蚕糸業法施行令
法令番号: 勅令第七百二十二號
公布年月日: 昭和20年12月28日
法令の形式: 勅令
  • 改正: 昭和21年11月26日 勅令第568号
  • 改正: 昭和24年5月31日 政令第144号
  • 改正: 昭和28年8月31日 政令第247号
  • 改正: 昭和29年5月24日 政令第111号
  • 改正: 昭和29年7月15日 政令第204号
  • 改正: 昭和31年4月30日 政令第117号
  • 改正: 昭和39年3月23日 政令第29号
  • 改正: 昭和39年12月16日 政令第368号
  • 改正: 昭和41年4月30日 政令第139号
  • 改正: 昭和43年4月18日 政令第94号
  • 改正: 昭和47年7月25日 政令第290号
  • 改正: 昭和51年7月30日 政令第209号
  • 改正: 昭和53年7月5日 政令第282号
  • 改正: 昭和58年12月26日 政令第275号
  • 廃止: 平成10年3月25日 政令第65号
朕蠶絲業法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年十二月二十七日
內閣總理大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 岩田宙造
農林大臣 松村謙三
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
勅令第七百二十二號
蠶絲業法施行令
第一章 蠶絲業ノ監督及統制
第一條 都道府縣ノ行フ蠶絲業法第九條第一項及第二項ノ規定ニ依ル檢查其ノ他蠶病ノ驅除又ハ豫防ニ關シ必要ナル費用ハ都道府縣ノ負擔トス
前項ノ規定ニ依リ都道府縣ノ負擔スル費用ニ付テハ國庫ハ豫算ノ範圍內ニ於テ其ノ二分ノ一以內ヲ補助スルコトヲ得
第二條 都道府縣蠶絲業法第十四條ノ規定ニ基ク桑苗ノ檢查ヲ行フ場合ニ於テハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ檢查ニ關シ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第三條 都道府縣ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ繭ノ品位ニ付檢定ヲ行フベシ
前項ノ規定ニ依ル繭ノ檢定ニ關シ必要ナル費用ハ都道府縣ノ負擔トス
前項ノ規定ニ依リ都道府縣ノ負擔スル費用ニ付テハ國庫ハ豫算ノ範圍內ニ於テ其ノ檢定施設ニ要スル經費ノ二分ノ一以內ヲ補助スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル國庫補助ハ都道府縣ガ繭ノ檢定ヲ行フニ必要ナル建物、工作物又ハ器具機械ノ創設又ハ改設ノ爲ニ支出シタル金額ヨリ其ノ支出ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ收入金額ヲ控除シタル精算額ニ對シ之ヲ爲ス
都道府縣ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ繭ノ品位ノ檢定ニ關シ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第四條 輸出ノ目的ヲ以テスル生絲ノ賣買取引(取引所ノ賣買取引ヲ除ク)ノ仲立又ハ取次ノ業ヲ營マントスル者ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ヲ受クベシ
左ノ各號ノ一ニ該當スル業ヲ營マントスル者ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受クベシ
一 五釜以上ノ製造設備ニ依ル玉絲製造業(業トシテ委託シテ玉絲ノ製造ヲ爲スモノヲ含ム)
二 五釜以上ノ製造設備ニ依ル座繰生絲製造業(業トシテ委託シテ座繰生絲ノ製造ヲ爲スモノヲ含ム)
第五條 農林大臣ハ蠶絲業法第二十條ノ規定ニ基キ其ノ定ムル所ニ依リ左ノ各號ニ揭グル者ニ對シ當該各號ニ揭グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 養蠶業者ニ對シテハ其ノ生產シタル繭ノ讓渡又ハ使用ニ關スル制限
二 蠶種製造業者ニ對シテハ繭又ハ蠶蛹ノ讓渡又ハ使用ニ關スル指示又ハ制限
三 生絲製造業者ニ對シテハ繭ノ讓受、讓渡若ハ使用又ハ生絲、副蠶絲若ハ蠶蛹ノ生產、讓渡若ハ使用ニ關スル指示又ハ制限
四 繭又ハ生絲ノ取扱ヲ業トスル者ニ對シテハ繭又ハ生絲ノ讓受又ハ讓渡ニ關スル指示又ハ制限
五 蠶絲業者ニ對シテハ其ノ讓渡シ又ハ讓受クベキ蠶絲ノ價格ニ關スル指示又ハ制限
第二章 蠶絲協同組合
第一節 設立
第六條 蠶絲協同組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載シ各設立者之ニ署名又ハ記名捺印スベシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ關スル規定
六 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七 組合員ノ權利義務ニ關スル規定
八 出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
九 剩餘金ノ處分及損失補塡ニ關スル規定
十 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十一 事業及其ノ執行ニ關スル規定
十二 役員ニ關スル規定
十三 會議ニ關スル規定
十四 會計ニ關スル規定
十五 公吿ノ方法
十六 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第七條 出資一口ノ金額ハ均一ニ之ヲ定ムベシ
出資第一囘ノ拂込金額ハ出資金額ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ズ
第八條 蠶絲協同組合ハ其ノ成立ノ日ヨリ二週間以內ニ定款及左ノ事項ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ屆出デタル事項ニ變更アリタルトキ亦同ジ
一 事業計畫ノ槪要
二 理事及監事ノ氏名及住所
三 出資ノ總口數
四 成立ノ年月日
第二節 組合員
第九條 組合員タル資格ヲ有スル者蠶絲協同組合ニ加入セントスルトキハ組合ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ加入ヲ拒ミ又ハ加入ニ困難ナル條件ヲ附スルコトヲ得ズ
第十條 組合員ハ出資ノ拂込ニ付相殺ヲ以テ蠶絲協同組合ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十一條 組合員ハ蠶絲協同組合ノ承諾アルニ非ザレバ其ノ持分ヲ讓渡スルコトヲ得ズ
組合員ニ非ザル者持分ヲ讓受ケントスルトキハ加入ノ例ニ依ルベシ
第十二條 組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ
第十三條 組合員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ豫吿ヲ爲シ蠶絲協同組合ノ承諾ヲ得タル場合ニ於テハ事業年度ノ終ニ於テ脫退スルコトヲ得
前項ノ期間ハ一年ヲ超ユルコトヲ得ズ
組合ハ正當ノ理由ナクシテ第一項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十四條 組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脫退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡又ハ解散
三 破產
四 禁治產
五 除名
第十五條 除名ノ事由ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
除名ハ總會ノ決議ニ依ル但シ除名シタル組合員ニ其ノ旨ヲ通知スルニ非ザレバ之ヲ以テ其ノ組合員ニ對抗スルコトヲ得ズ
第二十二條第二項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第十六條 組合員脫退シタルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ持分ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ持分ハ脫退シタル事業年度ノ終ニ於ケル組合財產ニ依リテ之ヲ定ム
第十七條 前條第二項ノ規定ニ依リ持分ノ計算ヲ爲スニ當リ組合財產ヲ以テ組合債務ヲ完濟スルニ足ラザルトキハ蠶絲協同組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ脫退シタル組合員ニ對シ其ノ負擔ニ歸スベキ損失額ノ拂込ヲ請求スルコトヲ得
