朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル造船事業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
遞信大臣 鹽野季彥
商工大臣 八田嘉明
大藏大臣 石渡莊太郞
農林大臣 櫻內幸雄
法律第七十號
造船事業法
第一條 本法ニ於テ造船事業トハ命令ノ定ムル設備ヲ備フル者ノ爲ス船舶ノ製造又ハ修繕ノ事業ヲ謂フ
前項ノ事業ヲ營ム者ノ爲ス船體、船舶用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ノ製造又ハ修繕ハ之ヲ其ノ事業ノ一部ト看做ス
第二條 造船事業ヲ營マントスル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ
第三條 前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベキ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式會社又ハ有限會社ニシテ其ノ株主又ハ社員ノ半數以上、取締役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコトヲ要ス
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ其ノ效力ヲ失フ
第四條 第二條ノ許可ヲ受ケタル會社(以下造船會社ト稱ス)ハ政府ノ指定スル期間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコトヲ得
造船會社前二項ノ期間內ニ其ノ事業ヲ開始セザルトキハ第二條ノ許可ハ其ノ效力ヲ失フ
第五條 造船會社其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
造船會社ノ合併又ハ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第六條 造船事業ハ土地收用法第二條ノ土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法ヲ適用ス
第七條 造船會社ハ其ノ事業ニ屬スル設備ノ償却ニ充ツル爲勅令ノ定ムル所ニ依リ每決算期ノ利益ノ一部ヲ積立ツベシ
第八條 株式會社タル造船會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存スル純財產額ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザルトキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
舊社債償還ノ爲ニスル社債ノ募集ニ付テハ其ノ舊社債ノ額ハ社債ノ總額中ニ之ヲ算入セズ此ノ場合ニ於テハ拂込ノ期日、若シ數囘ニ分チテ拂込ヲ爲サシムルトキハ第一囘拂込ノ期日ヨリ六月以內ニ舊社債ヲ償還スルコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 造船會社本邦ニ於テ未ダ製造セラレタルコトナキ船體、船舶用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ノ製造ヲ爲ス場合ニ於テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ豫算ノ範圍內ニ於テ之ニ奬勵金ヲ交付スルコトヲ得
第十條 政府ハ造船會社ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ船體、船舶用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ニハ本邦ニ於テ製造セラレタル物ヲ使用スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十一條 政府ハ造船事業ノ維持ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ船舶ノ製造ヲ爲ス造船會社又ハ船舶ノ製造ノ注文ヲ爲ス者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ豫算ノ範圍內ニ於テ助成金ヲ交付スルコトヲ得
第十二條 政府ハ船體、船舶用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ニ付其ノ規格ヲ定ムルコトヲ得船舶及船舶用材料ニ付亦同ジ
造船會社ハ前項ノ規定ニ依リ規格ヲ定メタルモノニ付テハ命令ノ定ムル場合ヲ除クノ外規格ニ適合スルモノニ非ザレバ之ヲ製造シ又ハ船舶ニ使用スルコトヲ得ズ
第十三條 政府ハ造船會社ニ對シ其ノ製造セントスル船舶ニ付命令ノ定ムル推進性能試驗ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十四條 政府ハ公益上必要アリト認ムルトキハ造船會社ニ對シ船舶、船體、船舶用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ニ付製造若ハ販賣ノ價格又ハ修繕料ノ變更ヲ命ジ又ハ此等ノ物ノ供給ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第十五條 政府ハ公益上必要アリト認ムルトキハ造船會社ニ對シ左ノ各號ニ揭グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 設備ノ新設、增設又ハ改良
二 政府ノ指定スル船舶、船體、船舶用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ノ製造又ハ修繕
三 船舶ニ關スル特殊事項ノ硏究又ハ特殊設備ノ施設
前項ノ命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十六條 政府ハ第十二條第一項ノ規格ノ決定、第十四條若ハ前條第一項第一號ノ命令又ハ前條第二項ノ補償金額ノ決定ヲ爲サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外造船事業委員會ノ議ヲ經ベシ
造船事業委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十七條 造船會社ハ其ノ事業ノ改良發達ヲ圖ル爲造船組合ヲ設立スルコトヲ得
造船組合ハ法人トス
第十八條 造船組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ事業ニ必要ナル物ノ取得、保有及供給竝ニ組合員ノ事業ノ爲ニスル共同施設
二 組合員間ニ於ケル事業ノ統制
三 組合員ノ事業ニ關スル指導、硏究及調査
四 前各號ニ揭グルモノノ外組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
