真珠養殖事業法
法令番号: 法律第9号
公布年月日: 昭和27年3月25日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

世界的に高い評価を受ける日本の養殖真珠を国策として保護育成し、母貝生産者と養殖業者の経営安定を図るとともに、輸出振興を通じて国民経済の発展に寄与することを目的とする。戦後の輸出高は急速に伸びているものの、戦前の4分の1程度に留まり、欧米の需要に応えられていない。真珠養殖は自然力と人工に依存し、輸入資材が少なく、輸出額の90%以上が純外貨獲得となる日本に適した産業である。そのため、生産・養殖の安定化、母貝の増産、品質保持のための検査体制と研究所設置を通じて、事業の発展を図る必要がある。

参照した発言:
第12回国会 衆議院 水産委員会 第19号

審議経過

第12回国会

衆議院
(昭和26年11月27日)
参議院
(昭和26年11月27日)
衆議院
(昭和26年11月28日)
参議院
(昭和26年11月28日)

第13回国会

参議院
(昭和27年2月15日)
衆議院
(昭和27年2月18日)
(昭和27年3月3日)
(昭和27年3月4日)
参議院
(昭和27年3月12日)
(昭和27年3月14日)
(昭和27年3月31日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
参議院
(昭和27年7月31日)
真珠養殖事業法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年三月二十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九号
真珠養殖事業法
(目的)
第一條 この法律は、真珠貝及び真珠の養殖を助長し、並びに真珠の品質の向上を図り、もつて真珠の輸出の促進とこれによる国民経済の発展とに寄与することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「真珠養殖事業」とは、真珠貝若しくは真珠を養殖し、真珠を加工(金属類を附加して製品とする場合を含まない。)し、又は真珠の核を製造する事業をいい、「真珠養殖事業者」とは、真珠養殖事業を営む者をいう。
(施術数量目標の公表)
第三條 農林大臣は、毎年、真珠養殖事業審議会の意見をきいて都道府県別及び核の大きさ別の真珠貝の施術数量目標を定め、公表するものとする。
(計画の提出)
第四條 農林大臣は、省令の定めるところにより、真珠養殖事業者に対し、毎年、その営む事業につき、その計画の提出を求めることができる。
(計画についての助言及び勧告並びに資金のあつ旋)
第五條 真珠養殖事業者は、前條に規定する計画を定めるについて、農林大臣の助言を求めることができる。この場合には、農林大臣は、必要な助言をしなければならない。
2 農林大臣は、第三條の規定により定めた目標を達成するため必要があると認めるときは、真珠養殖事業者に対し、前條の規定により提出した計画の変更について勧告することができる。
3 農林大臣は、第一項の規定による助言又は前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該助言又は勧告に応じて真珠養殖事業を営む者に対し、当該事業に要する資金をあつ旋するものとする。
(真珠貝の養殖事業者に対する助成)
第六條 農林大臣は、左の各号の一に掲げる事業を行う漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に対し、予算の範囲内において、必要な助成を行うことができる。
一 真珠貝の種苗の生産又は真珠貝の稚貝若しくは成貝の育成
二 真珠貝の生息場所の底質の改良
(真珠貝の標準価格の公表)
第七條 農林大臣は、真珠貝の養殖を助長するため特に必要があると認めるときは、真珠貝の標準価格を定めて公表することができる。
(真珠の検査)
第八條 真珠(真珠製品に用いた真珠を含む。)は、省令の定めるところにより、国の真珠検査所の検査を受け、その結果を省令で定める様式により表示したものでなければ、輸出してはならない。但し、標本用その他農林大臣が定める用途に供するために輸出する場合であつて、農林大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
2 農林大臣は、前項の検査及び様式に関する事項につき省令を定める場合には、あらかじめ当該事項につき通商産業大臣に協議しなければならない。
(聴聞会)
第九條 前條第一項の規定による検査の決定に関し不服のある関係業者その他の利害関係人は、検査の決定があつた日から三十日以内に、農林大臣に、聴聞会の開催を請求することができる。
2 農林大臣は、前項の請求があつたときは、聴聞会を開いて、不服の事由を審査し、前條第一項の規定による検査の決定が不当であると認めるときは、真珠検査所に再検査をさせなければならない。
(検査手数料)
第十條 第八條第一項の規定による検査を受けようとする者は、真珠一匁につき三十円の範囲内において省令で定める額の検査手数料を国に納めなければならない。
(報告の徴収及び立入検査)
第十一條 農林大臣は、第五條第三項の規定による資金のあつ旋を受け、又は第六條の規定に基く助成を受けた真珠養殖事業者に対し、当該資金の使途又は助成の成果を確めるため、必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、真珠養殖事業者の事務所、事業所その他の場所に立ち入り、真珠若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(真珠養殖事業審議会の設置及び権限)
