商工協同組合法
法令番号: 法律第51号
公布年月日: 昭和21年11月11日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦後の経済復興と国民生活の安定には産業振興が不可欠である。特に戦後は中小企業の比重が増大しているが、その健全な発達には支援が必要である。現行の商工組合法は戦時立法であり、統制組合は政府の強権的な経済統制機構として機能してきたため、戦後の経済民主化に適さない。そこで、商工組合法を廃止し、商工業者の相互扶助精神に基づく自主的な協同組織として商工協同組合制度を新設し、新しい経済情勢に対応することを目的として本法案を提出する。

参照した発言:
第90回帝国議会 衆議院 本会議 第44号

審議経過

第90回帝国議会

衆議院
(昭和21年9月12日)
(昭和21年9月28日)
貴族院
(昭和21年9月30日)
(昭和21年10月3日)
朕は、帝國議會の協贊を經た商工協同組合法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月九日
内閣總理大臣 吉田茂
内務大臣 大村清一
農林大臣 和田博雄
商工大臣 星島二郎
大藏大臣 石橋湛山
法律第五十一號
商工協同組合法
第一章 總則
第一條 商工協同組合は、商業、工業又は鑛業を行ふ者の緊密な結合により、商業、工業又は鑛業の改良發達に資するため組合員の事業の經營の合理化を圖るに必要な共同施設をなすことを目的とする。
第二條 商工協同組合は、これを法人とする。
第三條 商工協同組合は、その名稱の中に、組合の事業に應じて、商、工若しくは鑛又はこれらの二以上を冠する業協同組合といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合でないものは、その名稱の中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第四條 商工協同組合は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記しなければならない事項は、その登記の後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。
第五條 商工協同組合には、營業税を課さない。
第六條 商工協同組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第二章 設立
第七條 商工協同組合の組合員たる資格を有する者は、定款でこれを定める。但し、左の各號の一に該當する者でなければならない。
一 一定地區内において商業、工業又は鑛業を行ふ者
二 前號の者で組織する團體
三 第一號の者及び前號の團體で組織する團體又は前號の團體で組織する團體
第八條 商工協同組合を設立しようとするときには、組合員にならうとする者が發起人になり、他に組合員にならうと申し出た者があるときには、その同意を得て、創立總會を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
創立總會における議決は、組合員にならうとする者の三分の二以上の同意を必要とする。
組合員にならうとする者は、創立總會において、代理人により議決權を行ふことができる。
前項の代理人は、組合員にならうとする者でなければならない。
第九條 商工協同組合の定款は、組合が組合員の自由な意思に基き民主的に組織され且つ運營されるやうにこれを作り、左の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に關する規定
六 組合員の加入及び脱退に關する規定
七 出資一口の金額及びその拂込の方法
八 剩餘金の處分及び損失の填補に關する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 組合員の權利義務に關する規定
十一 事業及びその執行に關する規定
十二 役員に關する規定
十三 會議に關する規定
十四 會計に關する規定
十五 存立の時期又は解散の事由を定めたときには、その時期又は事由
第十條 第八條第一項の規定による設立の認可があつたときには、發起人は、遲滯なく、組合員にならうとする者に第一囘の拂込をさせなければならない。
第十一條 商工協同組合は、勅令の定めるところにより設立の登記をすることにより成立する。
第三章 事業
第十二條 商工協同組合は、左の事業を行ふことができる。
一 組合員の取扱品の仕入、保管、運搬、加工、販賣その他組合員の事業に關する共同施設
二 組合員の取扱品又はその生産若しくは加工の設備に對する檢査
三 組合員の事業に關する指導、研究、調査その他組合の目的を達するために必要な事業
商工協同組合は、前項の事業の外、組合員に對する事業資金の貸付、組合員のためにするその事業上の債務の保證又は組合員の貯金の受入を併せて行ふことができる。
第一項第一號及び第二號に掲げる組合の施設は、組合員の利用に差支がない場合に限り、組合員でない者にも、これを利用させることができる。
第十三條 商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の取扱商品について商品券を發行することができる。
第十四條 商工協同組合が商品券を發行したときには、組合員は、これに對してその取扱商品の引換の義務を負ふ。
第十五條 商工協同組合が商品券を發行した場合に、組合員が商品券の引換をすることができないとき又はその引換を停止したときには、その組合は、商品券の所有者に對して、券面に表示した金額を限度として、辨の責を負ふ。
第十六條 商品券を發行した商工協同組合が、みづから商品を販賣する場合には、前三條中組合員とあるのは、組合を含むものとする。
第十七條 保管事業を行ふ商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷證券を發行することができる。
前項の許可を受けた商工協同組合は、組合員たる寄託者の請求により、寄託物の倉荷證券を交付しなければならない。
商法第六百二十七條第二項及び第六百二十八條の規定は、第一項の倉荷證券に、これを準用する。
