(目的)
第一條 この法律は、大赦又は復権(特定の者に対する復権を除く。以下同じ。)が行われる場合における公務員等に対する懲戒の免除及び公務員等の弁償責任に基く債務の減免について定めることを目的とする。
(国家公務員等の懲戒免除)
第二條 政府は、大赦又は復権が行われる場合においては、政令で定めるところにより、国家公務員、公共企業体(公共企業体労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二條に規定する公共企業体をいう。以下同じ。)の職員その他政令で定める者(以下「国家公務員等」という。)で懲戒の処分を受けたものに対して将来に向つてその懲戒を免除すること及びまだ懲戒の処分を受けていない国家公務員等に対して懲戒を行わないことができる。
(地方公務員の懲戒免除)
第三條 地方公共団体は、前條に規定する場合においては、條例で定めるところにより、地方公務員で懲戒処分を受けたものに対して将来に向つてその懲戒を免除すること及びまだ懲戒処分を受けていない地方公務員に対して懲戒を行わないことができる。
(出納職員、予算執行職員等の弁償責任に基く債務の減免)
第四條 政府は、第二條に規定する場合においては、政令で定めるところにより、支出官、出納官吏その他の国、公団、公庫、公共企業体等の出納職員、予算執行職員等で政令で定めるものの弁償責任(これに準ずる責任で政令で定めるものを含む。以下同じ。)に基く債務(租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律(昭和二十六年法律第百九十七号)の規定による国の定期貸債権又はすえ置貸債権に係る債務で当該弁償責任に係るものを含む。)を将来に向かつて減免することができる。但し、本人の犯罪行為に因る弁償責任に基く本人の債務については、この限りでない。
(出納長、収入役等の賠償の責任に基く債務の減免)
第五條 地方公共団体は、第二條に規定する場合においては、條例で定めるところにより、出納長又は収入役その他法令の規定に基いて現金若しくは物品を保管する地方公共団体の職員の賠償の責任に基く債務を将来に向つて減免することができる。但し、本人の犯罪行為に因る賠償の責任に基く本人の債務については、この限りでない。
(懲戒の処分に基く既成の効果)
第六條 懲戒の処分に基く既成の効果は、第二條及び第三條の規定に基く懲戒の免除によつて変更されることはない。
(資格の回復)
第七條 懲戒の処分を受けたことに因り国家公務員となる資格、地方公務員となる資格、地方公務員となるための競争試験若しくは選考を受ける資格若しくは第二條の規定による政令で定める者となる資格又はそれらの資格以外の他の法令で定める資格を失つている者は、同條又は第三條に基きその懲戒を免除されたときは、その日において、それらの資格を回復する。
(訴願等との関係)
第八條 第二條から第五條までの規定は、懲戒の処分を受け、又は弁償若しくは賠償を命ぜられた者が、その処分に対し、法令の規定により訴願、審査の請求、異議の申立その他不服の申立をし、又は訴を提起する権利に影響を及ぼすものではない。