朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル貸家組合法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月六日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 金光庸夫
大藏大臣 河田烈
法律第四十七號
貸家組合法
第一章 總則
第一條 貸家組合ハ其ノ組合員ニ對シ貸家ノ供給ヲ圓滑ナラシメ及組合員ノ貸家ノ經營ノ適正ヲ圖ルコトヲ目的トス
貸家組合ハ貸家ノ所有者及貸家ノ所有者ニ非ズシテ貸家ノ經營ヲ爲ス者ヲ以テ之ヲ組織ス
貸家組合ハ法人トス
貸家及貸家ノ所有者ニ非ズシテ貸家ノ經營ヲ爲ス者ノ範圍ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 貸家組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ貸家ノ建設ニ必要ナル土地及資材ノ取得其ノ他貸家ノ建設ニ關スル共同施設
二 組合員ノ貸家ノ賃貸料ノ取立、修繕其ノ他貸家ノ經營ニ關スル共同施設
三 組合員ノ貸家ニ關スル斡旋所ノ設置
四 組合員ノ貸家ノ賃貸條件其ノ他貸家ノ經營ニ關スル統制
五 組合員ノ貸家ノ建設及經營ニ關スル指導、硏究、調査其ノ他組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
組合ハ前項ノ事業ノ外貸家ノ建設及經營竝ニ組合員ニ對スル其ノ貸家建設ノ爲必要ナル資金ノ貸付及組合員ノ爲ニスル其ノ貸家建設ニ關スル債務ノ保證ヲ併セ行フコトヲ得
第一項第一號乃至第三號ノ施設ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ザル者ヲシテ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第三條 貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ貸家ノ賃貸條件其ノ他貸家ノ經營ニ關スル統制ヲ行フ場合ニ於テハ總會ノ議決ヲ經テ之ニ關スル規程ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ其ノ規程ヲ變更セントスル場合亦同ジ
第四條 行政官廳貸家ノ供給ノ圓滑又ハ經營ノ適正ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ貸家組合ニ對シ必要ナル事業ヲ命ズルコトヲ得
第五條 行政官廳貸家ノ經營ノ適正ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ貸家組合ノ組合員又ハ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第六條 貸家組合ハ其ノ名稱中ニ貸家組合ナル文字ヲ用フベシ
貸家組合ニ非ザル者ハ貸家組合ナル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第七條 貸家組合ノ住所ハ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第八條 貸家組合ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第九條 貸家組合ニハ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ貸家組合ノ貸家ノ建設若ハ取得又ハ其ノ貸家用地ノ取得ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第二章 設立
第十條 貸家組合ヲ設立セントスルトキハ發起人ハ警察署ノ管轄區域其ノ他適當ナル地域ニ依リ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ノ過半數(土地ノ情況其ノ他ノ事情ニ因リ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ其ノ數ヲ減ズルコトヲ得)ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政官廳ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキト雖モ特別ノ事由アル場合ニ於テハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ招集スルコトヲ得
第十一條 貸家組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ關スル規定
六 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七 出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
八 剩餘金ノ處分及損失分擔ニ關スル規定
九 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十 組合員ノ權利義務ニ關スル規定
十一 事業及其ノ執行ニ關スル規定
十二 役員ニ關スル規定
十三 會議ニ關スル規定
十四 會計ニ關スル規定
十五 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第十二條 貸家組合設立當時ノ經費ノ收支豫算及分賦收入方法ハ創立總會ニ於テ之ヲ議決スベシ