倉庫業法第四條及び第八條乃至第十條の規定は、第一項の場合に、これを準用する。
第十八條 前條第一項の許可を受けた商工協同組合の作成する倉荷證券には、第三條第一項の規定による商工協同組合の名稱を冠する倉庫證券といふ文字を記載しなければならない。
商工協同組合でない者の作成する預證券及び質入證券又は倉荷證券には、前項に掲げる文字を記載してはならない。
第十九條 商工協同組合により倉荷證券の發行された寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として、これを更新することができる。但し、更新の際の證券の所持人が組合員でないときには、組合員の利用に差支がない場合に限る。
第二十條 商法第六百十六條乃至第六百十九條及び第六百二十四條乃至第六百二十六條の規定は、商工協同組合が倉荷證券を發行した場合に、これを準用する。
第四章 組合員の權利義務
第二十一條 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第二十二條 組合員は、商工協同組合に拂ひ込まなければならない出資金額について、相殺を以て組合に對抗することができない。
第二十三條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、組合員が持分を讓渡しようとするときには、組合の承認を受けなければならないものとすることができる。
組合員でない者が持分を讓り受けようとするときには、加入の例によらなければならない。
持分の讓受人は、その持分について、讓渡人の權利義務を承繼する。
第二十四條 組合員は、總會において各〻一個の議決權を有する。
第二十五條 組合員は、總組合員の五分の一以上の同意を得て、總會の目的及びその招集の理由を記載した書面を理事に提出して、總會の招集を請求することができる。
第二十六條 組合員は、總會の招集手續又はその決議の方法が、法令又は定款に違反すると認めるときには、決議の日から三十日以内に、その決議の取消を行政官廳に請求することができる。
第二十七條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、その經費を組合員に賦課することができる。
第二十八條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、使用料及び手數料を徴收することができる。
第二十九條 商工協同組合の組合員の責任は、第二十七條の規定による經費の負擔の外、その出資金額を限度とする。
第三十條 組合員は、左の事由により脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
組合員は、前項の規定にかかはらず、事業年度の終に、商工協同組合を脱退することができる。但し、この場合には三箇月以前にその豫告をしなければならない。
第五章 管理
第三十一條 商工協同組合には、理事及び監事を置かなければならない。
理事及び監事は、總會において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから、これを選任する。但し、組合設立當時の理事及び監事は、創立總會において、組合員にならうとする者又は組合員にならうとする法人の業務を執行する役員のうちから、これを選任する。
特別の理由があるときには、理事のうち二人以内を限り、前項に該當しない者のうちから、これを選任することができる。
第四十一條第二項の規定は、第二項本文の場合に、これを準用する。
第三十二條 理事又は監事は、任期中であつても、總會において、これを解任することができる。
第四十一條第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第三十三條 商工協同組合が理事と契約をする場合には、監事が、組合を代表する。組合と理事との間の訴訟の場合についても同樣である。
第三十四條 監事は、理事又は組合の使用人と相互に兼ねることができない。
第三十五條 理事は、定款及び總會の決議録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に、備へて置かなければならない。
組合員名簿には、左の事項を記録しなければならない。
一 各組合員の氏名又は名稱及び住所
二 各組合員の出資口數、拂込金額及び拂込年月日
組合員及び組合の債權者は、何時でも組合の帳簿書類の閲覽を求めることができる。
第三十六條 民法第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條及び第五十九條の規定は、商工協同組合の理事及び監事に、これを準用する。
第三十七條 理事は、定款の定めるところにより、少くとも毎年一囘通常總會を開かなければならない。
理事は、必要があると認めるときには、定款の定めるところにより、何時でも臨時總會を招集することができる。
第三十八條 理事が缺けたときには、總會の招集は、監事がこれを行ふ。
理事が、第二十五條の規定による請求のあつた日から二週間以内に、正當の事由がないのに總會の招集の手續をしないときには、監事は、その總會を招集しなければならない。
第三十九條 總會の決議は、この法律又は定款に特別の規定がある場合の外、出席した組合員の議決權の過半數で、これをしなければならない。
第四十條 組合員は、代理人により議決權を行ふことができる。この場合には、これを出席とみなす。
前項の代理人は、組合員でなければならない。
第四十一條 この法律で別に定めた場合の外、左の事項は、總會の議決を經なければならない。
一 定款の變更
二 組合の解散及び合併
三 毎年度の事業計畫
四 收支豫算及び經費の賦課徴收方法
五 借入金額の最高限度
六 組合員の除名
七 その他定款で定める事項
前項第一號、第二號及び第六號の事項の議決は、總組合員の半數以上が出席して、その議決權の四分の三以上で、これをしなければならない。但し、定款に特別の規定がある場合には、この限りではない。
