労働技術統計調査令
法令番号: 勅令第三百八十號
公布年月日: 昭和16年4月2日
法令の形式: 勅令
朕勞働技術統計調査令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年四月一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
臨時外務大臣事務管理 內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 金光庸夫
拓務大臣 秋田淸
陸軍大臣 東條英機
文部大臣 橋田邦彦
商工大臣 小林一三
大藏大臣 河田烈
遞信大臣 村田省藏
農林大臣 石黑忠篤
海軍大臣 及川古志郞
鐵道大臣 小川鄕太郞
勅令第三百八十號
勞働技術統計調査令
第一條 大正十一年法律第五十二號(昭和十六年勅令第三百七十九號ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ基キ政府ハ每年六月十日現在ニ依リ勞働及技術ノ統計ニ關スル實地調査(勞働技術統計調査)ヲ行フ
各年ノ勞働技術統計調査ノ名稱ニハ之ヲ行フ年次每ニ其ノ年號ヲ冠ス
第二條 調査ハ官營ニ屬セザル事業體ノ事業主、勞務者及技術者ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付之ヲ行フ
一 常時五人以上ノ勞働者ヲ使用シ又ハ五人以上ノ勞働者ヲ使用スル設備ヲ有スル工業事業體(土木建築事業體ヲ除ク)又ハ鑛業事業體ノ事業主
二 延人員三百人以上ノ勞働者ヲ使用スル土木建築事業體ノ事業主
三 前條ノ期日ニ於テ五人以上ノ勞働者ヲ使用スル運輸事業體ノ事業主
四 前條ノ期日ニ於テ勞働者以外ノ勞務者十人以上ヲ使用スル事業體ニシテ工業事業體、鑛業事業體、運輸事業體、農業事業體、水產業事業體、船舶又ハ娛樂興行若ハ接客ニ關スル事業體ニ非ザルモノ(事務所商店)ノ事業主
五 前條ノ期日ニ於テ三十人以上ノ勞働者ヲ使用スル第一號乃至第三號ニ規定スル事業體ノ勞務者
六 第四號ニ規定スル事業體ノ勞務者
七 第一號乃至第四號ニ規定スル事業體ノ技術者
第三條 本令ニ於テ工業事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ヲ謂フ
一 一定ノ場所ニ於テ物ノ製造、加工、淨洗、選別、包裝又ハ修理ノ事業ヲ營ムモノ(工場)
二 一定ノ場所ニ於テガス、電氣若ハ各種動力ノ發生、變更若ハ傳導ヲ爲ス事業又ハ水道ノ事業ヲ營ムモノ(ガス電氣水道事業體)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、變更、破壞又ハ其ノ準備ノ事業ヲ營ムモノ(土木建築事業體)
四 船舶(木造船舶ヲ除ク)ノ解體ノ事業ヲ營ムモノ(船舶解體事業體)
本令ニ於テ鑛業事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ヲ謂フ
一 鑛業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(採鑛事業體)
二 砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(砂鑛事業體)
三 土石ヲ採取スル事業ヲ營ムモノ(土石採取事業體)
本令ニ於テ運輸事業體ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業體ヲ謂フ
一 地方鐵道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(地方鐵道)
二 軌道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(軌道)
三 索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(架空索道)
四 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業ヲ營ムモノ(乘合自動車運輸事業體)
五 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業ヲ營ムモノ(旅客自動車運送事業體)
六 自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業ヲ營ムモノ(貨物自動車運送事業體)
七 小運送業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ營ムモノ(小運送事業體)
八 前各號ノ事業以外ノ陸上運輸事業ヲ營ムモノ(其ノ他ノ陸上運輸事業體)
九 航空機ニ依リ旅客又ハ貨物ノ運送事業ヲ營ムモノ(航空輸送事業體)
十 囘漕業ヲ營ムモノ(囘漕事業體)
第四條 本令ニ於テ事業主ト稱スルハ事業體ヲ事實上管理スル者ヲ謂フ
本令ニ於テ勞務者ト稱スルハ他人ニ雇傭セラレ勞働ニ從事スル者(主トシテ家事ニ從事スル者ヲ除ク)ヲ謂フ