第十八條 前二條ノ請求權ハ二年間之ヲ行ハザルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第十九條 脫退シタル組合員ガ蠶絲協同組合ニ對スル債務ヲ完濟スル迄ハ組合ハ其ノ持分ノ拂戾ヲ停止スルコトヲ得
第三節 管理
第二十條 總會ニ於テハ代理人ヲ以テ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス
第二十一條 總會ノ議事ハ本令又ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十二條 定款ノ變更ハ總會ノ決議ニ依ルベシ
前項ノ決議ハ議決權ヲ有スル者ノ半數以上出席シ出席者ノ議決權ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ爲ス
第二十三條 總會ノ議決ヲ經ベキ事項ニシテ輕微ナルモノニ付テハ定款ノ定ムル所ニ依リ書面ヲ以テ組合員ノ意見ヲ徵シ總會ノ決議ニ代フルコトヲ得
第二十四條 蠶絲協同組合ガ定款ヲ以テ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設ケタルトキハ總會ニ關スル規定ハ總代會ニ之ヲ準用ス
第二十五條 理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ二年トス但シ定款ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
理事及監事ハ任期中ト雖モ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二十二條第二項ノ規定ハ理事及監事ノ選任及解任ニ關スル決議ニ之ヲ準用ス但シ定款ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十六條 理事ハ監事ノ承認ヲ得タルトキニ限リ自己又ハ第三者ノ爲ニ蠶絲協同組合ト取引ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民法第百八條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第二十七條 蠶絲協同組合ガ理事ニ對シ又ハ理事ガ蠶絲協同組合ニ對シ訴ヲ提起スル場合ニ於テハ其ノ訴ニ付テハ監事蠶絲協同組合ヲ代表ス
第二十八條 監事ハ理事又ハ蠶絲協同組合ノ使用人ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第二十九條 理事ノ全員缺ケタルトキハ總會ノ招集ハ監事之ヲ行フ
第三十條 理事ハ定款及總會ノ議事錄ヲ各事務所ニ、組合員名簿ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員名簿ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 各組合員ノ氏名又ハ名稱及住所
二 各組合員ノ出資口數及拂込ミタル金額
組合員及蠶絲協同組合ノ債權者ハ第一項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第三十一條 理事ハ通常總會ノ會日ヨリ一週間前ニ財產目錄、貸借對照表、事業報吿書及剩餘金處分案ヲ監事ニ提出シ且之ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員及蠶絲協同組合ノ債權者ハ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第三十二條 理事ハ前條第一項ニ揭グル書類ヲ通常總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
前項ノ承認ヲ求ムルニハ其ノ書類ノ外監事ノ意見書ヲ提出スベシ
第三十三條 前條第一項ノ承認アリタルトキハ理事ハ遲滯ナク第三十一條第一項ニ揭グル書類ヲ行政官廳ニ提出スベシ
第三十四條 蠶絲協同組合ハ出資總額ノ二分ノ一ニ相當スル金額ニ達スル迄ハ每年事業年度ノ剩餘金ノ十分ノ一以上ヲ準備金トシテ積立ツベシ
前項ノ準備金ハ損失ノ補塡ニ充ツル場合ヲ除クノ外之ヲ使用スルコトヲ得ズ
第三十五條 蠶絲協同組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ガ出資ノ拂込ヲ終ル迄ハ之ニ配當スベキ剩餘金ヲ其ノ拂込ニ充ツルコトヲ得
第三十六條 蠶絲協同組合ハ損失ヲ補塡シ第三十四條第一項ノ準備金ヲ控除シタル後ニ非ザレバ剩餘金ノ配當ヲ爲スコトヲ得ズ
第三十七條 剩餘金ノ配當ハ取扱ヒタル物ノ數量、價額其ノ他事業ノ分量又ハ拂込ミタル出資額ニ對スルノ外之ヲ爲スコトヲ得ズ
拂込ミタル出資額ニ對スル剩餘金配當ノ率ハ年六分ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ年八分迄之ヲ增加スルコトヲ得
第三十八條 蠶絲協同組合ハ組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ受クルコトヲ得ズ
第三十九條 蠶絲協同組合ガ出資一口ノ金額ノ減少ノ決議ヲ爲シタルトキハ其ノ議決ノ日ヨリ二週間以內ニ財產目錄及貸借對照表ヲ作成スベシ
蠶絲協同組合ハ前項ノ期間內ニ其ノ債權者ニ對シ異議アラバ一定ノ期間內ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ定款ノ定ムル方法ニ從ヒテ公吿シ且知レタル債權者ニ各別ニ之ヲ催吿スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
第四十條 債權者ガ前條第二項ノ期間內ニ異議ヲ述ベザリシトキハ出資一口ノ金額ノ減少ヲ承認シタルモノト看做ス
債權者ガ異議ヲ述ベタルトキハ蠶絲協同組合ハ辨濟ヲ爲シ若ハ相當ノ擔保ヲ供シ又ハ債權者ニ辨濟ヲ受ケシムルコトヲ目的トシテ信託會社若ハ信託業務ヲ營ム銀行ニ相當ノ財產ヲ信託スルコトヲ要ス
第四十一條 蠶絲協同組合ガ其ノ組合員ニ對シテ爲ス通知又ハ催吿ハ組合員名簿ニ記載シタル其ノ者ノ住所ニ、其ノ者ガ別ニ其ノ住所又ハ通知若ハ催吿ヲ受クベキ場所ヲ蠶絲協同組合ニ通知シタルトキハ其ノ住所又ハ場所ニ宛ツルヲ以テ足ル
第四十二條 民法第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條、第五十九條乃至第六十二條、第六十四條、第六十六條及第七十條ノ規定ハ蠶絲協同組合ニ之ヲ準用ス
第四節 解散、合併及淸算
第四十三條 蠶絲協同組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合員ノ缺亡
五 組合ノ破產
六 蠶絲業法第四十一條ノ規定ニ依ル解散ノ命令
第二十二條第二項ノ規定ハ前項第二號ノ總會ノ決議ニ之ヲ準用ス
第四十四條 蠶絲協同組合合併ヲ爲サントスルトキハ總會ヲ開キ合併ノ決議ヲ爲スコトヲ要ス
第二十二條第二項ノ規定ハ合併ノ決議ニ之ヲ準用ス
第四十五條 第三十九條及第四十條ノ規定ハ蠶絲協同組合ノ合併ニ之ヲ準用ス
第四十六條 合併ニ因リテ蠶絲協同組合ヲ設立セントスル場合ニ於テハ定款ノ作成、理事及監事ノ選任其ノ他設立ニ必要ナル行爲ハ各蠶絲協同組合ノ總會ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十二條第二項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル選任ニ之ヲ準用ス
第四十七條 蠶絲協同組合ノ合併ハ合併後存續スル蠶絲協同組合又ハ合併ニ因リテ設立スル蠶絲協同組合ガ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ於テ變更又ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ其ノ效力ヲ生ズ
第四十八條 合併後存續スル蠶絲協同組合又ハ合併ニ因リテ設立シタル蠶絲協同組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル蠶絲協同組合ノ權利義務ヲ承繼ス
第四十九條 蠶絲協同組合解散シタルトキハ合併及破產ノ場合ヲ除クノ外理事淸算人ト爲ル但シ定款ニ別段ノ定アルトキ又ハ總會ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リテ淸算人タル者ナキトキ又ハ淸算人ノ缺ケタルトキハ裁判所ハ利害關係人ノ申請ニ因リ又ハ職權ヲ以テ淸算人ヲ選任ス
裁判所必要アリト認ムルトキハ職權ヲ以テ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