第十三條 貸家組合設立當時ノ理事及監事ハ創立總會ニ於テ設立同意者(發起人ヲ含ム以下同ジ)又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ前項ノ理事又ハ監事ハ同項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十四條 創立總會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十五條 設立同意者ハ創立總會ニ於テ代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ差出スベシ
第十六條 貸家組合ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第十七條 產業組合法第十條、第十一條第一項及第十二條ノ規定ハ貸家組合ノ設立ニ之ヲ準用ス
第三章 組合員ノ權利義務
第十八條 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第十九條 組合員ノ責任ハ第二十條ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保證金額)ヲ限度トシテ責任ヲ負擔スルモノト爲スコトヲ得
第二十條 貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ經費ヲ組合員ニ分賦スルコトヲ得
第二十一條 持分ガ數人ノ共有ニ屬スルトキハ共有者ハ組合員ノ權利ヲ行使スベキ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
組合員ノ權利ヲ行使スベキ者ナキトキハ共有者ニ對スル組合ノ通知又ハ催吿ハ其ノ一人ニ對シテ之ヲ爲スヲ以テ足ル
共有者ハ組合ニ對シ連帶シテ組合員ノ義務ヲ負フ
第二十二條 產業組合法第十八條、第十九條及第二十一條乃至第二十四條ノ規定ハ組合員ノ權利義務ニ之ヲ準用ス但シ同法第二十四條中地方長官トアルハ行政官廳トス
第四章 管理
第二十三條 貸家組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員又ハ組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十四條 組合員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付議決權總數ノ十分ノ三ヲ超エザル範圍內ニ於テ出資口數ニ應ジ二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ得
第二十五條 組合員ハ代理人ヲ以テ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ差出スベシ
第二十六條 經費ヲ組合員ニ分賦スル貸家組合ニ在リテハ其ノ經費ノ收支豫算及分賦收入方法ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
第二十七條 民法第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條、第五十九條、第六十一條第一項、第六十二條、第六十四條及第六十六條竝ニ產業組合法第二十六條乃至第三十一條ノ三、第三十三條、第三十四條ノ二乃至第三十六條、第三十八條ノ二乃至第四十六條、第四十七條乃至第四十八條ノ二、第六十條ノ二及第六十八條ノ規定ハ貸家組合ノ管理ニ之ヲ準用ス但シ民法第五十九條中主務官廳トアリ竝ニ產業組合法第三十九條第三項及第六十條ノ二中地方長官トアルハ行政官廳トス
第五章 加入及脫退
第二十八條 組合員タル資格ヲ有スル者貸家組合ニ加入セントスルトキハ組合ハ正當ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル條件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ズ
第二十九條 貸家ト爲ス目的ヲ以テ家屋ノ建設ヲ爲サントスル者ハ第一條第二項ノ規定ニ拘ラズ貸家組合ニ加入スルコトヲ得
前條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル加入ニ之ヲ準用ス
第三十條 組合員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ豫吿ヲ爲シ貸家組合ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終ニ於テ脫退スルコトヲ得
組合ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第三十一條 產業組合法第五十一條(第三號及第四號ヲ除ク)及第五十二條乃至第五十八條ノ規定ハ組合員ノ脫退ニ之ヲ準用ス
第六章 解散及淸算
第三十二條 貸家組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合ノ破產
第三十三條 民法第七十條竝ニ產業組合法第六十二條第二項、第六十三條ノ二乃至第六十五條及第六十七條ノ規定ハ貸家組合ノ解散ニ、民法第七十三條乃至第七十六條及第七十八條乃至第八十三條、非訟事件手續法第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十六條第一項、第百三十七條及第百三十八條竝ニ產業組合法第七十條乃至第七十三條ノ規定ハ貸家組合ノ淸算ニ之ヲ準用ス但シ產業組合法第六十五條中地方長官トアリ及民法第八十三條中主務官廳トアルハ行政官廳トス
第七章 監督
第三十四條 行政官廳ハ貸家組合ニ對シ事業及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十五條 第五條ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ於テ行政官廳必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ日出ヨリ日沒迄ノ間貸家其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳簿其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ證スル證票ヲ携帶セシムベシ
