朕海軍經理學校條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年八月十四日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
海軍大臣 加藤友三郞
勅令第三百二十三號
海軍經理學校令
第一條 海軍經理學校ハ海軍主計官ト爲スヘキ生徒ヲ敎育シ海軍主計官及少主計候補生ニ對シ海軍主計官ニ必要ナル學術ヲ敎授シ兼テ之ヲシテ職務ヲ練習セシメ海軍筆記長及上等筆記、海軍特修兵タルヘキ海軍筆記廚宰及主廚竝海軍筆記ト爲スヘキ卒ニ對シ之ニ必要ナル學術ヲ敎授スル所トス
第二條 海軍經理學校ノ敎育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第三條 海軍經理學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
敎頭
敎官
監事
軍醫長
主計長
第四條 校長ハ海軍敎育本部長ニ隸シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ總理ス
第五條 校長ハ部下ノ職員缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第六條 校長缺員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ主計官席次ノ順序ニ從ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第八條 敎頭ハ校長ヲ佐ケ敎務ヲ監理シ紀律ヲ維持ス
第九條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ各學科ノ敎授ヲ擔任ス
第十條 監事ハ敎頭ノ命ヲ承ケ學生、生徒及練習生ヲ監督ス
第十一條 軍醫長ハ校長ノ命ヲ承ケ醫務及衞生ニ關スルコトヲ掌ル
第十二條 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ會計及給與ニ關スルコトヲ掌ル
第十三條 海軍經理學校ニハ第三條ノ職員ノ外海軍特務士官准士官下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十四條 海軍經理學校生徒ハ年齡十六年以上二十一年以下ニシテ海軍主計官タラムコトヲ志願スル者ニ就キ檢査ヲ行ヒ所要ノ人員ヲ採用ス
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ生徒ニ之ヲ採用セス
一 有妻ノ者
二 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
三 復權ヲ得サル家資分散者又ハ破產者
四 品行不正又ハ家庭不良ナルカ爲將來海軍主計官タル體面ヲ保ツコト能ハスト認ムル者
第十六條 生徒ノ召募及檢査格例ハ每年海軍大臣之ヲ吿示ス
第十七條 生徒ハ入校ノ日ヨリ海軍兵籍ニ之ヲ編入ス
第十八條 生徒ノ修業期間ハ三年トス但シ戰時又ハ事變ニ際シテハ之ヲ短縮スルコトヲ得
第十九條 卒業試驗ニ及第シタル生徒ニハ卒業證書ヲ授與ス
第二十條 生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ス
第二十一條 生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 海軍主計官タルヘキ器量ニ乏シキ者
二 品行不正又ハ怠惰ニシテ訓戒ヲ加フルモ改悛セサル者
三 試驗ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ前途役務ニ堪ヘ難シト認ムル者
第二十二條 海軍經理學校ニ於テ修習スル海軍准士官以上及候補生ヲ海軍經理學校學生、海軍下士卒ヲ海軍經理學校練習生ト稱ス
第二十三條 海軍經理學校學生ハ之ヲ左ノ四種ニ區別ス
一 高等科學生
二 普通科學生
三 特修科學生
四 選科學生
第二十四條 高等科學生ハ身體强健實務ノ成績優等ニシテ會計經理ニ關スル高等ノ學術ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル海軍主計少監又ハ大主計ニ就キ要職ニ充ツルニ適スル素養ニ必要ナル會計經理ニ關スル學術ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
第二十五條 普通科學生ハ新ニ採用シタル海軍主計及少主計候補生ニ初級主計官ニ必要ナル學術ヲ修習セシムル爲海軍大臣之ヲ命ス
第二十六條 特修科學生ハ海軍筆記長又ハ上等筆記ニシテ志願スル者ノ中ニ就キ又ハ特ニ必要ト認ムル者ニ對シ會計經理及庶務ニ關スル必要ナル學術ヲ修習セシムル爲在籍鎭守府司令長官之ヲ命ス
第二十七條 選科學生ハ海軍主計官ニシテ專門ノ學科ヲ硏究スルコトヲ志願シ且實務ノ成績優等ニシテ之ヲ修習セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル者ニ就キ其ノ學科ヲ修習セシムル爲海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