第五十條 淸算人ハ就職後遲滯ナク組合財產ノ現況ヲ調查シ財產目錄及貸借對照表ヲ作リ財產處分ノ方法ヲ定メ總會ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第五十一條 前條ノ承認アリタルトキハ淸算人ハ遲滯ナク淸算及財產處分ノ方法ヲ裁判所ニ屆出ヅベシ
裁判所必要アリト認ムルトキハ淸算人ニ對シ淸算及財產處分ノ方法ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第五十二條 淸算人ハ蠶絲協同組合ノ債務ヲ辨濟スルニ非ザレバ組合財產ヲ處分スルコトヲ得ズ
第五十三條 淸算事務終リタルトキハ淸算人ハ遲滯ナク決算報吿書ヲ作リ之ヲ總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第五十四條 行政官廳ハ裁判所ニ對シ淸算ニ關シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第五十五條 蠶絲協同組合ノ淸算結了シタルトキハト裁判所ハ其ノ旨ヲ行政官廳ニ通知スベシ
第五十六條 民法第七十三條、第七十八條乃至第八十一條及第八十二條第二項竝ニ非訟事件手續法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項、第百三十六條第一項、第百三十七條及第百三十八條ノ規定ハ蠶絲協同組合ノ淸算ニ之ヲ準用ス
第五節 登記
第五十七條 蠶絲協同組合ノ設立ノ登記ニハ左ノ事項ヲ揭グルコトヲ要ス
一 第六條第一號乃至第三號、第八號、第十五號及第十六號ニ揭グル事項
二 事務所
三 理事及監事ノ氏名及住所
四 出資ノ總口數
蠶絲協同組合ハ設立ノ登記ヲ爲シタル後二週間以內ニ從タル事務所ノ所在地ニ於テ前項ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第五十八條 蠶絲協同組合ノ成立後從タル事務所ヲ設ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間以內ニ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ前條第一項ニ揭グル事項ヲ登記シ他ノ從タル事務所ノ所在地ニ於テハ同期間內ニ其ノ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
主タル事務所又ハ從タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル登記所ノ管轄區域內ニ於テ新ニ從タル事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルヲ以テ足ル
第五十九條 蠶絲協同組合ガ主タル事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ二週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ三週間以內ニ第五十七條第一項ニ揭グル事項ヲ登記シ從タル事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ三週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ四週間以內ニ同項ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス同一ノ登記所ノ管轄區域內ニ於テ主タル事務所又ハ從タル事務所ヲ移轉シタルトキハ其ノ移轉ノ登記ヲ爲スヲ以テ足ル
第六十條 第五十七條第一項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ變更ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス但シ出資ノ總口數ノ變更ノ登記ハ每事業年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後主タル事務所ノ所在地ニ於テハ四週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ五週間以內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第六十一條 蠶絲協同組合ガ解散シタルトキハ合併及破產ノ場合ヲ除クノ外主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ解散ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第六十二條 蠶絲協同組合ガ合併ヲ爲シタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ合併後存續スル組合ニ付テハ變更ノ登記、合併ニ因リテ消滅スル組合ニ付テハ解散ノ登記、合併ニ因リテ設立シタル組合ニ付テハ第五十七條第一項ニ揭グル事項ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第六十三條 蠶絲協同組合ハ淸算人就職ノ日ヨリ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ淸算人ノ氏名及住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十條ノ規定ハ前項ノ登記ニ之ヲ準用ス
第六十四條 蠶絲協同組合ノ淸算ガ結了シタルトキハ淸算結了ノ日ヨリ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ淸算結了ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第六十五條 蠶絲協同組合ノ登記ニ付テハ其ノ事務所ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
各登記所ニ蠶絲協同組合登記簿ヲ備フ
第六十六條 蠶絲協同組合ノ設立ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ定款竝ニ出資ノ總口數及出資第一囘ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
合併ニ因ル設立ノ登記ノ申請書ニハ前項ニ揭グル書類ノ外本令ニ依リ催吿ヲ爲シタルコト及異議ヲ述ベタル債權者アル場合ニ於テハ之ニ對シ辨濟ヲ爲シ若ハ擔保ヲ供シ又ハ信託ヲ爲シタルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第五十七條第二項ノ規定ニ依ル登記ハ理事ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第六十七條 蠶絲協同組合ノ事務所ノ新設又ハ事務所ノ移轉其ノ他第五十七條第一項ニ揭グル事項ノ變更ノ登記ハ理事又ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ事務所ノ新設又ハ登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
前條第三項ノ規定ハ合併又ハ出資一口ノ金額ノ減少ニ因ル變更ノ登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
第六十八條 第六十一條ノ規定ニ依ル解散ノ登記ハ第三項ニ規定スル場合ヲ除クノ外淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ解散ノ事由ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
行政官廳ガ蠶絲協同組合ノ解散ヲ命ジタル場合ニ於ケル解散ノ登記ハ當該行政官廳ノ囑託ニ因リテ之ヲ爲ス
第六十九條 第六十二條ノ規定ニ依ル解散ノ登記ハ合併ニ因リテ消滅スル蠶絲協同組合ノ理事ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第六十六條第三項及前條第二項ノ規定ハ前項ノ申請ニ之ヲ準用ス
