朕戰時農業團令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年七月六日
內閣總理大臣 男爵 鈴木貫太郞
司法大臣 松阪廣政
厚生大臣 岡田忠彥
大藏大臣 廣瀨豐作
農商大臣 石黑忠篤
勅令第四百五號
戰時農業團令
第一條 國家總動員法第十八條ノ規定ニ基ク農業ニ關スル事業ノ統制及統制ノ爲ニスル經營ヲ目的トスル團體ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ依ル團體ハ戰時農業團トス
第三條 戰時農業團ハ國民經濟ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲農業ノ綜合的統制運營ヲ圖リ且之ニ必要ナル經營ヲ行フト共ニ農業ニ關スル國策ノ立案及遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第四條 戰時農業團ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ノ事業ヲ行フ
一 農業ノ指導奬勵其ノ他農業ノ發達ニ關スル施設
二 農業ノ統制ニ關スル施設
三 會員ノ販賣スル物ノ賣却又ハ其ノ加工ニ關スル施設
四 會員ニ必要ナル物ノ購買又ハ其ノ加工若ハ生產ニ關スル施設
五 會員ニ必要ナル設備ノ利用ニ關スル施設
六 農業ニ關スル調查及研究
七 農業ニ從事スル者ノ福利增進ニ關スル施設
八 前各號ノ事業ニ附帶スル事業
九 前各號ノ外戰時農業團ノ目的達成上必要ナル事業
第五條 戰時農業團ノ地區ハ全國ノ區域ニ依ル
第六條 戰時農業團ノ名稱ニハ戰時農業團ナル文字ヲ用フベシ
戰時農業團ニ非ザルモノハ其ノ名稱中ニ前項ニ揭グル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第七條 戰時農業團ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ道府縣農業會(東京都農業會及樺太農業會ヲ含ム以下同ジ)トス
第八條 戰時農業團ニ左ノ役員ヲ置ク
總裁 一人
副總裁 二人以內
理事 若干人
監事 若干人
第九條 總裁及副總裁ハ農業ニ關シ學識經驗アル者ノ中ヨリ農商大臣之ヲ命ズ
理事ハ總會ニ於テ推薦シタル者ニ就キ總裁之ヲ選任ス
監事ハ總會ニ於テ之ヲ選任ス
第十條 戰時農業團ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス但シ定款ヲ以テ理事又ハ監事ノ任期ハ次ノ總會ニ於ケル推薦ニ係ル理事ノ選任又ハ次ノ總會ニ於ケル監事ノ選任ニ至ル迄之ヲ伸長スルコトヲ得
總裁 三年
副總裁 三年
理事 三年
監事 二年
第十一條 戰時農業團ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル經費賦課ハ第四條第一號、第二號、第六號及第七號ノ事業竝ニ此等ノ事業ニ關係アル範圍內ニ於ケル第八號ノ事業竝ニ第九號ノ事業ニ關スル經費ニ限ル
第十二條 戰時農業團ハ前條第二項ノ事業ヲ行フ爲特ニ必要アルトキハ其ノ會員ノ全部又ハ一部ニ對シ同條ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第十三條 戰時農業團ノ會員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第十四條 戰時農業團ノ會員ノ責任ハ第十一條及第十二條ノ規定ニ依ル經費負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第十五條 戰時農業團ノ會員ハ解散ニ因リテ脫退ス
第十六條 戰時農業團ハ其ノ會員又ハ會員タル團體ヲ組織スル者ノ農業ニ關スル事業ニ關スル統制規程ヲ設定スベシ
第十七條 統制規程ノ設定及變更ハ農商大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十八條 戰時農業團ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ハ戰時農業團ノ統制規程ニ依ルベシ
第十九條 戰時農業團ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 破產
二 會員ガ一人ト爲リタルコト
三 第二十四條ニ於テ準用スル農業團體法第四十七條ノ規定ニ依ル解散ノ命令
第二十條 戰時農業團ニハ國家總動員法第十八條ノ三ノ規定ニ依リ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ
第二十一條 郵便貯金法、印紙稅法、登錄稅法、特別法人稅法、農業團體自治監查法、農業倉庫業法及農林中央金庫法ノ適用ニ關シテハ戰時農業團ハ之ヲ全國農業經濟會又ハ農業團體ト看做シ戰時農業團令ハ之ヲ農業團體法ト看做ス
