開拓者資金融通法
法令番号: 法律第6号
公布年月日: 昭和22年1月18日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

緊急開拓計画により、新開拓地への入植者が約8万3千戸に達したが、これら入植者は資力に乏しく、最近の物価高騰により住宅建設や農具・家畜・種苗・肥料等の入手に困窮している。現行の補助施設では不十分で、通常の金融機関の利用も困難なため、特別な金融対策が必要となっている。そこで政府は、開拓者やその法人に対し長期低利の融資を行うため、本法案を提出。貸付金は営農資金と住宅資金を対象とし、20年償還で5年間無利子据置、年利3.65%の均等年賦償還とする。また、米価を基準とした物価変動に応じた償還額の調整制度を設けることとしている。

参照した発言:
第91回帝国議会 衆議院 本会議 第14号

審議経過

第91回帝国議会

衆議院
(昭和21年12月20日)
(昭和21年12月21日)
貴族院
(昭和21年12月22日)
(昭和21年12月25日)
朕は、帝國議会の協賛を経た開拓者資金融通法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年一月十七日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 大村清一
農林大臣 和田博雄
大藏大臣 石橋湛山
法律第六号
開拓者資金融通法
第一條 政府は、開拓地において耕作の業務を営む者その他命令で定める耕作の業務を営む者(以下開拓者という。)又はその組織する法人に対し、毎年度予算の範囲内において、左の資金を貸し付けることができる。
一 農具、肥料、家畜その他開拓者の営む耕作の業務に必要な資材又は施設を取得し、又は設置するのに必要な資金
二 開拓者の住宅を取得し、又は建設するのに必要な資金
第二條 前條の規定による貸付金(以下貸付金という。)の償還は、償還期間二十年(据置期間を含む。)以内、年利三分六厘五毛の均等年賦償還の方法によるものとする。但し、左の場合には、政府は、何時でも貸付金の全部又は一部につき一時償還を請求することができる。
一 貸付金の償還をすべき者の申出があつたとき。
二 貸付金の償還をすべき者が年賦金の支拂を怠つたとき。
三 前條の規定による貸付を受けた者(その者が法人であるときは、その法人を組織する者を含む。)が貸付金をその貸付の目的以外の目的に供したとき。
四 前條の規定による貸付を受けた者(その者が法人であるときは、その法人を組織する者)がその営む耕作の業務を怠り、又は廃止したとき。
第三條 前條の規定による年賦金の支拂時期における米穀の價格が第一條の規定による貸付をした時における米穀の價格に比較して下落し、又は高騰した年においては、政府は、命令の定めるところにより、その年に支拂うべき年賦金額のうち元金に相当する部分を米穀の價格の変動に應ずるように減額し、又は増額する。
前項の規定による年賦金の減額又は増額は、貸付金の償還の完了するまでの間におけるその後の年の年賦金の額に変更を及ぼすことはない。但し、年賦金の一部の支拂によつて貸付金の償還の完了する年において、その年の年賦金の額に変更のあることを妨げない。
第一項の規定による年賦金の減額又は減額及び増額があつた場合において、償還期間中の各年の年賦金のうち元金に相当する部分の合計額が貸付金の額に達しなくなつたときは、その不足額に相当する貸付金の償還の義務は、これを免除する。
第一項の規定による年賦金の増額があつたときは、政府は、命令の定めるところにより、その増額分に対する利子に相当する金額を年賦金額から控除しなければならない。
第一項の米穀の價格は、食糧管理法第三條の規定による買入の價格による。
第四條 貸付金の一部につき第二條の規定による一時償還があつた場合には、前條第二項及び第四項の規定を準用する。
第五條 災害その他これに準ずべき事由によつて開拓者の耕作の業務による收益が著しく減少したときは、政府は、年賦金の支拂を猶予することができる。
第六條 政府は、第二條第一項第二号乃至第四号の規定による一時償還の請求、第三條第一項の規定による年賦金の減額若しくは増額又は前條の規定による支拂の猶予をするには、開拓委員会の意見を聽かなければならない。
開拓委員会に関する規程は、勅令でこれを定める。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
朕は、帝国議会の協賛を経た開拓者資金融通法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年一月十七日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 大村清一
農林大臣 和田博雄
大蔵大臣 石橋湛山
法律第六号
開拓者資金融通法
第一条 政府は、開拓地において耕作の業務を営む者その他命令で定める耕作の業務を営む者(以下開拓者という。)又はその組織する法人に対し、毎年度予算の範囲内において、左の資金を貸し付けることができる。
一 農具、肥料、家畜その他開拓者の営む耕作の業務に必要な資材又は施設を取得し、又は設置するのに必要な資金
二 開拓者の住宅を取得し、又は建設するのに必要な資金
第二条 前条の規定による貸付金(以下貸付金という。)の償還は、償還期間二十年(据置期間を含む。)以内、年利三分六厘五毛の均等年賦償還の方法によるものとする。但し、左の場合には、政府は、何時でも貸付金の全部又は一部につき一時償還を請求することができる。
一 貸付金の償還をすべき者の申出があつたとき。
二 貸付金の償還をすべき者が年賦金の支払を怠つたとき。
三 前条の規定による貸付を受けた者(その者が法人であるときは、その法人を組織する者を含む。)が貸付金をその貸付の目的以外の目的に供したとき。
四 前条の規定による貸付を受けた者(その者が法人であるときは、その法人を組織する者)がその営む耕作の業務を怠り、又は廃止したとき。
第三条 前条の規定による年賦金の支払時期における米穀の価格が第一条の規定による貸付をした時における米穀の価格に比較して下落し、又は高騰した年においては、政府は、命令の定めるところにより、その年に支払うべき年賦金額のうち元金に相当する部分を米穀の価格の変動に応ずるように減額し、又は増額する。
前項の規定による年賦金の減額又は増額は、貸付金の償還の完了するまでの間におけるその後の年の年賦金の額に変更を及ぼすことはない。但し、年賦金の一部の支払によつて貸付金の償還の完了する年において、その年の年賦金の額に変更のあることを妨げない。
第一項の規定による年賦金の減額又は減額及び増額があつた場合において、償還期間中の各年の年賦金のうち元金に相当する部分の合計額が貸付金の額に達しなくなつたときは、その不足額に相当する貸付金の償還の義務は、これを免除する。
第一項の規定による年賦金の増額があつたときは、政府は、命令の定めるところにより、その増額分に対する利子に相当する金額を年賦金額から控除しなければならない。
第一項の米穀の価格は、食糧管理法第三条の規定による買入の価格による。
第四条 貸付金の一部につき第二条の規定による一時償還があつた場合には、前条第二項及び第四項の規定を準用する。
第五条 災害その他これに準ずべき事由によつて開拓者の耕作の業務による収益が著しく減少したときは、政府は、年賦金の支払を猶予することができる。
第六条 政府は、第二条第一項第二号乃至第四号の規定による一時償還の請求、第三条第一項の規定による年賦金の減額若しくは増額又は前条の規定による支払の猶予をするには、開拓委員会の意見を聴かなければならない。
開拓委員会に関する規程は、勅令でこれを定める。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。