第七十條 第六十三條ノ規定ニ依ル登記ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第六十三條第一項ノ規定ニ依ル登記ノ申請書ニハ理事ガ淸算人タラザル場合ニ於テハ淸算人ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第六十三條第二項ノ規定ニ依ル登記ノ申請書ニハ登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第七十一條 蠶絲協同組合ノ淸算結了ノ登記ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ淸算人ガ第五十三條ノ規定ニ依リ決算報吿書ノ承認ヲ得タルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第七十二條 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遲滯ナク之ヲ公吿スルコトヲ要ス
第七十三條 非訟事件手續法第百四十一條乃至第百五十條、第百五十條ノ三乃至第百五十一條ノ六及第百五十四條乃至第百五十七條ノ規定ハ蠶絲協同組合ノ登記ニ之ヲ準用ス
第三章 蠶絲業會
第七十四條 蠶絲業法第三十一條第一項ノ規定ニ依リ蠶絲業會ヲ設立セントスルトキハ設立者ハ豫メ左ノ事項ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
一 地區
二 會員タル資格
三 事業計畫ノ槪要
四 蠶絲業法第三十二條第一項ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徵收方法
五 會員ヲシテ出資ヲ爲サシムル場合ニ在リテハ出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
六 設立豫定ノ年月日
第七十五條 蠶絲業會ノ設立者蠶絲業法第三十一條第一項ノ規定ニ依ル設立ノ同意ヲ求メントスルトキハ前條ニ揭グル事項ヲ記載シタル書面ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
設立ノ同意ハ前項ノ書面ニ記名捺印スルコトニ依リテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第七十六條 前條ノ場合ニ於テ會員タル資格ヲ有スル者ノ事業ノ種類二以上アルトキハ事業ノ種類每ニ各其ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第七十七條 設立者蠶絲業法第三十一條第一項ノ同意ヲ得タルトキハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第七十八條 設立者創立總會ヲ招集スルニハ設立同意者ニ對シ少クトモ一週間前ニ會議ノ目的タル事項、日時及場所ヲ示シ招集ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
第七十九條 定款及左ノ事項ハ創立總會ノ議決ヲ經ベシ
一 蠶絲業會ノ負擔ニ歸スベキ創立費及其ノ償却方法
二 初年度ニ於ケル蠶絲業法第三十二條第一項ノ規定ニ依ル賦課金ノ收支豫算及賦課徵收方法
三 第一囘ノ議員選擧ヲ行フベキ期日
第八十條 創立總會ノ議事ハ出席シタル設立者及設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ決ス
第八十一條 創立總會ニ於テハ代理人ヲ以テ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ設立者又ハ設立同意者タルコトヲ要ス
第八十二條 會員ヲシテ出資ヲ爲サシムル蠶絲業會ノ設立者ハ創立總會終結シタル後遲滯ナク出資第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
第八十三條 蠶絲業會ノ設立ノ登記ノ申請書ニハ定款ノ外蠶絲業法第三十一條第一項ノ規定ニ依リ設立スル蠶絲業會ニ在リテハ同項ノ同意ヲ得タルコトヲ證スル書面及創立總會ノ議事錄ノ謄本ヲ、同條第二項ノ規定ニ依リ設立スル蠶絲業會ニ在リテハ同項ノ認可アリタルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
會員ヲシテ出資ヲ爲サシムル蠶絲業會ノ設立ノ登記ノ申請書ニハ前項ニ揭グル書類ノ外出資ノ總口數及出資第一囘ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第八十四條 議員ノ任期ハ三年ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ定款ヲ以テ任期中ノ最終ノ決算期ニ關スル通常總會ノ終結ニ至ル迄其ノ任期ヲ伸長スルコトヲ妨ゲズ
第八十五條 蠶絲業法第三十二條第一項ノ規定ニ依リ會員ニ對シ賦課スルコトヲ得ル經費ハ同法第三十條第一項ニ揭グル事業ニ要スル經費ニ限ル
蠶絲業法第三十二條第一項ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徵收方法ハ總會ノ議決ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第八十六條 蠶絲業會ガ蠶絲業法第三十二條第二項ノ規定ニ依リ會員ヲシテ出資ヲ爲サシムルコトヲ得ルハ同法第三十條第二項ニ揭グル事業ヲ行フ爲必要アル場合ニ限ル
第八十七條 評議員會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ蠶絲業會ノ業務運營上重要ナル事項ヲ審議ス
評議員會ハ解散及合併ヲ除クノ外本令ニ依リ總會ノ權限ニ屬セシメタル事項ノ中定款ヲ以テ定メタルモノ又ハ總會ノ決議ニ依リ委任ヲ受ケタルモノニ付總會ニ代リテ議決ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ總會ニ關スル規定ハ評議員會ニ之ヲ準用ス
第八十八條 蠶絲業會會員ノ事業ノ統制ニ關スル規程ヲ定メタルトキハ遲滯ナク行政官廳ニ之ヲ屆出ヅベシ
第八十九條 蠶絲業法第三十八條ニ規定スル蠶絲業會ノ淸算人ハ就職後遲滯ナク財產ノ現況ヲ調查シ財產目錄及貸借對照表ヲ作リ財產處分ノ方法ヲ定メ總會ノ承認ヲ經タル上農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ淸算人ハ遲滯ナク淸算及財產處分ノ方法ヲ裁判所ニ屆出ヅベシ
裁判所必要アリト認ムルトキハ淸算人ニ對シ淸算及財產處分ノ方法ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第九十條 第二十四條及第六十六條第二項ノ規定ヲ除クノ外第二章ノ規定ハ蠶絲業會(蠶絲業法第三十八條ニ規定スル蠶絲業會ヲ除ク)ニ之ヲ準用ス
第二十四條、第五十條、第五十一條及第六十六條第二項ノ規定ヲ除クノ外第二章ノ規定ハ蠶絲業法第三十八條ニ規定スル蠶絲業會ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ昭和二十年法律第五十七號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
從前ノ蠶絲業法ニ依リ蠶絲共同施設組合登記簿ニ登記セラレタル事項ハ本令施行ノ日ニ於テ昭和二十年法律第五十七號及本令ニ依リ蠶絲協同組合登記簿ニ登記セラレタルモノト看做ス
蠶絲共同施設組合登記簿ニ登記セラレタル蠶絲共同施設組合ニシテ昭和二十年法律第五十七號附則第四項ノ規定ニ依リ同法ニ依リ設立シタル蠶絲協同組合ト看做サレタルモノニ付本令施行後最初ニ登記ヲ爲シタルトキ(其ノ組合無限責任又ハ保證責任ノ組合ナル場合ニ於テハ同法附則第六項ノ規定ニ基ク變更ノ登記ヲ爲シタルトキ)ハ登記官吏ハ職權ヲ以テ其ノ登記簿ノ登記ヲ蠶絲協同組合登記簿ニ移スベシ
昭和二十年法律第五十七號附則第四項ノ規定ニ依リ同法ニ依リ設立シタルモノト看做サレタル蠶絲協同組合ハ本令施行ノ日ヨリ三月以內ニ必要ナル定款ノ變更ヲ爲シ第八條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲スベシ
從前ノ蠶絲業法ニ依リ設立シタル蠶絲共同施設組合ニシテ未ダ同法ニ依ル設立ノ登記ヲ爲サザルモノハ本令施行ノ日ニ於テ解散ス
蠶絲共同施設組合ノ淸算ニ關スル從前ノ蠶絲業法ノ規定ハ前項ノ蠶絲共同施設組合ニ付テハ仍其ノ效力ヲ有ス
日本蠶絲統制株式會社解散シタルトキハ社長、副社長及農林大臣ノ指名スル理事ヲ以テ淸算人トス淸算人缺ケタルトキハ農林大臣之ヲ選任ス
淸算人ハ淸算及財產處分ノ方法ニ付農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
農林大臣必要アリト認ムルトキハ淸算及財產處分ノ方法ノ變更ヲ命ジ又ハ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
日本蠶絲統制株式會社ノ淸算結了シタルトキハ淸算人ハ淸算ニ關スル一切ノ書類ヲ添ヘ其ノ旨ヲ農林大臣ニ屆出ヅベシ
昭和四年勅令第三百六十五號、輸出生絲登錄令、昭和十一年勅令第二百十號、原蠶種料金令及蠶絲業統制法施行令ハ之ヲ廢止ス
昭和十六年勅令第七十三號中左ノ通改正ス
第一條 削除