定款の變更は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第四十二條 理事は、通常總會の會日より二週間前に、財産目録、貸借對照表、事業報告書及び剩餘金處分案を監事に提出し、且つこれを主たる事務所に備へなければならない。
理事は、前項の書類及び監事の意見書を通常總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第四十三條 民法第六十二條、第六十四條及び第六十六條の規定は、商工協同組合の總會に、これを準用する。
第四十四條 商工協同組合が出資一口の金額の減少を決議したときには、その決議の日から二週間以内に、財産目録及び貸借對照表を作らなければならない。
組合は、前項の期間内に、その債權者に對して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるやう定款の定めるところにより公告し、且つ判明してゐる債權者に對しては各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は三十日より短くてはならない。
第四十五條 債權者が前條第二項の期間内に出資一口の金額の減少に對して異議を述べなかつたときには、これを承認したものとみなす。
債權者が異議を述べたときには、商工協同組合は、これに辨濟し又は相當の擔保を提供しなければ、出資一口の金額を減少することができない。
第四十六條 商工協同組合は、定款で定める準備金の額に達するまで、毎事業年度の剩餘金の十分の一以上を積み立てなければならない。
前項の準備金の額は、出資總額の二分の一より少くてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合の外、これを使用することができない。
第四十七條 商工協同組合は、損失を填補し、前條の準備金を控除した後は、勅令の定めるところにより、剩餘金を處分することができる。
第四十八條 商工協同組合は、組合員の脱退の場合の外、持分の拂戻をすることができない。
脱退した組合員は、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
脱退した組合員の組合に對する權利義務について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第四十九條 商工協同組合は、組合員の持分を取得し、又は質權の目的としてこれを受けることができない。
第五十條 商工協同組合がその組合員に對して行ふ通知又は催告は、組合員名簿に記載した組合員の住所又はその者が組合に通知した住所に宛てればたりる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべき時に、到達したものとみなす。
第六章 監督及び違法處分に對する救濟
第五十一條 商工協同組合の行爲が法令、法令に基いてなす處分又は定款に違反したときには、行政官廳は、總會の決議を取り消し、役員若しくは清算人を解任し、又は組合の事業の停止若しくは組合の解散を命ずることができる。
第五十二條 この法律に基く許可又は認可の申請があつたときには、行政官廳は、法令に違反し又は公益を害すると認める場合の外、その許可又は認可を拒むことができない。
第五十三條 この法律又はこの法律による命令に基く行政官廳の處分に不服のある者は、行政官廳に訴願し、又は行政裁判所に出訴することができる。
第七章 解散
第五十四條 商工協同組合は、左の事由により解散する。
一 定款で定める時期の到來又は事由の發生
二 總會の決議
三 組合の合併
四 組合の破産
五 第五十一條の規定による解散の命令
總會の決議による解散は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第五十五條 商工協同組合の合併は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第四十四條及び第四十五條の規定は、商工協同組合の合併の場合に、これを準用する。
第五十六條 商工協同組合の合併は、合併後存續する組合又は合併により設立した組合が勅令の定めるところにより登記をすることにより、その效力を生ずる。
第五十七條 合併後存續する商工協同組合又は合併により設立した商工協同組合は、合併により消滅した組合の權利義務を承繼する。
第五十八條 商工協同組合が解散したときには、合併及び破産の場合の外、理事がその清算人になる。
前項の規定に依り清算人になる者がないとき又は清算人が缺けたときには、裁判所は、利害關係人の申請により、又は職權を以て、清算人を選任することができる。
裁判所は、必要があると認めるときには、職權を以て清算人を解任することができる。
第五十九條 清算人は、就職後遲滯なく、組合財産の現況を調査し、財産目録及び貸借對照表を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十條 清算人は、清算及び財産處分の方法について、裁判所の認可を受けなければならない。
裁判所は、必要があると認めるときには、清算人に對し、清算及び財産處分の方法について、監督上必要な事項を命ずることができる。
第六十一條 清算人は、商工協同組合の債務を辨濟した後でなければ、組合財産を處分することができない。
第六十二條 清算事務が終つたときには、清算人は、遲滯なく、決算報告書を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十三條 民法第七十三條、第七十八條乃至第八十一條及び第八十二條第二項竝びに非訟事件手續法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定は、商工協同組合の清算に、これを準用する。
第八章 商工協同組合中央會
第六十四條 商工協同組合中央會は、商工協同組合の指導及び連絡を圖る目的を以て、これを設立することができる。
商工協同組合中央會は、これを法人とする。
第六十五條 商工協同組合中央會は、その名稱の中に、商工協同組合中央會といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合中央會でないものは、その名稱の中に、商工協同組合中央會といふ文字を用ひてはならない。
