(中間安定を図るための生糸の買入れ、売戻し及び売渡し)
第十二条の四 事業団は、生糸の価格を安定上位価格をこえずかつ安定下位価格を下らない範囲内における相当な水準に安定させるため、出資者で第十二条の十八第二号に掲げるもの又は出資者で同条第三号に掲げるものの直接若しくは間接の構成員たる同号の製糸業者からの生糸の売渡しの申込みに応じ予算の範囲内において中間買入価格で生糸を買い入れ、その買入れに係る生糸を第十二条の六の約定に基づきその相手方の請求に応じ売り戻し、及び生糸の価格が標準中間売渡価格をこえて騰貴し又は騰貴するおそれがあると認められる場合には、その買入れに係る生糸(当該生糸に係る第十二条の十第一項の規定による買換えによつて保有する生糸を含む。)を政令で定めるところにより一般競争入札その他の方法で売り渡すことができる。
(中間買入価格及び標準中間売渡価格)
第十二条の五 標準生糸についての前条の中間買入価格及び標準中間売渡価格は、標準生糸の安定上位価格をこえずかつ標準生糸の安定下位価格を下らない範囲内において、生糸の生産条件及び需給事情その他の経済事情からみて適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として農林大臣が定める生糸の価格(以下「基準糸価」という。)を基準として、事業団が定めるものとする。
2 標準生糸以外の生糸についての前条の中間買入価格及び標準中間売渡価格は、標準生糸の中間買入価格又は標準中間売渡価格に第三条第二項の規定により標準生糸の安定下位価格又は安定上位価格に加減すべき額として算出された額をそれぞれ加減して得た額とする。
3 事業団は、標準生糸の中間買入価格及び標準中間売渡価格を、農林省令で定める期間ごとに、当該期間の開始前に定め、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 基準糸価は、第四条の規定により標準生糸の安定下位価格及び安定上位価格を定める際、あわせて定めるものとする。
5 農林大臣は、基準糸価を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを事業団に通知しなければならない。
6 農林大臣は、第三項の認可をしたときは、遅滞なく、その認可に係る標準生糸の中間買入価格及び標準中間売渡価格を告示しなければならない。
(売戻しの約定)
第十二条の六 事業団は、農林省令で定めるところにより、第十二条の四の規定による生糸の買入れに当たつて、その相手方との間に、その買入れ後政令で定める期間を経過するまでは、その者の請求により、当該生糸をその買入れの価格に相当する額にその保管に要する費用の額を加えて得た額で売り戻す旨の約定をしなければならない。
(買入れ又は売渡しの対象となる生糸)
第十二条の七 第十二条の四の規定により事業団が買い入れることができる生糸は、同条の規定による売渡しをする旨の申込みをした同条の出資者又は製糸業者が国内において製造した生糸(その者が他に委託して国内において製造した生糸を含む。)であつて蚕糸業法第十六条第一項の規定に基づく検査の結果農林省令で定める種類、繊度及び品位の生糸と決定されたものに限るものとする。
2 第十二条の四の規定により事業団が売り渡すことができる生糸は、同条の規定により事業団が買い入れて保有する生糸のうちその買入れ後前条の政令で定める期間を経過してなお事業団が保有しているもの(その生糸に係る第十二条の十第一項の規定による買換えによつて事業団が保有する生糸を含み、第七条の二第二項の規定による所属替えをした生糸を除く。)に限るものとする。
(買入数量の限度)
第十二条の八 事業団が毎事業年度第十二条の四の規定により買い入れることができる生糸の数量は、政令で定める数量を限度とする。ただし、事業団が同条の規定により買い入れて保有する生糸を当該事業年度に売り渡した場合には、当該政令で定める数量に当該売渡しに係る生糸の数量(その数量が当該政令で定める数量をこえるときは、当該政令で定める数量)を加えて得た数量を限度とする。
(買入れ又は売渡しをしない場合)
第十二条の九 事業団は、第八条第一項各号の一に該当する場合若しくは売渡しをする旨の申込みをした者についてその者が第十二条の十一第一項の基準繭価に達しない価格で繭を買い入れ若しくは買い入れるおそれがあると認める場合には第十二条の四の規定による買入れをせず、又は第八条第二項各号の一に該当する場合には第十二条の四の規定による売渡しをしないものとする。
(生糸の買換え)
第十二条の十 事業団は、その保有する第十二条の七第二項に規定する生糸の品質の低下により著しい損失を生ずるおそれがある場合において、必要があるときは、予算の範囲内において、これを同一の種類、繊度及び数量の生糸に買い換えることができる。
2 前項の規定による買換えのための売渡し及び買入れは、同時期に行なわなければならない。
(乾繭の売渡し等の受託)
第十二条の十一 事業団は、繭の売買取引が基準繭価に達しない価格で行なわれるおそれがあると認められる場合には、農業協同組合連合会の申込みにより乾繭を売り渡し、加工し、又は生糸と交換すべき旨の委託を受けることができる。
2 事業団は、前項の規定により委託を受ける場合には、次条第二項の農林省令で定める期間ごとに、繭の価格が前項の基準繭価を下つて低落することを防止することを旨として、当該委託を受ける乾繭の数量の限度を定め、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 事業団は、前項の承認を受けた数量の範囲内でなければ、第一項の委託を受けることができない。
(基準繭価)
第十二条の十二 前条第一項の基準繭価は、最低繭価を下らない範囲内において、繭の生産条件及び需給事情その他の経済事情からみて適正と認められる繭価水準の実現を図ることを旨とし、基準糸価を参酌して、事業団が定めるものとする。
2 事業団は、前条第一項の基準繭価を、農林省令で定める期間ごとに、その期間の開始前に定め、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 農林大臣は、前項の認可をしたときは、遅滞なく、その認可に係る基準繭価を告示しなければならない。
(繭の価格に関する勧告)
第十二条の十三 農林大臣は、繭の売買取引が第十二条の十一第一項の基準繭価に達しない価格で行なわれるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、製糸業者に対し、養蚕業者(養蚕業者が直接又は間接の構成員となつている農業協同組合又は農業協同組合連合会を含む。)から繭を買い入れるに当たつては同項の基準繭価以上の価格によるべきことを勧告することができる。