵政大臣に委託する制度を実施することを目的とする。
(利子の寄附委託)
第二条 郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)第七条第一項第一号に規定する通常郵便貯金の預金者は、この法律で定めるところにより、当該貯金から生ずる利子(既に生じている利子であって元金に加えられていないものを含む。)の全部又は一部を、当該貯金の元金に加えることに代えて、民間の発意に基づく開発途上にある海外の地域の住民の福祉の向上に寄与するための援助(天災その他非常の災害が生じた場合におけるその災害を受けた海外の地域の住民の緊急の需要を満たすための援助を含む。)に関する事業(以下「民間海外援助事業」という。)を行う営利を目的としない法人その他の団体(以下「民間海外援助団体」という。)に寄附することを郵政大臣に委託することができる。
2 前項の規定により寄附の委託を行った預金者は、いつでも、当該委託の取消しをすることができる。この場合において、第四条第一項の規定により既に控除された利子があるときは、預金者は、当該利子につき同条第二項の規定による最初の決定がまだ行われていない場合に限り、当該利子の返還を請求することができる。
(通帳の二冊交付)
第三条 前条第一項の寄附の委託を行おうとする預金者は、その選択により、郵便貯金法第十六条の規定にかかわらず、郵政省令で定めるところにより、新たな通常郵便貯金の通帳(一冊に限る。)の交付を請求することができる。
(寄附金の処理)
第四条 郵政大臣は、第二条第一項の委託があった通常郵便貯金について、利子を元金に加えようとするごとに、その利子から、同項の委託に係る部分を控除する。
2 郵政大臣は、前項の規定による控除を行った日以後最初に到来する同項の規定による控除を行う日の前日までの期間(以下「配分期間」という。)ごとに、同項の規定により控除した利子を合計した金額(第二条第二項の規定により返還した利子を除く。)とその配分期間に係る次条及び第六条第二項の金額の合計額(以下「寄附金」という。)について、民間海外援助事業の実施に必要な費用に充てるため寄附金の配分を希望する民間海外援助団体を公募し、その申請を受けた上、第一条に規定するこの法律の目的に適合するよう、当該寄附金を配分すべき団体(以下「配分団体」という。)及び当該団体ごとの配分すべき額を決定し、その内容を公示するものとする。この場合において、郵政大臣は、当該寄附金の額から、当該寄附金に係る寄附の委託の勧奨等のため郵政省において特に要した費用の額並びに当該寄附金の額(次条の規定により寄附金に充てられた額を除く。)の百分の一・五に相当する額を限度として寄附金の管理並びに配分に係る寄附金(以下「配分金」という。)の交付及び配分金の使途の監査のため郵政省において特に要する費用の額を差し引くことができる。
3 郵政大臣は、配分金の使途の適正を確保するため必要があると認めるときは、配分団体が守らなければならない事項を定めることができる。
4 郵政大臣は、第二項の決定をし、又は前項に規定する事項を定めるには、関係行政機関の長と協議し、かつ、政令で定める審議会に諮問しなければならない。
5 郵政大臣は、配分団体に対し配分金の使途についての監査をするものとする。
6 郵政大臣は、配分団体が第二項の決定に係る事業の全部又は一部を行わないとき又は第三項に規定する配分団体が守らなければならない事項に違反したときは、交付した配分金の全部又は一部の返還を求めるものとする。
第五条 交付し又は交付すべきであった配分金の全部又は一部が、当該配分期間経過後に返還され又は交付できなくなったときは、当該返還され又は交付できなくなった配分金は、当該返還され又は交付できなくなった日の属する配分期間の寄附金に充てるものとする。
2 配分期間の末日において、配分金とならなかった寄附金があるときは、これを当該配分期間の次の配分期間の寄附金に充てるものとする。
(寄附金の経理等)
第六条 郵政大臣は、寄附金を配分団体に交付するまでの間、これを資金運用部に預託することができる。
2 前項の規定により資金運用部に預託した結果生じた利子は、当該利子が生じた日の属する配分期間の次の配分期間の寄附金に充てるものとする。
第七条 郵政大臣は、配分期間ごとに寄附金に関する経理状況を公示するものとする。
(省令への委任)
第八条 この法律に定めるもののほか、寄附の委託及び寄附金の処理に関し必要な事項は、郵政省令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(簡易郵便局法の一部改正)
2 簡易郵便局法(昭和二十四年法律第二百十三号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項中「郵便振替法(昭和二十三年法律第六十号)」の下に「、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律(平成二年法律第七十二号)」を加える。
郵政大臣 深谷隆司
内閣総理大臣 海部俊樹