日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年十一月十二日
内閣総理大臣 吉田茂
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法の一部を改正する法律
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法(昭和二十七年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第十条中「合衆国軍隊の使用する施設又は区域」を「合衆国軍隊がその権限に基いて警備している合衆国軍隊の使用する施設又は区域」に、「承認を受けて」を「同意を得て」に改め、「検察官若しくは司法警察職員から」を削り、同条に次の一項を加える。
2 死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる罪に係る現行犯人を追跡して前項の施設又は区域内において逮捕する場合には、同項の同意を得ることを要しない。
第十一条の見出し中「施設又は区域外で」を削り、「合衆国軍隊要員」を「合衆国軍隊の構成員又は軍属」に改め、同条第一項中「合衆国軍隊の使用する施設又は区域外で」を削り、「合衆国軍隊の構成員、軍属又は家族(以下「合衆国軍隊要員」という。)であることを確認したときは、」を「合衆国軍隊の構成員又は軍属であり、且つ、その者の犯した罪が行政協定第十七条第三項(a)に掲げる罪のいずれかに該当すると明らかに認めたときは、」に改める。
第十二条第一項中「行政協定第十七条第三項(b)又は(c)による引渡の通知があつた場合」を「合衆国軍隊から日本国の法令による罪を犯した者を引き渡す旨の通知があつた場合」に改める。
第十三条第一項中「合衆国軍隊の使用する施設若しくは区域」を「合衆国軍隊がその権限に基いて警備している合衆国軍隊の使用する施設若しくは区域」に改め、「以下同じ。」を削り、「承認を受けて」を「同意を得て」に改め、同条第二項を削る。
第十八条第一項、第三項及び第四項中「合衆国軍隊要員」を「合衆国軍隊の構成員、軍属又は合衆国の軍法に服する家族」に改める。
附 則
2 検察官又は司法警察員は、逮捕された者が合衆国軍隊の構成員、軍属又は家族であり、且つ、その者の犯した罪が昭和二十八年十月二十九日前の行為に係るものであることを確認したときは、この法律による改正後の第十一条第一項の規定により引渡をなすべき場合に該当しない場合においても、刑事訴訟法の規定にかかわらず、直ちに被疑者を合衆国軍隊に引き渡さなければならない。
3 司法警察員は、前項の規定により被疑者を合衆国軍隊に引き渡した場合においても、必要な捜査を行い、すみやかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
4 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「合衆国軍隊の使用する施設及び区域」を「合衆国軍隊がその権限に基いて警備している合衆国軍隊の使用する施設及び区域」に、「承認を受けて」を「同意を得て」に改める。