生絲檢查手數料令中左ノ通改正ス
第一條及第六條中「蠶絲業統制法」ヲ「蠶絲業法」ニ改ム
蠶絲業統制法又ハ同法施行令ニ基キテ發シタル命令ニシテ左ニ揭グルモノハ之ヲ昭和二十年法律第五十七號又ハ本令ノ相當規定ニ基キテ發シタルモノト看做ス
一 玉絲座繰生絲製造業許可規則
二 繭檢定規則
三 蠶絲生產費及繭絲需給調查規則
四 蠶蛹配給統制規則
五 生絲檢查規則
左ニ揭グル免許其ノ他ノ行爲及其ノ申請ハ之ヲ昭和二十年法律第五十七號又ハ本令ノ相當規定ニ依リ又ハ之ニ基キテ爲シタルモノト看做ス
一 從前ノ蠶絲業法第五條ノ規定ニ依ル免許
二 從前ノ蠶絲業法第十一條ノ規定ニ依ル檢查
三 從前ノ蠶絲業法第十九條ノ規定ニ基ク免許
四 原蠶種管理法第四條及同法第十一條ノ規定ニ依ル指定
五 蠶絲業統制法第十六條第一項乃至第三項ノ規定ニ基ク檢查又ハ檢定
六 蠶絲業統制法施行令第七條第二項ノ規定ニ依ル許可
朕蚕糸業法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年十二月二十七日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 岩田宙造
農林大臣 松村謙三
大蔵大臣 子爵 渋沢敬三
勅令第七百二十二号
蚕糸業法施行令
第一章 蚕糸業ノ監督及統制
第一条 都道府県ノ行フ蚕糸業法第九条第一項及第二項ノ規定ニ依ル検査其ノ他蚕病ノ駆除又ハ予防ニ関シ必要ナル費用ハ都道府県ノ負担トス
前項ノ規定ニ依リ都道府県ノ負担スル費用ニ付テハ国庫ハ予算ノ範囲内ニ於テ其ノ二分ノ一以内ヲ補助スルコトヲ得
第二条 都道府県蚕糸業法第十四条ノ規定ニ基ク桑苗ノ検査ヲ行フ場合ニ於テハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ検査ニ関シ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
第三条 都道府県ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ繭ノ品位ニ付検定ヲ行フベシ
前項ノ規定ニ依ル繭ノ検定ニ関シ必要ナル費用ハ都道府県ノ負担トス
前項ノ規定ニ依リ都道府県ノ負担スル費用ニ付テハ国庫ハ予算ノ範囲内ニ於テ其ノ検定施設ニ要スル経費ノ二分ノ一以内ヲ補助スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル国庫補助ハ都道府県ガ繭ノ検定ヲ行フニ必要ナル建物、工作物又ハ器具機械ノ創設又ハ改設ノ為ニ支出シタル金額ヨリ其ノ支出ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ収入金額ヲ控除シタル精算額ニ対シ之ヲ為ス
都道府県ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ繭ノ品位ノ検定ニ関シ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
第四条 輸出ノ目的ヲ以テスル生糸ノ売買取引(取引所ノ売買取引ヲ除ク)ノ仲立又ハ取次ノ業ヲ営マントスル者ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ヲ受クベシ
左ノ各号ノ一ニ該当スル業ヲ営マントスル者ハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受クベシ
一 五釜以上ノ製造設備ニ依ル玉糸製造業(業トシテ委託シテ玉糸ノ製造ヲ為スモノヲ含ム)
二 五釜以上ノ製造設備ニ依ル座繰生糸製造業(業トシテ委託シテ座繰生糸ノ製造ヲ為スモノヲ含ム)
第五条 農林大臣ハ蚕糸業法第二十条ノ規定ニ基キ其ノ定ムル所ニ依リ左ノ各号ニ掲グル者ニ対シ当該各号ニ掲グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 養蚕業者ニ対シテハ其ノ生産シタル繭ノ譲渡又ハ使用ニ関スル制限
二 蚕種製造業者ニ対シテハ繭又ハ蚕蛹ノ譲渡又ハ使用ニ関スル指示又ハ制限
三 生糸製造業者ニ対シテハ繭ノ譲受、譲渡若ハ使用又ハ生糸、副蚕糸若ハ蚕蛹ノ生産、譲渡若ハ使用ニ関スル指示又ハ制限
四 繭又ハ生糸ノ取扱ヲ業トスル者ニ対シテハ繭又ハ生糸ノ譲受又ハ譲渡ニ関スル指示又ハ制限
五 蚕糸業者ニ対シテハ其ノ譲渡シ又ハ譲受クベキ蚕糸ノ価格ニ関スル指示又ハ制限
第二章 蚕糸協同組合
第一節 設立
第六条 蚕糸協同組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載シ各設立者之ニ署名又ハ記名捺印スベシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ関スル規定
六 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
七 組合員ノ権利義務ニ関スル規定
八 出資一口ノ金額及其ノ払込ノ方法
九 剰余金ノ処分及損失補填ニ関スル規定
十 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十一 事業及其ノ執行ニ関スル規定
十二 役員ニ関スル規定
十三 会議ニ関スル規定
十四 会計ニ関スル規定
十五 公告ノ方法
十六 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第七条 出資一口ノ金額ハ均一ニ之ヲ定ムベシ
出資第一回ノ払込金額ハ出資金額ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ズ
第八条 蚕糸協同組合ハ其ノ成立ノ日ヨリ二週間以内ニ定款及左ノ事項ヲ行政官庁ニ届出ヅベシ届出デタル事項ニ変更アリタルトキ亦同ジ
一 事業計画ノ概要
二 理事及監事ノ氏名及住所
三 出資ノ総口数
四 成立ノ年月日
第二節 組合員
第九条 組合員タル資格ヲ有スル者蚕糸協同組合ニ加入セントスルトキハ組合ハ正当ノ理由ナクシテ其ノ加入ヲ拒ミ又ハ加入ニ困難ナル条件ヲ附スルコトヲ得ズ
第十条 組合員ハ出資ノ払込ニ付相殺ヲ以テ蚕糸協同組合ニ対抗スルコトヲ得ズ
第十一条 組合員ハ蚕糸協同組合ノ承諾アルニ非ザレバ其ノ持分ヲ譲渡スルコトヲ得ズ
組合員ニ非ザル者持分ヲ譲受ケントスルトキハ加入ノ例ニ依ルベシ
第十二条 組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ
第十三条 組合員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ予告ヲ為シ蚕糸協同組合ノ承諾ヲ得タル場合ニ於テハ事業年度ノ終ニ於テ脱退スルコトヲ得
前項ノ期間ハ一年ヲ超ユルコトヲ得ズ
組合ハ正当ノ理由ナクシテ第一項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十四条 組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脱退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡又ハ解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
第十五条 除名ノ事由ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
除名ハ総会ノ決議ニ依ル但シ除名シタル組合員ニ其ノ旨ヲ通知スルニ非ザレバ之ヲ以テ其ノ組合員ニ対抗スルコトヲ得ズ
第二十二条第二項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第十六条 組合員脱退シタルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ持分ノ払戻ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ持分ハ脱退シタル事業年度ノ終ニ於ケル組合財産ニ依リテ之ヲ定ム
第十七条 前条第二項ノ規定ニ依リ持分ノ計算ヲ為スニ当リ組合財産ヲ以テ組合債務ヲ完済スルニ足ラザルトキハ蚕糸協同組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ脱退シタル組合員ニ対シ其ノ負担ニ帰スベキ損失額ノ払込ヲ請求スルコトヲ得
第十八条 前二条ノ請求権ハ二年間之ヲ行ハザルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第十九条 脱退シタル組合員ガ蚕糸協同組合ニ対スル債務ヲ完済スル迄ハ組合ハ其ノ持分ノ払戻ヲ停止スルコトヲ得
第三節 管理
第二十条 総会ニ於テハ代理人ヲ以テ議決権ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス
