海軍練習航空隊令
法令番号: 勅令第百二號
公布年月日: 昭和5年5月30日
法令の形式: 勅令
朕海軍航空隊練習部令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和五年五月二十九日
內閣總理大臣 濱口雄幸
海軍大臣 財部彪
勅令第百二號
海軍練習航空隊令
第一條 海軍航空隊ニシテ海軍練習航空隊ニ指定セラレタルモノハ海軍士官、特務士官及准士官竝ニ海軍特修兵タルベキ海軍下士官及兵ニ對シ航空術ヲ敎授シ且航空ニ關スル硏究及其ノ敎育ノ規畫ニ關スル硏究調查ヲ行フモノトス
海軍練習航空隊ニ於テハ前項ノ外必要ニ應ジ新ニ採用セラレタル海軍航空兵ヲ敎育ス
第二條 海軍練習航空隊ノ敎育綱領ハ海軍大臣之ヲ定ム
第三條 海軍練習航空隊ニハ海軍航空隊職員ノ外左ノ職員ヲ置ク
敎務副官
敎頭
敎官
第四條 司令ハ鎭守府司令長官ノ指揮ヲ承ケ練習航空隊ノ隊務ヲ總理ス但シ第一條第一項ニ規定スル航空ニ關スル硏究及其ノ敎育ノ規畫ニ關スル硏究調查ニ付テハ海軍大臣ノ命ヲ承ク
第五條 敎務副官ハ司令ノ命ヲ承ケ敎務ヲ掌ル
第六條 敎頭ハ司令ヲ佐ケ敎務、航空ノ硏究及敎育ノ規畫ニ關スルコトヲ監理シ其ノ業務ニ從事スル職員ノ服務ヲ監督ス
第七條 敎官ハ司令ノ命ヲ承ケ敎授ヲ擔任シ且航空ニ關スル硏究又ハ敎育ノ規畫ニ關スルコトヲ掌ル
第八條 司令ハ必要ニ應ジ前三條ニ規定スル者ノ外他ノ職員ヲシテ敎授其ノ他練習ノコトヲ掌ラシムルコトヲ得
第九條 海軍練習航空隊ニ於テ修習スル海軍准士官以上ヲ學生、海軍下士官及兵ヲ練習生ト稱ス
第一條第二項ニ規定スル海軍航空兵ハ之ヲ豫科練習生ト稱ス
第十條 海軍練習航空隊學生ハ之ヲ左ノ五種ニ區別ス
一 高等科學生
二 飛行學生
三 整備學生
四 特修科學生
五 專攻科學生
第十一條 高等科學生ハ身體强健實務ノ成績優等ニシテ高等ノ航空術ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル海軍大尉又ハ中尉ニ就キ飛行隊長以上ノ素養ニ必要ナル航空術ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ズ
第十二條 飛行學生ハ身體强健實務ノ成績優等ニシテ航空機搭乘將校トシテ必要ナル學術技能ヲ修習セシムルニ適スト認ムル海軍中尉又ハ少尉ニ就キ海軍大臣之ヲ命ズ
第十三條 整備學生ハ身體强健實務ノ成績優等ニシテ航空機ノ整備ニ關スル學術技能ヲ修習セシムルニ適スト認ムル海軍機關科尉官ニ就キ海軍大臣之ヲ命ズ
第十四條 特修科學生ハ海軍士官、特務士官又ハ准士官ニシテ志願スル者ニ就キ又ハ特ニ必要ト認ムル者ニ對シ航空關係職員トシテ必要ナル事項ヲ修習セシムル爲海軍士官ニ在リテハ海軍大臣、海軍特務士官又ハ准士官ニ在リテハ在籍ノ鎭守府司令長官之ヲ命ズ
第十五條 專攻科學生ハ海軍練習航空隊高等科學生敎程ヲ終了シタル者ニ就キ航空術中特ニ硏究項目ヲ指定シ之ヲ專攻セシムル爲必要ニ應ジ海軍大臣之ヲ命ズ
第十六條 學生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十七條 司令ハ學生中不適當ト認ムル者アルトキハ之ヲ鎭守府司令長官ニ具申シ鎭守府司令長官ハ其ノ具申ヲ至當ト認ムルトキハ海軍士官ニ在リテハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ他所管ノ海軍特務士官及准士官ニ在リテハ之ヲ在籍ノ鎭守府司令長官ニ移牒シ海軍大臣又ハ鎭守府司令長官ハ其ノ學生ヲ免ズルコトヲ得
