発電用施設周辺地域整備法
法令番号: 法律第78号
公布年月日: 昭和49年6月6日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

電力需要は年10%程度の伸びが予想される一方、発電所の立地計画に対する地元住民の反対により、建設着工できない例が増加している。この背景には環境保全の問題に加え、発電所立地による地域振興への寄与が他産業に比べて少ないという課題がある。このため、発電所等の立地を円滑化し電気の安定供給を確保するため、周辺地域における住民福祉向上に必要な公共用施設の整備事業を推進する措置を講じることを目的とする。具体的には、国による地点指定、都道府県知事による整備計画の作成、発電事業者による経費の一部負担、補助率の引き上げなどの財政支援を実施する内容となっている。

参照した発言:
第71回国会 衆議院 本会議 第31号

審議経過

第71回国会

衆議院
(昭和48年5月8日)
(昭和48年7月11日)
参議院
(昭和48年7月12日)

第72回国会

衆議院
(昭和49年3月12日)
(昭和49年4月26日)
(昭和49年5月15日)
(昭和49年5月21日)
(昭和49年5月22日)
(昭和49年5月24日)
(昭和49年5月24日)
参議院
(昭和49年5月28日)
(昭和49年5月29日)
(昭和49年5月30日)
(昭和49年5月31日)
(昭和49年6月3日)
(昭和49年6月18日)
発電用施設周辺地域整備法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年六月六日
内閣総理大臣 田中角榮
法律第七十八号
発電用施設周辺地域整備法
(目的)
第一条 この法律は、電気の安定供給の確保が国民生活と経済活動にとつてきわめて重要であることにかんがみ、発電用施設の周辺の地域における公共用の施設の整備を促進することにより、地域住民の福祉の向上を図り、もつて発電用施設の設置の円滑化に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「発電用施設」とは、原子力発電施設、火力発電施設又は水力発電施設で、政令で定める者が設置する政令で定める規模以上のもの及び原子力発電に使用される核燃料物質の再処理施設その他の原子力発電と密接な関連を有する施設で政令で定めるものをいう。
(地点の指定)
第三条 主務大臣は、発電用施設の設置が予定されている地点のうち、次の各号に該当するものを指定し、これを公示するものとする。
一 その地点における発電用施設の設置に関する計画が確実であると認められること。
二 その地点が、工業再配置促進法(昭和四十七年法律第七十三号)第二条第一項に規定する移転促進地域又は移転促進地域以外の地域で工業の集積の程度について政令で定める要件に該当するものに属さないこと。
三 その地点の周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することがその地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため必要であると認められること。
2 主務大臣は、前項の規定による地点の指定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(整備計画)
第四条 都道府県知事は、前条第一項の規定により指定された地点が属する市町村の区域及びこれに隣接する市町村の区域(その地点に水力発電施設の設置が予定されている場合にあつては、その地点が属する市町村の区域。以下「周辺地域」という。)について道路、港湾、漁港、都市公園、水道その他政令で定める公共用の施設(以下「公共用施設」という。)の整備に関する計画(以下「整備計画」という。)を作成し、主務大臣に承認を申請することができる。この場合において、その地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため特に必要があると認められるときは、当該周辺地域に隣接する市町村の区域に係る整備計画を含めて一の整備計画を作成することができる。
2 都道府県知事は、前条第一項の規定により指定された地点の二以上が近接している場合において、当該周辺地域(前項後段に規定する場合にあつては、同項後段に規定する市町村の区域を含む。以下同じ。)における公共用施設の整備を効率的に行なうため必要があると認めるときは、当該周辺地域について一の整備計画を作成することができる。
3 整備計画は、当該周辺地域の住民の福祉の向上を図るため特に必要があると認められる公共用施設で、発電用施設又は工事用道路、荷揚げ用岸壁その他の発電用施設の関連施設(第五項において「発電用施設関連施設」という。)と併せて整備することが必要と認められるものの整備に関する事業(水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)第四条第二項に規定する整備事業及び発電用施設の設置に伴う損失の補償として行なわれるものを除く。)の概要及び経費の概算について定めるものとする。
4 都道府県知事は、整備計画を作成しようとするときは、第一項に規定する市町村の長、整備計画に基づく事業を行なうこととなる者(国を除く。)及び発電用施設を設置する者の意見をきかなければならない。
5 都道府県知事は、整備計画を作成するため必要があると認めるときは、発電用施設を設置する者に対し、当該周辺地域における発電用施設関連施設の整備に関する計画の提出を求め、及びその計画に関し意見を述べることができる。
6 整備計画は、他の法律の規定による地域の振興又は整備に関する計画との調和及び地域の環境の保全について適切な配慮が払われたものでなければならない。
