勤労統計調査令
法令番号: 勅令第二百六十五號
公布年月日: 昭和19年4月15日
法令の形式: 勅令
朕勤勞統計調査令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年四月十四日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 軍需大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
司法大臣 岩村通世
海軍大臣 嶋田繁太郞
內務大臣 安藤紀三郞
大東亞大臣 靑木一男
外務大臣 重光葵
文部大臣 子爵 岡部長景
大藏大臣 石渡莊太郞
農商大臣 內田信也
運輸通信大臣 五島慶太
勅令第二百六十五號
勤勞統計調査令
第一章 總則
第一條 大正十一年法律第五十二號(昭和十六年勅令第三百七十九號ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ基ク勞働及技術ノ統計ニ關スル實地調査(勤勞統計調査)ノ施行ニ關シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
勤勞統計調査ヲ分ツテ年次勤勞統計調査、每月勤勞統計調査及特別勤勞統計調査トス
第二條 本令ニ於テ工業事業場ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業場ヲ謂フ
一 一定ノ場所ニ於テ物ノ製造、加工、淨洗、選別、包裝、修理又ハ解體ノ事業ヲ營ムモノ(工場)
二 一定ノ場所ニ於テガス、電氣若ハ各種動力ノ發生、變更若ハ傳導ヲ爲ス事業又ハ水道ノ事業ヲ營ムモノ(ガス電氣水道事業場)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、變更、破壞又ハ其ノ準備ノ事業ヲ營ムモノ(土木建築事業場)
本令ニ於テ鑛業事業場ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業場ヲ謂フ
一 鑛業法又ハ砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(採鑛事業場)
二 土石ヲ採取スル事業ヲ營ムモノ(土石採取事業場)
本令ニ於テ交通事業場ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業場ヲ謂フ
一 地方鐵道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(地方鐵道)
二 軌道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(軌道)
三 索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(架空索道)
四 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業ヲ營ムモノ(乘合自動車事業場)
五 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業ヲ營ムモノ(旅客自動車事業場)
六 自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業ヲ營ムモノ(貨物自動車事業場)
七 小運送業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(小運送事業場)
八 前各號ノ事業以外ノ陸上運輸又ハ運送取扱ノ事業ヲ營ムモノ(其ノ他ノ陸上運輸事業場)
九 航空機ニ依リ旅客又ハ貨物ノ運送事業ヲ營ムモノ(航空輸送事業場)
十 囘漕業ヲ營ムモノ(囘漕事業場)
十一 通信事業ヲ營ムモノ(通信事業場)
本令ニ於テ其ノ他ノ事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ニシテ使用從業者(家族及之ニ準ズベキ者ヲ除ク)ヲ有スルモノヲ謂フ
一 工業、鑛業又ハ交通業ヲ營ムモノニシテ工業事業場、鑛業事業場又ハ交通事業場ニ非ザルモノ(工鑛交通業事務所)
二 工業、鑛業及交通業以外ノ事業ヲ營ムモノ(其ノ他ノ產業事業體)
本令ニ於テ事業體ト稱スルハ第一項乃至第三項ノ事業場及前項ノ其ノ他ノ事業體ヲ謂フ
本令ニ於テ調査船舶ト稱スルハ帝國臣民又ハ帝國法人ニ使用セラルル船舶法、朝鮮船舶令若ハ關東州船籍令ノ適用ヲ受クル總噸數二十噸以上ノ船舶又ハ之ニ準ズル日本船舶ニ非ザル船舶ヲ謂フ
本令ニ於テ調査世帶ト稱スルハ家事使用人(家族及之ニ準ズベキ者ヲ除ク)ヲ有スル世帶ヲ謂フ
第三條 本令ニ於テ事業主又ハ世帶主ト稱スルハ事業體若ハ船舶ヲ使用スル事務所又ハ世帶ヲ事實上管理スル者ヲ謂フ
第四條 二以上ノ都府縣又ハ二以上ノ鑛山監督局ノ管轄區域ニ跨ル事業體ニ付テハ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官、鑛山監督局長第十二條若ハ第十三條、第二十六條、第二十九條若ハ第三十條又ハ第三十七條若ハ第三十八條ノ職權ヲ行フ
第五條 本令中第三十七條第二項ノ場合ヲ除クノ外市町村及市町村長ニ關スル規定ハ東京都ノ區ノ存スル區域ニ在リテハ區及區長ニ、都廳府縣支廳、都廳府縣支廳長、市町村竝ニ市町村長及町村長ニ關スル規定ハ市制第六條及第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ各市、市長、區及區長ニ之ヲ適用シ本令中市町村トアリ又ハ市町村長トアリ若ハ町村長トアルハ町村又ハ町村長ニ準ズベキモノヲ包含ス