海軍大臣必要ト認ムルトキハ海軍主計官ニ其ノ專修スヘキ學科ヲ指定シ選科學生ヲ命スルコトヲ得
第二十八條 海軍經理學校學生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十九條 高等科學生、普通科學生又ハ特修科學生其ノ敎程ヲ終了シタルトキハ之ニ修業證書ヲ授與ス
第三十條 校長ハ海軍敎育本部長ノ認可ヲ受ケ選科學生ヲ海軍部外ノ學校等ニ委託シ修業セシムルコトヲ得
第三十一條 校長ハ學生中不適當ト認ムル者アルトキハ之ヲ海軍敎育本部長ニ禀申シ海軍敎育本部長其ノ禀申ヲ至當ト認ムルトキハ高等科學生、普通科學生又ハ選科學生ニ在リテハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ特修科學生ニ在リテハ之ヲ在籍鎭守府司令長官ニ移牒シ海軍大臣又ハ鎭守府司令長官ハ其ノ學生ヲ免スルコトヲ得
第三十二條 海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ高等科學生、普通科學生又ハ選科學生ヲ免スルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ學生ヲ免セラレタル者ニ對シ第二十四條及第二十五條ノ規定ニ拘ラス再ヒ學生ヲ命スルコトヲ得
鎭守府司令長官ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ特修科學生ヲ免スルコトヲ得
第三十三條 海軍經理學校練習生ニ關スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第三十四條 海軍大臣ハ海軍經理學校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍主計官筆記長上等筆記筆記又ハ廚宰ヲシテ必要ナル學術ノ講習ヲ受ケシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍經理學校ニ在學スル生徒ノ修業期間ハ從前ノ規定ニ依ル但シ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ四月ヲ超エサル期間之ヲ短縮スルコトヲ得
本令施行ノ際現ニ海軍經理學校ニ在學スル甲種學生ハ之ヲ高等科學生、乙種學生ハ之ヲ普通科學生、丙種學生ハ之ヲ特修科學生ト看做ス
朕海軍経理学校条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年八月十四日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
海軍大臣 加藤友三郎
勅令第三百二十三号
海軍経理学校令
第一条 海軍経理学校ハ海軍主計官ト為スヘキ生徒ヲ教育シ海軍主計官及少主計候補生ニ対シ海軍主計官ニ必要ナル学術ヲ教授シ兼テ之ヲシテ職務ヲ練習セシメ海軍筆記長及上等筆記、海軍特修兵タルヘキ海軍筆記厨宰及主厨並海軍筆記ト為スヘキ卒ニ対シ之ニ必要ナル学術ヲ教授スル所トス
第二条 海軍経理学校ノ教育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ受ケ海軍教育本部長之ヲ定ム
第三条 海軍経理学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
教頭
教官
監事
軍医長
主計長
第四条 校長ハ海軍教育本部長ニ隷シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ総理ス
第五条 校長ハ部下ノ職員欠員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ他ノ職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第六条 校長欠員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキハ部下ノ主計官席次ノ順序ニ従ヒ其ノ職務ヲ代理ス但シ特ニ代理者ヲ置キタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第八条 教頭ハ校長ヲ佐ケ教務ヲ監理シ紀律ヲ維持ス
第九条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ各学科ノ教授ヲ担任ス
第十条 監事ハ教頭ノ命ヲ承ケ学生、生徒及練習生ヲ監督ス
第十一条 軍医長ハ校長ノ命ヲ承ケ医務及衛生ニ関スルコトヲ掌ル
第十二条 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ会計及給与ニ関スルコトヲ掌ル
第十三条 海軍経理学校ニハ第三条ノ職員ノ外海軍特務士官准士官下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十四条 海軍経理学校生徒ハ年齢十六年以上二十一年以下ニシテ海軍主計官タラムコトヲ志願スル者ニ就キ検査ヲ行ヒ所要ノ人員ヲ採用ス
