第一條 主務大臣は、産業の囘復及び振興に關し、經濟安定本部總裁が定める基本的な政策及び計畫の實施を確保するために、左に掲げる事項に關して、必要な命令をなすことができる。
一 經濟安定本部總裁が定める方策に基く物資の割當又は配給
二 經濟安定本部總裁が定める方策に基く供給の特に不足する物資の使用の制限又は禁止
三 經濟安定本部總裁が定める方策に基く供給の特に不足する物資の生産(加工及び修理を含む。以下同じ。)若しくは出荷若しくは工事の施行又は物資の生産若しくは出荷若しくは工事の施行の制限若しくは禁止
四 經濟安定本部總裁が定める方策に基く供給の特に不足する物資又は遊休設備の讓渡、引渡又は貸與
政府は、勅令の定めるところにより、前項第三號に掲げる物資の生産若しくは出荷若しくは工事の施行又は第四號に掲げる事項に關する命令により生じた損失を補償する。
第一項の規定による命令をなす場合における擔保權の處理その他必要な事項は、命令でこれを定める。
第一項の命令は、經濟安定本部總裁の同意を得てこれをなすものとし、且つ同樣の條件の下にある者には、差別なく適用されるものとする。
第二條 主務大臣は、前條第一項第一號の割當の實施について必要且つ適當と認めるときには、民主的に組織された産業團體に、その構成員の議決に基いて、その構成員及びその構成員以外の同業者で物資の割當を請求する者に對する物資の割當を行はせることができる。
前項の産業團體は、主務大臣が、告示により、これを指定する。
第一項の産業團體の組織その他の事項に關し必要な事項は、勅令でこれを定める。
第二項の規定により指定された産業團體から、第一項の規定により物資の割當を受ける者で、その産業團體の行つた物資の割當の決定に不服のある者は、遲滯なくその旨を物資需給調停委員會に申し出ることができる。この場合には、物資需給調停委員會は、事案について公正な調査及び審議を行つた上、公益に適した決定をなすことを要する。
物資需給調停委員會に關し必要な事項は、勅令でこれを定める。
第四項の決定にその産業團體が從はない場合又は第二項の規定により指定された産業團體の行ふ物資の割當を經濟安定本部總裁が定める方策に適合させるために必要がある場合には、主務大臣は、その産業團體に對して、その行ふ物資の割當の決定の變更を命ずることができる。
第三條 主務大臣は、第一條の規定の適用に關して左に掲げる事項につき、關係事業者又は前條第二項の規定により指定された産業團體から報告を取ることができる。この場合において、報告がなされず、又は報告が虚僞と認められるときには、主務大臣は、當該官吏に事務所、營業所、工場、事業場又は倉庫に臨檢し、業務の状況又は帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により、當該官吏が臨檢檢査する場合には、その身分を示す證票を携帶し、且つ關係者の要求に應じて、これを示さなければならない。
第四條 第一條第一項の規定による命令に違反した者は、これを十年以下の懲役又は十萬圓以下の罰金に處する。
前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第五條 左の各號の一に該當する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。
一 第三條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
二 第三條第一項の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して第四條第一項又は前條第一號の違反行爲をしたときには、行爲者を罰するの外、その法人又は人に對して各本條の罰金刑を科する。