第一條 戰時金融金庫ハ戰時ニ際シ生產擴充及產業再編成等ノ爲必要ナル資金ニシテ他ノ金融機關等ヨリ供給ヲ受クルコト困難ナルモノヲ供給シ併セテ有價證券ノ市價安定ヲ圖ルコトヲ目的トス
戰時金融金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置シ又ハ銀行其ノ他主務大臣ノ指定スル者ヲシテ業務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第三條 戰時金融金庫ノ資本金ハ三億圓トシ之ヲ三百萬口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ百圓トス但シ資本金ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第五條 政府ハ二億圓ヲ限リ戰時金融金庫ニ出資スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第六條 戰時金融金庫ノ出資者ノ責任ハ其ノ出資額ヲ限度トス
出資者ハ戰時金融金庫ニ拂込ムベキ出資額ニ付相殺ヲ以テ之ニ對抗スルコトヲ得ズ
第七條 出資者ハ戰時金融金庫ノ承認ヲ經テ其ノ持分ヲ讓渡スコトヲ得
第八條 拂込ヲ怠リタル出資者ニ對シ戰時金融金庫ガ一月以上ノ相當ノ期間ヲ定メ拂込ノ請求ヲ爲シタルニ拘ラズ出資者ガ拂込ヲ爲サザルトキハ戰時金融金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ出資者ノ持分ヲ處分スルコトヲ得
戰時金融金庫ハ持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ヨリ滯納金額及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ從前ノ出資者ニ拂戾スコトヲ要ス
持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ガ滯納金額ニ滿タザル場合ニ於テハ戰時金融金庫ハ從前ノ出資者ニ對シ不足額ノ辨濟ヲ請求スルコトヲ得
前三項ノ規定ハ戰時金融金庫ガ損害賠償及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
出資者ガ第一項ノ期間內ニ拂込ヲ爲サザルトキハ戰時金融金庫ハ其ノ出資者ニ對シ二週間內ニ出資證券ヲ戰時金融金庫ニ提出スベキ旨ヲ通知スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ提出ナキ出資證券ハ其ノ效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ戰時金融金庫ハ遲滯ナク失效シタル出資證券ノ番號竝ニ其ノ出資者ノ氏名及住所ヲ公吿スルコトヲ要ス
第九條 戰時金融金庫ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十條 戰時金融金庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十一條 戰時金融金庫ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 戰時金融金庫ニ非ザル者ハ戰時金融金庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