造船組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第十九條 造船組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十條 造船組合ヲ設立セントスルトキハ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ヲ以テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
組合ノ設立ニ付組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコト能ハザル場合ト雖モ特別ノ事由アルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ開クコトヲ得
造船組合ハ第一項ノ認可アリタル時成立ス
第二十一條 造船組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ關スル規定
六 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七 役員ニ關スル規定
八 事業ノ執行ニ關スル規定
九 會議ニ關スル規定
十 組合員ノ出資及責任ニ關スル規定
十一 組合員ノ權利義務及經費ノ分擔ニ關スル規定
十二 會計及財產ニ關スル規定
十三 存立ノ期間又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ期間又ハ事由
第二十二條 造船組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事ハ組合ノ業務ニ付組合ヲ代表ス
監事ハ組合ノ業務ヲ監査ス
理事ト監事トハ相兼ヌルコトヲ得ズ
組合ト理事ト利益相反スル事項ニ付テハ監事組合ヲ代表ス
理事缺ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ズ
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ政府ハ假理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十三條 左ニ揭グル事項ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
一 定款ノ變更
二 收支豫算及經費ノ分賦收入方法
三 業務報吿及收支決算ノ承認
四 第二十八條第一項ノ規程ノ制定及變更
五 造船組合聯合會ノ設立、加入及脫退
六 役員ノ選任及解任
七 合併及解散
前項第一號、第四號、第六號及第七號ニ揭グル事項ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十四條 組合員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ得
第二十五條 總會ノ議決ハ定款ノ定ムル所ニ依リ出席シタル組合員ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス但シ第二十三條第一項第一號、第二號、第四號、第五號及第七號ニ揭グル事項ノ議決ハ總組合員ノ半數以上ニシテ議決權總數ノ半數以上ニ當ル組合員出席シ其ノ議決權ノ三分ノ二以上ノ多數ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十六條 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
組合員ノ有スベキ出資口數ハ五十口ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ增加スルコトヲ得
第二十七條 組合員ノ責任ハ第十九條ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
造船組合ハ定款ニ依リ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資ノ外一定ノ金額ヲ限度トシテ組合ノ債權者ニ對シ責任ヲ負擔スルモノト爲スコトヲ得
第二十八條 造船組合ハ組合員間ニ於ケル事業ノ統制ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ關スル規程ヲ定ムベシ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ造船組合ニ對シ前項ノ規程ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第二十九條 造船事業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ政府ハ造船組合ニ對シ必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三十條 造船事業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ政府ハ造船組合ノ組合員ニ對シ其ノ組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ジ又ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ズシテ組合員タル資格ヲ有スル者ヲシテ其ノ組合ノ組合員タラシムルコトヲ得
第三十一條 政府ハ必要アリト認ムルトキハ造船組合ニ對シ定款、收支豫算又ハ經費ノ分賦收入方法ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十二條 造船組合ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法令、定款若ハ政府ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ政府ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 總會ノ決議ノ取消
二 役員ノ解任
三 事業ノ停止
四 解散
第三十三條 造船組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 存立ノ期間ノ滿了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 合併
四 破產
五 政府ノ解散命令
第三十四條 造船組合ハ其ノ共同ノ目的ヲ達スル爲造船組合聯合會ヲ設立スルコトヲ得
造船組合聯合會ハ他ノ造船組合聯合會又ハ造船組合ト其ノ共同ノ目的ヲ達スル爲更ニ造船組合聯合會ヲ設立スルコトヲ得
造船組合聯合會ハ法人トス