第十二條 この法律の規定によりその権限に属させた事項その他真珠養殖事業に関する重要事項を調査審議するために、農林省に真珠養殖事業審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の組織等)
第十三條 審議会は、農林大臣が任命する委員七人をもつて組織する。
2 委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
4 会長は、会務を総理する。
5 審議会は、あらかじめ、委員の中から、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
6 委員は、非常勤とする。
7 前各項に定めるものを除く外、審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
(罰則)
第十四條 第八條第一項の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第十五條 第十一條第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第十六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本條の罰金刑を科する。但し、法人の代表者又は人(人が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であるときは、その法定代理人とする。)がその法人又は人の代理人又は使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため相当の注意を怠らなかつたことの証明があつたときは、その法人又は人についてはこの限りでない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。但し、第八條から第十條まで、第十四條、第十六條中第十四條の違反行為に関する部分の規定の施行期日は、昭和二十七年六月三十日までの間において、政令で定める。
(水産庁設置法の改正)
2 水産庁設置法(昭和二十三年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
第七條の二中
水産講習所
水産講習所
真珠検査所
真珠研究所
に改める。
第七條の七を第七條の九とする。
第七條の六第一項中漁港審議会の部の次に次のように加える。
 真珠養殖事業審議会
真珠養殖事業法(昭和二十七年法律第九号)の規定によりその権限に属させた事項を調査審議すること。
同條第二項中「漁港法」の下に「、真珠養殖事業審議会については真珠養殖事業法」を加え、同條を第七條の八とする。
第七條の五の次に次の二條を加える。
(真珠検査所)
第七條の六 真珠検査所は、真珠の検査を行う機関とする。
2 真珠検査所の名称及び位置は、左の通りとする。
名称
位置
東京真珠検査所神戸真珠検査所
東京都神戸市
3 真珠検査所の内部組織については、農林省令で定める。
(真珠研究所)
第七條の七 真珠研究所は、左に掲げる事項を行う機関とする。
一 真珠貝に関する試験、研究及び調査
二 真珠貝の優良な種苗の生産及び配布
三 真珠貝の種苗の生産技術及び真珠貝の養殖技術の普及
四 真珠の養殖の密度その他真珠に関する試験、研究及び調査
五 真珠に関する知識の普及
2 真珠研究所は、三重県に置く。
3 農林大臣は、真珠研究所の事務の一部を分掌させるため、所要の地に真珠研究所の支所を設けることができる。
4 真珠研究所の内部組織並びに支所の名称、位置及び内部組織については、農林省令で定める。
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 高橋龍太郎
内閣総理大臣 吉田茂
真珠養殖事業法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年三月二十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九号
真珠養殖事業法
(目的)
第一条 この法律は、真珠貝及び真珠の養殖を助長し、並びに真珠の品質の向上を図り、もつて真珠の輸出の促進とこれによる国民経済の発展とに寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「真珠養殖事業」とは、真珠貝若しくは真珠を養殖し、真珠を加工(金属類を附加して製品とする場合を含まない。)し、又は真珠の核を製造する事業をいい、「真珠養殖事業者」とは、真珠養殖事業を営む者をいう。
(施術数量目標の公表)
第三条 農林大臣は、毎年、真珠養殖事業審議会の意見をきいて都道府県別及び核の大きさ別の真珠貝の施術数量目標を定め、公表するものとする。
(計画の提出)
第四条 農林大臣は、省令の定めるところにより、真珠養殖事業者に対し、毎年、その営む事業につき、その計画の提出を求めることができる。
(計画についての助言及び勧告並びに資金のあつ旋)
第五条 真珠養殖事業者は、前条に規定する計画を定めるについて、農林大臣の助言を求めることができる。この場合には、農林大臣は、必要な助言をしなければならない。
2 農林大臣は、第三条の規定により定めた目標を達成するため必要があると認めるときは、真珠養殖事業者に対し、前条の規定により提出した計画の変更について勧告することができる。
3 農林大臣は、第一項の規定による助言又は前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該助言又は勧告に応じて真珠養殖事業を営む者に対し、当該事業に要する資金をあつ旋するものとする。
(真珠貝の養殖事業者に対する助成)
第六条 農林大臣は、左の各号の一に掲げる事業を行う漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に対し、予算の範囲内において、必要な助成を行うことができる。
