特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律
法令番号: 法律第五十八号
公布年月日: 平成元年6月28日
法令の形式: 法律
特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成元年六月二十八日
内閣総理大臣 宇野宗佑
法律第五十八号
特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律
(趣旨)
第一条 この法律は、地方公共団体又は農業協同組合が行う特定農地貸付けに関し、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)等の特例を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。
2 この法律において「特定農地貸付け」とは、地方公共団体又は農業協同組合が農地(農業協同組合にあっては、組合員の所有に係る農地に限る。)について行う賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定(以下「農地の貸付け」という。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
一 政令で定める面積未満の農地に係る農地の貸付けで、相当数の者を対象として定型的な条件で行われるものであること。
二 営利を目的としない農作物の栽培の用に供するための農地の貸付けであること。
三 政令で定める期間を超えない農地の貸付けであること。
(特定農地貸付けの承認)
第三条 地方公共団体又は農業協同組合は、特定農地貸付けを行おうとするときは、その特定農地貸付けについて、申請書に貸付規程を添えてその特定農地貸付けに係る農地の所在地を管轄する農業委員会(農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第三条第一項ただし書又は第五項の規定により農業委員会を置かない市町村にあっては、市町村長。以下同じ。)に提出して、第三項の規定による承認を求めることができる。
2 前項の貸付規程には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 特定農地貸付けの用に供する農地の所在、地番及び面積
二 特定農地貸付けを受ける者の募集及び選考の方法
三 特定農地貸付けに係る農地の貸付けの期間その他の条件
四 特定農地貸付けに係る農地の適切な利用を確保するための方法
五 その他農業水産省令で定める事項
3 農業委員会は、第一項の承認の申請があった場合において、その申請が次に掲げる要件に該当すると認めるときは、その旨の承認をするものとする。
一 前項第一号に規定する農地の周辺の地域における農用地(耕作の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地をいう。)の農業上の効率的かつ総合的な利用を確保する見地からみて、当該農地が適切な位置にあり、かつ、妥当な規模を超えないものであること。
二 特定農地貸付けを受ける者の募集及び選考の方法が公平かつ適正なものであること。
三 前項第三号から第五号までに掲げる事項が特定農地貸付けの適正かつ円滑な実施を確保するために有効かつ適切なものであること。
四 その他政令で定める基準に適合するものであること。
4 前三項に規定するもののほか、前項の承認及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。
(農地法の特例)
第四条 前条第三項の承認を受けた者が当該承認に係る農地について特定農地貸付けの用に供するため所有権又は使用及び収益を目的とする権利を取得する場合並びに同項の承認に係る特定農地貸付けによって当該承認に係る農地について使用及び収益を目的とする権利が設定される場合には、農地法第三条第一項本文の規定は、適用しない。
2 前条第三項の承認に係る特定農地貸付けの用に供されている農地並びに当該承認を受けた者が特定農地貸付けの用に供すべきものとして使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転を受けている農地で現に特定農地貸付けの用に供されていないもの(以下「特定承認農地」という。)については、農地法第六条第一項の規定は、適用しない。
3 特定承認農地の賃貸借については、農地法第十八条、第十九条本文、第二十条第一項本文、第七項及び第八項並びに第二十五条の規定は、適用しない。
4 特定承認農地についての農地法第二条第九項に規定する小作料については、同法第二十一条第一項本文、第二十二条第一項本文、第二十三条、第二十四条及び第二十四条の三の規定は、適用しない。
5 特定承認農地の利用関係の紛争については、農地法第二章第六節の規定は、適用しない。
(農業協同組合法の特例)
第五条 農業協同組合は、第三条第三項の承認を受けたときは、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条の規定にかかわらず、組合員の所有に係る農地について特定農地貸付けを行うことができる。
(土地改良法の特例)
第六条 特定承認農地についての土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条第一項又は第二項の規定の適用については、第三条第三項の承認を受けた者を当該特定承認農地につき権原に基づき耕作又は養畜の業務を営む者とみなす。
(特別区等の特例)
第七条 第三条第一項中市町村又は市町村長に関する部分の規定は、特別区のある地にあっては特別区又は特別区の区長に、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(農業委員会等に関する法律第三十五条第二項の承認に係るものを除く。)にあっては区又は区長に、全部事務組合又は役場事務組合のある地にあっては組合又は組合の管理者に適用する。
附 則
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
農林水産大臣 堀之内久男
内閣総理大臣 宇野宗佑