第六條 本令ニ定ムルモノノ外必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 年次勤勞統計調査
第七條 調査ハ每年六月末現在ニ依リ之ヲ行フ
各年ノ調査ノ名稱ニハ之ヲ行フ年次每ニ其ノ年號ヲ冠ス
第八條 調査ハ官營ニ屬セザル事業體、船舶又ハ世帶ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付之ヲ行フ
一 工業事業場
二 鑛業事業場
三 交通事業場
四 其ノ他ノ事業體
五 調査船舶
六 調査世帶
第九條 調査ハ事業體、船舶又ハ世帶ニ付從業者ノ內譯、異動其ノ他勤勞ニ關スル事項ニシテ閣令ヲ以テ定ムルモノヲ調査ス
第十條 調査ハ事業體、船舶ヲ使用スル事務所又ハ世帶ニ就キ之ヲ行フ
第十一條 事業體ノ事業主、船舶ヲ使用スル事務所ノ事業主又ハ世帶主ハ第九條ノ事項ヲ申吿スル義務アルモノトス
第十二條 地方長官ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業場ヲ除キタル他ノ事業體(樺太ニ在リテハ採鑛事業場ヲ含ム)及世帶ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十三條 鑛山監督局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業場ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十四條 海運局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ニ在ル事務所ニ於テ使用スル船舶ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十五條 都廳府縣支廳長ハ地方長官ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業場ヲ除キタル他ノ事業體(樺太ニ在リテハ採鑛事業場ヲ含ム)及世帶ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十六條 市町村長ハ採鑛事業場ヲ除キタル他ノ事業體(樺太ニ在リテハ採鑛事業場ヲ含ム)及世帶ニ付テハ地方長官(都廳府縣支廳長ノ管轄區域內ノ町村長ハ當該支廳長)、採鑛事業場(樺太ニ在ルモノヲ除ク)ニ付テハ鑛山監督局長、船舶ニ付テハ海運局長ノ指揮監督ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ事業體、船舶ヲ使用スル事務所及世帶ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十七條 調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル爲必要アルトキハ都廳府縣、鑛山監督局、海運局、都廳府縣支廳又ハ市ニ勤勞統計調査指導員(以下指導員ト稱ス)ヲ置クコトヲ得
第十八條 調査ノ事務ヲ執行セシムル爲市町村ニ勤勞統計調査員(以下調査員ト稱ス)ヲ置ク
第十九條 指導員ハ每年地方長官、鑛山監督局長又ハ海運局長之ヲ命ズ
第二十條 調査員ハ每年地方長官之ヲ命ズ
第二十一條 指導員及調査員ハ名譽職トス
第二十二條 調査員ニハ內閣總理大臣ノ定ムル證票ヲ交付シ職務執行ノ際之ヲ携帶セシム
第二十三條 調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ調査票用紙ノ配付、調査票ノ蒐集其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第二十四條 官營ニ屬スル事業體及船舶ニ關シテハ各其ノ主務大臣本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手續ハ主務大臣內閣總理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第三章 每月勤勞統計調査
第二十五條 調査ハ每月末現在ニ依リ之ヲ行フ
第二十六條 調査ハ官營ニ屬セザル左ノ事業場ニシテ地方長官ノ指定スルモノ、官營ニ屬セザル採鑛事業場ニシテ鑛山監督局長ノ指定スルモノ及官營ニ屬セザル船舶運輸事務所ニシテ海運局長ノ指定スルモノニ使用セラルル運輸ニ從事スル調査船舶ニ付之ヲ行フ
一 工場
二 ガス電氣水道事業場
三 地方鐵道
四 軌道
五 乘合自動車事業場
六 旅客自動車事業場
七 貨物自動車事業場
八 小運送事業場
九 囘漕事業場
第二十七條 調査ハ事業場又ハ船舶ニ付從業者ノ內譯、異動其ノ他勤勞ニ關スル事項ニシテ閣令ヲ以テ定ムルモノヲ調査ス
第二十八條 事業場ノ事業主又ハ船舶運輸事務所ノ事業主ハ前條ノ事項ヲ申吿スル義務アルモノトス