第二十一条 総会ノ議事ハ本令又ハ定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十二条 定款ノ変更ハ総会ノ決議ニ依ルベシ
前項ノ決議ハ議決権ヲ有スル者ノ半数以上出席シ出席者ノ議決権ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ為ス
第二十三条 総会ノ議決ヲ経ベキ事項ニシテ軽微ナルモノニ付テハ定款ノ定ムル所ニ依リ書面ヲ以テ組合員ノ意見ヲ徴シ総会ノ決議ニ代フルコトヲ得
第二十四条 蚕糸協同組合ガ定款ヲ以テ総会ニ代ルベキ総代会ヲ設ケタルトキハ総会ニ関スル規定ハ総代会ニ之ヲ準用ス
第二十五条 理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ二年トス但シ定款ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
理事及監事ハ任期中ト雖モ総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二十二条第二項ノ規定ハ理事及監事ノ選任及解任ニ関スル決議ニ之ヲ準用ス但シ定款ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十六条 理事ハ監事ノ承認ヲ得タルトキニ限リ自己又ハ第三者ノ為ニ蚕糸協同組合ト取引ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民法第百八条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第二十七条 蚕糸協同組合ガ理事ニ対シ又ハ理事ガ蚕糸協同組合ニ対シ訴ヲ提起スル場合ニ於テハ其ノ訴ニ付テハ監事蚕糸協同組合ヲ代表ス
第二十八条 監事ハ理事又ハ蚕糸協同組合ノ使用人ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第二十九条 理事ノ全員欠ケタルトキハ総会ノ招集ハ監事之ヲ行フ
第三十条 理事ハ定款及総会ノ議事録ヲ各事務所ニ、組合員名簿ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員名簿ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 各組合員ノ氏名又ハ名称及住所
二 各組合員ノ出資口数及払込ミタル金額
組合員及蚕糸協同組合ノ債権者ハ第一項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第三十一条 理事ハ通常総会ノ会日ヨリ一週間前ニ財産目録、貸借対照表、事業報告書及剰余金処分案ヲ監事ニ提出シ且之ヲ主タル事務所ニ備置クベシ
組合員及蚕糸協同組合ノ債権者ハ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第三十二条 理事ハ前条第一項ニ掲グル書類ヲ通常総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
前項ノ承認ヲ求ムルニハ其ノ書類ノ外監事ノ意見書ヲ提出スベシ
第三十三条 前条第一項ノ承認アリタルトキハ理事ハ遅滞ナク第三十一条第一項ニ掲グル書類ヲ行政官庁ニ提出スベシ
第三十四条 蚕糸協同組合ハ出資総額ノ二分ノ一ニ相当スル金額ニ達スル迄ハ毎年事業年度ノ剰余金ノ十分ノ一以上ヲ準備金トシテ積立ツベシ
前項ノ準備金ハ損失ノ補填ニ充ツル場合ヲ除クノ外之ヲ使用スルコトヲ得ズ
第三十五条 蚕糸協同組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ガ出資ノ払込ヲ終ル迄ハ之ニ配当スベキ剰余金ヲ其ノ払込ニ充ツルコトヲ得
第三十六条 蚕糸協同組合ハ損失ヲ補填シ第三十四条第一項ノ準備金ヲ控除シタル後ニ非ザレバ剰余金ノ配当ヲ為スコトヲ得ズ
第三十七条 剰余金ノ配当ハ取扱ヒタル物ノ数量、価額其ノ他事業ノ分量又ハ払込ミタル出資額ニ対スルノ外之ヲ為スコトヲ得ズ
払込ミタル出資額ニ対スル剰余金配当ノ率ハ年六分ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ年八分迄之ヲ増加スルコトヲ得
第三十八条 蚕糸協同組合ハ組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質権ノ目的トシテ之ヲ受クルコトヲ得ズ
第三十九条 蚕糸協同組合ガ出資一口ノ金額ノ減少ノ決議ヲ為シタルトキハ其ノ議決ノ日ヨリ二週間以内ニ財産目録及貸借対照表ヲ作成スベシ
蚕糸協同組合ハ前項ノ期間内ニ其ノ債権者ニ対シ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ定款ノ定ムル方法ニ従ヒテ公告シ且知レタル債権者ニ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
第四十条 債権者ガ前条第二項ノ期間内ニ異議ヲ述ベザリシトキハ出資一口ノ金額ノ減少ヲ承認シタルモノト看做ス
債権者ガ異議ヲ述ベタルトキハ蚕糸協同組合ハ弁済ヲ為シ若ハ相当ノ担保ヲ供シ又ハ債権者ニ弁済ヲ受ケシムルコトヲ目的トシテ信託会社若ハ信託業務ヲ営ム銀行ニ相当ノ財産ヲ信託スルコトヲ要ス
第四十一条 蚕糸協同組合ガ其ノ組合員ニ対シテ為ス通知又ハ催告ハ組合員名簿ニ記載シタル其ノ者ノ住所ニ、其ノ者ガ別ニ其ノ住所又ハ通知若ハ催告ヲ受クベキ場所ヲ蚕糸協同組合ニ通知シタルトキハ其ノ住所又ハ場所ニ宛ツルヲ以テ足ル
第四十二条 民法第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条乃至第五十五条、第五十九条乃至第六十二条、第六十四条、第六十六条及第七十条ノ規定ハ蚕糸協同組合ニ之ヲ準用ス
第四節 解散、合併及清算
第四十三条 蚕糸協同組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合員ノ欠亡
五 組合ノ破産
六 蚕糸業法第四十一条ノ規定ニ依ル解散ノ命令
第二十二条第二項ノ規定ハ前項第二号ノ総会ノ決議ニ之ヲ準用ス
第四十四条 蚕糸協同組合合併ヲ為サントスルトキハ総会ヲ開キ合併ノ決議ヲ為スコトヲ要ス
第二十二条第二項ノ規定ハ合併ノ決議ニ之ヲ準用ス
第四十五条 第三十九条及第四十条ノ規定ハ蚕糸協同組合ノ合併ニ之ヲ準用ス
第四十六条 合併ニ因リテ蚕糸協同組合ヲ設立セントスル場合ニ於テハ定款ノ作成、理事及監事ノ選任其ノ他設立ニ必要ナル行為ハ各蚕糸協同組合ノ総会ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第二十二条第二項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル選任ニ之ヲ準用ス
第四十七条 蚕糸協同組合ノ合併ハ合併後存続スル蚕糸協同組合又ハ合併ニ因リテ設立スル蚕糸協同組合ガ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ於テ変更又ハ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ
第四十八条 合併後存続スル蚕糸協同組合又ハ合併ニ因リテ設立シタル蚕糸協同組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル蚕糸協同組合ノ権利義務ヲ承継ス
第四十九条 蚕糸協同組合解散シタルトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外理事清算人ト為ル但シ定款ニ別段ノ定アルトキ又ハ総会ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキ又ハ清算人ノ欠ケタルトキハ裁判所ハ利害関係人ノ申請ニ因リ又ハ職権ヲ以テ清算人ヲ選任ス
裁判所必要アリト認ムルトキハ職権ヲ以テ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第五十条 清算人ハ就職後遅滞ナク組合財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及貸借対照表ヲ作リ財産処分ノ方法ヲ定メ総会ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第五十一条 前条ノ承認アリタルトキハ清算人ハ遅滞ナク清算及財産処分ノ方法ヲ裁判所ニ届出ヅベシ
裁判所必要アリト認ムルトキハ清算人ニ対シ清算及財産処分ノ方法ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第五十二条 清算人ハ蚕糸協同組合ノ債務ヲ弁済スルニ非ザレバ組合財産ヲ処分スルコトヲ得ズ