第六十六條 商工協同組合中央會を設立しようとするときには、會員にならうとする者が發起人になり、會員たる資格を有する者の同意を得て、創立總會を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
前項の同意は、設立發起當時の商工協同組合の過半數の同意を以てたりる。
商工協同組合中央會は、全國を通じて一個とする。
第六十七條 商工協同組合は、商工協同組合中央會の會員になることができる。
前項以外の者も、商工協同組合中央會の定款の定めるところにより、その會員になることができる。
第六十八條 商工協同組合中央會には、左の役員を置かなければならない。
會長 一人
理事 若干人
監事 若干人
第六十九條 商工協同組合中央會は、勅令の定めるところにより、その所屬の商工協同組合の業務又は財産の状況について、監査の事業を行ふことができる。
第七十條 第四條、第六條、第十一條、第二十四條乃至第二十七條、第三十一條第二項乃至第四項、第三十二條乃至第三十四條、第三十六條乃至第四十三條、第五十條、第五十一條、第五十四條及び第五十八條乃至第六十三條の規定は、商工協同組合中央會に、これを準用する。
第九章 罰則
第七十一條 商工協同組合又は商工協同組合中央會が、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基いてなす處分に違反したときには、會長、理事、監事又は清算人は、これを五千圓以下の過料に處する。
第七十二條 第三條第二項、第十八條第二項又は第六十五條第二項の規定に違反した者は、これを千圓以下の過料に處する。
附 則
第七十三條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第七十四條 商工組合法(以下舊法といふ。)は、これを廢止する。但し、舊法は、他の法令により準用される範圍内においては、なほその效力を有する。
第七十五條 舊法により設立され、この法律施行の際現に存する統制組合及び商工組合中央會は、前條の規定にかかはらず、この法律施行後も、三箇月間を限つてなほ存續するものとする。
前項に掲げる組合及び中央會については、舊法は、前條の規定にかかはらず、なほその效力を有する。
この法律施行前になした行爲又は第一項の規定により同項に掲げる組合又は中央會が存續する期間中になした行爲に關する罰則の適用については、この法律施行後又は前項の規定により效力を有する舊法がその效力を失つた後も、なほ從前の例による。
第一項に掲げる組合又は中央會で同項の期間滿了の際現に存するものは、その期間滿了の際解散するものとする。
前項に掲げる組合又は中央會の解散及び清算竝びに第一項の期間滿了の際現に清算中の組合又は中央會の清算については、舊法は、その清算の結了まで、なほその效力を有する。
第七十六條 舊法により設立され、この法律施行の際現に存する施設組合は、これをこの法律により設立された商工協同組合とみなす。
前項の商工協同組合がこの法律施行前に發行した倉荷證券については、當分の間第十八條の規定は、これを適用しない。
第一項の商工協同組合は、必要な定款の變更をして、この法律施行の日から三箇月以内に、行政官廳に認可の申請をしなければならない。
前項の期間内に同項の認可の申請をしない商工協同組合は、その期間滿了の際解散するものとする。
第一項の商工協同組合の登記について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第七十七條 この法律施行の際現に第三條第一項又は第六十五條第一項の名稱をその名稱の中に用ひるものは、この法律施行後三箇月以内に、その名稱を變更しなければならない。
第七十二條の規定は、前項の期間中は、同項に掲げるものには、これを適用しない。
第七十八條 商工組合中央金庫法の一部を、次のやうに改正する。
第一條第一項中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第三條第一項、第三項及び第四項中「統制組合ヲ組合員トスル統制組合、商業組合聯合會、工業組合聯合會」を「商工協同組合ヲ組合員トスル商工協同組合」に改める。
第七條第一項中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十七條第一項但書中「商工組合、商業組合、工業組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十八條第一項第六號及び第二十九條第一項第三號中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第七十九條 登録税法の一部を、次のやうに改正する。
第十九條第七號中「商工組合、商工組合中央會、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合、工業組合中央會、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、商業組合中央會」を「商工協同組合、商工協同組合中央會」に、「商工組合法、工業組合法、商業組合法」を「商工協同組合法」に改める。
第八十條 前二條の規定にかかはらず、この法律施行の際商工組合中央金庫に關係のある商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會及び工業小組合につき、竝びにこの法律施行の際現に存する商工組合、商工組合中央會、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會及び工業小組合の登録税については、なほ從前の例による。
第八十一條 印紙税法の一部を、次のやうに改正する。
第四條第一項第十二號中「商工組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第八十二條 食糧管理法の一部を、次のやうに改正する。