第三十六條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ貸家組合ニ對シ經費ノ收支豫算、其ノ分賦收入方法、定款又ハ第三條ノ規程ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十七條 貸家組合ノ事業若ハ組合財產ノ狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法令、定款若ハ行政官廳ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ行政官廳ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 總會ノ決議ノ取消
二 役員ノ解任
三 組合ノ事業ノ停止
四 組合ノ解散
第八章 貸家組合聯合會
第三十八條 貸家組合聯合會ハ所屬ノ貸家組合及貸家組合聯合會ノ共同ノ目的ヲ達スル爲之ヲ設立スルコトヲ得
聯合會ハ貸家組合又ハ貸家組合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
聯合會ハ法人トス
第三十九條 貸家組合聯合會ヲ設立セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ所屬ノ各組合及聯合會ニ於テ選任スル創立委員ハ創立委員會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政官廳ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
第四十條 貸家組合ニ關スル規定(第十條及第二十九條ノ規定竝ニ第二十七條ノ規定ニ依リ準用スル產業組合法第三十八條ノ二ノ規定ヲ除ク)竝ニ產業組合法第七十七條第三項、第七十八條及第七十九條第一項ノ規定ハ貸家組合聯合會ニ之ヲ準用ス但シ第二條、第三條及第五條中組合員トアルハ所屬ノ組合、聯合會及組合員、第十三條第一項中設立同意者(發起人ヲ含ム以下同ジ)又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル役員トアルハ所屬ノ組合及聯合會ノ理事又ハ監事、第十五條第一項中設立同意者トアルハ所屬ノ組合及聯合會、第二十三條第二項中組合員又ハ組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員トアルハ所屬ノ組合及聯合會ノ理事又ハ監事トス
第九章 貸室組合及貸室組合聯合會
第四十一條 貸室組合ハ其ノ組合員ニ對シ貸室ノ供給ヲ圓滑ナラシメ及組合員ノ貸室ノ經營ノ適正ヲ圖ルコトヲ目的トス
貸室組合ハ貸室ノ所有者及貸室ノ所有者ニ非ズシテ貸室ノ經營ヲ爲ス者ヲ以テ之ヲ組織ス
貸室組合ハ法人トス
貸家組合ニ關スル規定ハ貸室組合ニ之ヲ準用ス
貸室及貸室ノ所有者ニ非ズシテ貸室ノ經營ヲ爲ス者ノ範圍ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十二條 貸室組合聯合會ハ所屬ノ貸室組合及貸室組合聯合會ノ共同ノ目的ヲ達スル爲之ヲ設立スルコトヲ得
聯合會ハ貸室組合又ハ貸室組合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
聯合會ハ法人トス
貸家組合聯合會ニ關スル規定ハ貸室組合聯合會ニ之ヲ準用ス
第十章 罰則
第四十三條 左ノ場合ニ於テハ貸家組合ノ理事、監事又ハ淸算人ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
三 行政官廳若ハ裁判所又ハ總會若ハ總代會ニ對シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
四 本法ニ依リ行政官廳又ハ裁制所ノ爲ス檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
五 本法ニ依リ行政官廳ノ徵スル報吿ヲ差出サズ其ノ他行政官廳ノ命令又ハ處分ニ從ハザルトキ
六 本法ニ違反シ總會又ハ總代會ノ招集ヲ怠リタルトキ
七 本法ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
八 本法ニ違反シ組合員ノ持分ヲ拂戾シタルトキ
九 本法ニ違反シ組合ガ組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ受ケタルトキ
十 本法ニ違反シ破產ノ宣吿ヲ請求セザルトキ
十一 本法ニ違反シ出資一口ノ金額若ハ保證金額ヲ減少シ、第三十一條ノ規定ニ依リ準用スル產業組合法第五十八條ノ責任期間ノ短縮ヲ爲シ又ハ組合ノ合併ヲ爲シタルトキ
十二 本法ニ違反シ公吿ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公吿ヲ爲シタルトキ
十三 淸算ノ場合ニ於テ本法ニ違反シ辨濟ヲ爲シ又ハ組合財產ノ分配ヲ爲シタルトキ
十四 法令又ハ定款ニ違反シ剩餘金ヲ處分シタルトキ
十五 組合ノ目的ニ非ザル營利事業ヲ爲シタルトキ
第四十四條 第六條第二項ノ規定(第四十條、第四十一條第四項及第四十二條第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ違反シタル者ハ二百圓以下ノ過料ニ處ス
