第一條 料理店、貸席、旅館其ノ他命令ヲ以テ定ムル類似ノ場所ニ於ケル遊興及飮食ニハ本法ニ依リ遊興飮食稅ヲ課ス
第二條 遊興飮食稅ノ稅率ハ遊興飮食ノ料金ノ百分ノ十五トス但シ藝妓ノ花代ニ付テハ料金ノ百分ノ三十トス
前項ノ遊興飮食ノ料金ハ前條ニ規定スル場所ノ經營者ガ遊興又ハ飮食ヲ爲シタル者ヨリ其ノ遊興又ハ飮食ニ付領收スベキ金額ヲ謂フ
第三條 遊興飮食ノ料金ガ一人一囘三圓ニ滿タザル場合ニハ遊興飮食稅ヲ課セズ但シ左ニ揭グル料金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 藝妓ノ花代ニ類スル料金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
前項ノ一人一囘ノ料金ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 遊興飮食稅ハ第一條ニ規定スル場所ノ經營者ヨリ之ヲ徵收ス
第五條 第一條ニ規定スル場所ノ經營者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每月分ノ遊興飮食料金ヲ記載シタル申吿書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ但シ經營ヲ廢止シタル場合ニ於テハ直ニ之ヲ提出スベシ
申吿書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申吿ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第六條 遊興飮食稅ハ每月分ヲ翌月末迄ニ納付スベシ但シ經營ヲ廢止シタル場合ニ於テハ直ニ之ヲ納付スベシ
第七條 第一條ニ規定スル場所ノ經營者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每月分ノ遊興飮食料金中其ノ月ニ於テ領收セザルモノニ對スル稅金ヲ其ノ料金ヲ領收シタル月ノ翌月末日迄ニ納付スルコトヲ得但シ其ノ經營ヲ廢止シタル場合ニ於テ未ダ納付セザル稅金アルトキハ直ニ之ヲ納付スベシ
前項ノ規定ニ依リ未ダ稅金ヲ納付セザル料金ニシテ領收スルコト能ハザルニ至リタルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ遊興飮食稅ヲ免除ス
第八條 第一條ニ規定スル場所ヲ經營セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第九條 第一條ニ規定スル場合ノ經營者及經營者ト經營上取引關係アル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
前項ニ規定スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第十條 收稅官吏ハ前條第一項ニ規定スル者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
第十一條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ遊興飮食稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者ハ其ノ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第十二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第五條第一項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二 政府ニ申吿セズシテ第一條ニ規定スル場所ヲ經營シタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ其ノ遊興飮食稅ヲ徵收ス
第十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第九條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
二 第九條第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第十條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十四條 第十一條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第十五條 第二條ニ規定スル場所ノ經營者又ハ經營者ト經營上取引關係アル者ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ヲ犯シタルトキハ其ノ經營者又ハ經營者ト經營上取引關係アル者ヲ處罰ス
第十六條 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ遊興飮食稅ノ課稅標準タル料金ニ對シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十七條 政府ハ第一條ニ規定スル場所ノ經營者ノ組織スル團體ニ對シ徵稅上必要ナル設備ヲ爲シ又ハ徵收事務ノ補助ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付スルコトヲ得