第二十一條第二項中「商工組合法第五十五條第二項第三項及第五十六條乃至第五十八條」を「商工協同組合法第十七條第二項第三項及第十八條乃至第二十條」に、同條同項但書中「同法第五十六條、第五十七條第一項及第五十八條中施設組合倉庫證券」を「同法第十八條第一項中第三條第一項の規定による商工協同組合の名稱を冠する倉庫證券」に改める。
朕は、帝国議会の協賛を経た商工協同組合法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月九日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 大村清一
農林大臣 和田博雄
商工大臣 星島二郎
大蔵大臣 石橋湛山
法律第五十一号
商工協同組合法
第一章 総則
第一条 商工協同組合は、商業、工業又は鉱業を行ふ者の緊密な結合により、商業、工業又は鉱業の改良発達に資するため組合員の事業の経営の合理化を図るに必要な共同施設をなすことを目的とする。
第二条 商工協同組合は、これを法人とする。
第三条 商工協同組合は、その名称の中に、組合の事業に応じて、商、工若しくは鉱又はこれらの二以上を冠する業協同組合といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合でないものは、その名称の中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第四条 商工協同組合は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記しなければならない事項は、その登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第五条 商工協同組合には、営業税を課さない。
第六条 商工協同組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第二章 設立
第七条 商工協同組合の組合員たる資格を有する者は、定款でこれを定める。但し、左の各号の一に該当する者でなければならない。
一 一定地区内において商業、工業又は鉱業を行ふ者
二 前号の者で組織する団体
三 第一号の者及び前号の団体で組織する団体又は前号の団体で組織する団体
第八条 商工協同組合を設立しようとするときには、組合員にならうとする者が発起人になり、他に組合員にならうと申し出た者があるときには、その同意を得て、創立総会を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官庁の認可を受けなければならない。
創立総会における議決は、組合員にならうとする者の三分の二以上の同意を必要とする。
組合員にならうとする者は、創立総会において、代理人により議決権を行ふことができる。
前項の代理人は、組合員にならうとする者でなければならない。
第九条 商工協同組合の定款は、組合が組合員の自由な意思に基き民主的に組織され且つ運営されるやうにこれを作り、左の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に関する規定
六 組合員の加入及び脱退に関する規定
七 出資一口の金額及びその払込の方法
八 剰余金の処分及び損失の填補に関する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 組合員の権利義務に関する規定
十一 事業及びその執行に関する規定
十二 役員に関する規定
十三 会議に関する規定
十四 会計に関する規定
十五 存立の時期又は解散の事由を定めたときには、その時期又は事由
第十条 第八条第一項の規定による設立の認可があつたときには、発起人は、遅滞なく、組合員にならうとする者に第一回の払込をさせなければならない。
第十一条 商工協同組合は、勅令の定めるところにより設立の登記をすることにより成立する。
第三章 事業
第十二条 商工協同組合は、左の事業を行ふことができる。
一 組合員の取扱品の仕入、保管、運搬、加工、販売その他組合員の事業に関する共同施設
二 組合員の取扱品又はその生産若しくは加工の設備に対する検査
三 組合員の事業に関する指導、研究、調査その他組合の目的を達するために必要な事業
商工協同組合は、前項の事業の外、組合員に対する事業資金の貸付、組合員のためにするその事業上の債務の保証又は組合員の貯金の受入を併せて行ふことができる。
第一項第一号及び第二号に掲げる組合の施設は、組合員の利用に差支がない場合に限り、組合員でない者にも、これを利用させることができる。
第十三条 商工協同組合は、行政官庁の許可を受けて、組合員の取扱商品について商品券を発行することができる。
第十四条 商工協同組合が商品券を発行したときには、組合員は、これに対してその取扱商品の引換の義務を負ふ。
第十五条 商工協同組合が商品券を発行した場合に、組合員が商品券の引換をすることができないとき又はその引換を停止したときには、その組合は、商品券の所有者に対して、券面に表示した金額を限度として、弁の責を負ふ。
第十六条 商品券を発行した商工協同組合が、みづから商品を販売する場合には、前三条中組合員とあるのは、組合を含むものとする。
第十七条 保管事業を行ふ商工協同組合は、行政官庁の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
前項の許可を受けた商工協同組合は、組合員たる寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
商法第六百二十七条第二項及び第六百二十八条の規定は、第一項の倉荷証券に、これを準用する。
倉庫業法第四条及び第八条乃至第十条の規定は、第一項の場合に、これを準用する。
第十八条 前条第一項の許可を受けた商工協同組合の作成する倉荷証券には、第三条第一項の規定による商工協同組合の名称を冠する倉庫証券といふ文字を記載しなければならない。
商工協同組合でない者の作成する預証券及び質入証券又は倉荷証券には、前項に掲げる文字を記載してはならない。