第十八條 海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ海軍士官タル學生ヲ免ズルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ學生ヲ免ジタル者ニ對シ第十一條乃至第十三條ノ規定ニ拘ラズ再ビ學生ヲ命ズルコトヲ得
鎭守府司令長官ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ海軍特務士官又ハ准士官タル特修科學生ヲ免ズルコトヲ得
第十九條 練習生及豫科練習生ニ關スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十條 司令ハ鎭守府司令長官ノ認可ヲ受ケ學生、練習生又ハ豫科練習生ヲ艦船部隊其ノ他海軍各部ニ派遣シ修業セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル學生、練習生又ハ豫科練習生ハ其ノ修業ニ關シ當該廳長ノ指揮ヲ受ク
第二十一條 海軍大臣ハ必要ニ應ジ海軍士官若ハ候補生、海軍特務士官、准士官、下士官若ハ兵又ハ海軍技師若ハ技手ヲシテ海軍練習航空隊ニ於テ航空術ノ講習ヲ受ケシムルコトヲ得
第二十二條 海軍大臣ハ遞信大臣ノ請求アルトキハ第一條及前條ノ規定ニ依ル業務ニ支障ナキ限リ海軍部外ノ希望者ニ對シ海軍練習航空隊ニ於テ航空術ヲ敎授セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和五年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍航空隊練習部ニ在學スル飛行學生、整備學生又ハ特修科學生ハ別ニ辭令ヲ用ヒズ之ヲ本令ニ依ル各其ノ學生トシ偵察學生ハ之ヲ本令ニ依ル飛行學生トス
朕海軍航空隊練習部令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和五年五月二十九日
内閣総理大臣 浜口雄幸
海軍大臣 財部彪
勅令第百二号
海軍練習航空隊令
第一条 海軍航空隊ニシテ海軍練習航空隊ニ指定セラレタルモノハ海軍士官、特務士官及准士官並ニ海軍特修兵タルベキ海軍下士官及兵ニ対シ航空術ヲ教授シ且航空ニ関スル研究及其ノ教育ノ規画ニ関スル研究調査ヲ行フモノトス
海軍練習航空隊ニ於テハ前項ノ外必要ニ応ジ新ニ採用セラレタル海軍航空兵ヲ教育ス
第二条 海軍練習航空隊ノ教育綱領ハ海軍大臣之ヲ定ム
第三条 海軍練習航空隊ニハ海軍航空隊職員ノ外左ノ職員ヲ置ク
教務副官
教頭
教官
第四条 司令ハ鎮守府司令長官ノ指揮ヲ承ケ練習航空隊ノ隊務ヲ総理ス但シ第一条第一項ニ規定スル航空ニ関スル研究及其ノ教育ノ規画ニ関スル研究調査ニ付テハ海軍大臣ノ命ヲ承ク
第五条 教務副官ハ司令ノ命ヲ承ケ教務ヲ掌ル
第六条 教頭ハ司令ヲ佐ケ教務、航空ノ研究及教育ノ規画ニ関スルコトヲ監理シ其ノ業務ニ従事スル職員ノ服務ヲ監督ス
第七条 教官ハ司令ノ命ヲ承ケ教授ヲ担任シ且航空ニ関スル研究又ハ教育ノ規画ニ関スルコトヲ掌ル
第八条 司令ハ必要ニ応ジ前三条ニ規定スル者ノ外他ノ職員ヲシテ教授其ノ他練習ノコトヲ掌ラシムルコトヲ得
第九条 海軍練習航空隊ニ於テ修習スル海軍准士官以上ヲ学生、海軍下士官及兵ヲ練習生ト称ス
第一条第二項ニ規定スル海軍航空兵ハ之ヲ予科練習生ト称ス
第十条 海軍練習航空隊学生ハ之ヲ左ノ五種ニ区別ス
一 高等科学生
二 飛行学生
三 整備学生
四 特修科学生
五 専攻科学生
