(申告)
第十八條 第一條の規定に該当する者は、課税価格が五百万円をこえる場合(同居親族については、その課税価格を合算した金額が五百万円をこえる場合)においては、翌年二月一日から同月末日までに、課税価格、富裕税額その他政令で定める事項を記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 課税時期を含む年において相続に因り財産又は債務を承継した者が、当該財産の価額又は債務の金額をその課税価格計算の基礎に算入しないで前項の規定に該当する者である場合において、その年十一月一日から同項の申告書の提出期限までに当該相続の開始があつたことを知り、且つ、当該財産の価額又は債務の金額をその課税価格計算の基礎に算入した場合においてなお同項の規定に該当する者であるときは、その者(その者に同居親族があるときは、その同居親族を含む。)は、当該相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、同項の規定により政令で定める事項を記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 課税時期を含む年において相続に因り財産又は債務を承継した者が、当該財産の価額又は債務の金額をその課税価格計算の基礎に算入することに因り第一項の規定に該当する者となつた場合において、その年十一月一日以後当該相続の開始があつたことを知つたときは、その者(その者に同居親族があるときは、その同居親族を含む。)は、当該相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、第一項の規定により政令で定める事項を記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
4 第一項の規定に該当する者が課税時期後申告書の提出前に死亡した場合においては、その相続人は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、被相続人に係る富裕税について申告書を被相続人の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。この場合における申告書の記載事項、相続人が二人以上ある場合の申告の要領その他必要な事項については、政令で定める。
5 同居親族のうち第一項の規定に該当する者が二人以上ある場合においては、前四項の規定による申告書に第一項又は前項の規定により政令で定める事項を各別に区分して記載し、これを連署で提出しなければならない。但し、他の同居親族の氏名を附記して、各別に提出することを妨げない。
6 前項の規定の適用については、第四項に規定する相続人相互及び当該相続人とその被相続人の同居親族との関係については、これを互に他の同居親族とみなす。
7 通信、交通その他やむを得ない事由に因り、第一項から第四項までに規定する申告書の提出期限内に当該各項の規定による申告書を提出することができない者については、政令の定めるところにより、国税庁長官又は税務署長は、その期限を延長することができる。
8 第二項から第四項までの規定は、当該各項に規定する申告書の提出期限前に第二十四條の規定による決定の通知があつた場合には、適用しない。
9 第一項の規定に該当する者又は第四項に規定する相続人は、第一項から第四項までに規定する申告書の提出期限(第七項の規定の適用がある場合には、同項の規定により延長された期限。以下「申告書の提出期限」という。)後においても、第二十四條の規定による決定の通知があるまでは、第一項又は第四項の規定により政令で定める事項を記載した申告書を、納税地又は被相続人の納税地の所轄税務署長に提出することができる。第五項及び第六項の規定は、この場合における申告書の提出について準用する。
10 第一項から第四項までの規定による申告書を「期限内申告書」といい、前項の規定による申告書を「期限後申告書」という。
(修正申告)
第十九條 期限内申告書又は期限後申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格又は富裕税額に不足額があるときは、第二十四條の規定による更正の通知があるまでは、当該申告に係る課税価格又は富裕税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を、先に申告書を提出した税務署長に提出することができる。
2 第二十三條の規定による更正又は決定を受けた者は、当該更正又は決定に係る課税価格又は富裕税額に不足額があるときは、当該更正又は決定に係る課税価格又は富裕税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を、当該更正又は決定をした税務署長に提出することができる。
3 前二項の規定による申告書(この申告書を「修正申告書」という。)を提出することができる者が死亡した場合においては、その者の相続人は、その被相続人に係る富裕税について、修正申告書を提出することができる。
(更正の請求)
第二十條 期限内申告書又は当該申告書に係る修正申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格若しくは富裕税額又は当該修正申告に因り増加した課税価格若しくは富裕税額が過大であることを知つたときは、当該申告書の提出期限又は当該修正申告書を提出した日から一月以内に限り、当該申告書又は修正申告書を提出した税務署長に対し、その課税価格又は富裕税額につき第二十三條第一項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
2 期限内申告書を提出した者は、当該申告書を提出した後、当該申告書に係る課税時期を含む年において相続の開始があつたことを知り、且つ、当該相続に因り承継した財産の価額又は債務の金額をその課税価格計算の基礎に算入することに因り当該申告に係る課税価格又は富裕税額(当該申告書を提出した後修正申告書を提出した場合又は第二十三條第一項若しくは第四項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格又は富裕税額)が過大となつたときは、当該相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、当該申告書を提出した税務署長に対し、その課税価格又は富裕税額につき第二十三條第一項又は第四項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
3 前二項の規定による更正の請求をしようとする者は、当該更正の目的となる課税価格又は富裕税額、その請求しようとする更正後の課税価格又は富裕税額、当該更正の請求をする理由その他政令で定める事項を記載した書類を、税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、第一項又は第二項の規定による更正の請求があつた場合においては、当該請求に係る課税価格又は富裕税額の更正をすべきか否かを調査し、その調査に基き、これを更正し、又はその請求の理由がない旨を当該請求をした者に通知する。
5 この法律の施行地に住所及び居所を有しない者が第三十九條に規定する納税管理人の申告をしていないときは、前項の通知に代え、官報に掲載して公告をすることができる。この場合においては、公告の初日から七日を経過した日において同項の通知があつたものとみなす。
6 第一項又は第二項の規定による更正の請求があつた場合においても、税務署長は、税金の徴收を猶予しない。但し、税務署長において相当の事由があると認めたときは、税金の全部又は一部の徴收を猶予することができる。
7 第十八條第四項前段及び第七項の規定は、第一項又は第二項の規定による更正の請求について準用する。
(納付)
第二十一條 期限内申告書を提出した者は、当該申告書に記載した富裕税額に相当する富裕税を、申告書の提出期限までに、国に納付しなければならない。
2 期限後申告書を提出した者は、当該申告書に記載した富裕税額に相当する富裕税を、当該申告書を提出した日に、国に納付しなければならない。
3 修正申告書を提出した者は、当該修正申告に因り増加した富裕税額に相当する富裕税を、当該修正申告書を提出した日に、国に納付しなければならない。
4 第十八條第四項の規定に該当する場合において、相続人が二人以上あるときは、当該相続人が同項又は同條第九項の規定による申告書に記載し、第一項又は第二項の規定により納付すべき富裕税額は、相続に因り各相続人が受ける利益の価額に按分して計算した額とする。
5 第一項から第三項までの規定により富裕税を納付すべき者が第一項に規定する納期限までに、又は第二項若しくは第三項に規定する納付の期日に富裕税を完納しなかつたときは、税務署長は、国税徴收法(明治三十年法律第二十一号)第九條の規定により、これを督促する。
6 第一項から第三項までの規定による富裕税の納付の手続については、政令で定める。
(連帶納付の義務)
第二十二條 同居親族は、互に他の同居親族の納付すべき富裕税について、連帶納付の責に任ずる。第十八條第六項の規定は、この場合について準用する。
2 富裕税の課税価格計算の基礎となつた財産につき、贈與、遺贈又は寄附行為に因る移転があつた場合においては、当該贈與若しくは遺贈を受けた者又は当該寄附行為に因り設立された法人は、その受けた利益の価額の限度において、当該行為のあつた日を含む年の前年分の富裕税について、連帶納付の責に任ずる。