第十九条 商工協同組合により倉荷証券の発行された寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として、これを更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときには、組合員の利用に差支がない場合に限る。
第二十条 商法第六百十六条乃至第六百十九条及び第六百二十四条乃至第六百二十六条の規定は、商工協同組合が倉荷証券を発行した場合に、これを準用する。
第四章 組合員の権利義務
第二十一条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第二十二条 組合員は、商工協同組合に払ひ込まなければならない出資金額について、相殺を以て組合に対抗することができない。
第二十三条 商工協同組合は、定款の定めるところにより、組合員が持分を譲渡しようとするときには、組合の承認を受けなければならないものとすることができる。
組合員でない者が持分を譲り受けようとするときには、加入の例によらなければならない。
持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
第二十四条 組合員は、総会において各々一個の議決権を有する。
第二十五条 組合員は、総組合員の五分の一以上の同意を得て、総会の目的及びその招集の理由を記載した書面を理事に提出して、総会の招集を請求することができる。
第二十六条 組合員は、総会の招集手続又はその決議の方法が、法令又は定款に違反すると認めるときには、決議の日から三十日以内に、その決議の取消を行政官庁に請求することができる。
第二十七条 商工協同組合は、定款の定めるところにより、その経費を組合員に賦課することができる。
第二十八条 商工協同組合は、定款の定めるところにより、使用料及び手数料を徴収することができる。
第二十九条 商工協同組合の組合員の責任は、第二十七条の規定による経費の負担の外、その出資金額を限度とする。
第三十条 組合員は、左の事由により脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
組合員は、前項の規定にかかはらず、事業年度の終に、商工協同組合を脱退することができる。但し、この場合には三箇月以前にその予告をしなければならない。
第五章 管理
第三十一条 商工協同組合には、理事及び監事を置かなければならない。
理事及び監事は、総会において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから、これを選任する。但し、組合設立当時の理事及び監事は、創立総会において、組合員にならうとする者又は組合員にならうとする法人の業務を執行する役員のうちから、これを選任する。
特別の理由があるときには、理事のうち二人以内を限り、前項に該当しない者のうちから、これを選任することができる。
第四十一条第二項の規定は、第二項本文の場合に、これを準用する。
第三十二条 理事又は監事は、任期中であつても、総会において、これを解任することができる。
第四十一条第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第三十三条 商工協同組合が理事と契約をする場合には、監事が、組合を代表する。組合と理事との間の訴訟の場合についても同様である。
第三十四条 監事は、理事又は組合の使用人と相互に兼ねることができない。
第三十五条 理事は、定款及び総会の決議録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に、備へて置かなければならない。
組合員名簿には、左の事項を記録しなければならない。
一 各組合員の氏名又は名称及び住所
二 各組合員の出資口数、払込金額及び払込年月日
組合員及び組合の債権者は、何時でも組合の帳簿書類の閲覧を求めることができる。
第三十六条 民法第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条乃至第五十五条及び第五十九条の規定は、商工協同組合の理事及び監事に、これを準用する。
第三十七条 理事は、定款の定めるところにより、少くとも毎年一回通常総会を開かなければならない。
理事は、必要があると認めるときには、定款の定めるところにより、何時でも臨時総会を招集することができる。
第三十八条 理事が欠けたときには、総会の招集は、監事がこれを行ふ。
理事が、第二十五条の規定による請求のあつた日から二週間以内に、正当の事由がないのに総会の招集の手続をしないときには、監事は、その総会を招集しなければならない。
第三十九条 総会の決議は、この法律又は定款に特別の規定がある場合の外、出席した組合員の議決権の過半数で、これをしなければならない。
第四十条 組合員は、代理人により議決権を行ふことができる。この場合には、これを出席とみなす。
前項の代理人は、組合員でなければならない。
第四十一条 この法律で別に定めた場合の外、左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 組合の解散及び合併
三 毎年度の事業計画
四 収支予算及び経費の賦課徴収方法
五 借入金額の最高限度
六 組合員の除名
七 その他定款で定める事項
前項第一号、第二号及び第六号の事項の議決は、総組合員の半数以上が出席して、その議決権の四分の三以上で、これをしなければならない。但し、定款に特別の規定がある場合には、この限りではない。
定款の変更は、行政官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第四十二条 理事は、通常総会の会日より二週間前に、財産目録、貸借対照表、事業報告書及び剰余金処分案を監事に提出し、且つこれを主たる事務所に備へなければならない。
理事は、前項の書類及び監事の意見書を通常総会に提出して、その承認を求めなければならない。
第四十三条 民法第六十二条、第六十四条及び第六十六条の規定は、商工協同組合の総会に、これを準用する。
第四十四条 商工協同組合が出資一口の金額の減少を決議したときには、その決議の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