第四十五條 第五條ノ規定(第四十條、第四十一條第四項及第四十二條第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル行政官廳ノ命令ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ貸家又ハ貸室ノ經營ニ關シ前項ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十六條 前條ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十七條 正當ノ理由ナクシテ第三十五條第一項ノ規定(第四十條、第四十一條第四項及第四十二條第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル當該官吏ノ臨檢又ハ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十八條 貸家組合ノ理事、監事又ハ淸算人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第四十九條 前條第一項ニ揭グル者ニ對シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第五十條 第四十八條ニ揭グル罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
附 則
第五十一條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十二條 本法施行ノ際貸家組合ニ非ズシテ貸家組合ナル名稱ヲ用フル者ハ本法施行後六月以內ニ其ノ名稱ヲ變更スルコトヲ要ス
第五十三條 第四十四條ノ規定ハ前條ノ期間內之ヲ前條ニ揭グル者ニ適用セズ
第五十四條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條中「第十一號、」ノ下ニ「第十一號ノ三、」ヲ加フ
同條第七號中「又ハ自動車運送事業組合聯合會」ヲ「、自動車運送事業組合聯合會、貸家組合、貸家組合聯合會、貸室組合又ハ貸室組合聯合會」ニ、「又ハ自動車交通事業法」ヲ「、自動車交通事業法又ハ貸家組合法」ニ改ム
同條第十一號ノ次ニ左ノ二號ヲ加フ
十一ノ二 貸家組合又ハ貸室組合カ貸家又ハ貸室用建物ノ供給ノ爲ニスル抵當權ノ取得ノ登記
十一ノ三 貸家若ハ貸室用建物又ハ其ノ用地ニ付貸家組合員又ハ貸室組合員カ其ノ所屬組合ヨリノ權利ノ取得ノ登記
第五十五條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條第一項第十二號中「又ハ自動車運送事業組合聯合會」ヲ「、自動車運送事業組合聯合會、貸家組合、貸家組合聯合會、貸室組合又ハ貸室組合聯合會」ニ改ム
第五十六條 特別法人稅法中左ノ通改正ス
第二條第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
一ノ二 貸家組合、貸家組合聯合會、貸室組合及貸室組合聯合會
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル貸家組合法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月六日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 金光庸夫
大蔵大臣 河田烈
法律第四十七号
貸家組合法
第一章 総則
第一条 貸家組合ハ其ノ組合員ニ対シ貸家ノ供給ヲ円滑ナラシメ及組合員ノ貸家ノ経営ノ適正ヲ図ルコトヲ目的トス
貸家組合ハ貸家ノ所有者及貸家ノ所有者ニ非ズシテ貸家ノ経営ヲ為ス者ヲ以テ之ヲ組織ス
貸家組合ハ法人トス
貸家及貸家ノ所有者ニ非ズシテ貸家ノ経営ヲ為ス者ノ範囲ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 貸家組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ貸家ノ建設ニ必要ナル土地及資材ノ取得其ノ他貸家ノ建設ニ関スル共同施設
二 組合員ノ貸家ノ賃貸料ノ取立、修繕其ノ他貸家ノ経営ニ関スル共同施設
三 組合員ノ貸家ニ関スル斡旋所ノ設置
四 組合員ノ貸家ノ賃貸条件其ノ他貸家ノ経営ニ関スル統制
五 組合員ノ貸家ノ建設及経営ニ関スル指導、研究、調査其ノ他組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
組合ハ前項ノ事業ノ外貸家ノ建設及経営並ニ組合員ニ対スル其ノ貸家建設ノ為必要ナル資金ノ貸付及組合員ノ為ニスル其ノ貸家建設ニ関スル債務ノ保証ヲ併セ行フコトヲ得
第一項第一号乃至第三号ノ施設ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ザル者ヲシテ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第三条 貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ貸家ノ賃貸条件其ノ他貸家ノ経営ニ関スル統制ヲ行フ場合ニ於テハ総会ノ議決ヲ経テ之ニ関スル規程ヲ定メ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ其ノ規程ヲ変更セントスル場合亦同ジ
第四条 行政官庁貸家ノ供給ノ円滑又ハ経営ノ適正ヲ図ル為特ニ必要アリト認ムルトキハ貸家組合ニ対シ必要ナル事業ヲ命ズルコトヲ得
第五条 行政官庁貸家ノ経営ノ適正ヲ図ル為特ニ必要アリト認ムルトキハ貸家組合ノ組合員又ハ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ其ノ組合ノ地区内ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ其ノ組合ノ統制ニ従フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第六条 貸家組合ハ其ノ名称中ニ貸家組合ナル文字ヲ用フベシ