第二十九條 地方長官ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ第二十六條各號ニ揭グル事業場ノ調査ニ關スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十條 鑛山監督局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業場ノ調査ニ關スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十一條 海運局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ニ在ル船舶運輸事務所ニ使用セラルル運輸ニ從事スル調査船舶ノ調査ニ關スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十二條 內閣總理大臣ノ指定スル官營ニ屬スル事業場ニ關シテハ各其ノ主務大臣本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手續ハ主務大臣內閣總理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第四章 特別勤勞統計調査
第三十三條 調査ハ每月末現在ニ依リ之ヲ行フ
第三十四條 調査ハ官營ニ屬セザル左ノ各號ノ一ニ該當スル事業場ニ付之ヲ行フ
一 內閣總理大臣ノ指定スル重要ナル工業事業場、鑛業事業場及交通事業場
二 總噸數百噸以上ノ鋼船ノ製造設備ヲ有スル事業場及總噸數百噸以上ノ船舶ノ入渠又ハ上架設備ヲ有スル事業場
第三十五條 調査ハ事業場ニ付從業者ノ內譯、異動其ノ他勤勞ニ關スル事項ニシテ閣令ヲ以テ定ムルモノヲ調査ス
第三十六條 事業場ノ事業主ハ前條ノ事項ヲ申吿スル義務アルモノトス
第三十七條 地方長官ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業場ヲ除キタル他ノ事業場ノ調査ニ關スル事務ノ執行ヲ管掌ス
地方長官ハ其ノ指揮監督ノ下ニ市町村長(東京都竝ニ市制第六條及第八十二條第三項ノ市ノ區長ヲ含ム)ヲシテ調査ニ關スル事務ノ一部ノ執行ヲ掌ラシムルコトヲ得
第三十八條 鑛山監督局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業場ノ調査ニ關スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十九條 內閣總理大臣ノ指定スル官營ニ屬スル事業場ニ關シテハ各其ノ主務大臣本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手續ハ主務大臣內閣總理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第五章 外地特例
第四十條 本令中鑛業法又ハ砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業トアル朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、地方鐵道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、軌道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業トアルハ朝鮮、關東州及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業トアルハ朝鮮、關東州及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業トアルハ朝鮮、關東州及南洋群島ニ於テ、小運送業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、關東州及南洋群島ニ於テ各其ノ事業ニ準ズベキモノヲ謂フ
本令中閣令トアルハ朝鮮及臺灣、關東州竝ニ南洋群島ニ在リテハ各總督府令、局令又ハ廳令トス
第四十一條 朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ必要アルトキハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使又ハ南洋廳長官內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ第二條、第七條乃至第九條、第二十六條、第二十七條、第三十四條及第三十五條ノ規定ニ拘ラズ調査ノ時期、範圍及事項ニ關シ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使又ハ南洋廳長官內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ每月勤勞統計調査及特別勤勞統計調査ハ當分ノ內之ヲ行ハザルコトヲ得
第四十二條 朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於ケル調査ノ執行ニ關シテハ第四條、第五條、第十二條乃至第二十四條、第二十九條乃至第三十二條及第三十七條乃至第三十九條ノ規定ヲ適用セズ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使又ハ南洋廳長官ニ於テ內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ別ニ其ノ手續ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
每月勤勞統計調査及特別勤勞統計調査ニ關スル規定ハ昭和十九年七月末現在ニ依リ行フ調査ヨリ之ヲ適用ス
年次勤勞統計調査ニ關スル規定ハ朝鮮、臺灣及關東州ニ在リテハ昭和二十年年次勤勞統計調査ヨリ、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ定ムル年次ノ年次勤勞統計調査ヨリ之ヲ適用ス