本令ニ於テ勞働者ト稱スルハ勞務者中小使、給仕、門衞及寫字、印字、電話交換、物品販賣、作業現場以外ノ運搬配達ニ關スル勞働其ノ他之ニ類スル勞働ニ從事スル者以外ノ者ヲ謂フ
本令ニ於テ技術者ト稱スルハ事業體ニ於テ現ニ技術ニ從事スル者(現技術者)、嘗テ技術ニ從事シタルコトアル者(元技術者)竝ニ內閣總理大臣ノ指定スル學歷ヲ有スル者及內閣總理大臣ノ指定スル資格ニ關スル試驗又ハ檢定ノ合格者ニシテ現技術者又ハ元技術者ニ非ザルモノ(技術能力者)ヲ謂フ
第五條 事業主ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 事業體ノ所在地
二 事業體ノ名
三 事業ノ種類
四 勞務者現在數
五 一箇年ノ解雇勞務者(日々雇入ルル者ヲ除ク)數
六 一箇月ノ勞務者賃金支拂總額
勞務者ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 卒業シタル(卒業セザル者ニ付テハ最後ニ修業シタルトス)國民學校(小學校其ノ他國民學校ニ準ズルモノヲ含ム)ノ所在地
五 配偶者ノ有無
六 敎育ノ程度
七 職名
八 職歷
九 賃金
十 就業時間
十一 民籍
技術者ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 現技術者、元技術者又ハ技術能力者ノ別
五 職名
六 敎育
第六條 調査ハ各事業體ニ就キ之ヲ行フ但シ調査ノ際事業體ニ出勤セザル者ニ付テハ其ノ居所ニ就キ之ヲ行フコトヲ得
第七條 事業主ハ第五條第一項各號ノ事項ヲ、勞務者ハ同條第二項各號ノ事項ヲ、技術者ハ同條第三項各號ノ事項ヲ申吿スル義務アルモノトス
第八條 府縣知事ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業體及砂鑛事業體ヲ除キタル他ノ事業體ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第九條 鑛山監督局長ハ內閣總理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業體及砂鑛事業體ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十條 二以上ノ府縣又ハ鑛山監督局長ノ管轄區域ニ跨ル事業體ニ付テハ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル府縣知事又ハ鑛山監督局長第八條又ハ前條ノ職權ヲ行フ
第十一條 府縣支廳長ハ府縣知事ノ命ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ採鑛事業體及砂鑛事業體ヲ除キタル他ノ事業體ニ關スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十二條 市町村長ハ採鑛事業體及砂鑛事業體ヲ除キタル他ノ事業體ニ在リテハ府縣知事(府縣支廳長ノ管轄區域內ノ町村長ハ府縣支廳長)、採鑛事業體及砂鑛事業體ニ在リテハ鑛山監督局長ノ指揮監督ヲ承ケ其ノ管轄區域內ノ事業體ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十三條 調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル爲必要アルトキハ府縣、鑛山監督局、府縣支廳又ハ市町村ニ勞働技術統計調査指導員ヲ置クコトヲ得
第十四條 調査ノ事務ヲ執行セシムル爲市町村ニ勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ヲ置ク
第十五條 勞働技術統計調査指導員、勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ハ每年府縣知事又ハ鑛山監督局長ノ推薦ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
勞働技術統計調査指導員、勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ハ名譽職トス
第十六條 勞働技術統計調査員又ハ勞働技術統計副調査員故障アルトキハ市町村長ハ之ニ代ルベキ適當ノ者ヲ選任シ其ノ職務ヲ執行セシムベシ
第十七條 勞働技術統計調査員及勞働技術統計副調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ事業票用紙、勞務票用紙及技術票用紙ノ配付、事業票、勞務票及技術票ノ蒐集、調査事項ニ關スル質問記入其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第十八條 本令中府縣支廳、府縣支廳長、市町村竝ニ市町村長及町村長ニ關スル規定ハ市制第六條及第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ各市、市長、區及區長ニ之ヲ適用シ府縣トアリ又ハ府縣知事トアルハ北海道廳又ハ北海道廳長官ヲ、府縣支廳長トアルハ北海道廳支廳長ヲ、町村トアリ又ハ町村長トアルハ之ニ準ズベキモノヲ包含ス