貸家組合ニ非ザル者ハ貸家組合ナル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第七条 貸家組合ノ住所ハ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第八条 貸家組合ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第九条 貸家組合ニハ所得税、法人税及営業税ヲ課セズ
北海道、府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ貸家組合ノ貸家ノ建設若ハ取得又ハ其ノ貸家用地ノ取得ニ対シテハ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
第二章 設立
第十条 貸家組合ヲ設立セントスルトキハ発起人ハ警察署ノ管轄区域其ノ他適当ナル地域ニ依リ予メ地区ヲ定メ其ノ地区内ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ノ過半数(土地ノ情況其ノ他ノ事情ニ因リ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ其ノ数ヲ減ズルコトヲ得)ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政官庁ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキト雖モ特別ノ事由アル場合ニ於テハ行政官庁ノ認可ヲ受ケ創立総会ヲ招集スルコトヲ得
第十一条 貸家組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ関スル規定
六 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
七 出資一口ノ金額及其ノ払込ノ方法
八 剰余金ノ処分及損失分担ニ関スル規定
九 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十 組合員ノ権利義務ニ関スル規定
十一 事業及其ノ執行ニ関スル規定
十二 役員ニ関スル規定
十三 会議ニ関スル規定
十四 会計ニ関スル規定
十五 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第十二条 貸家組合設立当時ノ経費ノ収支予算及分賦収入方法ハ創立総会ニ於テ之ヲ議決スベシ
第十三条 貸家組合設立当時ノ理事及監事ハ創立総会ニ於テ設立同意者(発起人ヲ含ム以下同ジ)又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ前項ノ理事又ハ監事ハ同項ニ該当セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十四条 創立総会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第十五条 設立同意者ハ創立総会ニ於テ代理人ヲ以テ其ノ議決権ヲ行フコトヲ得
代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ差出スベシ
第十六条 貸家組合ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第十七条 産業組合法第十条、第十一条第一項及第十二条ノ規定ハ貸家組合ノ設立ニ之ヲ準用ス
第三章 組合員ノ権利義務
第十八条 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第十九条 組合員ノ責任ハ第二十条ノ規定ニ依ル費用負担ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合財産ヲ以テ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保証金額)ヲ限度トシテ責任ヲ負担スルモノト為スコトヲ得
第二十条 貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ経費ヲ組合員ニ分賦スルコトヲ得
第二十一条 持分ガ数人ノ共有ニ属スルトキハ共有者ハ組合員ノ権利ヲ行使スベキ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
組合員ノ権利ヲ行使スベキ者ナキトキハ共有者ニ対スル組合ノ通知又ハ催告ハ其ノ一人ニ対シテ之ヲ為スヲ以テ足ル
共有者ハ組合ニ対シ連帯シテ組合員ノ義務ヲ負フ
第二十二条 産業組合法第十八条、第十九条及第二十一条乃至第二十四条ノ規定ハ組合員ノ権利義務ニ之ヲ準用ス但シ同法第二十四条中地方長官トアルハ行政官庁トス
第四章 管理
第二十三条 貸家組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ総会ニ於テ組合員又ハ組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ前項ニ該当セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十四条 組合員ハ総会ニ於テ各一個ノ議決権ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付議決権総数ノ十分ノ三ヲ超エザル範囲内ニ於テ出資口数ニ応ジ二個以上ノ議決権ヲ有セシムルコトヲ得
第二十五条 組合員ハ代理人ヲ以テ議決権ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之ヲ出席ト看做ス
代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ組合ニ差出スベシ
第二十六条 経費ヲ組合員ニ分賦スル貸家組合ニ在リテハ其ノ経費ノ収支予算及分賦収入方法ハ総会ノ議決ヲ経ベシ