組合は、前項の期間内に、その債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるやう定款の定めるところにより公告し、且つ判明してゐる債権者に対しては各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は三十日より短くてはならない。
第四十五条 債権者が前条第二項の期間内に出資一口の金額の減少に対して異議を述べなかつたときには、これを承認したものとみなす。
債権者が異議を述べたときには、商工協同組合は、これに弁済し又は相当の担保を提供しなければ、出資一口の金額を減少することができない。
第四十六条 商工協同組合は、定款で定める準備金の額に達するまで、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を積み立てなければならない。
前項の準備金の額は、出資総額の二分の一より少くてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合の外、これを使用することができない。
第四十七条 商工協同組合は、損失を填補し、前条の準備金を控除した後は、勅令の定めるところにより、剰余金を処分することができる。
第四十八条 商工協同組合は、組合員の脱退の場合の外、持分の払戻をすることができない。
脱退した組合員は、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
脱退した組合員の組合に対する権利義務について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第四十九条 商工協同組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
第五十条 商工協同組合がその組合員に対して行ふ通知又は催告は、組合員名簿に記載した組合員の住所又はその者が組合に通知した住所に宛てればたりる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべき時に、到達したものとみなす。
第六章 監督及び違法処分に対する救済
第五十一条 商工協同組合の行為が法令、法令に基いてなす処分又は定款に違反したときには、行政官庁は、総会の決議を取り消し、役員若しくは清算人を解任し、又は組合の事業の停止若しくは組合の解散を命ずることができる。
第五十二条 この法律に基く許可又は認可の申請があつたときには、行政官庁は、法令に違反し又は公益を害すると認める場合の外、その許可又は認可を拒むことができない。
第五十三条 この法律又はこの法律による命令に基く行政官庁の処分に不服のある者は、行政官庁に訴願し、又は行政裁判所に出訴することができる。
第七章 解散
第五十四条 商工協同組合は、左の事由により解散する。
一 定款で定める時期の到来又は事由の発生
二 総会の決議
三 組合の合併
四 組合の破産
五 第五十一条の規定による解散の命令
総会の決議による解散は、行政官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第五十五条 商工協同組合の合併は、行政官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第四十四条及び第四十五条の規定は、商工協同組合の合併の場合に、これを準用する。
第五十六条 商工協同組合の合併は、合併後存続する組合又は合併により設立した組合が勅令の定めるところにより登記をすることにより、その効力を生ずる。
第五十七条 合併後存続する商工協同組合又は合併により設立した商工協同組合は、合併により消滅した組合の権利義務を承継する。
第五十八条 商工協同組合が解散したときには、合併及び破産の場合の外、理事がその清算人になる。
前項の規定に依り清算人になる者がないとき又は清算人が欠けたときには、裁判所は、利害関係人の申請により、又は職権を以て、清算人を選任することができる。
裁判所は、必要があると認めるときには、職権を以て清算人を解任することができる。
第五十九条 清算人は、就職後遅滞なく、組合財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作り、これを総会に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十条 清算人は、清算及び財産処分の方法について、裁判所の認可を受けなければならない。
裁判所は、必要があると認めるときには、清算人に対し、清算及び財産処分の方法について、監督上必要な事項を命ずることができる。
第六十一条 清算人は、商工協同組合の債務を弁済した後でなければ、組合財産を処分することができない。
第六十二条 清算事務が終つたときには、清算人は、遅滞なく、決算報告書を作り、これを総会に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十三条 民法第七十三条、第七十八条乃至第八十一条及び第八十二条第二項並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項第三項、第百三十六条第一項、第百三十七条及び第百三十八条の規定は、商工協同組合の清算に、これを準用する。
第八章 商工協同組合中央会
第六十四条 商工協同組合中央会は、商工協同組合の指導及び連絡を図る目的を以て、これを設立することができる。
商工協同組合中央会は、これを法人とする。
第六十五条 商工協同組合中央会は、その名称の中に、商工協同組合中央会といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合中央会でないものは、その名称の中に、商工協同組合中央会といふ文字を用ひてはならない。
第六十六条 商工協同組合中央会を設立しようとするときには、会員にならうとする者が発起人になり、会員たる資格を有する者の同意を得て、創立総会を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官庁の認可を受けなければならない。