第十九條 官營ニ屬スル工業事業體及鑛業事業體竝ニ政府管掌ノ郵便、電信及電話ノ事業ニ關シテハ本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手續ハ主務大臣內閣總理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第二十條 第三條中鑛業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、砂鑛法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、地方鐵道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、軌道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州及南洋群島ニ於テ、索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ、小運送業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ各其ノ事業ニ準ズベキモノヲ謂フ
第四條第四項中內閣總理大臣トアルハ朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トス
前項ノ規定ニ依リ朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官學歷又ハ資格ニ關スル試驗若ハ檢定ヲ指定セントスルトキハ內閣總理大臣ノ承認ヲ受クベシ
第二十一條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テ必要アルトキハ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ第一條乃至第三條及第五條ノ規定ニ拘ラズ調査ノ時期、範圍及事項ニ關シ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十二條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於ケル勞働技術統計調査ノ執行ニ關シテハ第八條乃至第十九條ノ規定ヲ適用セズ各朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官ニ於テ內閣總理大臣ノ承認ヲ受ケ別ニ其ノ手續ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
勞働統計實地調査令ハ之ヲ廢止ス
朕労働技術統計調査令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年四月一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
臨時外務大臣事務管理 内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 金光庸夫
拓務大臣 秋田清
陸軍大臣 東条英機
文部大臣 橋田邦彦
商工大臣 小林一三
大蔵大臣 河田烈
逓信大臣 村田省蔵
農林大臣 石黒忠篤
海軍大臣 及川古志郎
鉄道大臣 小川郷太郎
勅令第三百八十号
労働技術統計調査令
第一条 大正十一年法律第五十二号(昭和十六年勅令第三百七十九号ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ基キ政府ハ毎年六月十日現在ニ依リ労働及技術ノ統計ニ関スル実地調査(労働技術統計調査)ヲ行フ
各年ノ労働技術統計調査ノ名称ニハ之ヲ行フ年次毎ニ其ノ年号ヲ冠ス
第二条 調査ハ官営ニ属セザル事業体ノ事業主、労務者及技術者ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付之ヲ行フ
一 常時五人以上ノ労働者ヲ使用シ又ハ五人以上ノ労働者ヲ使用スル設備ヲ有スル工業事業体(土木建築事業体ヲ除ク)又ハ鉱業事業体ノ事業主
二 延人員三百人以上ノ労働者ヲ使用スル土木建築事業体ノ事業主
三 前条ノ期日ニ於テ五人以上ノ労働者ヲ使用スル運輸事業体ノ事業主
四 前条ノ期日ニ於テ労働者以外ノ労務者十人以上ヲ使用スル事業体ニシテ工業事業体、鉱業事業体、運輸事業体、農業事業体、水産業事業体、船舶又ハ娯楽興行若ハ接客ニ関スル事業体ニ非ザルモノ(事務所商店)ノ事業主
五 前条ノ期日ニ於テ三十人以上ノ労働者ヲ使用スル第一号乃至第三号ニ規定スル事業体ノ労務者
六 第四号ニ規定スル事業体ノ労務者
七 第一号乃至第四号ニ規定スル事業体ノ技術者
第三条 本令ニ於テ工業事業体ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業体ヲ謂フ
