朕奏任及判任待遇監獄職員給與令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年十月十一日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
司法大臣 松田正久
勅令第二百七十六號
奏任及判任待遇監獄職員給與令
第一條 監獄醫、敎誨師、敎師及藥劑師ノ俸給ハ別表ニ依ル但シ月俸三十圓未滿ノ者ニ限リ各所定ノ最低俸給額ヲ下ラサル範圍內ニ於テ適宜ノ金額ヲ定メ之ヲ給スルコトヲ得
看守ノ月俸ハ十二圓乃至二十圓トス但シ看守部長タル看守ニハ二十五圓迄ヲ給スルコトヲ得
敎習中ノ看守ノ月俸ハ九圓乃至十一圓トス
女監取締ノ月俸ハ八圓乃至十五圓トス但シ女監取締部長タル女監取締ニハ二十圓迄ヲ給スルコトヲ得
第二條 奏任待遇ヲ受クル監獄醫又ハ敎誨師ニシテ一級俸ヲ受ケ特ニ功勞アル者ハ監獄醫ニ在リテハ千八百圓、敎誨師ニ在リテハ千二百圓迄增給スルコトヲ得
判任待遇ヲ受クル監獄醫、敎誨師、敎師又ハ藥劑師ニシテ一級俸ヲ受ケ五年ヲ踰エ事務練熟優等ナル者ハ監獄醫ニ在リテハ百圓、敎誨師、敎師ニ在リテハ七十五圓、藥劑師ニ在リテハ五十圓迄增給スルコトヲ得
第三條 初メテ監獄醫、敎誨師、敎師又ハ藥劑師ヲ命セラルル者ノ俸給ハ各其ノ五級俸以下、看守又ハ女監取締ヲ命セラルル者ノ月俸ハ各十五圓又ハ十一圓以下トス但シ醫務所長又ハ敎務所長ヲ命セラルル者ニ在リテハ四級俸迄ヲ給スルコトヲ得
監獄醫、敎誨師、敎師又ハ藥劑師ノ職ニ在リタル者カ監獄醫、敎誨師、敎師又ハ藥劑師ヲ命セラルル場合ニハ第一條及第二條ニ定メタル範圍內ニ於テ前俸給額以內ノ俸給ヲ給スルコトヲ得
判任官以上ノ官職ニ在リタル者、看守又ハ女監取締ノ職ニ在リタル者カ看守又ハ女監取締ヲ命セラルル場合ニハ第一條ニ定メタル範圍內ニ於テ前俸給額以內ノ月俸ヲ給スルコトヲ得
第四條 監獄醫、敎誨師、敎師又ハ藥劑師ニシテ別表四級俸以上ノ俸給ヲ受クル者ハ一箇年ヲ經過スルニ非サレハ昇級スルコトヲ得ス
看守及女監取締ノ月俸ノ增給ハ三圓ヲ超ユルコトヲ得ス
十五圓以上ノ月俸ヲ受クル看守及十一圓以上ノ月俸ヲ受クル女監取締ニハ六箇月ヲ經過スルニ非サレハ增給スルコトヲ得ス十五圓又ハ十一圓未滿ノ月俸ヲ受クル看守又ハ女監取締ニシテ十五圓又ハ十一圓以上ニ增給スル場合亦同シ
第五條 看守部長タル看守、女監取締部長タル女監取締及通譯其ノ他特別ノ技能ヲ有スル看守及女監取締ニハ第三條及第四條ヲ適用セス
第六條 休職看守ニシテ陸軍又ハ海軍ニ於テ受クル俸給又ハ給料ノ月額休職ヲ命セラレタル當時ノ月俸額ヨリ寡少ナルトキハ其ノ不足額ニ相當スル金額以內ノ休職給ヲ給スルコトヲ得
第七條 通譯其ノ他特別ノ技能ヲ有スル看守又ハ女監取締ニハ一箇月二十圓以內ノ特別手當ヲ給スルコトヲ得
第八條 非番ノ日ニ於テ臨時勤務ニ服シタル看守及女監取締ニハ一日五十錢以內ノ勤務手當ヲ給スルコトヲ得
第九條 看守及女監取締ニハ一箇月五圓以內ノ宿料ヲ給スルコトヲ得
第十條 年俸ハ十二分シテ每月之ヲ給ス
第十一條 月俸ハ新任、增俸、減俸及復職ノ場合ニ於テハ其ノ翌日ヨリ、退職ノ場合ニ於テハ其ノ當日迄日割ヲ以テ給ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニハ其ノ月俸額ノ全額ヲ給ス
一 職務上ノ傷痍又ハ疾病ニ因リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタル者