勞働技術統計調査令ハ之ヲ廢止ス但シ朝鮮、臺灣及關東州ニ在リテハ昭和十九年勞働技術統計調査ニ關シ仍其ノ效力ヲ有ス
勞働統計每月調査令ハ昭和十九年六月末日現在ニ依リ行フ調査限リ之ヲ廢止ス
朕勤労統計調査令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年四月十四日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 軍需大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
司法大臣 岩村通世
海軍大臣 嶋田繁太郎
内務大臣 安藤紀三郎
大東亜大臣 青木一男
外務大臣 重光葵
文部大臣 子爵 岡部長景
大蔵大臣 石渡荘太郎
農商大臣 内田信也
運輸通信大臣 五島慶太
勅令第二百六十五号
勤労統計調査令
第一章 総則
第一条 大正十一年法律第五十二号(昭和十六年勅令第三百七十九号ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ基ク労働及技術ノ統計ニ関スル実地調査(勤労統計調査)ノ施行ニ関シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
勤労統計調査ヲ分ツテ年次勤労統計調査、毎月勤労統計調査及特別勤労統計調査トス
第二条 本令ニ於テ工業事業場ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業場ヲ謂フ
一 一定ノ場所ニ於テ物ノ製造、加工、浄洗、選別、包装、修理又ハ解体ノ事業ヲ営ムモノ(工場)
二 一定ノ場所ニ於テガス、電気若ハ各種動力ノ発生、変更若ハ伝導ヲ為ス事業又ハ水道ノ事業ヲ営ムモノ(ガス電気水道事業場)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、変更、破壊又ハ其ノ準備ノ事業ヲ営ムモノ(土木建築事業場)
本令ニ於テ鉱業事業場ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業場ヲ謂フ
一 鉱業法又ハ砂鉱法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(採鉱事業場)
二 土石ヲ採取スル事業ヲ営ムモノ(土石採取事業場)
本令ニ於テ交通事業場ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業場ヲ謂フ
一 地方鉄道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(地方鉄道)
二 軌道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(軌道)
三 索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(架空索道)
四 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業ヲ営ムモノ(乗合自動車事業場)
五 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業ヲ営ムモノ(旅客自動車事業場)
六 自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業ヲ営ムモノ(貨物自動車事業場)
七 小運送業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(小運送事業場)
八 前各号ノ事業以外ノ陸上運輸又ハ運送取扱ノ事業ヲ営ムモノ(其ノ他ノ陸上運輸事業場)
九 航空機ニ依リ旅客又ハ貨物ノ運送事業ヲ営ムモノ(航空輸送事業場)
十 回漕業ヲ営ムモノ(回漕事業場)
十一 通信事業ヲ営ムモノ(通信事業場)
本令ニ於テ其ノ他ノ事業体ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業体ニシテ使用従業者(家族及之ニ準ズベキ者ヲ除ク)ヲ有スルモノヲ謂フ
一 工業、鉱業又ハ交通業ヲ営ムモノニシテ工業事業場、鉱業事業場又ハ交通事業場ニ非ザルモノ(工鉱交通業事務所)
二 工業、鉱業及交通業以外ノ事業ヲ営ムモノ(其ノ他ノ産業事業体)
本令ニ於テ事業体ト称スルハ第一項乃至第三項ノ事業場及前項ノ其ノ他ノ事業体ヲ謂フ
本令ニ於テ調査船舶ト称スルハ帝国臣民又ハ帝国法人ニ使用セラルル船舶法、朝鮮船舶令若ハ関東州船籍令ノ適用ヲ受クル総噸数二十噸以上ノ船舶又ハ之ニ準ズル日本船舶ニ非ザル船舶ヲ謂フ
本令ニ於テ調査世帯ト称スルハ家事使用人(家族及之ニ準ズベキ者ヲ除ク)ヲ有スル世帯ヲ謂フ
第三条 本令ニ於テ事業主又ハ世帯主ト称スルハ事業体若ハ船舶ヲ使用スル事務所又ハ世帯ヲ事実上管理スル者ヲ謂フ
第四条 二以上ノ都府県又ハ二以上ノ鉱山監督局ノ管轄区域ニ跨ル事業体ニ付テハ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官、鉱山監督局長第十二条若ハ第十三条、第二十六条、第二十九条若ハ第三十条又ハ第三十七条若ハ第三十八条ノ職権ヲ行フ
第五条 本令中第三十七条第二項ノ場合ヲ除クノ外市町村及市町村長ニ関スル規定ハ東京都ノ区ノ存スル区域ニ在リテハ区及区長ニ、都庁府県支庁、都庁府県支庁長、市町村並ニ市町村長及町村長ニ関スル規定ハ市制第六条及第八十二条第三項ノ市ニ在リテハ各市、市長、区及区長ニ之ヲ適用シ本令中市町村トアリ又ハ市町村長トアリ若ハ町村長トアルハ町村又ハ町村長ニ準ズベキモノヲ包含ス