一 一定ノ場所ニ於テ物ノ製造、加工、浄洗、選別、包装又ハ修理ノ事業ヲ営ムモノ(工場)
二 一定ノ場所ニ於テガス、電気若ハ各種動力ノ発生、変更若ハ伝導ヲ為ス事業又ハ水道ノ事業ヲ営ムモノ(ガス電気水道事業体)
三 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、変更、破壊又ハ其ノ準備ノ事業ヲ営ムモノ(土木建築事業体)
四 船舶(木造船舶ヲ除ク)ノ解体ノ事業ヲ営ムモノ(船舶解体事業体)
本令ニ於テ鉱業事業体ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業体ヲ謂フ
一 鉱業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(採鉱事業体)
二 砂鉱法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(砂鉱事業体)
三 土石ヲ採取スル事業ヲ営ムモノ(土石採取事業体)
本令ニ於テ運輸事業体ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業体ヲ謂フ
一 地方鉄道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(地方鉄道)
二 軌道法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(軌道)
三 索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(架空索道)
四 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業ヲ営ムモノ(乗合自動車運輸事業体)
五 自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業ヲ営ムモノ(旅客自動車運送事業体)
六 自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業ヲ営ムモノ(貨物自動車運送事業体)
七 小運送業法ノ適用ヲ受クル事業ヲ営ムモノ(小運送事業体)
八 前各号ノ事業以外ノ陸上運輸事業ヲ営ムモノ(其ノ他ノ陸上運輸事業体)
九 航空機ニ依リ旅客又ハ貨物ノ運送事業ヲ営ムモノ(航空輸送事業体)
十 回漕業ヲ営ムモノ(回漕事業体)
第四条 本令ニ於テ事業主ト称スルハ事業体ヲ事実上管理スル者ヲ謂フ
本令ニ於テ労務者ト称スルハ他人ニ雇傭セラレ労働ニ従事スル者(主トシテ家事ニ従事スル者ヲ除ク)ヲ謂フ
本令ニ於テ労働者ト称スルハ労務者中小使、給仕、門衛及写字、印字、電話交換、物品販売、作業現場以外ノ運搬配達ニ関スル労働其ノ他之ニ類スル労働ニ従事スル者以外ノ者ヲ謂フ
本令ニ於テ技術者ト称スルハ事業体ニ於テ現ニ技術ニ従事スル者(現技術者)、嘗テ技術ニ従事シタルコトアル者(元技術者)並ニ内閣総理大臣ノ指定スル学歴ヲ有スル者及内閣総理大臣ノ指定スル資格ニ関スル試験又ハ検定ノ合格者ニシテ現技術者又ハ元技術者ニ非ザルモノ(技術能力者)ヲ謂フ
第五条 事業主ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 事業体ノ所在地
二 事業体ノ名
三 事業ノ種類
四 労務者現在数
五 一箇年ノ解雇労務者(日々雇入ルル者ヲ除ク)数
六 一箇月ノ労務者賃金支払総額
労務者ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 卒業シタル(卒業セザル者ニ付テハ最後ニ修業シタルトス)国民学校(小学校其ノ他国民学校ニ準ズルモノヲ含ム)ノ所在地
五 配偶者ノ有無
六 教育ノ程度
七 職名
八 職歴
九 賃金
十 就業時間
十一 民籍
技術者ニ付テハ左ノ事項ヲ調査ス
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 現技術者、元技術者又ハ技術能力者ノ別
五 職名
六 教育
第六条 調査ハ各事業体ニ就キ之ヲ行フ但シ調査ノ際事業体ニ出勤セザル者ニ付テハ其ノ居所ニ就キ之ヲ行フコトヲ得
第七条 事業主ハ第五条第一項各号ノ事項ヲ、労務者ハ同条第二項各号ノ事項ヲ、技術者ハ同条第三項各号ノ事項ヲ申告スル義務アルモノトス
第八条 府県知事ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業体及砂鉱事業体ヲ除キタル他ノ事業体ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第九条 鉱山監督局長ハ内閣総理大臣ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業体及砂鉱事業体ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十条 二以上ノ府県又ハ鉱山監督局長ノ管轄区域ニ跨ル事業体ニ付テハ主タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル府県知事又ハ鉱山監督局長第八条又ハ前条ノ職権ヲ行フ