第二十二條 農商大臣ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ戰時農業團ヨリ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ其ノ事務所、事業場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢查セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢查セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第二十三條 農商大臣ハ戰時農業團監理官ヲ置キ戰時農業團ノ事業運營ノ適正ヲ期セシムル爲必要ナル指導監督ニ當ラシム
戰時農業團監理官ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ戰時農業團ニ命ジテ業務及財產ノ狀況ヲ報吿セシメ且戰時農業團ニ對シ事業ノ施行ニ關シ必要ナル指導ヲ爲シ其ノ他必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
戰時農業團監理官ハ戰時農業團ノ諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第二十四條 農業團體法第三條、第四條、第六條、第八條、第十一條第四項、第十八條、第十九條、第二十條第一項及第二項本文、第二十一條乃至第二十五條、第二十八條第一項乃至第四項、第三十條第二項及第三項、第三十三條、第三十五條、第四十條、第四十三條竝ニ第四十五條乃至第四十七條ノ規定ハ戰時農業團ニ付之ヲ準用ス但シ行政官廳トアルハ農商大臣トシ勅令トアルハ命令トシ第二十一條第二項中第一號及第二號トアルハ第一號トシ第三十條第二項中副會長又ハ理事トアルハ理事トシ第四十六條中會長トアルハ總裁又ハ副總裁トシ副會長、理事、監事又ハ評議員トアルハ理事又ハ監事トス
第二十五條 農業團體法施行令第十一條乃至第十四條、第十七條乃至第二十四條、第二十六條第一項、第二十七條乃至第三十八條、第四十三條、第四十五條、第四十六條、第五十四條乃至第六十條及第七十一條ノ規定ハ戰時農業團ニ付之ヲ準用ス但シ地方長官トアルハ農商大臣トス
第二十六條 本令ニ規定スルモノノ外戰時農業團ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
第二十七條 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ第三十九條乃至第四十三條ノ規定ハ戰時農業團成立ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二十八條 農商大臣ハ戰時農業團ノ會員タル資格ヲ有スル者ニ對シ戰時農業團ノ設立ヲ命ズ
前項ノ命令ヲ受ケタル者ハ遲滯ナク設立委員ヲ選任スベシ
第二十九條 農商大臣ハ前條第一項ノ規定ニ依リ戰時農業團ノ設立ヲ命ジタルトキハ國家總動員法第十六條ノ三ノ規定ニ依リ中央農業會及全國農業經濟會(以下解散法人ト稱ス)ニ對シ其ノ解散ヲ命ズ
解散法人ハ戰時農業團成立ノ時解散スルモノトシ其ノ權利義務(解散法人ガ其ノ行フ事業ニ關シ行政官廳ノ許可、認可其ノ他ノ處分ニ基キ有スル權利義務ヲ含ム)ハ戰時農業團之ヲ承繼ス此ノ場合ニ於テハ他ノ法令中解散及淸算ニ關スル規定ハ之ヲ解散法人ニ適用セズ
第三十條 設立委員ハ定款、全國農業經濟會ノ出資ニ對スル戰時農業團ノ出資ノ引當、設立當時ノ理事ノ推薦、設立當時ノ監事ノ選任其ノ他設立ニ必要ナル事項ヲ定メ農商大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十一條 戰時農業團ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第三十二條 農業團體法施行令第八十二條、第八十七條、第八十八條及第九十五條ノ規定ハ戰時農業團ノ設立ニ付之ヲ準用ス
第三十三條 戰時農業團第二十九條第二項ノ規定ニ依リ解散法人ヨリ不動產又ハ船舶ニ關スル權利ヲ承繼スル場合ニ於テ其ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキハ國家總動員法第十八條ノ三ノ規定ニ依リ其ノ登錄稅ノ額ハ不動產又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ三トス但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅ノ額ガ本令ニ依リ算出シタル稅額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