第三十五條 造船組合聯合會ヲ設立セントスルトキハ會員タルベキ資格ヲ有スル組合又ハ聯合會ノ中會員タラントスル者ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ創立委員會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十六條 第十八條、第十九條、第二十條第三項、第二十一條乃至第三十三條ノ規定ハ造船組合聯合會ニ付之ヲ準用ス
第三十七條 造船組合及造船組合聯合會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第三十八條 造船組合及造船組合聯合會ニハ所得稅及營業收益稅ヲ課セズ
第三十九條 民法第五十一條第二項、第五十二條第二項、第五十四條、第五十五條、第五十九條第三號第四號、第六十條乃至第六十四條及第六十六條ノ規定ハ造船組合及造船組合聯合會ニ付之ヲ準用ス
第四十條 本法ニ規定スルモノノ外造船組合及造船組合聯合會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一條 政府ハ造船會社、造船組合又ハ造船組合聯合會ヲシテ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
政府ハ造船會社、造船組合又ハ造船組合聯合會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十二條 本法ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ船舶、船舶用機關又ハ艤裝品ノ製造又ハ修繕ヲ爲ス事業ニシテ第一條ノ造船事業ニ屬セザルモノニ付之ヲ準用ス
第四十三條 第二條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ造船事業ヲ營ミタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十四條 造船會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第五條第一項ノ規定ニ違反シ事業ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタルトキ
二 第十條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ本邦ニ於テ製造セラレタルニ非ザル物ヲ使用シタルトキ
三 第十二條第二項ノ規定ニ違反シ規格ニ適合セザルモノヲ製造シ又ハ船舶ニ使用シタルトキ
四 第十四條又ハ第十五條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
五 第三十條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ組合ノ統制ニ從ハザルトキ
第四十五條 造船會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第四十一條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタルトキ
二 第四十一條第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
第四十六條 造船事業ヲ營ム者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第四十三條乃至前條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十七條 第四十三條乃至第四十五條ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十八條 造船組合又ハ造船組合聯合會ノ理事、監事又ハ淸算人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ、要求シ又ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
本條ノ罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
第四十九條 前條第一項ニ揭グル者ニ對シ賄賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第五十條 造船會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第七條ノ規定ニ違反シ準備金ノ積立ヲ爲サズ又ハ之ヲ同條ニ規定スル以外ノ目的ニ使用シタルトキ
二 第八條ノ規定ニ違反シ社債ヲ募集シ又ハ舊社債ノ償還ヲ爲サザルトキ
第五十一條 左ノ場合ニ於テハ造船組合又ハ造船組合聯合會ノ理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 官廳又ハ總會ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
二 本法ニ依リ政府ノ徵スル報吿ヲ爲サズ又ハ本法ニ依ル政府ノ命令若ハ處分ニ從ハザルトキ
三 本法ニ依ル總會ノ招集ヲ怠リタルトキ
四 本法ニ依リ備置クベキ書類ヲ備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セザルトキ
第五十二條 第三十七條及第四十條ノ規定ニ基キテ發スル勅令ニ於テハ之ニ違反シタル者ヲ五百圓以下ノ過料ニ處スル規定ヲ設クルコトヲ得
第五十三條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ第五十條乃至前條ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但シ第三條中有限會社ニ關スル規定ハ有限會社法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際現ニ造船事業ヲ營ム者又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ一年ヲ限リ第二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ對シ許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
登錄稅法第十九條第七號中「貿易組合中央會」ノ下ニ「、造船組合、造船組合聯合會」ヲ、「貿易組合法」ノ下ニ「、造船事業法」ヲ加フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル造船事業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
逓信大臣 塩野季彦
商工大臣 八田嘉明
大蔵大臣 石渡荘太郎
農林大臣 桜内幸雄
法律第七十号
造船事業法
第一条 本法ニ於テ造船事業トハ命令ノ定ムル設備ヲ備フル者ノ為ス船舶ノ製造又ハ修繕ノ事業ヲ謂フ