第五十三条 清算事務終リタルトキハ清算人ハ遅滞ナク決算報告書ヲ作リ之ヲ総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
第五十四条 行政官庁ハ裁判所ニ対シ清算ニ関シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第五十五条 蚕糸協同組合ノ清算結了シタルトキハト裁判所ハ其ノ旨ヲ行政官庁ニ通知スベシ
第五十六条 民法第七十三条、第七十八条乃至第八十一条及第八十二条第二項並ニ非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項、第百三十六条第一項、第百三十七条及第百三十八条ノ規定ハ蚕糸協同組合ノ清算ニ之ヲ準用ス
第五節 登記
第五十七条 蚕糸協同組合ノ設立ノ登記ニハ左ノ事項ヲ掲グルコトヲ要ス
一 第六条第一号乃至第三号、第八号、第十五号及第十六号ニ掲グル事項
二 事務所
三 理事及監事ノ氏名及住所
四 出資ノ総口数
蚕糸協同組合ハ設立ノ登記ヲ為シタル後二週間以内ニ従タル事務所ノ所在地ニ於テ前項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第五十八条 蚕糸協同組合ノ成立後従タル事務所ヲ設ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間以内ニ従タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ前条第一項ニ掲グル事項ヲ登記シ他ノ従タル事務所ノ所在地ニ於テハ同期間内ニ其ノ従タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
主タル事務所又ハ従タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル登記所ノ管轄区域内ニ於テ新ニ従タル事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ従タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルヲ以テ足ル
第五十九条 蚕糸協同組合ガ主タル事務所ヲ移転シタルトキハ旧所在地ニ於テハ二週間以内ニ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ三週間以内ニ第五十七条第一項ニ掲グル事項ヲ登記シ従タル事務所ヲ移転シタルトキハ旧所在地ニ於テハ三週間以内ニ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ四週間以内ニ同項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス同一ノ登記所ノ管轄区域内ニ於テ主タル事務所又ハ従タル事務所ヲ移転シタルトキハ其ノ移転ノ登記ヲ為スヲ以テ足ル
第六十条 第五十七条第一項ニ掲グル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ変更ノ登記ヲ為スコトヲ要ス但シ出資ノ総口数ノ変更ノ登記ハ毎事業年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後主タル事務所ノ所在地ニ於テハ四週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ五週間以内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第六十一条 蚕糸協同組合ガ解散シタルトキハ合併及破産ノ場合ヲ除クノ外主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ解散ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第六十二条 蚕糸協同組合ガ合併ヲ為シタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ合併後存続スル組合ニ付テハ変更ノ登記、合併ニ因リテ消滅スル組合ニ付テハ解散ノ登記、合併ニ因リテ設立シタル組合ニ付テハ第五十七条第一項ニ掲グル事項ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第六十三条 蚕糸協同組合ハ清算人就職ノ日ヨリ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ清算人ノ氏名及住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十条ノ規定ハ前項ノ登記ニ之ヲ準用ス
第六十四条 蚕糸協同組合ノ清算ガ結了シタルトキハ清算結了ノ日ヨリ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ清算結了ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第六十五条 蚕糸協同組合ノ登記ニ付テハ其ノ事務所ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
各登記所ニ蚕糸協同組合登記簿ヲ備フ
第六十六条 蚕糸協同組合ノ設立ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ定款並ニ出資ノ総口数及出資第一回ノ払込アリタルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
合併ニ因ル設立ノ登記ノ申請書ニハ前項ニ掲グル書類ノ外本令ニ依リ催告ヲ為シタルコト及異議ヲ述ベタル債権者アル場合ニ於テハ之ニ対シ弁済ヲ為シ若ハ担保ヲ供シ又ハ信託ヲ為シタルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第五十七条第二項ノ規定ニ依ル登記ハ理事ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
第六十七条 蚕糸協同組合ノ事務所ノ新設又ハ事務所ノ移転其ノ他第五十七条第一項ニ掲グル事項ノ変更ノ登記ハ理事又ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ事務所ノ新設又ハ登記事項ノ変更ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
前条第三項ノ規定ハ合併又ハ出資一口ノ金額ノ減少ニ因ル変更ノ登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
第六十八条 第六十一条ノ規定ニ依ル解散ノ登記ハ第三項ニ規定スル場合ヲ除クノ外清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ解散ノ事由ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
行政官庁ガ蚕糸協同組合ノ解散ヲ命ジタル場合ニ於ケル解散ノ登記ハ当該行政官庁ノ嘱託ニ因リテ之ヲ為ス
第六十九条 第六十二条ノ規定ニ依ル解散ノ登記ハ合併ニ因リテ消滅スル蚕糸協同組合ノ理事ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
第六十六条第三項及前条第二項ノ規定ハ前項ノ申請ニ之ヲ準用ス
第七十条 第六十三条ノ規定ニ依ル登記ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
第六十三条第一項ノ規定ニ依ル登記ノ申請書ニハ理事ガ清算人タラザル場合ニ於テハ清算人ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第六十三条第二項ノ規定ニ依ル登記ノ申請書ニハ登記事項ノ変更ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第七十一条 蚕糸協同組合ノ清算結了ノ登記ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ登記ノ申請書ニハ清算人ガ第五十三条ノ規定ニ依リ決算報告書ノ承認ヲ得タルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第七十二条 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遅滞ナク之ヲ公告スルコトヲ要ス
