(貴金属の地金の引渡)
第一條 大藏大臣は、連合國占領軍の管理に属する貴金属(金、銀、白金、ルテニウム、ロヂウム、パラヂウム、オスミウム、イリヂウム及びイリドスミンをいう。以下同じ。)の地金、合金若しくは製品又は大藏大臣の指定する貴石(以下貴金属等という。)が、その管理下から解除された場合において、連合國最高司令官の指示に基き、政府が、これに代るべき貴金属の地金を連合國占領軍に引き渡さなければならないときは、金資金特別会計法(昭和十二年法律第六十一号)第四條第一項の規定により金資金の運用として保有する貴金属の地金を連合國占領軍に引き渡すことができる。
(受益者の納付義務)
第二條 前條の規定により、大藏大臣が貴金属の地金を連合國占領軍に引き渡したときは、同條に規定する貴金属等の解除を受けた者(以下受益者という。)は、大藏大臣の引き渡した貴金属の地金の價格に相当する金額を、國庫に納付しなければならない。
2 前項の規定による納付金の國庫における経理に関しては、金資金の運用として保有する貴金属の地金が賣却された場合の例による。
3 大藏大臣は、前條の規定による貴金属の地金を引き渡したときは、その引き渡した貴金属の地金の種類、数量その他必要な事項を受益者に通知しなければならない。
4 第一項の規定により受益者が國庫に納付する場合における納期限は、大藏大臣が前項の通知を発した日から三十日とする。但し、当期限内に納付することを困難とする特別の事由があるときは、大藏大臣は、受益者の申請により、その納付を困難とする金額について、同項の通知を発した日から六箇月の期間内において、その納期限を定めることができる。
5 第一項の規定による納付金は、國税滯納処分の例により、これを徴収することができる。この場合において、先取特権の順位は、國税に次ぐものとする。
(納付金の算出方法)
第三條 前條第一項の規定による納付金の金額は、第一條の規定により大藏大臣が引き渡した貴金属の地金の当該解除の日における統制價格により計算した金額とする。但し、当該金額によることを不適当と認めるときは、大藏大臣は、当該日における解除された貴金属等の統制價格により計算した金額とすることができる。
(受益者との関係の整理)
第四條 受益者が、第二條第一項の規定による納付金の全部又は一部を國庫に納付したときは、大藏大臣が第一條の規定により連合國占領軍に引き渡した貴金属の地金の全部又は一部は、その納付した金額の割合に應じて、これを金資金から当該受益者に賣り渡し、当該受益者から連合國占領軍に引き渡したものとみなす。
(受益者の承継人に対する措置)
第五條 第一條の規定により大藏大臣が貴金属の地金を連合國占領軍に引き渡すまでに、受益者が死亡し、又は解散により消滅した場合においては、前三條の規定の適用については、当該受益者の権利義務を承継した者を受益者とみなす。
2 前項の場合において、権利義務を承継する者が二以上あるときは、その承継する者は、連帶して第二條第一項の規定による納付の責に任ずるものとする。