第二十七条 民法第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条乃至第五十五条、第五十九条、第六十一条第一項、第六十二条、第六十四条及第六十六条並ニ産業組合法第二十六条乃至第三十一条ノ三、第三十三条、第三十四条ノ二乃至第三十六条、第三十八条ノ二乃至第四十六条、第四十七条乃至第四十八条ノ二、第六十条ノ二及第六十八条ノ規定ハ貸家組合ノ管理ニ之ヲ準用ス但シ民法第五十九条中主務官庁トアリ並ニ産業組合法第三十九条第三項及第六十条ノ二中地方長官トアルハ行政官庁トス
第五章 加入及脱退
第二十八条 組合員タル資格ヲ有スル者貸家組合ニ加入セントスルトキハ組合ハ正当ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル条件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ズ
第二十九条 貸家ト為ス目的ヲ以テ家屋ノ建設ヲ為サントスル者ハ第一条第二項ノ規定ニ拘ラズ貸家組合ニ加入スルコトヲ得
前条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル加入ニ之ヲ準用ス
第三十条 組合員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ予告ヲ為シ貸家組合ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終ニ於テ脱退スルコトヲ得
組合ハ正当ノ理由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第三十一条 産業組合法第五十一条(第三号及第四号ヲ除ク)及第五十二条乃至第五十八条ノ規定ハ組合員ノ脱退ニ之ヲ準用ス
第六章 解散及清算
第三十二条 貸家組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合ノ破産
第三十三条 民法第七十条並ニ産業組合法第六十二条第二項、第六十三条ノ二乃至第六十五条及第六十七条ノ規定ハ貸家組合ノ解散ニ、民法第七十三条乃至第七十六条及第七十八条乃至第八十三条、非訟事件手続法第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条第一項、第百三十七条及第百三十八条並ニ産業組合法第七十条乃至第七十三条ノ規定ハ貸家組合ノ清算ニ之ヲ準用ス但シ産業組合法第六十五条中地方長官トアリ及民法第八十三条中主務官庁トアルハ行政官庁トス
第七章 監督
第三十四条 行政官庁ハ貸家組合ニ対シ事業及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第三十五条 第五条ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ於テ行政官庁必要アリト認ムルトキハ当該官吏ヲシテ日出ヨリ日没迄ノ間貸家其ノ他ノ場所ニ臨検シ帳簿其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ証スル証票ヲ携帯セシムベシ
第三十六条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ貸家組合ニ対シ経費ノ収支予算、其ノ分賦収入方法、定款又ハ第三条ノ規程ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第三十七条 貸家組合ノ事業若ハ組合財産ノ状況ニ依リ其ノ事業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行為ガ法令、定款若ハ行政官庁ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ行政官庁ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 総会ノ決議ノ取消
二 役員ノ解任
三 組合ノ事業ノ停止
四 組合ノ解散
第八章 貸家組合連合会
第三十八条 貸家組合連合会ハ所属ノ貸家組合及貸家組合連合会ノ共同ノ目的ヲ達スル為之ヲ設立スルコトヲ得
連合会ハ貸家組合又ハ貸家組合連合会ヲ以テ之ヲ組織ス
連合会ハ法人トス
第三十九条 貸家組合連合会ヲ設立セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ所属ノ各組合及連合会ニ於テ選任スル創立委員ハ創立委員会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政官庁ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
第四十条 貸家組合ニ関スル規定(第十条及第二十九条ノ規定並ニ第二十七条ノ規定ニ依リ準用スル産業組合法第三十八条ノ二ノ規定ヲ除ク)並ニ産業組合法第七十七条第三項、第七十八条及第七十九条第一項ノ規定ハ貸家組合連合会ニ之ヲ準用ス但シ第二条、第三条及第五条中組合員トアルハ所属ノ組合、連合会及組合員、第十三条第一項中設立同意者(発起人ヲ含ム以下同ジ)又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル役員トアルハ所属ノ組合及連合会ノ理事又ハ監事、第十五条第一項中設立同意者トアルハ所属ノ組合及連合会、第二十三条第二項中組合員又ハ組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員トアルハ所属ノ組合及連合会ノ理事又ハ監事トス
第九章 貸室組合及貸室組合連合会
第四十一条 貸室組合ハ其ノ組合員ニ対シ貸室ノ供給ヲ円滑ナラシメ及組合員ノ貸室ノ経営ノ適正ヲ図ルコトヲ目的トス
貸室組合ハ貸室ノ所有者及貸室ノ所有者ニ非ズシテ貸室ノ経営ヲ為ス者ヲ以テ之ヲ組織ス
貸室組合ハ法人トス
貸家組合ニ関スル規定ハ貸室組合ニ之ヲ準用ス