第六条 本令ニ定ムルモノノ外必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 年次勤労統計調査
第七条 調査ハ毎年六月末現在ニ依リ之ヲ行フ
各年ノ調査ノ名称ニハ之ヲ行フ年次毎ニ其ノ年号ヲ冠ス
第八条 調査ハ官営ニ属セザル事業体、船舶又ハ世帯ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付之ヲ行フ
一 工業事業場
二 鉱業事業場
三 交通事業場
四 其ノ他ノ事業体
五 調査船舶
六 調査世帯
第九条 調査ハ事業体、船舶又ハ世帯ニ付従業者ノ内訳、異動其ノ他勤労ニ関スル事項ニシテ閣令ヲ以テ定ムルモノヲ調査ス
第十条 調査ハ事業体、船舶ヲ使用スル事務所又ハ世帯ニ就キ之ヲ行フ
第十一条 事業体ノ事業主、船舶ヲ使用スル事務所ノ事業主又ハ世帯主ハ第九条ノ事項ヲ申告スル義務アルモノトス
第十二条 地方長官ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業場ヲ除キタル他ノ事業体(樺太ニ在リテハ採鉱事業場ヲ含ム)及世帯ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十三条 鉱山監督局長ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業場ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十四条 海運局長ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ニ在ル事務所ニ於テ使用スル船舶ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十五条 都庁府県支庁長ハ地方長官ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業場ヲ除キタル他ノ事業体(樺太ニ在リテハ採鉱事業場ヲ含ム)及世帯ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十六条 市町村長ハ採鉱事業場ヲ除キタル他ノ事業体(樺太ニ在リテハ採鉱事業場ヲ含ム)及世帯ニ付テハ地方長官(都庁府県支庁長ノ管轄区域内ノ町村長ハ当該支庁長)、採鉱事業場(樺太ニ在ルモノヲ除ク)ニ付テハ鉱山監督局長、船舶ニ付テハ海運局長ノ指揮監督ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ事業体、船舶ヲ使用スル事務所及世帯ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十七条 調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル為必要アルトキハ都庁府県、鉱山監督局、海運局、都庁府県支庁又ハ市ニ勤労統計調査指導員(以下指導員ト称ス)ヲ置クコトヲ得
第十八条 調査ノ事務ヲ執行セシムル為市町村ニ勤労統計調査員(以下調査員ト称ス)ヲ置ク
第十九条 指導員ハ毎年地方長官、鉱山監督局長又ハ海運局長之ヲ命ズ
第二十条 調査員ハ毎年地方長官之ヲ命ズ
第二十一条 指導員及調査員ハ名誉職トス
第二十二条 調査員ニハ内閣総理大臣ノ定ムル証票ヲ交付シ職務執行ノ際之ヲ携帯セシム
第二十三条 調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ調査票用紙ノ配付、調査票ノ蒐集其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第二十四条 官営ニ属スル事業体及船舶ニ関シテハ各其ノ主務大臣本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手続ハ主務大臣内閣総理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第三章 毎月勤労統計調査
第二十五条 調査ハ毎月末現在ニ依リ之ヲ行フ
第二十六条 調査ハ官営ニ属セザル左ノ事業場ニシテ地方長官ノ指定スルモノ、官営ニ属セザル採鉱事業場ニシテ鉱山監督局長ノ指定スルモノ及官営ニ属セザル船舶運輸事務所ニシテ海運局長ノ指定スルモノニ使用セラルル運輸ニ従事スル調査船舶ニ付之ヲ行フ
一 工場
二 ガス電気水道事業場
三 地方鉄道
四 軌道
五 乗合自動車事業場
六 旅客自動車事業場
七 貨物自動車事業場
八 小運送事業場
九 回漕事業場
第二十七条 調査ハ事業場又ハ船舶ニ付従業者ノ内訳、異動其ノ他勤労ニ関スル事項ニシテ閣令ヲ以テ定ムルモノヲ調査ス
第二十八条 事業場ノ事業主又ハ船舶運輸事務所ノ事業主ハ前条ノ事項ヲ申告スル義務アルモノトス