前項の同意は、設立発起当時の商工協同組合の過半数の同意を以てたりる。
商工協同組合中央会は、全国を通じて一個とする。
第六十七条 商工協同組合は、商工協同組合中央会の会員になることができる。
前項以外の者も、商工協同組合中央会の定款の定めるところにより、その会員になることができる。
第六十八条 商工協同組合中央会には、左の役員を置かなければならない。
会長 一人
理事 若干人
監事 若干人
第六十九条 商工協同組合中央会は、勅令の定めるところにより、その所属の商工協同組合の業務又は財産の状況について、監査の事業を行ふことができる。
第七十条 第四条、第六条、第十一条、第二十四条乃至第二十七条、第三十一条第二項乃至第四項、第三十二条乃至第三十四条、第三十六条乃至第四十三条、第五十条、第五十一条、第五十四条及び第五十八条乃至第六十三条の規定は、商工協同組合中央会に、これを準用する。
第九章 罰則
第七十一条 商工協同組合又は商工協同組合中央会が、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基いてなす処分に違反したときには、会長、理事、監事又は清算人は、これを五千円以下の過料に処する。
第七十二条 第三条第二項、第十八条第二項又は第六十五条第二項の規定に違反した者は、これを千円以下の過料に処する。
附 則
第七十三条 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第七十四条 商工組合法(以下旧法といふ。)は、これを廃止する。但し、旧法は、他の法令により準用される範囲内においては、なほその効力を有する。
第七十五条 旧法により設立され、この法律施行の際現に存する統制組合及び商工組合中央会は、前条の規定にかかはらず、この法律施行後も、三箇月間を限つてなほ存続するものとする。
前項に掲げる組合及び中央会については、旧法は、前条の規定にかかはらず、なほその効力を有する。
この法律施行前になした行為又は第一項の規定により同項に掲げる組合又は中央会が存続する期間中になした行為に関する罰則の適用については、この法律施行後又は前項の規定により効力を有する旧法がその効力を失つた後も、なほ従前の例による。
第一項に掲げる組合又は中央会で同項の期間満了の際現に存するものは、その期間満了の際解散するものとする。
前項に掲げる組合又は中央会の解散及び清算並びに第一項の期間満了の際現に清算中の組合又は中央会の清算については、旧法は、その清算の結了まで、なほその効力を有する。
第七十六条 旧法により設立され、この法律施行の際現に存する施設組合は、これをこの法律により設立された商工協同組合とみなす。
前項の商工協同組合がこの法律施行前に発行した倉荷証券については、当分の間第十八条の規定は、これを適用しない。
第一項の商工協同組合は、必要な定款の変更をして、この法律施行の日から三箇月以内に、行政官庁に認可の申請をしなければならない。
前項の期間内に同項の認可の申請をしない商工協同組合は、その期間満了の際解散するものとする。
第一項の商工協同組合の登記について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第七十七条 この法律施行の際現に第三条第一項又は第六十五条第一項の名称をその名称の中に用ひるものは、この法律施行後三箇月以内に、その名称を変更しなければならない。
第七十二条の規定は、前項の期間中は、同項に掲げるものには、これを適用しない。
第七十八条 商工組合中央金庫法の一部を、次のやうに改正する。
第一条第一項中「商工組合、商業組合、商業組合連合会、商業小組合、工業組合、工業組合連合会、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第三条第一項、第三項及び第四項中「統制組合ヲ組合員トスル統制組合、商業組合連合会、工業組合連合会」を「商工協同組合ヲ組合員トスル商工協同組合」に改める。
第七条第一項中「商工組合、商業組合、商業組合連合会、商業小組合工業組合、工業組合連合会、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十七条第一項但書中「商工組合、商業組合、工業組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十八条第一項第六号及び第二十九条第一項第三号中「商工組合、商業組合、商業組合連合会、商業小組合、工業組合、工業組合連合会、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第七十九条 登録税法の一部を、次のやうに改正する。
第十九条第七号中「商工組合、商工組合中央会、工業組合、工業組合連合会、工業小組合、工業組合中央会、商業組合、商業組合連合会、商業小組合、商業組合中央会」を「商工協同組合、商工協同組合中央会」に、「商工組合法、工業組合法、商業組合法」を「商工協同組合法」に改める。
第八十条 前二条の規定にかかはらず、この法律施行の際商工組合中央金庫に関係のある商工組合、商業組合、商業組合連合会、商業小組合、工業組合、工業組合連合会及び工業小組合につき、並びにこの法律施行の際現に存する商工組合、商工組合中央会、商業組合、商業組合連合会、商業小組合、工業組合、工業組合連合会及び工業小組合の登録税については、なほ従前の例による。
第八十一条 印紙税法の一部を、次のやうに改正する。
第四条第一項第十二号中「商工組合、工業組合、工業組合連合会、工業小組合、商業組合、商業組合連合会、商業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第八十二条 食糧管理法の一部を、次のやうに改正する。
第二十一条第二項中「商工組合法第五十五条第二項第三項及第五十六条乃至第五十八条」を「商工協同組合法第十七条第二項第三項及第十八条乃至第二十条」に、同条同項但書中「同法第五十六条、第五十七条第一項及第五十八条中施設組合倉庫証券」を「同法第十八条第一項中第三条第一項の規定による商工協同組合の名称を冠する倉庫証券」に改める。