第三十四條 戰時農業團ガ第二十九條第二項ノ規定ニ依リ解散法人ノ權利義務ヲ承繼スル場合ニ於テハ特別法人稅法ノ適用ニ關シテハ解散法人ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ト看做シ戰時農業團ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ト看做ス
戰時農業團ガ第二十九條第二項ノ規定ニ依リ解散法人ヨリ承繼シタル財產ニ付テハ特別法人稅法ニ依ル剩餘金ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第三十五條 戰時農業團成立シタルトキハ全國農業經濟會ヲ組織スル者ニシテ第七條ノ規定ニ依ル會員タル資格ヲ有セザルモノハ同條ノ規定ニ拘ラズ戰時農業團成立ノ日ヨリ三月ヲ限リ總テ其ノ會員トス
前項ノ規定ニ依ル會員ハ同項ノ期間ノ滿了、解散及持分ノ全部ノ讓渡ニ因リテ脫退ス此ノ場合ニ於テハ道府縣農業會ノ脫退ノ例ニ依ル
第三十六條 農商大臣必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第十六條ノ二ノ規定ニ基キ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ戰時農業團ノ會員ト爲リタル者ニ對シ其ノ持分ヲ道府縣農業會ニ讓渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル者ハ第二十五條ニ於テ準用スル農業團體法施行令第三十七條ノ規定ニ拘ラズ其ノ持分ノ讓渡ヲ爲スコトヲ得
第三十七條 前條ノ場合ニ於テ農商大臣ハ道府縣農業會ニ對シ前條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十八條 前二條ノ場合ニ於ケル持分ノ讓渡ノ條件ハ當事者間ノ協議ニ依ル
前項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ爲スコト能ハザルトキハ地方長官ハ讓渡ニ關シ必要ナル決定ヲ爲スコトヲ得
第三十九條 特別法人稅法施行規則中左ノ通改正ス
第四條、第五條第一項及第六條中「全國農業經濟會」ヲ「戰時農業團」ニ改ム
第四十條 農業團體自治監查法施行令中左ノ通改正ス
第一條第一號中「農業團體」ヲ「農業團體(戰時農業團ヲ含ム以下同ジ)」ニ改ム
第四十一條 蠶絲業統制法施行令中左ノ通改正ス
第一條第二號中「中央農業會」ヲ「戰時農業團」ニ改ム
第四十二條 食糧管理法施行令中左ノ通改正ス
第九條中「全國農業經濟會」ヲ「戰時農業團」ニ改ム
第四十三條 昭和十九年勅令第二百六十八號中左ノ通改正ス
第二條第五十八號中「、全國農業經濟會及中央農業會」ヲ「及戰時農業團」ニ改ム
第三條第二號中「中央農業會」ヲ「戰時農業團」ニ改ム
朕戦時農業団令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年七月六日
内閣総理大臣 男爵 鈴木貫太郎
司法大臣 松阪広政
厚生大臣 岡田忠彦
大蔵大臣 広瀬豊作
農商大臣 石黒忠篤
勅令第四百五号
戦時農業団令
第一条 国家総動員法第十八条ノ規定ニ基ク農業ニ関スル事業ノ統制及統制ノ為ニスル経営ヲ目的トスル団体ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ依ル団体ハ戦時農業団トス
第三条 戦時農業団ハ国民経済ノ総力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル為農業ノ綜合的統制運営ヲ図リ且之ニ必要ナル経営ヲ行フト共ニ農業ニ関スル国策ノ立案及遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第四条 戦時農業団ハ其ノ目的ヲ達スル為左ノ事業ヲ行フ
一 農業ノ指導奨励其ノ他農業ノ発達ニ関スル施設
二 農業ノ統制ニ関スル施設
三 会員ノ販売スル物ノ売却又ハ其ノ加工ニ関スル施設
四 会員ニ必要ナル物ノ購買又ハ其ノ加工若ハ生産ニ関スル施設
五 会員ニ必要ナル設備ノ利用ニ関スル施設
六 農業ニ関スル調査及研究
七 農業ニ従事スル者ノ福利増進ニ関スル施設
八 前各号ノ事業ニ附帯スル事業
九 前各号ノ外戦時農業団ノ目的達成上必要ナル事業
第五条 戦時農業団ノ地区ハ全国ノ区域ニ依ル
第六条 戦時農業団ノ名称ニハ戦時農業団ナル文字ヲ用フベシ
戦時農業団ニ非ザルモノハ其ノ名称中ニ前項ニ掲グル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第七条 戦時農業団ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ道府県農業会(東京都農業会及樺太農業会ヲ含ム以下同ジ)トス
第八条 戦時農業団ニ左ノ役員ヲ置ク
総裁 一人
副総裁 二人以内
理事 若干人
監事 若干人
第九条 総裁及副総裁ハ農業ニ関シ学識経験アル者ノ中ヨリ農商大臣之ヲ命ズ
理事ハ総会ニ於テ推薦シタル者ニ就キ総裁之ヲ選任ス