第二十九条 地方長官ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ第二十六条各号ニ掲グル事業場ノ調査ニ関スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十条 鉱山監督局長ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業場ノ調査ニ関スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十一条 海運局長ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ニ在ル船舶運輸事務所ニ使用セラルル運輸ニ従事スル調査船舶ノ調査ニ関スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十二条 内閣総理大臣ノ指定スル官営ニ属スル事業場ニ関シテハ各其ノ主務大臣本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手続ハ主務大臣内閣総理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第四章 特別勤労統計調査
第三十三条 調査ハ毎月末現在ニ依リ之ヲ行フ
第三十四条 調査ハ官営ニ属セザル左ノ各号ノ一ニ該当スル事業場ニ付之ヲ行フ
一 内閣総理大臣ノ指定スル重要ナル工業事業場、鉱業事業場及交通事業場
二 総噸数百噸以上ノ鋼船ノ製造設備ヲ有スル事業場及総噸数百噸以上ノ船舶ノ入渠又ハ上架設備ヲ有スル事業場
第三十五条 調査ハ事業場ニ付従業者ノ内訳、異動其ノ他勤労ニ関スル事項ニシテ閣令ヲ以テ定ムルモノヲ調査ス
第三十六条 事業場ノ事業主ハ前条ノ事項ヲ申告スル義務アルモノトス
第三十七条 地方長官ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業場ヲ除キタル他ノ事業場ノ調査ニ関スル事務ノ執行ヲ管掌ス
地方長官ハ其ノ指揮監督ノ下ニ市町村長(東京都並ニ市制第六条及第八十二条第三項ノ市ノ区長ヲ含ム)ヲシテ調査ニ関スル事務ノ一部ノ執行ヲ掌ラシムルコトヲ得
第三十八条 鉱山監督局長ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業場ノ調査ニ関スル事務ノ執行ヲ管掌ス
第三十九条 内閣総理大臣ノ指定スル官営ニ属スル事業場ニ関シテハ各其ノ主務大臣本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手続ハ主務大臣内閣総理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第五章 外地特例
第四十条 本令中鉱業法又ハ砂鉱法ノ適用ヲ受クル事業トアル朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、地方鉄道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、軌道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業トアルハ朝鮮、関東州及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業トアルハ朝鮮、関東州及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業トアルハ朝鮮、関東州及南洋群島ニ於テ、小運送業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、関東州及南洋群島ニ於テ各其ノ事業ニ準ズベキモノヲ謂フ
本令中閣令トアルハ朝鮮及台湾、関東州並ニ南洋群島ニ在リテハ各総督府令、局令又ハ庁令トス
第四十一条 朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ必要アルトキハ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使又ハ南洋庁長官内閣総理大臣ノ承認ヲ受ケ第二条、第七条乃至第九条、第二十六条、第二十七条、第三十四条及第三十五条ノ規定ニ拘ラズ調査ノ時期、範囲及事項ニ関シ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テハ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使又ハ南洋庁長官内閣総理大臣ノ承認ヲ受ケ毎月勤労統計調査及特別勤労統計調査ハ当分ノ内之ヲ行ハザルコトヲ得
第四十二条 朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於ケル調査ノ執行ニ関シテハ第四条、第五条、第十二条乃至第二十四条、第二十九条乃至第三十二条及第三十七条乃至第三十九条ノ規定ヲ適用セズ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使又ハ南洋庁長官ニ於テ内閣総理大臣ノ承認ヲ受ケ別ニ其ノ手続ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
毎月勤労統計調査及特別勤労統計調査ニ関スル規定ハ昭和十九年七月末現在ニ依リ行フ調査ヨリ之ヲ適用ス
年次勤労統計調査ニ関スル規定ハ朝鮮、台湾及関東州ニ在リテハ昭和二十年年次勤労統計調査ヨリ、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官内閣総理大臣ノ承認ヲ受ケ定ムル年次ノ年次勤労統計調査ヨリ之ヲ適用ス
労働技術統計調査令ハ之ヲ廃止ス但シ朝鮮、台湾及関東州ニ在リテハ昭和十九年労働技術統計調査ニ関シ仍其ノ効力ヲ有ス
労働統計毎月調査令ハ昭和十九年六月末日現在ニ依リ行フ調査限リ之ヲ廃止ス