前項ノ事業ヲ営ム者ノ為ス船体、船舶用機関若ハ艤装品又ハ其ノ部分品若ハ附属品ノ製造又ハ修繕ハ之ヲ其ノ事業ノ一部ト看做ス
第二条 造船事業ヲ営マントスル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ
第三条 前条ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベキ者ハ帝国法令ニ依リ設立シタル株式会社又ハ有限会社ニシテ其ノ株主又ハ社員ノ半数以上、取締役ノ半数以上、資本ノ半額以上及議決権ノ過半数ガ帝国臣民又ハ帝国法令ニ依リ設立シタル法人ニ属スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人又ハ外国法人ニ属セザルモノナルコトヲ要ス
前条ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定ニ該当セザルニ至リタルトキハ許可ハ其ノ効力ヲ失フ
第四条 第二条ノ許可ヲ受ケタル会社(以下造船会社ト称ス)ハ政府ノ指定スル期間内ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正当ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコトヲ得
造船会社前二項ノ期間内ニ其ノ事業ヲ開始セザルトキハ第二条ノ許可ハ其ノ効力ヲ失フ
第五条 造船会社其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ譲渡シ、廃止シ又ハ休止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
造船会社ノ合併又ハ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第六条 造船事業ハ土地収用法第二条ノ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法ヲ適用ス
第七条 造船会社ハ其ノ事業ニ属スル設備ノ償却ニ充ツル為勅令ノ定ムル所ニ依リ毎決算期ノ利益ノ一部ヲ積立ツベシ
第八条 株式会社タル造船会社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ属スル設備ノ費用ニ充ツル為商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ総額ハ払込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純財産額ガ払込ミタル株金額ニ満タザルトキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
旧社債償還ノ為ニスル社債ノ募集ニ付テハ其ノ旧社債ノ額ハ社債ノ総額中ニ之ヲ算入セズ此ノ場合ニ於テハ払込ノ期日、若シ数回ニ分チテ払込ヲ為サシムルトキハ第一回払込ノ期日ヨリ六月以内ニ旧社債ヲ償還スルコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付テハ工場抵当法ニ依リ会社ノ事業ニ属スルモノヲ抵当ト為スコトヲ要ス但シ特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九条 造船会社本邦ニ於テ未ダ製造セラレタルコトナキ船体、船舶用機関若ハ艤装品又ハ其ノ部分品若ハ附属品ノ製造ヲ為ス場合ニ於テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ予算ノ範囲内ニ於テ之ニ奨励金ヲ交付スルコトヲ得
第十条 政府ハ造船会社ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ船体、船舶用機関若ハ艤装品又ハ其ノ部分品若ハ附属品ニハ本邦ニ於テ製造セラレタル物ヲ使用スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十一条 政府ハ造船事業ノ維持ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ船舶ノ製造ヲ為ス造船会社又ハ船舶ノ製造ノ注文ヲ為ス者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ予算ノ範囲内ニ於テ助成金ヲ交付スルコトヲ得
第十二条 政府ハ船体、船舶用機関若ハ艤装品又ハ其ノ部分品若ハ附属品ニ付其ノ規格ヲ定ムルコトヲ得船舶及船舶用材料ニ付亦同ジ
造船会社ハ前項ノ規定ニ依リ規格ヲ定メタルモノニ付テハ命令ノ定ムル場合ヲ除クノ外規格ニ適合スルモノニ非ザレバ之ヲ製造シ又ハ船舶ニ使用スルコトヲ得ズ
第十三条 政府ハ造船会社ニ対シ其ノ製造セントスル船舶ニ付命令ノ定ムル推進性能試験ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十四条 政府ハ公益上必要アリト認ムルトキハ造船会社ニ対シ船舶、船体、船舶用機関若ハ艤装品又ハ其ノ部分品若ハ附属品ニ付製造若ハ販売ノ価格又ハ修繕料ノ変更ヲ命ジ又ハ此等ノ物ノ供給ニ関シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第十五条 政府ハ公益上必要アリト認ムルトキハ造船会社ニ対シ左ノ各号ニ掲グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 設備ノ新設、増設又ハ改良
二 政府ノ指定スル船舶、船体、船舶用機関若ハ艤装品又ハ其ノ部分品若ハ附属品ノ製造又ハ修繕
三 船舶ニ関スル特殊事項ノ研究又ハ特殊設備ノ施設
前項ノ命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ要スベキ補償金ノ総額ガ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第十六条 政府ハ第十二条第一項ノ規格ノ決定、第十四条若ハ前条第一項第一号ノ命令又ハ前条第二項ノ補償金額ノ決定ヲ為サントスルトキハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外造船事業委員会ノ議ヲ経ベシ
造船事業委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十七条 造船会社ハ其ノ事業ノ改良発達ヲ図ル為造船組合ヲ設立スルコトヲ得
造船組合ハ法人トス
第十八条 造船組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ事業ニ必要ナル物ノ取得、保有及供給並ニ組合員ノ事業ノ為ニスル共同施設
二 組合員間ニ於ケル事業ノ統制
三 組合員ノ事業ニ関スル指導、研究及調査
四 前各号ニ掲グルモノノ外組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