7 主務大臣は、整備計画が適当なものであると認められるときは、協議により、これを承認するものとする。
8 主務大臣は、前項の規定により整備計画を承認しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
9 第一項及び第三項から前項までの規定は、整備計画を変更する場合に準用する。
(事業の実施)
第五条 整備計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が行なうものとする。
(発電用施設を設置する者の協力)
第六条 発電用施設を設置する者は、整備計画に基づく事業が円滑に実施されるように協力しなければならない。
(交付金)
第七条 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局を含む。次条において同じ。)に対し、整備計画に基づく事業に係る経費に充てるため、交付金を交付することができる。
(国の普通財産の譲渡)
第八条 国は、整備計画に基づく事業の用に供するため必要があると認めるときは、その事業に係る経費を負担する地方公共団体に対し、普通財産を譲渡することができる。
(国の財政上及び金融上の援助)
第九条 国は、前二条に定めるもののほか、整備計画を達成するため必要があると認めるときは、整備計画に基づく事業を実施する者に対し、財政上及び金融上の援助を与えるものとする。
(主務大臣等)
第十条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第三条第一項及び附則第二項の規定による地点の指定に関する事項については、内閣総理大臣及び通商産業大臣(火力発電施設及び水力発電施設に係る事項については、通商産業大臣)
二 第四条第七項(同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による整備計画の承認に関する事項については、内閣総理大臣、通商産業大臣及び当該整備計画に基づく事業を所管する大臣(火力発電施設及び水力発電施設に係る事項については、通商産業大臣及び当該整備計画に基づく事業を所管する大臣)
2 この法律に規定する内閣総理大臣の権限は、科学技術庁長官に委任することができる。
(政令への委任)
第十一条 この法律の実施のための手続その他必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して四月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第七条の規定は、昭和四十九年十月一日から施行する。
(経過措置)
2 主務大臣は、この法律の施行の際現に発電用施設の設置の工事が行なわれている地点のうち、第三条第一項第二号に該当し、かつ、その周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することが特に必要であると認められるものを指定し、これを公示するものとする。
3 主務大臣は、前項の規定による地点の指定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 附則第二項の規定により指定された地点は、第三条第一項の規定により指定された地点とみなす。
内閣総理大臣 田中角榮
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 齋藤邦吉
農林大臣臨時代理 国務大臣 保利茂
通商産業大臣 中曾根康弘
運輸大臣 徳永正利
建設大臣 亀岡高夫
自治大臣 町村金五
発電用施設周辺地域整備法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年六月六日
内閣総理大臣 田中角栄
法律第七十八号
発電用施設周辺地域整備法
(目的)
第一条 この法律は、電気の安定供給の確保が国民生活と経済活動にとつてきわめて重要であることにかんがみ、発電用施設の周辺の地域における公共用の施設の整備を促進することにより、地域住民の福祉の向上を図り、もつて発電用施設の設置の円滑化に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「発電用施設」とは、原子力発電施設、火力発電施設又は水力発電施設で、政令で定める者が設置する政令で定める規模以上のもの及び原子力発電に使用される核燃料物質の再処理施設その他の原子力発電と密接な関連を有する施設で政令で定めるものをいう。
(地点の指定)
第三条 主務大臣は、発電用施設の設置が予定されている地点のうち、次の各号に該当するものを指定し、これを公示するものとする。
一 その地点における発電用施設の設置に関する計画が確実であると認められること。
二 その地点が、工業再配置促進法(昭和四十七年法律第七十三号)第二条第一項に規定する移転促進地域又は移転促進地域以外の地域で工業の集積の程度について政令で定める要件に該当するものに属さないこと。
三 その地点の周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することがその地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため必要であると認められること。
2 主務大臣は、前項の規定による地点の指定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(整備計画)