第十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ生徒ニ之ヲ採用セス
一 有妻ノ者
二 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
三 復権ヲ得サル家資分散者又ハ破産者
四 品行不正又ハ家庭不良ナルカ為将来海軍主計官タル体面ヲ保ツコト能ハスト認ムル者
第十六条 生徒ノ召募及検査格例ハ毎年海軍大臣之ヲ告示ス
第十七条 生徒ハ入校ノ日ヨリ海軍兵籍ニ之ヲ編入ス
第十八条 生徒ノ修業期間ハ三年トス但シ戦時又ハ事変ニ際シテハ之ヲ短縮スルコトヲ得
第十九条 卒業試験ニ及第シタル生徒ニハ卒業証書ヲ授与ス
第二十条 生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ス
第二十一条 生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 海軍主計官タルヘキ器量ニ乏シキ者
二 品行不正又ハ怠惰ニシテ訓戒ヲ加フルモ改悛セサル者
三 試験ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ前途役務ニ堪ヘ難シト認ムル者
第二十二条 海軍経理学校ニ於テ修習スル海軍准士官以上及候補生ヲ海軍経理学校学生、海軍下士卒ヲ海軍経理学校練習生ト称ス
第二十三条 海軍経理学校学生ハ之ヲ左ノ四種ニ区別ス
一 高等科学生
二 普通科学生
三 特修科学生
四 選科学生
第二十四条 高等科学生ハ身体強健実務ノ成績優等ニシテ会計経理ニ関スル高等ノ学術ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル海軍主計少監又ハ大主計ニ就キ要職ニ充ツルニ適スル素養ニ必要ナル会計経理ニ関スル学術ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
第二十五条 普通科学生ハ新ニ採用シタル海軍主計及少主計候補生ニ初級主計官ニ必要ナル学術ヲ修習セシムル為海軍大臣之ヲ命ス
第二十六条 特修科学生ハ海軍筆記長又ハ上等筆記ニシテ志願スル者ノ中ニ就キ又ハ特ニ必要ト認ムル者ニ対シ会計経理及庶務ニ関スル必要ナル学術ヲ修習セシムル為在籍鎮守府司令長官之ヲ命ス
第二十七条 選科学生ハ海軍主計官ニシテ専門ノ学科ヲ研究スルコトヲ志願シ且実務ノ成績優等ニシテ之ヲ修習セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル者ニ就キ其ノ学科ヲ修習セシムル為海軍大臣銓衡ノ上之ヲ命ス
海軍大臣必要ト認ムルトキハ海軍主計官ニ其ノ専修スヘキ学科ヲ指定シ選科学生ヲ命スルコトヲ得
第二十八条 海軍経理学校学生ノ修業期間ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十九条 高等科学生、普通科学生又ハ特修科学生其ノ教程ヲ終了シタルトキハ之ニ修業証書ヲ授与ス
第三十条 校長ハ海軍教育本部長ノ認可ヲ受ケ選科学生ヲ海軍部外ノ学校等ニ委託シ修業セシムルコトヲ得
第三十一条 校長ハ学生中不適当ト認ムル者アルトキハ之ヲ海軍教育本部長ニ禀申シ海軍教育本部長其ノ禀申ヲ至当ト認ムルトキハ高等科学生、普通科学生又ハ選科学生ニ在リテハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ特修科学生ニ在リテハ之ヲ在籍鎮守府司令長官ニ移牒シ海軍大臣又ハ鎮守府司令長官ハ其ノ学生ヲ免スルコトヲ得
第三十二条 海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ高等科学生、普通科学生又ハ選科学生ヲ免スルコトヲ得
海軍大臣ハ前項ノ規定ニ依リ学生ヲ免セラレタル者ニ対シ第二十四条及第二十五条ノ規定ニ拘ラス再ヒ学生ヲ命スルコトヲ得
鎮守府司令長官ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ特修科学生ヲ免スルコトヲ得
第三十三条 海軍経理学校練習生ニ関スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第三十四条 海軍大臣ハ海軍経理学校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍主計官筆記長上等筆記筆記又ハ厨宰ヲシテ必要ナル学術ノ講習ヲ受ケシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍経理学校ニ在学スル生徒ノ修業期間ハ従前ノ規定ニ依ル但シ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ四月ヲ超エサル期間之ヲ短縮スルコトヲ得
本令施行ノ際現ニ海軍経理学校ニ在学スル甲種学生ハ之ヲ高等科学生、乙種学生ハ之ヲ普通科学生、丙種学生ハ之ヲ特修科学生ト看做ス