第七十三条 非訟事件手続法第百四十一条乃至第百五十条、第百五十条ノ三乃至第百五十一条ノ六及第百五十四条乃至第百五十七条ノ規定ハ蚕糸協同組合ノ登記ニ之ヲ準用ス
第三章 蚕糸業会
第七十四条 蚕糸業法第三十一条第一項ノ規定ニ依リ蚕糸業会ヲ設立セントスルトキハ設立者ハ予メ左ノ事項ヲ行政官庁ニ届出ヅベシ
一 地区
二 会員タル資格
三 事業計画ノ概要
四 蚕糸業法第三十二条第一項ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徴収方法
五 会員ヲシテ出資ヲ為サシムル場合ニ在リテハ出資一口ノ金額及其ノ払込ノ方法
六 設立予定ノ年月日
第七十五条 蚕糸業会ノ設立者蚕糸業法第三十一条第一項ノ規定ニ依ル設立ノ同意ヲ求メントスルトキハ前条ニ掲グル事項ヲ記載シタル書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
設立ノ同意ハ前項ノ書面ニ記名捺印スルコトニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
第七十六条 前条ノ場合ニ於テ会員タル資格ヲ有スル者ノ事業ノ種類二以上アルトキハ事業ノ種類毎ニ各其ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第七十七条 設立者蚕糸業法第三十一条第一項ノ同意ヲ得タルトキハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
第七十八条 設立者創立総会ヲ招集スルニハ設立同意者ニ対シ少クトモ一週間前ニ会議ノ目的タル事項、日時及場所ヲ示シ招集ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
第七十九条 定款及左ノ事項ハ創立総会ノ議決ヲ経ベシ
一 蚕糸業会ノ負担ニ帰スベキ創立費及其ノ償却方法
二 初年度ニ於ケル蚕糸業法第三十二条第一項ノ規定ニ依ル賦課金ノ収支予算及賦課徴収方法
三 第一回ノ議員選挙ヲ行フベキ期日
第八十条 創立総会ノ議事ハ出席シタル設立者及設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ決ス
第八十一条 創立総会ニ於テハ代理人ヲ以テ議決権ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ設立者又ハ設立同意者タルコトヲ要ス
第八十二条 会員ヲシテ出資ヲ為サシムル蚕糸業会ノ設立者ハ創立総会終結シタル後遅滞ナク出資第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
第八十三条 蚕糸業会ノ設立ノ登記ノ申請書ニハ定款ノ外蚕糸業法第三十一条第一項ノ規定ニ依リ設立スル蚕糸業会ニ在リテハ同項ノ同意ヲ得タルコトヲ証スル書面及創立総会ノ議事録ノ謄本ヲ、同条第二項ノ規定ニ依リ設立スル蚕糸業会ニ在リテハ同項ノ認可アリタルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
会員ヲシテ出資ヲ為サシムル蚕糸業会ノ設立ノ登記ノ申請書ニハ前項ニ掲グル書類ノ外出資ノ総口数及出資第一回ノ払込アリタルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第八十四条 議員ノ任期ハ三年ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ定款ヲ以テ任期中ノ最終ノ決算期ニ関スル通常総会ノ終結ニ至ル迄其ノ任期ヲ伸長スルコトヲ妨ゲズ
第八十五条 蚕糸業法第三十二条第一項ノ規定ニ依リ会員ニ対シ賦課スルコトヲ得ル経費ハ同法第三十条第一項ニ掲グル事業ニ要スル経費ニ限ル
蚕糸業法第三十二条第一項ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徴収方法ハ総会ノ議決ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第八十六条 蚕糸業会ガ蚕糸業法第三十二条第二項ノ規定ニ依リ会員ヲシテ出資ヲ為サシムルコトヲ得ルハ同法第三十条第二項ニ掲グル事業ヲ行フ為必要アル場合ニ限ル
第八十七条 評議員会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ蚕糸業会ノ業務運営上重要ナル事項ヲ審議ス
評議員会ハ解散及合併ヲ除クノ外本令ニ依リ総会ノ権限ニ属セシメタル事項ノ中定款ヲ以テ定メタルモノ又ハ総会ノ決議ニ依リ委任ヲ受ケタルモノニ付総会ニ代リテ議決ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ総会ニ関スル規定ハ評議員会ニ之ヲ準用ス
第八十八条 蚕糸業会会員ノ事業ノ統制ニ関スル規程ヲ定メタルトキハ遅滞ナク行政官庁ニ之ヲ届出ヅベシ
第八十九条 蚕糸業法第三十八条ニ規定スル蚕糸業会ノ清算人ハ就職後遅滞ナク財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及貸借対照表ヲ作リ財産処分ノ方法ヲ定メ総会ノ承認ヲ経タル上農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ清算人ハ遅滞ナク清算及財産処分ノ方法ヲ裁判所ニ届出ヅベシ
裁判所必要アリト認ムルトキハ清算人ニ対シ清算及財産処分ノ方法ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第九十条 第二十四条及第六十六条第二項ノ規定ヲ除クノ外第二章ノ規定ハ蚕糸業会(蚕糸業法第三十八条ニ規定スル蚕糸業会ヲ除ク)ニ之ヲ準用ス
第二十四条、第五十条、第五十一条及第六十六条第二項ノ規定ヲ除クノ外第二章ノ規定ハ蚕糸業法第三十八条ニ規定スル蚕糸業会ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ昭和二十年法律第五十七号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
従前ノ蚕糸業法ニ依リ蚕糸共同施設組合登記簿ニ登記セラレタル事項ハ本令施行ノ日ニ於テ昭和二十年法律第五十七号及本令ニ依リ蚕糸協同組合登記簿ニ登記セラレタルモノト看做ス
蚕糸共同施設組合登記簿ニ登記セラレタル蚕糸共同施設組合ニシテ昭和二十年法律第五十七号附則第四項ノ規定ニ依リ同法ニ依リ設立シタル蚕糸協同組合ト看做サレタルモノニ付本令施行後最初ニ登記ヲ為シタルトキ(其ノ組合無限責任又ハ保証責任ノ組合ナル場合ニ於テハ同法附則第六項ノ規定ニ基ク変更ノ登記ヲ為シタルトキ)ハ登記官吏ハ職権ヲ以テ其ノ登記簿ノ登記ヲ蚕糸協同組合登記簿ニ移スベシ
昭和二十年法律第五十七号附則第四項ノ規定ニ依リ同法ニ依リ設立シタルモノト看做サレタル蚕糸協同組合ハ本令施行ノ日ヨリ三月以内ニ必要ナル定款ノ変更ヲ為シ第八条ノ規定ニ依ル届出ヲ為スベシ
従前ノ蚕糸業法ニ依リ設立シタル蚕糸共同施設組合ニシテ未ダ同法ニ依ル設立ノ登記ヲ為サザルモノハ本令施行ノ日ニ於テ解散ス
蚕糸共同施設組合ノ清算ニ関スル従前ノ蚕糸業法ノ規定ハ前項ノ蚕糸共同施設組合ニ付テハ仍其ノ効力ヲ有ス
日本蚕糸統制株式会社解散シタルトキハ社長、副社長及農林大臣ノ指名スル理事ヲ以テ清算人トス清算人欠ケタルトキハ農林大臣之ヲ選任ス
清算人ハ清算及財産処分ノ方法ニ付農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
農林大臣必要アリト認ムルトキハ清算及財産処分ノ方法ノ変更ヲ命ジ又ハ清算人ヲ解任スルコトヲ得
日本蚕糸統制株式会社ノ清算結了シタルトキハ清算人ハ清算ニ関スル一切ノ書類ヲ添ヘ其ノ旨ヲ農林大臣ニ届出ヅベシ
昭和四年勅令第三百六十五号、輸出生糸登録令、昭和十一年勅令第二百十号、原蚕種料金令及蚕糸業統制法施行令ハ之ヲ廃止ス
昭和十六年勅令第七十三号中左ノ通改正ス
第一条 削除
生糸検査手数料令中左ノ通改正ス
第一条及第六条中「蚕糸業統制法」ヲ「蚕糸業法」ニ改ム
蚕糸業統制法又ハ同法施行令ニ基キテ発シタル命令ニシテ左ニ掲グルモノハ之ヲ昭和二十年法律第五十七号又ハ本令ノ相当規定ニ基キテ発シタルモノト看做ス
一 玉糸座繰生糸製造業許可規則
二 繭検定規則
三 蚕糸生産費及繭糸需給調査規則
四 蚕蛹配給統制規則
五 生糸検査規則
左ニ掲グル免許其ノ他ノ行為及其ノ申請ハ之ヲ昭和二十年法律第五十七号又ハ本令ノ相当規定ニ依リ又ハ之ニ基キテ為シタルモノト看做ス
一 従前ノ蚕糸業法第五条ノ規定ニ依ル免許
二 従前ノ蚕糸業法第十一条ノ規定ニ依ル検査
三 従前ノ蚕糸業法第十九条ノ規定ニ基ク免許
四 原蚕種管理法第四条及同法第十一条ノ規定ニ依ル指定
五 蚕糸業統制法第十六条第一項乃至第三項ノ規定ニ基ク検査又ハ検定
六 蚕糸業統制法施行令第七条第二項ノ規定ニ依ル許可