第一條 各議院から、議案その他の審査又は國政に関する調査のため、証人として出頭又は書類の提出を求められたときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、何人でも、これに應じなければならない。
第二條 各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長が出頭した証人に証言を求めるときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、その前に宣誓をさせなければならない。
第三條 宣誓を行う場合は、証人に宣誓書を朗読させ、且つこれに署名捺印させるものとする。
宣誓書には、良心に従つて、眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓う旨が記載されていなければならない。
第四條 証人は民事訴訟法第二百八十條(第三号の場合を除く。)及び第二百八十一條(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定に該当する場合に限り、宣誓又は証言若しくは書類の提出を拒むことができる。
民事訴訟法第二百八十二條の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第五條 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、出頭した証人が公務員である場合又は公務員であつた場合(國務大臣以外の國会議員を除く。)その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の祕密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督廳の承認がなければ、証言又は書類の提出を求めることができない。
当該公務所又はその監督廳が前項の承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。その理由をその議院若しくは委員会又は合同審査会において受諾し得る場合には、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
前項の理由を受諾することができない場合は、その議院若しくは委員会又は合同審査会は、更にその証言又は書類の提出が國家の重大な利益に惡影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
前項の要求後十日以内に、内閣がその声明を出さないときは、証人は、先に要求された証言をし、又は書類を提出しなければならない。
第六條 この法律により宣誓した証人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
前項の罪を犯した者が当該議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会の審査又は調査の終る前であつて、且つ犯罪の発覚する前に自白したときは、その刑を減軽又は免除することができる。
第七條 正当の理由がなくて、証人が出頭せず、若しくは要求された書類を提出しないとき又は出頭した証人が宣誓若しくは証言を拒むだときは、一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者には、情状により、禁錮及び罰金を併科することができる。
第八條 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、証人が前二條の罪を犯したものと認めたときは、告発しなければならない。但し、虚僞の証言をした者が当該議員若しくは委員会又は合同審査会の審査又は調査の終る前であつて、且つ犯罪の発覚する前に自白したときは、当該議院は、告発しないことを議決することができる。合同審査会における事件は、両議院の議決を要する。