第一條 大正十一年法律第五十二號(昭和十六年勅令第三百七十九號ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ基キ政府ハ每年六月十日現在ニ依リ勞働及技術ノ統計ニ關スル實地調査(勞働技術統計調査)ヲ行フ
各年ノ勞働技術統計調査ノ名稱ニハ之ヲ行フ年次每ニ其ノ年號ヲ冠ス
第二條 調査ハ官營ニ屬セザル事業體ノ事業主、勞務者及技術者ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付之ヲ行フ
一 常時五人以上ノ勞働者ヲ使用シ又ハ五人以上ノ勞働者ヲ使用スル設備ヲ有スル工業事業體(土木建築事業體ヲ除ク)又ハ鑛業事業體ノ事業主
二 延人員三百人以上ノ勞働者ヲ使用スル土木建築事業體ノ事業主
三 前條ノ期日ニ於テ五人以上ノ勞働者ヲ使用スル運輸事業體ノ事業主
四 前條ノ期日ニ於テ勞働者以外ノ勞務者十人以上ヲ使用スル事業體ニシテ工業事業體、鑛業事業體、運輸事業體、農業事業體、水產業事業體、船舶又ハ娛樂興行若ハ接客ニ關スル事業體ニ非ザルモノ(事務所商店)ノ事業主
五 前條ノ期日ニ於テ三十人以上ノ勞働者ヲ使用スル第一號乃至第三號ニ規定スル事業體ノ勞務者
第三條 本令ニ於テ工業事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ヲ謂フ
一 一定ノ場所ニ於テ物ノ製造、加工、淨洗、選別、包裝又ハ修理ノ事業ヲ營ムモノ(工場)
二 一定ノ場所ニ於テガス、電氣若ハ各種動力ノ發生、變更若ハ傳導ヲ爲ス事業又ハ水道ノ事業ヲ營ムモノ(ガス電氣水道事業體)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、變更、破壞又ハ其ノ準備ノ事業ヲ營ムモノ(土木建築事業體)
四 船舶(木造船舶ヲ除ク)ノ解體ノ事業ヲ營ムモノ(船舶解體事業體)
本令ニ於テ鑛業事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ヲ謂フ
一 鑛業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(採鑛事業體)
二 砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(砂鑛事業體)
三 土石ヲ採取スル事業ヲ營ムモノ(土石採取事業體)
本令ニ於テ運輸事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ヲ謂フ
一 地方鐵道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(地方鐵道)
三 索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(架空索道)
四 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業ヲ營ムモノ(乘合自動車運輸事業體)
五 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業ヲ營ムモノ(旅客自動車運送事業體)
六 自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業ヲ營ムモノ(貨物自動車運送事業體)
七 小運送業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(小運送事業體)
八 前各號ノ事業以外ノ陸上運輸事業ヲ營ムモノ(其ノ他ノ陸上運輸事業體)
九 航空機ニ依リ旅客又ハ貨物ノ運送事業ヲ營ムモノ(航空輸送事業體)
第四條 本令ニ於テ事業主ト稱スルハ事業體ヲ事實上管理スル者ヲ謂フ
本令ニ於テ勞務者ト稱スルハ他人ニ雇傭セラレ勞働ニ從事スル者(主トシテ家事ニ從事スル者ヲ除ク)ヲ謂フ
本令ニ於テ勞働者ト稱スルハ勞務者中小使、給仕、門衞及寫字、印字、電話交換、物品販賣、作業現場以外ノ運搬配達ニ關スル勞働其ノ他之ニ類スル勞働ニ從事スル者以外ノ者ヲ謂フ
本令ニ於テ技術者ト稱スルハ事業體ニ於テ現ニ技術ニ從事スル者(現技術者)、嘗テ技術ニ從事シタルコトアル者(元技術者)竝ニ內閣總理大臣ノ指定スル學歷ヲ有スル者及內閣總理大臣ノ指定スル資格ニ關スル試驗又ハ檢定ノ合格者ニシテ現技術者又ハ元技術者ニ非ザルモノ(技術能力者)ヲ謂フ
第六條 調査ハ各事業體ニ就キ之ヲ行フ但シ調査ノ際事業體ニ出勤セザル者ニ付テハ其ノ居所ニ就キ之ヲ行フコトヲ得
第七條 事業主ハ第五條第一項各號ノ事項ヲ、勞務者ハ同條第二項各號ノ事項ヲ、技術者ハ同條第三項各號ノ事項ヲ申吿スル義務アルモノトス
第八條 府縣知事ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業體及砂鑛事業體ヲ除キタル他ノ事業體ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第九條 鑛山監督局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業體及砂鑛事業體ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十條 二以上ノ府縣又ハ鑛山監督局長ノ管轄區域ニ跨ル事業體ニ付テハ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル府縣知事又ハ鑛山監督局長第八條又ハ前條ノ職權ヲ行フ
第十一條 府縣支廳長ハ府縣知事ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業體及砂鑛事業體ヲ除キタル他ノ事業體ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十二條 市町村長ハ採鑛事業體及砂鑛事業體ヲ除キタル他ノ事業體ニ在リテハ府縣知事(府縣支廳長ノ管轄區域內ノ町村長ハ府縣支廳長)、採鑛事業體及砂鑛事業體ニ在リテハ鑛山監督局長ノ指揮監督ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ事業體ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十三條 調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル爲必要アルトキハ府縣、鑛山監督局、府縣支廳又ハ市町村ニ勞働技術統計調査指導員ヲ置クコトヲ得
第十四條 調査ノ事務ヲ執行セシムル爲市町村ニ勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ヲ置ク
第十五條 勞働技術統計調査指導員、勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ハ每年府縣知事又ハ鑛山監督局長ノ推薦ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
勞働技術統計調査指導員、勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ハ名譽職トス
第十六條 勞働技術統計調査員又ハ勞働技術統計副調査員故障アルトキハ市町村長ハ之ニ代ルベキ適當ノ者ヲ選任シ其ノ職務ヲ執行セシムベシ
第十七條 勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ事業票用紙、勞務票用紙及技術票用紙ノ配付、事業票、勞務票及技術票ノ蒐集、調査事項ニ關スル質問記入其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第十八條 本令中府縣支廳、府縣支廳長、市町村竝ニ市町村長及町村長ニ關スル規定ハ市制第六條及第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ各市、市長、區及區長ニ之ヲ適用シ府縣トアリ又ハ府縣知事トアルハ北海道廳又ハ北海道廳長官ヲ、府縣支廳長トアルハ北海道廳支廳長ヲ、町村トアリ又ハ町村長トアルハ之ニ準ズベキモノヲ包含ス
第十九條 官營ニ屬スル工業事業體及鑛業事業體竝ニ政府管掌ノ郵便、電信及電話ノ事業ニ關シテハ本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手續ハ主務大臣內閣總理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第二十條 第三條中鑛業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、地方鐵道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、軌道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、小運送業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ各其ノ事業ニ準ズベキモノヲ謂フ
第四條第四項中內閣總理大臣トアルハ朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トス
前項ノ規定ニ依リ朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官學歷又ハ資格ニ關スル試驗若ハ檢定ヲ指定セントスルトキハ內閣總理大臣ノ承認ヲ受クベシ
第二十一條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ必要アルトキハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ第一條乃至第三條及第五條ノ規定ニ拘ラズ調査ノ時期、範圍及事項ニ關シ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十二條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於ケル勞働技術統計調査ノ執行ニ關シテハ第八條乃至第十九條ノ規定ヲ適用セズ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官ニ於テ內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ別ニ其ノ手續ヲ定ム