第四条 都道府県知事は、前条第一項の規定により指定された地点が属する市町村の区域及びこれに隣接する市町村の区域(その地点に水力発電施設の設置が予定されている場合にあつては、その地点が属する市町村の区域。以下「周辺地域」という。)について道路、港湾、漁港、都市公園、水道その他政令で定める公共用の施設(以下「公共用施設」という。)の整備に関する計画(以下「整備計画」という。)を作成し、主務大臣に承認を申請することができる。この場合において、その地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため特に必要があると認められるときは、当該周辺地域に隣接する市町村の区域に係る整備計画を含めて一の整備計画を作成することができる。
2 都道府県知事は、前条第一項の規定により指定された地点の二以上が近接している場合において、当該周辺地域(前項後段に規定する場合にあつては、同項後段に規定する市町村の区域を含む。以下同じ。)における公共用施設の整備を効率的に行なうため必要があると認めるときは、当該周辺地域について一の整備計画を作成することができる。
3 整備計画は、当該周辺地域の住民の福祉の向上を図るため特に必要があると認められる公共用施設で、発電用施設又は工事用道路、荷揚げ用岸壁その他の発電用施設の関連施設(第五項において「発電用施設関連施設」という。)と併せて整備することが必要と認められるものの整備に関する事業(水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)第四条第二項に規定する整備事業及び発電用施設の設置に伴う損失の補償として行なわれるものを除く。)の概要及び経費の概算について定めるものとする。
4 都道府県知事は、整備計画を作成しようとするときは、第一項に規定する市町村の長、整備計画に基づく事業を行なうこととなる者(国を除く。)及び発電用施設を設置する者の意見をきかなければならない。
5 都道府県知事は、整備計画を作成するため必要があると認めるときは、発電用施設を設置する者に対し、当該周辺地域における発電用施設関連施設の整備に関する計画の提出を求め、及びその計画に関し意見を述べることができる。
6 整備計画は、他の法律の規定による地域の振興又は整備に関する計画との調和及び地域の環境の保全について適切な配慮が払われたものでなければならない。
7 主務大臣は、整備計画が適当なものであると認められるときは、協議により、これを承認するものとする。
8 主務大臣は、前項の規定により整備計画を承認しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
9 第一項及び第三項から前項までの規定は、整備計画を変更する場合に準用する。
(事業の実施)
第五条 整備計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が行なうものとする。
(発電用施設を設置する者の協力)
第六条 発電用施設を設置する者は、整備計画に基づく事業が円滑に実施されるように協力しなければならない。
(交付金)
第七条 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局を含む。次条において同じ。)に対し、整備計画に基づく事業に係る経費に充てるため、交付金を交付することができる。
(国の普通財産の譲渡)
第八条 国は、整備計画に基づく事業の用に供するため必要があると認めるときは、その事業に係る経費を負担する地方公共団体に対し、普通財産を譲渡することができる。
(国の財政上及び金融上の援助)
第九条 国は、前二条に定めるもののほか、整備計画を達成するため必要があると認めるときは、整備計画に基づく事業を実施する者に対し、財政上及び金融上の援助を与えるものとする。
(主務大臣等)
第十条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第三条第一項及び附則第二項の規定による地点の指定に関する事項については、内閣総理大臣及び通商産業大臣(火力発電施設及び水力発電施設に係る事項については、通商産業大臣)
二 第四条第七項(同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による整備計画の承認に関する事項については、内閣総理大臣、通商産業大臣及び当該整備計画に基づく事業を所管する大臣(火力発電施設及び水力発電施設に係る事項については、通商産業大臣及び当該整備計画に基づく事業を所管する大臣)
2 この法律に規定する内閣総理大臣の権限は、科学技術庁長官に委任することができる。
(政令への委任)
第十一条 この法律の実施のための手続その他必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して四月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第七条の規定は、昭和四十九年十月一日から施行する。
(経過措置)
2 主務大臣は、この法律の施行の際現に発電用施設の設置の工事が行なわれている地点のうち、第三条第一項第二号に該当し、かつ、その周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することが特に必要であると認められるものを指定し、これを公示するものとする。
3 主務大臣は、前項の規定による地点の指定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 附則第二項の規定により指定された地点は、第三条第一項の規定により指定された地点とみなす。
内閣総理大臣 田中角栄
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 斎藤邦吉
農林大臣臨時代理 国務大臣 保利茂
通商産業大臣 中曽根康弘
運輸大臣 徳永正利
建設大臣 亀岡高夫
自治大臣 町村金五