陸軍幼年学校令
法令番号: 勅令第八十九號
公布年月日: 昭和15年3月9日
法令の形式: 勅令
朕陸軍幼年學校令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月八日
內閣總理大臣 米內光政
陸軍大臣 畑俊六
勅令第八十九號
陸軍幼年學校令
第一條 陸軍幼年學校ハ生徒ニ陸軍豫科士官學校生徒タルニ必要ナル素養ヲ與フル爲軍事上ノ必要ヲ顧慮シテ普通學科ヲ敎授シ軍人精神ヲ涵養スル所トス
第二條 陸軍幼年學校ハ之ヲ東京、仙臺、名古屋、大阪、廣島及熊本ニ置ク
陸軍幼年學校ハ其ノ所在地名ヲ冠稱ス
第三條 生徒ハ陸軍將校タルコトヲ志願シ召募試驗ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ通常每年一囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ三年トス
第四條 生徒ノ採用ニ關スル事項及入校期日ニ付テハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五條 生徒ノ敎育ヲ分チテ訓育及學科敎育トシ其ノ敎育綱領ハ敎育總監之ヲ定ム
第六條 生徒ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ敎育總監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七條 生徒ノ學科敎育及之ニ關聯スル訓育ニ任ゼシムル爲陸軍幼年學校ニ敎授部ヲ置ク
第八條 生徒ノ訓育ヲ行フ爲陸軍幼年學校ニ訓育部ヲ置ク
第九條 陸軍幼年學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
學校附
敎官
訓育部長
生徒監主事
生徒監
下士官及判任文官
前項ノ職員中將校及下士官ヲ以テ之ニ充ツルモノニ在リテハ豫備役又ハ後備役ノ者ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第十條 校長ハ敎育總監ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十一條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十二條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ擔任ノ業務ヲ掌ル
第十三條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ學科敎育及之ニ關聯スル訓育ヲ分擔ス
校長ハ敎官タル陸軍敎授ノ內一人ヲ敎頭ト爲シ校長ノ命ヲ承ケ敎授部ノ業務ヲ監理セシム
第十四條 訓育部長ハ訓育部ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌理ス
第十五條 生徒監主事ハ訓育部長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌ル
第十六條 生徒監ハ生徒監主事ノ命ヲ承ケ訓育ヲ擔任ス
第十七條 下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ敎育ヲ補助シ又ハ事務ニ從事ス
第十八條 生徒ハ校內ニ居住セシメ其ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第十九條 生徒ハ總テ校長ノ管理ニ屬ス
第二十條 生徒ハ在校中被服、糧食其ノ他ノ費用トシテ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ若干ノ納金ヲ爲スモノトス但シ特別ノ事由アル者ニ對シテハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ特ニ納金ノ全部又ハ一部ヲ免除スルコトヲ得
第二十一條 生徒中已ムヲ得ザル事由ニ因リ退校ヲ願出ヅル者アルトキハ其ノ事情ニ依リ之ヲ許可スルコトアルベシ
第二十二條 敎育上必要アルトキハ校長ハ生徒ニ懲戒ヲ加フルコトヲ得
前項ノ懲戒ニ關スル規程ハ敎育總監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第二十三條 生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修業ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外將來將校タルニ適セズト認ムル者
前項各號ノ外納金滯納ノ場合ニハ退校セシムルコトアルベシ
第二十四條 生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アルモノハ次期ノ生徒ト爲スコトヲ得
第二十五條 第二十一條又ハ前二條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長ノ上申ニ依リ敎育總監之ヲ處理ス
第二十六條 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ敎育總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與シ之ヲ陸軍豫科士官學校ニ入校セシム但シ卒業者中傷痍疾病ニ因リ陸軍豫科士官學校生徒ト爲スヲ得ザル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七條 校長ハ生徒ニ每年春季、冬季各二週間以內、夏季四週間以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第二十八條 校長ハ卒業者ニ卒業ノ日ヨリ陸軍豫科士官學校入校ノ日ニ至ル迄休暇ヲ與フルコトヲ得此期間ニ於ケル生徒ノ身分ハ陸軍幼年學校ニ屬ス
