種畜法
法令番号: 法律第百五十五号
公布年月日: 昭和23年7月12日
法令の形式: 法律
種畜法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十二日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十五号
種畜法
(法律の目的)
第一條 この法律は、畜産の振興を図るため、種畜を確保し、その利用を増強し、もつて家畜の改良増殖を促進することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「種畜」とは、牛、馬その他政令で定める家畜の種雄であつて、その飼養者がこれを種付(人工授精を含む。以下同じ。)に供用する目的で主務大臣から証明書の交付を受けているものをいう。
2 この法律において「飼養者」とは、家畜を飼養管理する者をいう。
(証明書の交付)
第三條 主務大臣は、前條第一項の証明書の交付の申請があつた場合には、その家畜について檢査を行い、傳染性の疾患(以下疾患という。)を有しないものにつき、その飼養者に対して証明書を交付する。
2 前項の証明書には、種畜の血統、能力及び体型による等級を示すべき事項を記載する。
3 第一項の疾患の種類並びに証明書の交付の申請及び檢査の手続、証明書の有効期間その他証明書の交付に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
(種付の禁止)
第四條 種畜でない牛、馬その他政令で定める家畜の雄又は第六條の規定により証明の効力を停止された種畜は、これを種付に供用してはならない。但し、省令で定める場合はこの限りでない。
2 種畜は、疾患にかかつていることを知りながら、これを種付に供用してはならない。但し、省令で定める場合はこの限りでない。
(疾患の檢査)
第五條 主務大臣又は都道府縣知事は、必要があると認めた場合には、省令で定めるところにより、種畜檢査委員をして種畜について疾患に関する檢査を行わせることができる。
2 前項の規定により、種畜檢査委員が檢査する場合には、その身分を示す証票を携帶し、要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない。
(証明の効力の取消又は停止)
第六條 主務大臣は、前條第一項の規定による檢査の結果疾患にかかつていると認めた種畜について、省令の定めるところにより、第三條の証明書の証明の効力を取り消し、又は停止することができる。
(種畜の飼養者の義務)
第七條 種畜の飼養者は、当該官吏若しくは吏員又は種付を受けようとする家畜の飼養者その他省令で定める者から要求された場合には、その種畜の証明書を呈示しなければならない。
2 種畜の飼養者は、種付した家畜の雌の飼養者から種付証明書の交付を要求された場合には、正当の事由がなければ、その交付を拒むことができない。
3 前項の種付証明書に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
(家畜登録協会)
第八條 家畜の所有者又は飼養者は、家畜登録協会を設立することができる。
2 家畜登録協会は、法人とする。
第九條 家畜登録協会は、家畜の改良を図るため、種畜又は家畜の血統、能力又は体型について、登録審査委員の行う審査に合格したものを登録し、その他必要な事業を行うことを目的とする。
2 前項の登録審査委員、審査、登録その他に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第十條 家畜登録協会は、その名称の中に、家畜登録なる文字又は家畜の種類の名称を冠する登録協会という文字を用いなければならない。
2 家畜登録協会でないものは、その名称の中に前項に掲げる文字又はこれに類似する名称を用いてはならない。
第十一條 家畜登録協会には、この法律に定めるものの外、民法(明治二十九年法律第八十九号)の社團法人に関する規定を準用する。
(家畜の移動又はと殺の制限)
第十二條 主務大臣は、種畜の確保に関し特に必要があると認めた場合には、家畜の飼養者に対し、地域並びに家畜の種類及び年齢を指定し、移動又はと殺の制限に関し必要な命令を発することができる。
2 主務大臣は、政令の定めるところにより、前項の権限の一部を都道府縣知事に委任することができる。
(罰則)
第十三條 第十二條の規定による命令に違反した者は、これを五千円以下の罰金に処する。
第十四條 第四條第一項又は第二項の規定に違反した者は、これを三千円以下の罰金に処する。
第十五條 第五條の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千円以下の罰金に処する。
第十六條 第七條第一項の規定による証明書の呈示を拒み若しくは忌避した者又は同條第二項の規定による種付証明書の交付を拒み、若しくは忌避した者は、これを五百円以下の罰金に処する。
第十七條 第十條第二項の規定に違反した者は、これを三百円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律の施行の期日は、その公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。
2 政府は、当分のうち、政令の定めるところにより、島を指定してこの法律の全部又は一部を施行しないことができる。
3 第十二條の規定は、この法律の施行の期日から二箇年を限り有効とする。但し、同條の規定の有効期間内にした行爲に対する罰則の適用については、第十三條の規定は、その期間経過後も、なおその効力を有する。
4 種牡牛檢査法(明治四十年法律第四十二号)及び種馬統制法(昭和十四年法律第七十五号)は、これを廃止する。
5 この法律施行の際、現に種牡牛檢査法の規定による種牡牛であるものは、これをこの法律の規定による種畜とみなし、同法第二條の規定による証明書は、これをこの法律の規定による証明書とみなす。
6 この法律施行の際、現に種馬統制法の規定による種牡馬であるものは、これをこの法律の規定による種畜とみなす。
7 馬匹去勢法(明治三十四年法律第二十二号)の一部を次のように改正する。
第一條中「種牡馬又は候補種牡馬」を「種畜法ニ依ル種畜」に、同法第四條中「種牡馬又ハ候補種牡馬ニシテ其ノ指定ヲ取消サレ又ハ指定ノ効力ヲ失ヒタルモノ」を「種畜法ニ依ル種畜ニシテ其ノ証明書ノ証明ノ効力ヲ取消サレタルモノ」に、同法第九條中「種馬統制法中種牡馬又ハ候補種牡馬ニ関スル規定」を「種畜法中種畜ニ関スル規定」に改める。
農林大臣 永江一夫