第十一条 府県支庁長ハ府県知事ノ命ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ採鉱事業体及砂鉱事業体ヲ除キタル他ノ事業体ニ関スル調査ノ執行ヲ指揮監督ス
第十二条 市町村長ハ採鉱事業体及砂鉱事業体ヲ除キタル他ノ事業体ニ在リテハ府県知事(府県支庁長ノ管轄区域内ノ町村長ハ府県支庁長)、採鉱事業体及砂鉱事業体ニ在リテハ鉱山監督局長ノ指揮監督ヲ承ケ其ノ管轄区域内ノ事業体ノ調査ノ執行ヲ管掌ス
第十三条 調査ノ事務ノ執行ヲ指導セシムル為必要アルトキハ府県、鉱山監督局、府県支庁又ハ市町村ニ労働技術統計調査指導員ヲ置クコトヲ得
第十四条 調査ノ事務ヲ執行セシムル為市町村ニ労働技術統計調査員及労働技術統計副調査員ヲ置ク
第十五条 労働技術統計調査指導員、労働技術統計調査員及労働技術統計副調査員ハ毎年府県知事又ハ鉱山監督局長ノ推薦ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
労働技術統計調査指導員、労働技術統計調査員及労働技術統計副調査員ハ名誉職トス
第十六条 労働技術統計調査員又ハ労働技術統計副調査員故障アルトキハ市町村長ハ之ニ代ルベキ適当ノ者ヲ選任シ其ノ職務ヲ執行セシムベシ
第十七条 労働技術統計調査員及労働技術統計副調査員ハ市町村長ノ指揮監督ヲ承ケ事業票用紙、労務票用紙及技術票用紙ノ配付、事業票、労務票及技術票ノ蒐集、調査事項ニ関スル質問記入其ノ他之ニ伴フ諸般ノ事務ヲ執行ス
第十八条 本令中府県支庁、府県支庁長、市町村並ニ市町村長及町村長ニ関スル規定ハ市制第六条及第八十二条第三項ノ市ニ在リテハ各市、市長、区及区長ニ之ヲ適用シ府県トアリ又ハ府県知事トアルハ北海道庁又ハ北海道庁長官ヲ、府県支庁長トアルハ北海道庁支庁長ヲ、町村トアリ又ハ町村長トアルハ之ニ準ズベキモノヲ包含ス
第十九条 官営ニ属スル工業事業体及鉱業事業体並ニ政府管掌ノ郵便、電信及電話ノ事業ニ関シテハ本令ニ準ジテ其ノ調査ヲ行フ其ノ手続ハ主務大臣内閣総理大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第二十条 第三条中鉱業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、砂鉱法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、地方鉄道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、軌道法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州及南洋群島ニ於テ、索道事業規則ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、台湾、関東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運輸事業トアルハ朝鮮、関東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル旅客自動車運送事業トアルハ朝鮮、関東州、樺太及南洋群島ニ於テ、自動車交通事業法ニ依ル貨物自動車運送事業トアルハ朝鮮、関東州、樺太及南洋群島ニ於テ、小運送業法ノ適用ヲ受クル事業トアルハ朝鮮、関東州、樺太及南洋群島ニ於テ各其ノ事業ニ準ズベキモノヲ謂フ
第四条第四項中内閣総理大臣トアルハ朝鮮、台湾、関東州、樺太及南洋群島ニ於テハ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス
前項ノ規定ニ依リ朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使、樺太庁長官又ハ南洋庁長官学歴又ハ資格ニ関スル試験若ハ検定ヲ指定セントスルトキハ内閣総理大臣ノ承認ヲ受クベシ
第二十一条 朝鮮、台湾、関東州、樺太及南洋群島ニ於テ必要アルトキハ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使、樺太庁長官又ハ南洋庁長官内閣総理大臣ノ承認ヲ受ケ第一条乃至第三条及第五条ノ規定ニ拘ラズ調査ノ時期、範囲及事項ニ関シ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第二十二条 朝鮮、台湾、関東州、樺太及南洋群島ニ於ケル労働技術統計調査ノ執行ニ関シテハ第八条乃至第十九条ノ規定ヲ適用セズ各朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使、樺太庁長官又ハ南洋庁長官ニ於テ内閣総理大臣ノ承認ヲ受ケ別ニ其ノ手続ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
労働統計実地調査令ハ之ヲ廃止ス