二 廢廳ノ爲退職シタル者
三 身體若ハ精神ノ衰弱又ハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタル者
四 休職ヲ命セラレタル者
五 在職中死亡シタル者
休職當月復職シタル者ニハ其ノ月ノ月俸ハ更ニ之ヲ給セス
第十二條 休職給ハ休職ノ翌月ヨリ之ヲ給ス
第十三條 病氣ノ爲執務セサルコト六十日ヲ踰ユル者又ハ私事ノ故障ニ依リ執務セサルコト二十日ヲ踰ユル者ハ日割ヲ以テ俸給ノ半額ヲ減ス但シ公務ノ爲傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ服忌ヲ受クル者ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
第十四條 地方ノ狀況ニ依リ當分ノ內看守ニ最下俸以下九圓迄女監取締ニ最下俸以下六圓迄ノ月俸ヲ給スルコトヲ得
第十五條 本令施行ノ際別ニ辭令ヲ受ケサル者ハ現ニ受クル俸給及特別手當ヲ給セラルルモノトス
第十六條 巡査看守俸給令及明治二十八年勅令第百五十九號ハ之ヲ廢止ス
(別表)
奏任待遇年俸
一級
二級
三級
四級
五級
六級
七級
八級
監獄醫
千二百圓
千圓
九百圓
八百圓
七百圓
六百圓
五百五十圓
五百圓
敎誨師
九百圓
八百圓
七百圓
六百圓
五百五十圓
五百圓
四百五十圓
四百圓
判任待遇月俸
一級
二級
三級
四級
五級
六級
七級
八級
九級
十級
監獄醫
七十五圓
六十圓
五十圓
四十五圓
四十圓
三十五圓
三十圓
二十五圓
二十二圓
二十圓
敎誨師
敎師
五十圓
四十圓
三十五圓
三十圓
二十五圓
二十二圓
二十圓
十八圓
十六圓
十四圓
藥劑師
四十圓
三十五圓
三十圓
二十五圓
二十二圓
二十圓
十八圓
十六圓
十四圓
十二圓
朕奏任及判任待遇監獄職員給与令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年十月十一日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
司法大臣 松田正久
勅令第二百七十六号
奏任及判任待遇監獄職員給与令
第一条 監獄医、教誨師、教師及薬剤師ノ俸給ハ別表ニ依ル但シ月俸三十円未満ノ者ニ限リ各所定ノ最低俸給額ヲ下ラサル範囲内ニ於テ適宜ノ金額ヲ定メ之ヲ給スルコトヲ得
看守ノ月俸ハ十二円乃至二十円トス但シ看守部長タル看守ニハ二十五円迄ヲ給スルコトヲ得
教習中ノ看守ノ月俸ハ九円乃至十一円トス
女監取締ノ月俸ハ八円乃至十五円トス但シ女監取締部長タル女監取締ニハ二十円迄ヲ給スルコトヲ得
第二条 奏任待遇ヲ受クル監獄医又ハ教誨師ニシテ一級俸ヲ受ケ特ニ功労アル者ハ監獄医ニ在リテハ千八百円、教誨師ニ在リテハ千二百円迄増給スルコトヲ得
判任待遇ヲ受クル監獄医、教誨師、教師又ハ薬剤師ニシテ一級俸ヲ受ケ五年ヲ踰エ事務練熟優等ナル者ハ監獄医ニ在リテハ百円、教誨師、教師ニ在リテハ七十五円、薬剤師ニ在リテハ五十円迄増給スルコトヲ得
第三条 初メテ監獄医、教誨師、教師又ハ薬剤師ヲ命セラルル者ノ俸給ハ各其ノ五級俸以下、看守又ハ女監取締ヲ命セラルル者ノ月俸ハ各十五円又ハ十一円以下トス但シ医務所長又ハ教務所長ヲ命セラルル者ニ在リテハ四級俸迄ヲ給スルコトヲ得
監獄医、教誨師、教師又ハ薬剤師ノ職ニ在リタル者カ監獄医、教誨師、教師又ハ薬剤師ヲ命セラルル場合ニハ第一条及第二条ニ定メタル範囲内ニ於テ前俸給額以内ノ俸給ヲ給スルコトヲ得
判任官以上ノ官職ニ在リタル者、看守又ハ女監取締ノ職ニ在リタル者カ看守又ハ女監取締ヲ命セラルル場合ニハ第一条ニ定メタル範囲内ニ於テ前俸給額以内ノ月俸ヲ給スルコトヲ得
第四条 監獄医、教誨師、教師又ハ薬剤師ニシテ別表四級俸以上ノ俸給ヲ受クル者ハ一箇年ヲ経過スルニ非サレハ昇級スルコトヲ得ス
看守及女監取締ノ月俸ノ増給ハ三円ヲ超ユルコトヲ得ス
十五円以上ノ月俸ヲ受クル看守及十一円以上ノ月俸ヲ受クル女監取締ニハ六箇月ヲ経過スルニ非サレハ増給スルコトヲ得ス十五円又ハ十一円未満ノ月俸ヲ受クル看守又ハ女監取締ニシテ十五円又ハ十一円以上ニ増給スル場合亦同シ
第五条 看守部長タル看守、女監取締部長タル女監取締及通訳其ノ他特別ノ技能ヲ有スル看守及女監取締ニハ第三条及第四条ヲ適用セス
第六条 休職看守ニシテ陸軍又ハ海軍ニ於テ受クル俸給又ハ給料ノ月額休職ヲ命セラレタル当時ノ月俸額ヨリ寡少ナルトキハ其ノ不足額ニ相当スル金額以内ノ休職給ヲ給スルコトヲ得
第七条 通訳其ノ他特別ノ技能ヲ有スル看守又ハ女監取締ニハ一箇月二十円以内ノ特別手当ヲ給スルコトヲ得
第八条 非番ノ日ニ於テ臨時勤務ニ服シタル看守及女監取締ニハ一日五十銭以内ノ勤務手当ヲ給スルコトヲ得
第九条 看守及女監取締ニハ一箇月五円以内ノ宿料ヲ給スルコトヲ得
第十条 年俸ハ十二分シテ毎月之ヲ給ス
第十一条 月俸ハ新任、増俸、減俸及復職ノ場合ニ於テハ其ノ翌日ヨリ、退職ノ場合ニ於テハ其ノ当日迄日割ヲ以テ給ス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニハ其ノ月俸額ノ全額ヲ給ス
一 職務上ノ傷痍又ハ疾病ニ因リ其ノ職ニ堪ヘス退職シタル者
二 廃庁ノ為退職シタル者
三 身体若ハ精神ノ衰弱又ハ事務ノ都合ニ依リ退職ヲ命セラレタル者
四 休職ヲ命セラレタル者
五 在職中死亡シタル者
休職当月復職シタル者ニハ其ノ月ノ月俸ハ更ニ之ヲ給セス
第十二条 休職給ハ休職ノ翌月ヨリ之ヲ給ス
第十三条 病気ノ為執務セサルコト六十日ヲ踰ユル者又ハ私事ノ故障ニ依リ執務セサルコト二十日ヲ踰ユル者ハ日割ヲ以テ俸給ノ半額ヲ減ス但シ公務ノ為傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ服忌ヲ受クル者ハ此ノ限ニ在ラス
附 則
第十四条 地方ノ状況ニ依リ当分ノ内看守ニ最下俸以下九円迄女監取締ニ最下俸以下六円迄ノ月俸ヲ給スルコトヲ得
第十五条 本令施行ノ際別ニ辞令ヲ受ケサル者ハ現ニ受クル俸給及特別手当ヲ給セラルルモノトス
第十六条 巡査看守俸給令及明治二十八年勅令第百五十九号ハ之ヲ廃止ス
(別表)
奏任待遇年俸
一級
二級
三級
四級
五級
六級
七級
八級
監獄医
千二百円
千円
九百円
八百円
七百円
六百円
五百五十円
五百円
教誨師
九百円
八百円
七百円
六百円
五百五十円
五百円
四百五十円
四百円
判任待遇月俸
一級
二級
三級
四級
五級
六級
七級
八級
九級
十級
監獄医
七十五円
六十円
五十円
四十五円
四十円
三十五円
三十円
二十五円
二十二円
二十円
教誨師
教師
五十円
四十円
三十五円
三十円
二十五円
二十二円
二十円
十八円
十六円
十四円
薬剤師
四十円
三十五円
三十円
二十五円
二十二円
二十円
十八円
十六円
十四円
十二円