監事ハ総会ニ於テ之ヲ選任ス
第十条 戦時農業団ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス但シ定款ヲ以テ理事又ハ監事ノ任期ハ次ノ総会ニ於ケル推薦ニ係ル理事ノ選任又ハ次ノ総会ニ於ケル監事ノ選任ニ至ル迄之ヲ伸長スルコトヲ得
総裁 三年
副総裁 三年
理事 三年
監事 二年
第十一条 戦時農業団ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ経費ヲ賦課スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル経費賦課ハ第四条第一号、第二号、第六号及第七号ノ事業並ニ此等ノ事業ニ関係アル範囲内ニ於ケル第八号ノ事業並ニ第九号ノ事業ニ関スル経費ニ限ル
第十二条 戦時農業団ハ前条第二項ノ事業ヲ行フ為特ニ必要アルトキハ其ノ会員ノ全部又ハ一部ニ対シ同条ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第十三条 戦時農業団ノ会員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第十四条 戦時農業団ノ会員ノ責任ハ第十一条及第十二条ノ規定ニ依ル経費負担ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第十五条 戦時農業団ノ会員ハ解散ニ因リテ脱退ス
第十六条 戦時農業団ハ其ノ会員又ハ会員タル団体ヲ組織スル者ノ農業ニ関スル事業ニ関スル統制規程ヲ設定スベシ
第十七条 統制規程ノ設定及変更ハ農商大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十八条 戦時農業団ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ハ戦時農業団ノ統制規程ニ依ルベシ
第十九条 戦時農業団ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 破産
二 会員ガ一人ト為リタルコト
三 第二十四条ニ於テ準用スル農業団体法第四十七条ノ規定ニ依ル解散ノ命令
第二十条 戦時農業団ニハ国家総動員法第十八条ノ三ノ規定ニ依リ所得税、法人税及営業税ヲ課セズ
第二十一条 郵便貯金法、印紙税法、登録税法、特別法人税法、農業団体自治監査法、農業倉庫業法及農林中央金庫法ノ適用ニ関シテハ戦時農業団ハ之ヲ全国農業経済会又ハ農業団体ト看做シ戦時農業団令ハ之ヲ農業団体法ト看做ス
第二十二条 農商大臣ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ戦時農業団ヨリ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ其ノ事務所、事業場其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第二十三条 農商大臣ハ戦時農業団監理官ヲ置キ戦時農業団ノ事業運営ノ適正ヲ期セシムル為必要ナル指導監督ニ当ラシム
戦時農業団監理官ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ戦時農業団ニ命ジテ業務及財産ノ状況ヲ報告セシメ且戦時農業団ニ対シ事業ノ施行ニ関シ必要ナル指導ヲ為シ其ノ他必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
戦時農業団監理官ハ戦時農業団ノ諸般ノ会議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第二十四条 農業団体法第三条、第四条、第六条、第八条、第十一条第四項、第十八条、第十九条、第二十条第一項及第二項本文、第二十一条乃至第二十五条、第二十八条第一項乃至第四項、第三十条第二項及第三項、第三十三条、第三十五条、第四十条、第四十三条並ニ第四十五条乃至第四十七条ノ規定ハ戦時農業団ニ付之ヲ準用ス但シ行政官庁トアルハ農商大臣トシ勅令トアルハ命令トシ第二十一条第二項中第一号及第二号トアルハ第一号トシ第三十条第二項中副会長又ハ理事トアルハ理事トシ第四十六条中会長トアルハ総裁又ハ副総裁トシ副会長、理事、監事又ハ評議員トアルハ理事又ハ監事トス
第二十五条 農業団体法施行令第十一条乃至第十四条、第十七条乃至第二十四条、第二十六条第一項、第二十七条乃至第三十八条、第四十三条、第四十五条、第四十六条、第五十四条乃至第六十条及第七十一条ノ規定ハ戦時農業団ニ付之ヲ準用ス但シ地方長官トアルハ農商大臣トス
第二十六条 本令ニ規定スルモノノ外戦時農業団ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