内閣総理大臣 芦田均
種畜法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十二日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十五号
種畜法
(法律の目的)
第一条 この法律は、畜産の振興を図るため、種畜を確保し、その利用を増強し、もつて家畜の改良増殖を促進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「種畜」とは、牛、馬その他政令で定める家畜の種雄であつて、その飼養者がこれを種付(人工授精を含む。以下同じ。)に供用する目的で主務大臣から証明書の交付を受けているものをいう。
2 この法律において「飼養者」とは、家畜を飼養管理する者をいう。
(証明書の交付)
第三条 主務大臣は、前条第一項の証明書の交付の申請があつた場合には、その家畜について検査を行い、伝染性の疾患(以下疾患という。)を有しないものにつき、その飼養者に対して証明書を交付する。
2 前項の証明書には、種畜の血統、能力及び体型による等級を示すべき事項を記載する。
3 第一項の疾患の種類並びに証明書の交付の申請及び検査の手続、証明書の有効期間その他証明書の交付に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
(種付の禁止)
第四条 種畜でない牛、馬その他政令で定める家畜の雄又は第六条の規定により証明の効力を停止された種畜は、これを種付に供用してはならない。但し、省令で定める場合はこの限りでない。
2 種畜は、疾患にかかつていることを知りながら、これを種付に供用してはならない。但し、省令で定める場合はこの限りでない。
(疾患の検査)
第五条 主務大臣又は都道府県知事は、必要があると認めた場合には、省令で定めるところにより、種畜検査委員をして種畜について疾患に関する検査を行わせることができる。
2 前項の規定により、種畜検査委員が検査する場合には、その身分を示す証票を携帯し、要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない。
(証明の効力の取消又は停止)
第六条 主務大臣は、前条第一項の規定による検査の結果疾患にかかつていると認めた種畜について、省令の定めるところにより、第三条の証明書の証明の効力を取り消し、又は停止することができる。
(種畜の飼養者の義務)
第七条 種畜の飼養者は、当該官吏若しくは吏員又は種付を受けようとする家畜の飼養者その他省令で定める者から要求された場合には、その種畜の証明書を呈示しなければならない。
2 種畜の飼養者は、種付した家畜の雌の飼養者から種付証明書の交付を要求された場合には、正当の事由がなければ、その交付を拒むことができない。
3 前項の種付証明書に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
(家畜登録協会)
第八条 家畜の所有者又は飼養者は、家畜登録協会を設立することができる。
2 家畜登録協会は、法人とする。
第九条 家畜登録協会は、家畜の改良を図るため、種畜又は家畜の血統、能力又は体型について、登録審査委員の行う審査に合格したものを登録し、その他必要な事業を行うことを目的とする。
2 前項の登録審査委員、審査、登録その他に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第十条 家畜登録協会は、その名称の中に、家畜登録なる文字又は家畜の種類の名称を冠する登録協会という文字を用いなければならない。
2 家畜登録協会でないものは、その名称の中に前項に掲げる文字又はこれに類似する名称を用いてはならない。
第十一条 家畜登録協会には、この法律に定めるものの外、民法(明治二十九年法律第八十九号)の社団法人に関する規定を準用する。
(家畜の移動又はと殺の制限)
第十二条 主務大臣は、種畜の確保に関し特に必要があると認めた場合には、家畜の飼養者に対し、地域並びに家畜の種類及び年齢を指定し、移動又はと殺の制限に関し必要な命令を発することができる。
2 主務大臣は、政令の定めるところにより、前項の権限の一部を都道府県知事に委任することができる。
(罰則)
第十三条 第十二条の規定による命令に違反した者は、これを五千円以下の罰金に処する。
第十四条 第四条第一項又は第二項の規定に違反した者は、これを三千円以下の罰金に処する。
第十五条 第五条の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千円以下の罰金に処する。
第十六条 第七条第一項の規定による証明書の呈示を拒み若しくは忌避した者又は同条第二項の規定による種付証明書の交付を拒み、若しくは忌避した者は、これを五百円以下の罰金に処する。
第十七条 第十条第二項の規定に違反した者は、これを三百円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律の施行の期日は、その公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。
2 政府は、当分のうち、政令の定めるところにより、島を指定してこの法律の全部又は一部を施行しないことができる。
3 第十二条の規定は、この法律の施行の期日から二箇年を限り有効とする。但し、同条の規定の有効期間内にした行為に対する罰則の適用については、第十三条の規定は、その期間経過後も、なおその効力を有する。
4 種牡牛検査法(明治四十年法律第四十二号)及び種馬統制法(昭和十四年法律第七十五号)は、これを廃止する。
5 この法律施行の際、現に種牡牛検査法の規定による種牡牛であるものは、これをこの法律の規定による種畜とみなし、同法第二条の規定による証明書は、これをこの法律の規定による証明書とみなす。
6 この法律施行の際、現に種馬統制法の規定による種牡馬であるものは、これをこの法律の規定による種畜とみなす。
7 馬匹去勢法(明治三十四年法律第二十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「種牡馬又は候補種牡馬」を「種畜法ニ依ル種畜」に、同法第四条中「種牡馬又ハ候補種牡馬ニシテ其ノ指定ヲ取消サレ又ハ指定ノ効力ヲ失ヒタルモノ」を「種畜法ニ依ル種畜ニシテ其ノ証明書ノ証明ノ効力ヲ取消サレタルモノ」に、同法第九条中「種馬統制法中種牡馬又ハ候補種牡馬ニ関スル規定」を「種畜法中種畜ニ関スル規定」に改める。
農林大臣 永江一夫
内閣総理大臣 芦田均