(目的)
第一条 この法律は、有線放送電話業務の適正な運営を図ることによつて、有線電気通信に関する秩序の確立に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「有線放送電話役務」とは、有線放送業務の運用の規正に関する法律(昭和二十六年法律第百三十五号)第二条に規定する有線放送(以下単に「有線放送」という。)の業務を行うための有線電気通信設備及びこれに附置する送受話器その他の有線電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他これらの有線電気通信設備を他人の通信の用に供すること(有線放送たるものを除く。)をいう。
2 この法律で「有線放送電話業務」とは、有線放送電話役務を提供する業務をいう。
(業務の許可)
第三条 有線放送電話業務を行おうとする者は、郵政大臣の許可を受けなければならない。
(許可の基準)
第四条 郵政大臣は、前条の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。
一 その住民が社会的経済的に相互に比較的緊密な関係を有し、かつ、その相互間における電話による連絡が不便となつている地域を業務区域とするものであること。
三 その業務及び当該有線放送の業務を営利を目的として行うものでないこと。
四 その業務を適確に遂行するに足りる経理的基礎があること。
五 その業務の用に供する設備にもつぱら通話の用に供するための線路がないこと。
六 その業務を行うことが公益上必要であり、かつ、適切であること。
(許可の有効期間)
第五条 第三条の許可の有効期間は、許可の日から起算して五年とする。
2 前項の期間は、その満了の際、第三条の許可を受けた者(以下「有線放送電話業者」という。)の申請により、延長することができる。
3 前項の規定により延長する期間は、五年をこえることができない。ただし、再延長を妨げない。
(業務区域)
第六条 有線放送電話業者は、その業務区域外の場所にその業務の用に供する設備を設置し、これにより有線放送電話役務を提供してはならない。
2 有線放送電話業者は、その業務区域を拡張しようとするときは、郵政大臣の許可を受けなければならない。
(契約約款の届出)
第七条 有線放送電話業者は、有線放送電話役務の料金その他の提供条件及び当該有線放送の業務の利用条件について契約約款を定め、その実施前に郵政大臣に届け出なければならない。これを変更するときも、同様とする。
(線路)
第八条 有線放送電話業者は、もつぱら通話の用に供するための線路を設置してはならない。
(地位の承継)
第九条 有線放送電話業者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、有線放送電話業者の地位を承継する。
2 前項の規定により有線放送電話業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。
(許可の取消)
第十条 郵政大臣は、有線放送電話業者が正当な理由がないのに、六月以内にその業務を開始せず、又は六月以上引き続きその業務を休止したときは、第三条の許可を取り消すことができる。
2 郵政大臣は、第六条第二項の許可を受けた有線放送電話業者が正当な理由がないのに、六月以内にその拡張した業務区域においてその業務を開始しないときは、同項の許可を取り消すことができる。
3 郵政大臣は、有線放送電話業者がこの法律又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)の規定に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるときは、第三条の許可を取り消すことができる。
4 郵政大臣は、前三項の規定による詐可の取消をしたときは、理由を記載した文書をその有線放送電話業者に送付しなければならない。
(報告)
第十一条 郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において、有線放送電話業者からその業務に関し報告を求めることができる。
(聴聞)
第十二条 郵政大臣は、第十条第一項から第三項までの規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内客を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(異議の申立)
第十三条 この法律の規定による郵政大臣の処分に不服がある者は、その処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、その理由を記載した書面をもつて、郵政大臣に異議の申立をすることができる。
2 郵致大臣は、前項の異議の申立があつたときは、前条の例により公開による聴聞をした後、文書をもつて決定をし、その写を異議の申立をした者に送付しなければならない。
(罰則)
第十四条 第八条の規定に違反して線路を設置した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第十五条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第七条又は第九条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。