一 真珠貝の種苗の生産又は真珠貝の稚貝若しくは成貝の育成
二 真珠貝の生息場所の底質の改良
(真珠貝の標準価格の公表)
第七条 農林大臣は、真珠貝の養殖を助長するため特に必要があると認めるときは、真珠貝の標準価格を定めて公表することができる。
(真珠の検査)
第八条 真珠(真珠製品に用いた真珠を含む。)は、省令の定めるところにより、国の真珠検査所の検査を受け、その結果を省令で定める様式により表示したものでなければ、輸出してはならない。但し、標本用その他農林大臣が定める用途に供するために輸出する場合であつて、農林大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
2 農林大臣は、前項の検査及び様式に関する事項につき省令を定める場合には、あらかじめ当該事項につき通商産業大臣に協議しなければならない。
(聴聞会)
第九条 前条第一項の規定による検査の決定に関し不服のある関係業者その他の利害関係人は、検査の決定があつた日から三十日以内に、農林大臣に、聴聞会の開催を請求することができる。
2 農林大臣は、前項の請求があつたときは、聴聞会を開いて、不服の事由を審査し、前条第一項の規定による検査の決定が不当であると認めるときは、真珠検査所に再検査をさせなければならない。
(検査手数料)
第十条 第八条第一項の規定による検査を受けようとする者は、真珠一匁につき三十円の範囲内において省令で定める額の検査手数料を国に納めなければならない。
(報告の徴収及び立入検査)
第十一条 農林大臣は、第五条第三項の規定による資金のあつ旋を受け、又は第六条の規定に基く助成を受けた真珠養殖事業者に対し、当該資金の使途又は助成の成果を確めるため、必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、真珠養殖事業者の事務所、事業所その他の場所に立ち入り、真珠若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(真珠養殖事業審議会の設置及び権限)
第十二条 この法律の規定によりその権限に属させた事項その他真珠養殖事業に関する重要事項を調査審議するために、農林省に真珠養殖事業審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の組織等)
第十三条 審議会は、農林大臣が任命する委員七人をもつて組織する。
2 委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
4 会長は、会務を総理する。
5 審議会は、あらかじめ、委員の中から、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
6 委員は、非常勤とする。
7 前各項に定めるものを除く外、審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
(罰則)
第十四条 第八条第一項の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第十五条 第十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人の代表者又は人(人が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であるときは、その法定代理人とする。)がその法人又は人の代理人又は使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため相当の注意を怠らなかつたことの証明があつたときは、その法人又は人についてはこの限りでない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。但し、第八条から第十条まで、第十四条、第十六条中第十四条の違反行為に関する部分の規定の施行期日は、昭和二十七年六月三十日までの間において、政令で定める。
(水産庁設置法の改正)
2 水産庁設置法(昭和二十三年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
第七条の二中
水産講習所
水産講習所
真珠検査所
真珠研究所
に改める。
第七条の七を第七条の九とする。
第七条の六第一項中漁港審議会の部の次に次のように加える。
 真珠養殖事業審議会
真珠養殖事業法(昭和二十七年法律第九号)の規定によりその権限に属させた事項を調査審議すること。
同条第二項中「漁港法」の下に「、真珠養殖事業審議会については真珠養殖事業法」を加え、同条を第七条の八とする。
第七条の五の次に次の二条を加える。
(真珠検査所)
第七条の六 真珠検査所は、真珠の検査を行う機関とする。
2 真珠検査所の名称及び位置は、左の通りとする。
名称
位置
東京真珠検査所神戸真珠検査所
東京都神戸市
3 真珠検査所の内部組織については、農林省令で定める。
(真珠研究所)
第七条の七 真珠研究所は、左に掲げる事項を行う機関とする。
一 真珠貝に関する試験、研究及び調査
二 真珠貝の優良な種苗の生産及び配布
三 真珠貝の種苗の生産技術及び真珠貝の養殖技術の普及
四 真珠の養殖の密度その他真珠に関する試験、研究及び調査
五 真珠に関する知識の普及
2 真珠研究所は、三重県に置く。
3 農林大臣は、真珠研究所の事務の一部を分掌させるため、所要の地に真珠研究所の支所を設けることができる。
4 真珠研究所の内部組織並びに支所の名称、位置及び内部組織については、農林省令で定める。
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 高橋龍太郎
内閣総理大臣 吉田茂