造船組合ハ営利ヲ目的トシテ其ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第十九条 造船組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ対シ経費ヲ分賦シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十条 造船組合ヲ設立セントスルトキハ予メ地区ヲ定メ其ノ地区内ニ於テ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ヲ以テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
組合ノ設立ニ付組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコト能ハザル場合ト雖モ特別ノ事由アルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ創立総会ヲ開クコトヲ得
造船組合ハ第一項ノ認可アリタル時成立ス
第二十一条 造船組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ関スル規定
六 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
七 役員ニ関スル規定
八 事業ノ執行ニ関スル規定
九 会議ニ関スル規定
十 組合員ノ出資及責任ニ関スル規定
十一 組合員ノ権利義務及経費ノ分担ニ関スル規定
十二 会計及財産ニ関スル規定
十三 存立ノ期間又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ期間又ハ事由
第二十二条 造船組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事ハ組合ノ業務ニ付組合ヲ代表ス
監事ハ組合ノ業務ヲ監査ス
理事ト監事トハ相兼ヌルコトヲ得ズ
組合ト理事ト利益相反スル事項ニ付テハ監事組合ヲ代表ス
理事欠ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ズ
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ政府ハ仮理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十三条 左ニ掲グル事項ハ総会ノ議決ヲ経ベシ
一 定款ノ変更
二 収支予算及経費ノ分賦収入方法
三 業務報告及収支決算ノ承認
四 第二十八条第一項ノ規程ノ制定及変更
五 造船組合連合会ノ設立、加入及脱退
六 役員ノ選任及解任
七 合併及解散
前項第一号、第四号、第六号及第七号ニ掲グル事項ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十四条 組合員ハ総会ニ於テ各一個ノ議決権ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付二個以上ノ議決権ヲ有セシムルコトヲ得
第二十五条 総会ノ議決ハ定款ノ定ムル所ニ依リ出席シタル組合員ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス但シ第二十三条第一項第一号、第二号、第四号、第五号及第七号ニ掲グル事項ノ議決ハ総組合員ノ半数以上ニシテ議決権総数ノ半数以上ニ当ル組合員出席シ其ノ議決権ノ三分ノ二以上ノ多数ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第二十六条 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
組合員ノ有スベキ出資口数ハ五十口ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アルトキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ増加スルコトヲ得
第二十七条 組合員ノ責任ハ第十九条ノ規定ニ依ル費用負担ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
造船組合ハ定款ニ依リ組合財産ヲ以テ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資ノ外一定ノ金額ヲ限度トシテ組合ノ債権者ニ対シ責任ヲ負担スルモノト為スコトヲ得
第二十八条 造船組合ハ組合員間ニ於ケル事業ノ統制ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ関スル規程ヲ定ムベシ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ造船組合ニ対シ前項ノ規程ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第二十九条 造船事業ノ健全ナル発達ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ政府ハ造船組合ニ対シ必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三十条 造船事業ノ健全ナル発達ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ政府ハ造船組合ノ組合員ニ対シ其ノ組合ノ統制ニ従フベキコトヲ命ジ又ハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ズシテ組合員タル資格ヲ有スル者ヲシテ其ノ組合ノ組合員タラシムルコトヲ得
第三十一条 政府ハ必要アリト認ムルトキハ造船組合ニ対シ定款、収支予算又ハ経費ノ分賦収入方法ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第三十二条 造船組合ノ事業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行為ガ法令、定款若ハ政府ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ政府ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 総会ノ決議ノ取消
二 役員ノ解任
三 事業ノ停止
四 解散
第三十三条 造船組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 存立ノ期間ノ満了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 合併
四 破産
五 政府ノ解散命令
第三十四条 造船組合ハ其ノ共同ノ目的ヲ達スル為造船組合連合会ヲ設立スルコトヲ得
