機械類賦払信用保険臨時措置法
法令番号: 法律第156号
公布年月日: 昭和36年6月19日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

中小企業の設備近代化推進と機械工業の国際競争力強化という二つの課題に対応するため、設備機械の割賦販売の促進が必要とされている。しかし、中小企業向け割賦販売は信用リスクが高く、製造業者が積極的に展開できない状況にある。そこで、政府による信用保険制度を確立し、製造業者と包括保険契約を結ぶことで、割賦販売代金の不払いによる損失の50%を国が補填する制度を導入する。これにより、設備機械の割賦販売を促進し、中小企業の設備近代化と機械工業の市場拡大を図ることを目的とする。

参照した発言:
第38回国会 衆議院 商工委員会 第9号

審議経過

第38回国会

衆議院
(昭和36年2月28日)
参議院
(昭和36年2月28日)
衆議院
(昭和36年4月25日)
(昭和36年4月26日)
(昭和36年5月10日)
(昭和36年5月11日)
(昭和36年5月12日)
(昭和36年5月12日)
参議院
(昭和36年5月16日)
(昭和36年5月30日)
(昭和36年5月31日)
(昭和36年6月8日)
衆議院
(昭和36年6月28日)
機械類賦払信用保険臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年六月十九日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百五十六号
機械類賦払信用保険臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、機械類の割賦販売契約による取引につき信用保険を行なう制度を確立することによつて、中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「機械類」とは、中小企業の設備の近代化に資し、かつ、機械工業の振興上特に生産の合理化を促進する必要があると認められる機械類であつて、政令で定めるものをいう。
2 この法律において「割賦販売契約」とは、代金を政令で定める期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領することを条件として機械類を販売する契約をいう。
(保険契約)
第三条 政府は、会計年度ごとに、機械類の製造業者又は販売業者(機械類の製造業者からその製造するすべての機械類を譲り受けてこれを販売する者その他政令で定める販売業者に限る。以下「製造業者等」という。)を相手方として、政令で定める機械類の区分ごとに包括して機械類賦払信用保険の保険契約を締結することができる。
2 機械類賦払信用保険は、製造業者等が締結した機械類の割賦販売契約につき、政府と製造業者等との間に、製造業者等が当該割賦販売契約に基づいて機械類を引き渡した後(引渡し前にその設置のために労務の提供を必要とする機械類であつて政令で定めるものについては、当該労務の提供を開始した後。以下同じ。)に到来する決済期において支払を受けることができなかつた代金の額をてん補すべき保険関係が成立する信用保険とする。
3 政府は、次に掲げる場合には、第一項の保険契約を締結してはならない。
一 製造業者等が当該割賦販売契約を履行する能力を有すると認められない場合
二 当該保険契約を締結しても、中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興に資すると認められない場合
(保険価額及び保険金額)
第四条 前条第二項の保険関係においては、割賦販売契約に基づく機械類の代金の額のうちその機械類を引き渡した後に受領すべき金額を保険価額とし、保険価額に百分の五十を乗じて得た金額を保険金額とする。
(保険金)
第五条 第三条第二項の保険関係に基づいて政府がてん補すべき額は、保険価額のうち製造業者等が決済期において支払を受けることができなかつた代金の額(会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)の規定による更生手続開始の決定があつた場合その他これに準ずる場合において、当該決済期後において決済期の到来する代金を将来にわたつて回収することができないことが確実であると認められるときは、その代金の額を加えた金額)から次に掲げる金額を控除した残額に百分の五十を乗じて得た金額とする。
一 当該割賦販売契約に係る機械類の処分その他損失を軽減するために必要な処置を講ずることにより回収した金額
二 決済期において支払を受けることができなかつたことにより支出を要しなくなつた金額
(保険料率)
第六条 第三条第一項の保険契約の保険料率は、この法律による政府の保険事業の収入が支出を償うように、政令で定める。
(契約の限度)
第七条 政府は、一会計年度内に締結する第三条第一項の保険契約に基づいて成立する保険関係の保険金額の総額が会計年度ごとに国会の議決を経た金額をこえない範囲内において、その保険契約を締結するものとする。
(代金等の回収)
第八条 保険金の支払を受けた製造業者等は、第三条第二項の保険関係が成立した割賦販売契約に基づく代金の回収又はその割賦販売契約に係る機械類の処分その他当該機械類に関する権利の行使に努めなければならない。
(回収金の納付)
第九条 保険金の支払を受けた製造業者等は、その支払の請求をした後回収した金額から当該保険金に係る決済期以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息を控除した残額に支払を受けた保険金の額の第五条に規定する残額に対する割合を乗じて得た金額を政府に納付しなければならない。
(契約の解除等)
第十条 政府は、製造業者等がこの法律(これに基づく命令を含む。)の規定又は第三条第一項の保険契約の条項に違反したときは、同条第二項の保険関係に基づく保険金の全部若しくは一部を支払わず、若しくは保険金の全部若しくは一部を返還させ、又は将来にわたつて当該保険契約を解除することができる。
附 則
1 この法律は、昭和三十六年七月一日から施行する。
2 この法律は、この法律の施行後五年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その時までに成立した第三条第二項の保険関係については、なお従前の例による。
3 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第三十六号の二の次に次の一号を加える。
三十六の三 機械類賦払信用保険を行なうこと。
第十条中第十号を第十一号とし、第九号の次に次の一号を加える。
十 機械類賦払信用保険に関すること。
第二十七条第十号の次に次の一号を加える。
十の二 機械類賦払信用保険に関すること。
大蔵大臣 水田三喜男
通商産業大臣 椎名悦三郎
内閣総理大臣 池田勇人