朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル刑事訴訟費用法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月十一日
內閣總理大臣 原敬
海軍大臣 男爵 加藤友三郞
陸軍大臣 男爵 田中義一
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第六十八號
刑事訴訟費用法
第一條 左ニ揭クルモノヲ以テ公訴ニ關スル訴訟費用トス
一 豫審又ハ公判ニ付呼出シタル證人、鑑定人及通事ニ給スヘキ日當、旅費及止宿料
二 第三條第二項ニ規定スル費用
第二條 證人ノ日當ハ出頭一度ニ付二圓以內ニ於テ豫審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
第三條 鑑定人及通事ノ日當ハ出頭一度ニ付二圓以上十圓以內ニ於テ豫審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
鑑定又ハ通譯ニ付特別ノ技能若ハ費用又ハ長時間ヲ要スルトキハ日當ノ外豫審判事、受託判事又ハ裁判所ノ相當ト認ムル金額ヲ給スルコトヲ得
第四條 證人、鑑定人及通事ノ旅費ハ鐵道又ハ汽船ヲ通スル水路ニ在リテハ二等以下ノ汽車賃又ハ船賃ニシテ豫審判事、受託判事又ハ裁判所ノ相當ト認ムルモノニ依リ汽船ヲ通セサル水路ニ在リテハ一海里每ニ五錢其ノ他ニ在リテハ一里每ニ三十錢トス但シ一海里未滿又ハ一里未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツ
第五條 證人、鑑定人及通事ノ止宿料ハ一日五圓以內ニ於テ豫審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
第六條 證人、鑑定人及通事ノ日當、旅費及止宿料ハ豫審ニ付テハ其ノ終結前公判ニ付テハ判決前ニ請求スルニ非サレハ之ヲ給セス
第七條 共犯人ヲシテ訴訟費用ヲ負擔セシムル場合ニ於テハ連帶負擔トス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
刑法施行法第六十二條乃至第六十七條ヲ削ル
陸軍刑法施行法第三十一條中「刑法施行法第六十三條乃至第六十六條ノ規定」ヲ「刑事訴訟費用法」ニ改ム
海軍刑法施行法第三十一條中「刑法施行法第六十三條乃至第六十六條ノ規定」ヲ「刑事訴訟費用法」ニ改ム
本法施行前要シタル費用ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル刑事訴訟費用法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月十一日
内閣総理大臣 原敬
海軍大臣 男爵 加藤友三郎
陸軍大臣 男爵 田中義一
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第六十八号
刑事訴訟費用法
第一条 左ニ掲クルモノヲ以テ公訴ニ関スル訴訟費用トス
一 予審又ハ公判ニ付呼出シタル証人、鑑定人及通事ニ給スヘキ日当、旅費及止宿料
二 第三条第二項ニ規定スル費用
第二条 証人ノ日当ハ出頭一度ニ付二円以内ニ於テ予審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
第三条 鑑定人及通事ノ日当ハ出頭一度ニ付二円以上十円以内ニ於テ予審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
鑑定又ハ通訳ニ付特別ノ技能若ハ費用又ハ長時間ヲ要スルトキハ日当ノ外予審判事、受託判事又ハ裁判所ノ相当ト認ムル金額ヲ給スルコトヲ得
第四条 証人、鑑定人及通事ノ旅費ハ鉄道又ハ汽船ヲ通スル水路ニ在リテハ二等以下ノ汽車賃又ハ船賃ニシテ予審判事、受託判事又ハ裁判所ノ相当ト認ムルモノニ依リ汽船ヲ通セサル水路ニ在リテハ一海里毎ニ五銭其ノ他ニ在リテハ一里毎ニ三十銭トス但シ一海里未満又ハ一里未満ノ端数ハ之ヲ切捨ツ
第五条 証人、鑑定人及通事ノ止宿料ハ一日五円以内ニ於テ予審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
第六条 証人、鑑定人及通事ノ日当、旅費及止宿料ハ予審ニ付テハ其ノ終結前公判ニ付テハ判決前ニ請求スルニ非サレハ之ヲ給セス
第七条 共犯人ヲシテ訴訟費用ヲ負担セシムル場合ニ於テハ連帯負担トス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
刑法施行法第六十二条乃至第六十七条ヲ削ル
陸軍刑法施行法第三十一条中「刑法施行法第六十三条乃至第六十六条ノ規定」ヲ「刑事訴訟費用法」ニ改ム
海軍刑法施行法第三十一条中「刑法施行法第六十三条乃至第六十六条ノ規定」ヲ「刑事訴訟費用法」ニ改ム
本法施行前要シタル費用ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル