酒造組合法施行規則
法令番号: 勅令第八號
公布年月日: 明治38年1月1日
法令の形式: 勅令
朕酒造組合法施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十七年十二月三十一日
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
勅令第八號
酒造組合法施行規則
第一條 酒造組合法ニ依リ酒造組合ヲ設置セムトスルトキハ五名以上ノ同業者ニ於テ其ノ組合ノ區域及酒類ヲ定メ發起ノ認可ヲ地方長官ニ申請スヘシ
第二條 酒造組合設立發起ノ認可アリタルトキハ發起人ハ其ノ組合ノ區域內ニ於ケル同業者ニ左ノ事項ヲ通知シ組合設置ノ同意ヲ求ムヘシ
一 組合ノ名稱、區域及酒類
二 組合員タルヘキ者ノ數但シ各種酒類每ニ之ヲ區別スヘシ
三 組合事業ノ槪目
四 創立費及經費ノ槪算
五 同意表示ノ形式及期間
第三條 法定ノ同意者アリタルトキハ發起人ハ定款ヲ作リ遲滯ナク創立總會ヲ召集スヘシ
創立總會ヲ召集スルトキハ少クトモ二週間前ニ會議ノ目的、日時及場所ヲ組合員タルヘキ者ニ通知シ且之ヲ公吿スヘシ
前項ノ通知ニハ定款ヲ添附スヘシ
第四條 定款ハ組合員タルヘキ者ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非サレハ之ヲ議定スルコトヲ得ス但シ二種以上ノ酒類製造者組合員タルヘキ場合ニ於テハ各種酒類製造者每ニ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第五條 創立總會ニ於テハ組合員タルヘキ者ハ書面ヲ以テ表決ヲ爲シ又ハ他ノ組合員タルヘキ者ニ委任シテ其ノ表決權ヲ行フコトヲ得
第六條 創立總會ヲ終リタルトキハ發起人ハ法定ノ同意者アリタルコトヲ證スル書類、定款及創立總會ノ決議錄ノ謄本ヲ添附シ組合設置ノ認可申請書ヲ地方長官ニ提出スヘシ
第七條 創立總會ニ於テハ其ノ議定シタル定款ノ規定ニ從ヒ役員ヲ選擧シ又ハ經費ノ豫算竝徵收方法ヲ議定スルコトヲ得
第八條 發起人發起ノ認可アリタル後六箇月以內ニ組合設置ノ認可ヲ申請セサルトキ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ地方長官ハ發起ノ認可ヲ取消スコトヲ得
第九條 酒造組合聯合會ノ創立總會ハ其ノ聯合會ヲ組織セムトスル組合ニ於テ選定シタル委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第十條 酒造組合聯合會ノ創立總會ヲ終リタルトキハ酒造組合聯合會設置ノ認可申請書ヲ地方長官ニ提出スヘシ
前項ノ認可申請書ニハ定款ヲ添附スヘシ
第十一條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會ノ創立費及其ノ償却方法ハ創立總會ノ承認ヲ經ヘシ
第十二條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ但シ酒造組合聯合會ノ定款ニハ第十二號及第十三號ノ記載ヲ要セス
一 名稱
二 區域
三 酒類
四 事務所ノ所在地
五 事業
六 役員ノ權限及其ノ選任、解任ニ關スル規定
七 總會召集ノ方法
八 會議ノ方法
九 經費ノ負擔及其ノ徵收方法
十 定款違反者處分ノ方法
十一 定款ノ變更ニ關スル手續
十二 酒類製造者ノ造石稅納付ヲ擔保スル場合ニ於ケル決議方法
十三 酒造稅法施行規則第三十一條第一項ノ通知ヲ受ケタル場合ニ於ケル處分方法
十四 加入及脫退ニ關スル規定
十五 解散ニ關スル規定
定款ニハ前項各號ニ揭クルモノノ外酒造組合又ハ酒造組合聯合會ニ於テ必要トスル事項ヲ記載スルコトヲ得
第十三條 定款ノ變更ヲ議定シタルトキハ認可申請書ニ其ノ變更シタル定款及變更ノ理由書ヲ添附シ地方長官ニ提出スヘシ
第十四條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會ハ左ノ役員ヲ置クヘシ
組合長又ハ聯合會長 一名
評議員 若干名
前項ノ役員ノ外定款ノ規定ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
組合長ハ組合員中ヨリ、聯合會長ハ聯合會ヲ組織スル酒造組合ノ組合員中ヨリ之ヲ選擧シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ認可申請書ニハ履歷書ヲ添附スヘシ
第十五條 組合長又ハ聯合會長ハ酒造組合又ハ酒造組合聯合會ヲ代表シ之ヲ統轄ス
組合長又ハ聯合會長故障アルトキハ定款ノ規定ニ依リ他ノ役員之ヲ代理ス
評議員ハ組合長又ハ聯合會長ノ諮詢ニ應シ又ハ定款ノ規定ニ依リ組合又ハ聯合會ノ事務ノ一部ヲ分掌ス
第十六條 組合長又ハ聯合會長ノ解任アリタルトキ及他ノ役員ノ選任又ハ解任アリタルトキハ酒造組合又ハ酒造組合聯合會ヨリ其ノ氏名ヲ地方長官及稅務監督局長ニ報吿スヘシ
第十七條 組合又ハ組合聯合會ニ於テ定款ノ執行ニ關スル規則ヲ設ケタルトキハ其ノ都度地方長官及稅務監督局長ニ報吿スヘシ
第十八條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會ハ定款ノ規定ニ依リ組合員ノ製品ヲ檢査スルコトヲ得
酒造組合又ハ酒造組合聯合會ハ定款ノ規定ニ依リ違約者ニ對シ過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
第十九條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會ノ經費ノ豫算竝徵收方法ハ定款ノ規定ニ從ヒ之ヲ議定シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
經費ノ決算及業務成蹟ハ每年少クトモ一囘酒造組合ニ在リテハ組合員ニ、酒造組合聯合會ニ在リテハ其ノ組合ニ公示シ且地方長官及稅務監督局長ニ報吿スヘシ
第二十條 役員ノ闕ケタル場合ニ於テ補闕選擧ノ手續ヲ行フヘキ者アラサルトキハ地方長官ハ組合員ヲ指定シテ其ノ手續ヲ行ハシム
第二十一條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會解散ヲ爲サムトスルトキハ組合員又ハ聯合會ヲ組織スル組合ノ三分ノ二以上ノ同意ニ依リ其ノ事由ヲ具シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第二十二條 酒造組合又ハ酒造組合聯合會解散シタルトキハ組合長又ハ聯合會長ヲ以テ其ノ淸算人トス但シ定款ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十三條 前條ノ規定ニ依リテ淸算人タル者アラサルトキハ地方長官之ヲ選任ス
第二十四條 淸算人其ノ任ニ適セス又ハ不正ノ行爲アリト認ムルトキハ地方長官ハ淸算人ヲ改任スルコトヲ得
第二十五條 淸算結了シタルトキハ其ノ結果ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第二十六條 酒造組合法第十條ノ處分ハ地方長官之ヲ行フ
第二十七條 本令中酒造組合又ハ酒造組合聯合會ニ關シ地方長官ニ屬スル事務ニシテ二府縣以上ニ涉ルモノハ大藏大臣之ヲ行フ
附 則
本令ハ發布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前酒造組合規則ニ依リ爲シタル酒造組合設置ノ手續ハ本令ニ依リ之ヲ爲シタルモノト看做ス但シ定款ニ記載スヘキ事項ニシテ組合契約書ニ記載ナキモノハ之ヲ議定シ本令施行後三箇月以內ニ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
朕酒造組合法施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十七年十二月三十一日
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
勅令第八号
酒造組合法施行規則
第一条 酒造組合法ニ依リ酒造組合ヲ設置セムトスルトキハ五名以上ノ同業者ニ於テ其ノ組合ノ区域及酒類ヲ定メ発起ノ認可ヲ地方長官ニ申請スヘシ
第二条 酒造組合設立発起ノ認可アリタルトキハ発起人ハ其ノ組合ノ区域内ニ於ケル同業者ニ左ノ事項ヲ通知シ組合設置ノ同意ヲ求ムヘシ
一 組合ノ名称、区域及酒類
二 組合員タルヘキ者ノ数但シ各種酒類毎ニ之ヲ区別スヘシ
三 組合事業ノ概目
四 創立費及経費ノ概算
五 同意表示ノ形式及期間
第三条 法定ノ同意者アリタルトキハ発起人ハ定款ヲ作リ遅滞ナク創立総会ヲ召集スヘシ
創立総会ヲ召集スルトキハ少クトモ二週間前ニ会議ノ目的、日時及場所ヲ組合員タルヘキ者ニ通知シ且之ヲ公告スヘシ
前項ノ通知ニハ定款ヲ添附スヘシ
第四条 定款ハ組合員タルヘキ者ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非サレハ之ヲ議定スルコトヲ得ス但シ二種以上ノ酒類製造者組合員タルヘキ場合ニ於テハ各種酒類製造者毎ニ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第五条 創立総会ニ於テハ組合員タルヘキ者ハ書面ヲ以テ表決ヲ為シ又ハ他ノ組合員タルヘキ者ニ委任シテ其ノ表決権ヲ行フコトヲ得
第六条 創立総会ヲ終リタルトキハ発起人ハ法定ノ同意者アリタルコトヲ証スル書類、定款及創立総会ノ決議録ノ謄本ヲ添附シ組合設置ノ認可申請書ヲ地方長官ニ提出スヘシ
第七条 創立総会ニ於テハ其ノ議定シタル定款ノ規定ニ従ヒ役員ヲ選挙シ又ハ経費ノ予算並徴収方法ヲ議定スルコトヲ得
第八条 発起人発起ノ認可アリタル後六箇月以内ニ組合設置ノ認可ヲ申請セサルトキ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ地方長官ハ発起ノ認可ヲ取消スコトヲ得
第九条 酒造組合連合会ノ創立総会ハ其ノ連合会ヲ組織セムトスル組合ニ於テ選定シタル委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第十条 酒造組合連合会ノ創立総会ヲ終リタルトキハ酒造組合連合会設置ノ認可申請書ヲ地方長官ニ提出スヘシ
前項ノ認可申請書ニハ定款ヲ添附スヘシ
第十一条 酒造組合又ハ酒造組合連合会ノ創立費及其ノ償却方法ハ創立総会ノ承認ヲ経ヘシ
第十二条 酒造組合又ハ酒造組合連合会ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ但シ酒造組合連合会ノ定款ニハ第十二号及第十三号ノ記載ヲ要セス
一 名称
二 区域
三 酒類
四 事務所ノ所在地
五 事業
六 役員ノ権限及其ノ選任、解任ニ関スル規定
七 総会召集ノ方法
八 会議ノ方法
九 経費ノ負担及其ノ徴収方法
十 定款違反者処分ノ方法
十一 定款ノ変更ニ関スル手続
十二 酒類製造者ノ造石税納付ヲ担保スル場合ニ於ケル決議方法
十三 酒造税法施行規則第三十一条第一項ノ通知ヲ受ケタル場合ニ於ケル処分方法
十四 加入及脱退ニ関スル規定
十五 解散ニ関スル規定
定款ニハ前項各号ニ掲クルモノノ外酒造組合又ハ酒造組合連合会ニ於テ必要トスル事項ヲ記載スルコトヲ得
第十三条 定款ノ変更ヲ議定シタルトキハ認可申請書ニ其ノ変更シタル定款及変更ノ理由書ヲ添附シ地方長官ニ提出スヘシ
第十四条 酒造組合又ハ酒造組合連合会ハ左ノ役員ヲ置クヘシ
組合長又ハ連合会長 一名
評議員 若干名
前項ノ役員ノ外定款ノ規定ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
組合長ハ組合員中ヨリ、連合会長ハ連合会ヲ組織スル酒造組合ノ組合員中ヨリ之ヲ選挙シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ認可申請書ニハ履歴書ヲ添附スヘシ
第十五条 組合長又ハ連合会長ハ酒造組合又ハ酒造組合連合会ヲ代表シ之ヲ統轄ス
組合長又ハ連合会長故障アルトキハ定款ノ規定ニ依リ他ノ役員之ヲ代理ス
評議員ハ組合長又ハ連合会長ノ諮詢ニ応シ又ハ定款ノ規定ニ依リ組合又ハ連合会ノ事務ノ一部ヲ分掌ス
第十六条 組合長又ハ連合会長ノ解任アリタルトキ及他ノ役員ノ選任又ハ解任アリタルトキハ酒造組合又ハ酒造組合連合会ヨリ其ノ氏名ヲ地方長官及税務監督局長ニ報告スヘシ
第十七条 組合又ハ組合連合会ニ於テ定款ノ執行ニ関スル規則ヲ設ケタルトキハ其ノ都度地方長官及税務監督局長ニ報告スヘシ
第十八条 酒造組合又ハ酒造組合連合会ハ定款ノ規定ニ依リ組合員ノ製品ヲ検査スルコトヲ得
酒造組合又ハ酒造組合連合会ハ定款ノ規定ニ依リ違約者ニ対シ過怠金ヲ徴収スルコトヲ得
第十九条 酒造組合又ハ酒造組合連合会ノ経費ノ予算並徴収方法ハ定款ノ規定ニ従ヒ之ヲ議定シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
経費ノ決算及業務成蹟ハ毎年少クトモ一回酒造組合ニ在リテハ組合員ニ、酒造組合連合会ニ在リテハ其ノ組合ニ公示シ且地方長官及税務監督局長ニ報告スヘシ
第二十条 役員ノ闕ケタル場合ニ於テ補闕選挙ノ手続ヲ行フヘキ者アラサルトキハ地方長官ハ組合員ヲ指定シテ其ノ手続ヲ行ハシム
第二十一条 酒造組合又ハ酒造組合連合会解散ヲ為サムトスルトキハ組合員又ハ連合会ヲ組織スル組合ノ三分ノ二以上ノ同意ニ依リ其ノ事由ヲ具シ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第二十二条 酒造組合又ハ酒造組合連合会解散シタルトキハ組合長又ハ連合会長ヲ以テ其ノ清算人トス但シ定款ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十三条 前条ノ規定ニ依リテ清算人タル者アラサルトキハ地方長官之ヲ選任ス
第二十四条 清算人其ノ任ニ適セス又ハ不正ノ行為アリト認ムルトキハ地方長官ハ清算人ヲ改任スルコトヲ得
第二十五条 清算結了シタルトキハ其ノ結果ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第二十六条 酒造組合法第十条ノ処分ハ地方長官之ヲ行フ
第二十七条 本令中酒造組合又ハ酒造組合連合会ニ関シ地方長官ニ属スル事務ニシテ二府県以上ニ渉ルモノハ大蔵大臣之ヲ行フ
附 則
本令ハ発布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前酒造組合規則ニ依リ為シタル酒造組合設置ノ手続ハ本令ニ依リ之ヲ為シタルモノト看做ス但シ定款ニ記載スヘキ事項ニシテ組合契約書ニ記載ナキモノハ之ヲ議定シ本令施行後三箇月以内ニ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