第二十七条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ第三十九条乃至第四十三条ノ規定ハ戦時農業団成立ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二十八条 農商大臣ハ戦時農業団ノ会員タル資格ヲ有スル者ニ対シ戦時農業団ノ設立ヲ命ズ
前項ノ命令ヲ受ケタル者ハ遅滞ナク設立委員ヲ選任スベシ
第二十九条 農商大臣ハ前条第一項ノ規定ニ依リ戦時農業団ノ設立ヲ命ジタルトキハ国家総動員法第十六条ノ三ノ規定ニ依リ中央農業会及全国農業経済会(以下解散法人ト称ス)ニ対シ其ノ解散ヲ命ズ
解散法人ハ戦時農業団成立ノ時解散スルモノトシ其ノ権利義務(解散法人ガ其ノ行フ事業ニ関シ行政官庁ノ許可、認可其ノ他ノ処分ニ基キ有スル権利義務ヲ含ム)ハ戦時農業団之ヲ承継ス此ノ場合ニ於テハ他ノ法令中解散及清算ニ関スル規定ハ之ヲ解散法人ニ適用セズ
第三十条 設立委員ハ定款、全国農業経済会ノ出資ニ対スル戦時農業団ノ出資ノ引当、設立当時ノ理事ノ推薦、設立当時ノ監事ノ選任其ノ他設立ニ必要ナル事項ヲ定メ農商大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十一条 戦時農業団ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第三十二条 農業団体法施行令第八十二条、第八十七条、第八十八条及第九十五条ノ規定ハ戦時農業団ノ設立ニ付之ヲ準用ス
第三十三条 戦時農業団第二十九条第二項ノ規定ニ依リ解散法人ヨリ不動産又ハ船舶ニ関スル権利ヲ承継スル場合ニ於テ其ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキハ国家総動員法第十八条ノ三ノ規定ニ依リ其ノ登録税ノ額ハ不動産又ハ船舶ノ価格ノ千分ノ三トス但シ登録税法ニ依リ算出シタル登録税ノ額ガ本令ニ依リ算出シタル税額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
第三十四条 戦時農業団ガ第二十九条第二項ノ規定ニ依リ解散法人ノ権利義務ヲ承継スル場合ニ於テハ特別法人税法ノ適用ニ関シテハ解散法人ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ト看做シ戦時農業団ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ト看做ス
戦時農業団ガ第二十九条第二項ノ規定ニ依リ解散法人ヨリ承継シタル財産ニ付テハ特別法人税法ニ依ル剰余金ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第三十五条 戦時農業団成立シタルトキハ全国農業経済会ヲ組織スル者ニシテ第七条ノ規定ニ依ル会員タル資格ヲ有セザルモノハ同条ノ規定ニ拘ラズ戦時農業団成立ノ日ヨリ三月ヲ限リ総テ其ノ会員トス
前項ノ規定ニ依ル会員ハ同項ノ期間ノ満了、解散及持分ノ全部ノ譲渡ニ因リテ脱退ス此ノ場合ニ於テハ道府県農業会ノ脱退ノ例ニ依ル
第三十六条 農商大臣必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第十六条ノ二ノ規定ニ基キ命令ノ定ムル所ニ依リ前条ノ規定ニ依リ戦時農業団ノ会員ト為リタル者ニ対シ其ノ持分ヲ道府県農業会ニ譲渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル者ハ第二十五条ニ於テ準用スル農業団体法施行令第三十七条ノ規定ニ拘ラズ其ノ持分ノ譲渡ヲ為スコトヲ得
第三十七条 前条ノ場合ニ於テ農商大臣ハ道府県農業会ニ対シ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ関シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十八条 前二条ノ場合ニ於ケル持分ノ譲渡ノ条件ハ当事者間ノ協議ニ依ル
前項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ地方長官ハ譲渡ニ関シ必要ナル決定ヲ為スコトヲ得
第三十九条 特別法人税法施行規則中左ノ通改正ス
第四条、第五条第一項及第六条中「全国農業経済会」ヲ「戦時農業団」ニ改ム
第四十条 農業団体自治監査法施行令中左ノ通改正ス
第一条第一号中「農業団体」ヲ「農業団体(戦時農業団ヲ含ム以下同ジ)」ニ改ム
第四十一条 蚕糸業統制法施行令中左ノ通改正ス
第一条第二号中「中央農業会」ヲ「戦時農業団」ニ改ム
第四十二条 食糧管理法施行令中左ノ通改正ス
第九条中「全国農業経済会」ヲ「戦時農業団」ニ改ム
第四十三条 昭和十九年勅令第二百六十八号中左ノ通改正ス
第二条第五十八号中「、全国農業経済会及中央農業会」ヲ「及戦時農業団」ニ改ム
第三条第二号中「中央農業会」ヲ「戦時農業団」ニ改ム