(目的)
第一条 この法律は、北海道の区域内の寒冷がはなはだしい特定の畑作地域を寒冷地畑作振興地域として指定し、その地域内の農業者で営農改善計画をたてこれに基きその営農の改善を図ろうとするものに、農林漁業金融公庫が、必要な資金を長期かつ低利で貸し付けることにより、その地域における農業者の経営の安定を図ることを目的とする。
(寒冷地畑作振興地域の指定)
第二条 農林大臣は、北海道の区域内の寒冷がはなはだしい畑作地域(その地域内の農業者の全部又は大部分が主として畑又は牧野につき耕作又は養畜の事業を行つている地域をいう。)で政令で定める基準に適合するものを、北海道知事からの申請に基き、気象条件その他の自然的経済的条件の類似するものごとに、寒冷地畑作振興地域として指定する。
2 前項の規定による寒冷地畑作振興地域の指定は、告示をもつてしなければならない。
(貸付)
第三条 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、寒冷地畑作振興地域の区域内において主として畑又は牧野につき耕作又は養畜の事業を行う者で第六条第一項の認定を受けたものに対し、この法律の定めるところにより、当該認定に係る営農改善計画に記載された同条第二項第四号の改善措置を実施するために必要な資金で農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)第十八条第一項第一号又は第八号に掲げるものの貸付を行うものとする。
(貸付条件)
第四条 前条に規定する者に対し同条に規定する資金(以下「営農改善資金」という。)の貸付を行う場合における貸付金の利率は年五分五厘以内、その償還期間(据置期間を含む。)は二十年以内においてそれぞれ公庫が定めるものとし、その据置期間は五年とする。
(貸付金額等の決定)
第五条 公庫は、第三条に規定する者に対し営農改善資金の貸付を行う場合には、貸付の申込をした者につき、次条第一項の認定に係る営農改善計画を参酌して、貸付金額及び償還期間その他の貸付条件を定めなければならない。
(貸付資格の認定)
第六条 営農改善資金の貸付を受けようとする者は、農林省令で定める手続により、営農改善計画を作成し、これを申請書に添え、北海道知事に提出して、当該貸付を受けることが適当である旨の北海道知事の認定を受けなければならない。
2 前項の営農改善計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
四 当該寒冷地畑作振興地域の寒冷な気象条件その他の自然的経済的条件に適応する営農条件に応ずる農業経営の確立を図るために必要な改善措置
五 営農改善資金の額並びにその貸付を受けた場合における貸付金の使用計画及び償還計画
六 第四号の改善措置に必要な資金で営農改善資金以外のものの額及び調達方法
3 第一項の認定の申請は、昭和三十九年三月三十一日までにするものとする。
第七条 北海道知事は、前条第一項の規定により認定の申請があつたときは、その申請に係る事項が次の各号の要件をみたす場合に限り、同項の認定をするものとする。
一 営農改善計画に記載された前条第二項第四号の改善措置が当該寒冷地畑作振興地域の寒冷な気象条件その他の自然的経済的条件に適応する営農条件に応ずる農業経営の確立を図るために必要かつ適当なものであること。
二 営農改善計画が適正に作成されており、かつ、申請者がこれを達成する見込が確実であること。
三 申請者が営農改善計画を達成するためには、当該貸付を受けることが必要であつて他に適当な方法がないこと。
(家畜の導入に関する措置)
第八条 国は、第六条第一項の規定による認定を受けた営農改善計画の達成を図るため、当該営農改善計画に基く家畜の導入については、国が所有する家畜の貸付その他の助成措置を講ずるよう努めなければならない。
(指導等)
第九条 北海道知事は、営農改善資金の貸付を受けようとする者又はその貸付を受けた者(その者の一般承継人を含む。)からの申出があつたときは、その者に対し、営農改善計画の作成又はその達成につき必要な指導をするものとする。
2 北海道知事は、営農改善資金の貸付を受けようとする者の営農改善計画の作成に資するため、寒冷地畑作振興地域ごとに、当該寒冷地畑作振興地域の区域内において主として畑又は牧野につき耕作又は養畜の事業を行う者の営農の改善の目標として、その寒冷な気象条件その他の自然的経済的条件に適応する営農条件に応ずる営農方式の例を作成することができる。