貸室及貸室ノ所有者ニ非ズシテ貸室ノ経営ヲ為ス者ノ範囲ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十二条 貸室組合連合会ハ所属ノ貸室組合及貸室組合連合会ノ共同ノ目的ヲ達スル為之ヲ設立スルコトヲ得
連合会ハ貸室組合又ハ貸室組合連合会ヲ以テ之ヲ組織ス
連合会ハ法人トス
貸家組合連合会ニ関スル規定ハ貸室組合連合会ニ之ヲ準用ス
第十章 罰則
第四十三条 左ノ場合ニ於テハ貸家組合ノ理事、監事又ハ清算人ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ依リ行政官庁ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ基キテ発スル勅令ニ違反シ登記ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ
三 行政官庁若ハ裁判所又ハ総会若ハ総代会ニ対シ不実ノ申立ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
四 本法ニ依リ行政官庁又ハ裁制所ノ為ス検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
五 本法ニ依リ行政官庁ノ徴スル報告ヲ差出サズ其ノ他行政官庁ノ命令又ハ処分ニ従ハザルトキ
六 本法ニ違反シ総会又ハ総代会ノ招集ヲ怠リタルトキ
七 本法ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ又ハ正当ノ理由ナクシテ其ノ閲覧ヲ拒ミタルトキ
八 本法ニ違反シ組合員ノ持分ヲ払戻シタルトキ
九 本法ニ違反シ組合ガ組合員ノ持分ヲ取得シ又ハ質権ノ目的トシテ之ヲ受ケタルトキ
十 本法ニ違反シ破産ノ宣告ヲ請求セザルトキ
十一 本法ニ違反シ出資一口ノ金額若ハ保証金額ヲ減少シ、第三十一条ノ規定ニ依リ準用スル産業組合法第五十八条ノ責任期間ノ短縮ヲ為シ又ハ組合ノ合併ヲ為シタルトキ
十二 本法ニ違反シ公告ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公告ヲ為シタルトキ
十三 清算ノ場合ニ於テ本法ニ違反シ弁済ヲ為シ又ハ組合財産ノ分配ヲ為シタルトキ
十四 法令又ハ定款ニ違反シ剰余金ヲ処分シタルトキ
十五 組合ノ目的ニ非ザル営利事業ヲ為シタルトキ
第四十四条 第六条第二項ノ規定(第四十条、第四十一条第四項及第四十二条第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ違反シタル者ハ二百円以下ノ過料ニ処ス
第四十五条 第五条ノ規定(第四十条、第四十一条第四項及第四十二条第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル行政官庁ノ命令ニ違反シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
法人又ハ人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ貸家又ハ貸室ノ経営ニ関シ前項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十六条 前条ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十七条 正当ノ理由ナクシテ第三十五条第一項ノ規定(第四十条、第四十一条第四項及第四十二条第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル当該官吏ノ臨検又ハ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第四十八条 貸家組合ノ理事、監事又ハ清算人其ノ職務ニ関シ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ処ス因テ不正ノ行為ヲ為シ又ハ相当ノ行為ヲ為サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ場合ニ於テ収受シタル賄賂ハ之ヲ没収ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第四十九条 前条第一項ニ掲グル者ニ対シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得
第五十条 第四十八条ニ掲グル罪ハ刑法第四条ノ例ニ従フ
附 則
第五十一条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十二条 本法施行ノ際貸家組合ニ非ズシテ貸家組合ナル名称ヲ用フル者ハ本法施行後六月以内ニ其ノ名称ヲ変更スルコトヲ要ス
第五十三条 第四十四条ノ規定ハ前条ノ期間内之ヲ前条ニ掲グル者ニ適用セズ
第五十四条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条中「第十一号、」ノ下ニ「第十一号ノ三、」ヲ加フ
同条第七号中「又ハ自動車運送事業組合連合会」ヲ「、自動車運送事業組合連合会、貸家組合、貸家組合連合会、貸室組合又ハ貸室組合連合会」ニ、「又ハ自動車交通事業法」ヲ「、自動車交通事業法又ハ貸家組合法」ニ改ム
同条第十一号ノ次ニ左ノ二号ヲ加フ
十一ノ二 貸家組合又ハ貸室組合カ貸家又ハ貸室用建物ノ供給ノ為ニスル抵当権ノ取得ノ登記
十一ノ三 貸家若ハ貸室用建物又ハ其ノ用地ニ付貸家組合員又ハ貸室組合員カ其ノ所属組合ヨリノ権利ノ取得ノ登記
第五十五条 印紙税法中左ノ通改正ス
第四条第一項第十二号中「又ハ自動車運送事業組合連合会」ヲ「、自動車運送事業組合連合会、貸家組合、貸家組合連合会、貸室組合又ハ貸室組合連合会」ニ改ム
第五十六条 特別法人税法中左ノ通改正ス
第二条第一号ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
一ノ二 貸家組合、貸家組合連合会、貸室組合及貸室組合連合会