第十一条 高等科学生ハ身体強健実務ノ成績優等ニシテ高等ノ航空術ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル海軍大尉又ハ中尉ニ就キ飛行隊長以上ノ素養ニ必要ナル航空術ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ズ
第十二条 飛行学生ハ身体強健実務ノ成績優等ニシテ航空機搭乗将校トシテ必要ナル学術技能ヲ修習セシムルニ適スト認ムル海軍中尉又ハ少尉ニ就キ海軍大臣之ヲ命ズ
第十三条 整備学生ハ身体強健実務ノ成績優等ニシテ航空機ノ整備ニ関スル学術技能ヲ修習セシムルニ適スト認ムル海軍機関科尉官ニ就キ海軍大臣之ヲ命ズ
第十四条 特修科学生ハ海軍士官、特務士官又ハ准士官ニシテ志願スル者ニ就キ又ハ特ニ必要ト認ムル者ニ対シ航空関係職員トシテ必要ナル事項ヲ修習セシムル為海軍士官ニ在リテハ海軍大臣、海軍特務士官又ハ准士官ニ在リテハ在籍ノ鎮守府司令長官之ヲ命ズ
第十五条 専攻科学生ハ海軍練習航空隊高等科学生教程ヲ終了シタル者ニ就キ航空術中特ニ研究項目ヲ指定シ之ヲ専攻セシムル為必要ニ応ジ海軍大臣之ヲ命ズ
第十六条 学生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十七条 司令ハ学生中不適当ト認ムル者アルトキハ之ヲ鎮守府司令長官ニ具申シ鎮守府司令長官ハ其ノ具申ヲ至当ト認ムルトキハ海軍士官ニ在リテハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ他所管ノ海軍特務士官及准士官ニ在リテハ之ヲ在籍ノ鎮守府司令長官ニ移牒シ海軍大臣又ハ鎮守府司令長官ハ其ノ学生ヲ免ズルコトヲ得
第十八条 海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ海軍士官タル学生ヲ免ズルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ学生ヲ免ジタル者ニ対シ第十一条乃至第十三条ノ規定ニ拘ラズ再ビ学生ヲ命ズルコトヲ得
鎮守府司令長官ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ海軍特務士官又ハ准士官タル特修科学生ヲ免ズルコトヲ得
第十九条 練習生及予科練習生ニ関スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十条 司令ハ鎮守府司令長官ノ認可ヲ受ケ学生、練習生又ハ予科練習生ヲ艦船部隊其ノ他海軍各部ニ派遣シ修業セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル学生、練習生又ハ予科練習生ハ其ノ修業ニ関シ当該庁長ノ指揮ヲ受ク
第二十一条 海軍大臣ハ必要ニ応ジ海軍士官若ハ候補生、海軍特務士官、准士官、下士官若ハ兵又ハ海軍技師若ハ技手ヲシテ海軍練習航空隊ニ於テ航空術ノ講習ヲ受ケシムルコトヲ得
第二十二条 海軍大臣ハ逓信大臣ノ請求アルトキハ第一条及前条ノ規定ニ依ル業務ニ支障ナキ限リ海軍部外ノ希望者ニ対シ海軍練習航空隊ニ於テ航空術ヲ教授セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和五年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍航空隊練習部ニ在学スル飛行学生、整備学生又ハ特修科学生ハ別ニ辞令ヲ用ヒズ之ヲ本令ニ依ル各其ノ学生トシ偵察学生ハ之ヲ本令ニ依ル飛行学生トス