造船組合連合会ハ他ノ造船組合連合会又ハ造船組合ト其ノ共同ノ目的ヲ達スル為更ニ造船組合連合会ヲ設立スルコトヲ得
造船組合連合会ハ法人トス
第三十五条 造船組合連合会ヲ設立セントスルトキハ会員タルベキ資格ヲ有スル組合又ハ連合会ノ中会員タラントスル者ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ創立委員会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十六条 第十八条、第十九条、第二十条第三項、第二十一条乃至第三十三条ノ規定ハ造船組合連合会ニ付之ヲ準用ス
第三十七条 造船組合及造船組合連合会ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第三十八条 造船組合及造船組合連合会ニハ所得税及営業収益税ヲ課セズ
第三十九条 民法第五十一条第二項、第五十二条第二項、第五十四条、第五十五条、第五十九条第三号第四号、第六十条乃至第六十四条及第六十六条ノ規定ハ造船組合及造船組合連合会ニ付之ヲ準用ス
第四十条 本法ニ規定スルモノノ外造船組合及造船組合連合会ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一条 政府ハ造船会社、造船組合又ハ造船組合連合会ヲシテ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシムルコトヲ得
政府ハ造船会社、造船組合又ハ造船組合連合会ニ対シ業務及会計ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第四十二条 本法ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ船舶、船舶用機関又ハ艤装品ノ製造又ハ修繕ヲ為ス事業ニシテ第一条ノ造船事業ニ属セザルモノニ付之ヲ準用ス
第四十三条 第二条ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ造船事業ヲ営ミタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第四十四条 造船会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第五条第一項ノ規定ニ違反シ事業ヲ譲渡シ、廃止シ又ハ休止シタルトキ
二 第十条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ本邦ニ於テ製造セラレタルニ非ザル物ヲ使用シタルトキ
三 第十二条第二項ノ規定ニ違反シ規格ニ適合セザルモノヲ製造シ又ハ船舶ニ使用シタルトキ
四 第十四条又ハ第十五条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
五 第三十条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ組合ノ統制ニ従ハザルトキ
第四十五条 造船会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第四十一条第一項ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタルトキ
二 第四十一条第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ処分ニ違反シタルトキ
第四十六条 造船事業ヲ営ム者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ第四十三条乃至前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十七条 第四十三条乃至第四十五条ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十八条 造船組合又ハ造船組合連合会ノ理事、監事又ハ清算人其ノ職務ニ関シ賄賂ヲ収受シ、要求シ又ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ処ス因テ不正ノ行為ヲ為シ又ハ相当ノ行為ヲ為サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ場合ニ於テ収受シタル賄賂ハ之ヲ没収ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
本条ノ罪ハ刑法第四条ノ例ニ従フ
第四十九条 前条第一項ニ掲グル者ニ対シ賄賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得
第五十条 造船会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
一 第七条ノ規定ニ違反シ準備金ノ積立ヲ為サズ又ハ之ヲ同条ニ規定スル以外ノ目的ニ使用シタルトキ
二 第八条ノ規定ニ違反シ社債ヲ募集シ又ハ旧社債ノ償還ヲ為サザルトキ
第五十一条 左ノ場合ニ於テハ造船組合又ハ造船組合連合会ノ理事又ハ監事ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 官庁又ハ総会ニ対シ不実ノ申述ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
二 本法ニ依リ政府ノ徴スル報告ヲ為サズ又ハ本法ニ依ル政府ノ命令若ハ処分ニ従ハザルトキ
三 本法ニ依ル総会ノ招集ヲ怠リタルトキ
四 本法ニ依リ備置クベキ書類ヲ備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セザルトキ
第五十二条 第三十七条及第四十条ノ規定ニ基キテ発スル勅令ニ於テハ之ニ違反シタル者ヲ五百円以下ノ過料ニ処スル規定ヲ設クルコトヲ得
第五十三条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ第五十条乃至前条ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但シ第三条中有限会社ニ関スル規定ハ有限会社法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際現ニ造船事業ヲ営ム者又ハ其ノ事業ヲ承継シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ一年ヲ限リ第二条ノ規定ニ拘ラズ其ノ事業ヲ営ムコトヲ得
前項ニ掲グル者前項ノ期間内ニ第二条ノ許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ対シ許可又ハ不許可ノ処分ノ日迄亦前項ニ同ジ
登録税法第十九条第七号中「貿易組合中央会」ノ下ニ「、造船組合、造船組合連合会」ヲ、「貿易組合法」ノ下ニ「、造船事業法」ヲ加フ