第二十九條 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕陸軍幼年学校令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月八日
内閣総理大臣 米内光政
陸軍大臣 畑俊六
勅令第八十九号
陸軍幼年学校令
第一条 陸軍幼年学校ハ生徒ニ陸軍予科士官学校生徒タルニ必要ナル素養ヲ与フル為軍事上ノ必要ヲ顧慮シテ普通学科ヲ教授シ軍人精神ヲ涵養スル所トス
第二条 陸軍幼年学校ハ之ヲ東京、仙台、名古屋、大阪、広島及熊本ニ置ク
陸軍幼年学校ハ其ノ所在地名ヲ冠称ス
第三条 生徒ハ陸軍将校タルコトヲ志願シ召募試験ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ通常毎年一回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ三年トス
第四条 生徒ノ採用ニ関スル事項及入校期日ニ付テハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五条 生徒ノ教育ヲ分チテ訓育及学科教育トシ其ノ教育綱領ハ教育総監之ヲ定ム
第六条 生徒ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ教育総監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七条 生徒ノ学科教育及之ニ関連スル訓育ニ任ゼシムル為陸軍幼年学校ニ教授部ヲ置ク
第八条 生徒ノ訓育ヲ行フ為陸軍幼年学校ニ訓育部ヲ置ク
第九条 陸軍幼年学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
学校附
教官
訓育部長
生徒監主事
生徒監
下士官及判任文官
前項ノ職員中将校及下士官ヲ以テ之ニ充ツルモノニ在リテハ予備役又ハ後備役ノ者ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第十条 校長ハ教育総監ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十一条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十二条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ担任ノ業務ヲ掌ル
第十三条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ学科教育及之ニ関連スル訓育ヲ分担ス
校長ハ教官タル陸軍教授ノ内一人ヲ教頭ト為シ校長ノ命ヲ承ケ教授部ノ業務ヲ監理セシム
第十四条 訓育部長ハ訓育部ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌理ス
第十五条 生徒監主事ハ訓育部長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌ル
第十六条 生徒監ハ生徒監主事ノ命ヲ承ケ訓育ヲ担任ス
第十七条 下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ教育ヲ補助シ又ハ事務ニ従事ス
第十八条 生徒ハ校内ニ居住セシメ其ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第十九条 生徒ハ総テ校長ノ管理ニ属ス
第二十条 生徒ハ在校中被服、糧食其ノ他ノ費用トシテ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ若干ノ納金ヲ為スモノトス但シ特別ノ事由アル者ニ対シテハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ特ニ納金ノ全部又ハ一部ヲ免除スルコトヲ得
第二十一条 生徒中已ムヲ得ザル事由ニ因リ退校ヲ願出ヅル者アルトキハ其ノ事情ニ依リ之ヲ許可スルコトアルベシ
第二十二条 教育上必要アルトキハ校長ハ生徒ニ懲戒ヲ加フルコトヲ得
前項ノ懲戒ニ関スル規程ハ教育総監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第二十三条 生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修業ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外将来将校タルニ適セズト認ムル者
前項各号ノ外納金滞納ノ場合ニハ退校セシムルコトアルベシ
第二十四条 生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アルモノハ次期ノ生徒ト為スコトヲ得
第二十五条 第二十一条又ハ前二条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ校長ノ上申ニ依リ教育総監之ヲ処理ス
第二十六条 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ教育総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与シ之ヲ陸軍予科士官学校ニ入校セシム但シ卒業者中傷痍疾病ニ因リ陸軍予科士官学校生徒ト為スヲ得ザル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七条 校長ハ生徒ニ毎年春季、冬季各二週間以内、夏季四週間以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
第二十八条 校長ハ卒業者ニ卒業ノ日ヨリ陸軍予科士官学校入校ノ日ニ至ル迄休暇ヲ与フルコトヲ得此期間ニ於ケル生徒ノ身分ハ陸軍幼年学校ニ属ス
第二十九条 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス