第一條 陸軍幼年學校ハ陸軍將校タルコトヲ志願スル者ノ中ヨリ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ選拔セラレタル生徒ニ陸軍士官學校豫科生徒タルニ必要ナル素養ヲ與フル爲軍事上ノ必要ヲ顧慮シテ普通學科ヲ敎授シ軍人精神ヲ涵養スル所トス
第三條 生徒ノ敎育ヲ分チテ敎授及訓育トシ其ノ敎育綱領ハ敎育總監之ヲ定ム
第四條 生徒ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ校長案ヲ具シ敎育總監ニ上申シ敎育總監之ヲ裁定ス
前項ノ職員中將校同相當官及下士ヲ以テ之ニ充ツル者ニ在リテハ豫備役又ハ後備役ノ者ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
校長ハ敎官ノ內一人ヲ敎頭ト爲シ校長ノ命ヲ承ケ敎務ヲ監理セシム
第十一條 主計及軍醫ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ擔任ノ業務ヲ掌ル
第十三條 武官タル職員ニハ便宜ノ時期ニ於テ隊附勤務ヲ爲サシムルコトアルヘシ
第十四條 生徒ノ修業期間ハ三年トシ之ヲ三學年ニ分チ各學年ハ四月ヨリ翌年三月ニ至ル
第十五條 生徒ハ校內ニ居住セシメ其ノ修學ニ要スル兵器、圖書、器具及消耗品ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第十六條 生徒ハ在校中被服、糧食其ノ他ノ費用トシテ若干ノ納金ヲ爲スモノトス
生徒中左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ資產ヲ顧慮シ若干名ヲ限リ特ニ納金ノ全額又ハ一部ヲ免除スルコトヲ得
一 戰死シ又ハ公務ニ因リ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ之カ爲死亡シタル軍人又ハ文官ノ子
二 軍人恩給法ニ依リ退職恩給、免除恩給又ハ增加恩給ノ權ヲ得タル軍人ノ子
三 現役中ノ陸海軍佐官同相當官以下ノ高等武官又ハ十一年以上軍務ニ精勵シタル陸海軍准士官以下ノ軍人ノ子
十五年以上陸海軍部內ニ在リテ軍務ニ精勵シタル奏任又ハ判任ノ文官ノ子
四 特ニ國家ニ功勞アル軍人又ハ文官ニシテ死亡シタルモノノ子
前項ノ規定ノ適用ニ付テハ子ハ父ト同一ノ家ニ在ルモノニ限リ養子ニ在リテハ前項ニ規定スル軍人又ハ文官ノ家督相續人タルモノニ限ル
第十七條 前條ノ規定ニ依リ納金ノ全額ヲ收ムル者ヲ自費生ト稱ス其ノ納金ノ全額ヲ免除セラレタル者ヲ特待生、其ノ一部ヲ免除セラレタル者ヲ半特待生ト稱ス
第十八條 特待生及半特待生ト爲スヘキ人員及其ノ區分ハ敎育總監陸軍大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十九條 自費生及半特待生ノ納金額ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第二十條 生徒中已ムヲ得サル事故ニ因リ退校ヲ願出ツル者アルトキハ其ノ事情ニ依リ之ヲ許可スルコトアルヘシ
第二十一條 生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
二 屢法則ヲ犯シ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
前項各號ノ外納金滯納ノ場合ニハ退校セシムルコトアルヘシ
第二十二條 生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ各學年ニ於テ所定ノ學術ヲ修メ得サル者ニシテ尙望アルモノハ一學年間延期修學セシムルコトヲ得
第二十三條 前三條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ敎育總監ニ上申シ敎育總監之ヲ裁定處分ス
第二十四條 生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ校長ハ考科列序ヲ定メ敎育總監ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與ス
第二十五條 敎育總監ハ校長ヲシテ卒業者ニ對シ陸軍士官學校ニ入校ヲ命セシム但シ卒業者中傷痍疾病ニ因リ陸軍士官學校豫科生徒ト爲スヲ得サル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十六條 校長ハ生徒ニ每年冬季二週間以內夏季五週間以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第二十七條 校長ハ卒業者ニ卒業ノ日ヨリ陸軍士官學校入校ノ日ニ至ル迄休暇ヲ與ヘ歸省又ハ他行ヲ許スコトヲ得但シ此ノ期間ニ於ケル生徒ノ身分ハ陸軍幼年學校ニ屬ス