分収造林特別措置法
法令番号: 法律第57号
公布年月日: 昭和33年4月15日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

木材需要は昭和31年度で戦前の2倍に達し、昭和70年にはさらに2倍近くまで増大すると推定される。この需要に対応するため、人工造林面積の拡大が必要だが、森林所有者の自力造林だけでは困難な状況にある。そこで、土地所有者以外の者の資金や経営技術を活用し、収益を分収する分収造林方式を推進する必要がある。本法案は、分収造林契約締結のあっせん、共有樹木の分割請求規定の適用除外、地方公共団体の重要財産における分収造林契約期間の延長など、分収造林を進める上で必要な措置を講じようとするものである。

参照した発言:
第28回国会 参議院 農林水産委員会 第21号

審議経過

第28回国会

参議院
(昭和33年3月25日)
(昭和33年4月1日)
(昭和33年4月2日)
衆議院
(昭和33年4月4日)
参議院
(昭和33年4月4日)
衆議院
(昭和33年4月5日)
(昭和33年4月8日)
(昭和33年4月8日)
(昭和33年4月25日)
参議院
(昭和33年4月25日)
分収造林特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第五十七号
分収造林特別措置法
(分収造林契約)
第一条 この法律で「分収造林契約」とは、一定の土地についての造林に関し、その土地の所有者(以下「土地所有者」という。)、土地所有者以外の者でその土地について造林を行うもの(以下「造林者」という。)並びに土地所有者及び造林者以外の者でその造林に要する費用の全部若しくは一部を負担するもの(以下「費用負担者」という。)の三者又は土地所有者、造林者及び費用負担者のうちのいずれか二者が当事者となつて締結する契約(公有林野等官行造林法(大正九年法律第七号)第一条(官行造林契約)の契約及び国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)第九条(部分林契約)の契約を除く。)で、その契約条項中において、次の各号に掲げる事項を約定しているものをいう。
一 土地所有者を当事者とする契約においては、土地所有者は、造林者のためにその土地につきこれを造林の目的に使用する権利を設定する義務(造林者を契約当事者としない場合にあつては、自らその土地に一定の樹木を植栽し、並びにその植栽に係る樹木の保育及び管理を行う義務)を負うこと。
二 造林者を当事者とする契約においては、造林者は、その土地に一定の樹木を植栽し、並びにその植栽に係る樹木の保育及び管理を行う義務(土地所有者を契約当事者とせず、かつ、造林者がその土地につきこれを造林の目的に使用する権利を有しない場合にあつては、土地所有者から当該権利の設定を受けてこれらの行為を行う義務)を負うこと。
三 費用負担者を当事者とする契約においては、費用負担者は、造林者(造林者を契約当事者としない場合にあつては、土地所有者)に対し、前二号の樹木の植栽、保育及び管理に要する費用の全部又は一部を支払う義務を負うこと。
四 各契約当事者は、一定の割合により、当該契約に係る造林による収益を分収すること。
五 第一号又は第二号の契約事項の実施により植栽された樹木は、各契約当事者の共有とすること。
六 前号の場合における各共有者の持分の割合は、第四号の一定の割合と等しいものとすること。
(契約の締結のあつせん)
第二条 都道府県知事は、分収造林契約の当事者となろうとする者から分収造林契約の締結についてのあつせんの申出があつた場合において、これを相当と認めるときは、適正な分収造林契約が締結されるようにあつせんに努めるものとする。
(民法の特例)
第三条 分収造林契約に係る共有樹木については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項(共有物の分割請求)の規定は、適用しない。
(地方自治法の特例)
第四条 地方公共団体は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百十三条第二項前段(重要財産の処理に係る制限)の規定により条例で特に重要な財産として定めている土地につき分収造林契約を締結する場合において、その締結につきその議会で出席議員の三分の二以上の同意が得られたときは、同項前段の規定にかかわらず、同項前段に規定する投票を行わないで、当該分収造林契約の当事者たる造林者に対し、十年をこえ五十年をこえない期間にわたる独占的な使用を許可することができる。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は、同日以後に締結される分収造林契約に係る共有樹木について適用する。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 唐澤俊樹
農林大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
分収造林特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第五十七号
分収造林特別措置法
(分収造林契約)
第一条 この法律で「分収造林契約」とは、一定の土地についての造林に関し、その土地の所有者(以下「土地所有者」という。)、土地所有者以外の者でその土地について造林を行うもの(以下「造林者」という。)並びに土地所有者及び造林者以外の者でその造林に要する費用の全部若しくは一部を負担するもの(以下「費用負担者」という。)の三者又は土地所有者、造林者及び費用負担者のうちのいずれか二者が当事者となつて締結する契約(公有林野等官行造林法(大正九年法律第七号)第一条(官行造林契約)の契約及び国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)第九条(部分林契約)の契約を除く。)で、その契約条項中において、次の各号に掲げる事項を約定しているものをいう。
一 土地所有者を当事者とする契約においては、土地所有者は、造林者のためにその土地につきこれを造林の目的に使用する権利を設定する義務(造林者を契約当事者としない場合にあつては、自らその土地に一定の樹木を植栽し、並びにその植栽に係る樹木の保育及び管理を行う義務)を負うこと。
二 造林者を当事者とする契約においては、造林者は、その土地に一定の樹木を植栽し、並びにその植栽に係る樹木の保育及び管理を行う義務(土地所有者を契約当事者とせず、かつ、造林者がその土地につきこれを造林の目的に使用する権利を有しない場合にあつては、土地所有者から当該権利の設定を受けてこれらの行為を行う義務)を負うこと。
三 費用負担者を当事者とする契約においては、費用負担者は、造林者(造林者を契約当事者としない場合にあつては、土地所有者)に対し、前二号の樹木の植栽、保育及び管理に要する費用の全部又は一部を支払う義務を負うこと。
四 各契約当事者は、一定の割合により、当該契約に係る造林による収益を分収すること。
五 第一号又は第二号の契約事項の実施により植栽された樹木は、各契約当事者の共有とすること。
六 前号の場合における各共有者の持分の割合は、第四号の一定の割合と等しいものとすること。
(契約の締結のあつせん)
第二条 都道府県知事は、分収造林契約の当事者となろうとする者から分収造林契約の締結についてのあつせんの申出があつた場合において、これを相当と認めるときは、適正な分収造林契約が締結されるようにあつせんに努めるものとする。
(民法の特例)
第三条 分収造林契約に係る共有樹木については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項(共有物の分割請求)の規定は、適用しない。
(地方自治法の特例)
第四条 地方公共団体は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百十三条第二項前段(重要財産の処理に係る制限)の規定により条例で特に重要な財産として定めている土地につき分収造林契約を締結する場合において、その締結につきその議会で出席議員の三分の二以上の同意が得られたときは、同項前段の規定にかかわらず、同項前段に規定する投票を行わないで、当該分収造林契約の当事者たる造林者に対し、十年をこえ五十年をこえない期間にわたる独占的な使用を許可することができる。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は、同日以後に締結される分収造林契約に係る共有樹木について適用する。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 唐沢俊樹
農林大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