国税徴収法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十九号
公布年月日: 昭和25年3月31日
法令の形式: 法律
国税徴收法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十九号
国税徴收法の一部を改正する法律
国税徴收法(明治三十年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第二條を次のように改める。
第二條 国税並其ノ督促手数料及滯納処分費ハ総テノ他ノ公課(地方税並其ノ督促手数料、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、延滯金、延滯加算金及滯納処分費(以下地方公共団体ノ徴收金ト謂フ)ヲ除ク以下本條中同ジ)及債権ニ先チテ之ヲ徴收ス
国税ノ滯納ニ因リ財産ノ差押ヲ為シタル場合ニ於テハ当該財産ノ価格ヲ限度トシ其ノ差押ニ係ル国税並其ノ督促手数料及滯納処分費ハ地方公共団体ノ徴收金ニ先チテ之ヲ徴收ス
納税人公課ノ滯納ニ因リ滯納処分ヲ受ケタルトキ、強制執行ヲ受ケタルトキ、競売ノ開始アリタルトキ又ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキニ於テ收税官吏ガ当該行政機関、公共団体、執行裁判所、執達吏、強制管理人又ハ破産管理人ニ対シ交付ヲ求メタル国税並其ノ督促手数料及滯納処分費ハ此等ノ者ニ対シ交付ヲ求メタル地方公共団体ノ徴收金ニ先チテ之ヲ徴收ス
納税人地方公共団体ノ徴收金ノ滯納ニ因リ滯納処分ヲ受ケタルトキニ於テ收税官史ガ当該地方公共団体ニ対シ交付ヲ求メタル国税並其ノ督促手数料及滯納処分費ハ当該滯納処分ニ因リ差押ヲ受ケタル財産ノ価格ヲ限度トシ当該地方公共団体ノ徴收金ニ先チテ之ヲ徴收セズ
納税人公課ノ滯納ニ因リ滯納処分ヲ受ケタルトキ、強制執行ヲ受ケタルトキ、競売ノ開始アリタルトキ又ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキニ於テ收税官吏ガ当該行政機関、公共団体、執行裁判所、執達吏、強制管理人又ハ破産管財人ニ対シ交付ヲ求メタル国税並其ノ督促手数料及滯納処分費ハ当該公課ノ督促手数料、延滯金及滯納処分費、強制執行費用、破産手続上ノ費用又ハ競売費用ニ先チテ之ヲ徴收セズ
国税ノ督促手数料及滯納処分費ハ国税ニ先チテ之ヲ徴收ス
第四條ノ一第二号中「府県税」を「地方税」に改め、同條第五号の次に次の一号を加える。
五ノ二 納税人ニ付相続ノ開始アリタル場合ニ於テ相続人ガ限定承認ヲ為シタルトキ
第四條ノ二を次のように改める。
第四條ノ二 削除
第四條ノ三及び第四條ノ四中「、延滯金」を削る。
第九條第三項から第五項までを次のように改める。
第一項ニ依リ督促ヲ為シタル場合ニ於テ督促状ノ指定ノ期限マデニ税金ヲ完納セザルトキハ督促状ノ指定ノ期限ノ翌日ヨリ税金納付ノ日マデノ日数ニ応ジ滯納税額(所得税法其ノ他ノ法律ニ依リ税額ニ併セ納付スベキ利子税額並税額ニ加算シテ徴收セラルベキ過少申告加算税額、過少納付加算税額、無申告加算税額、源泉徴收加算税額、軽加算税額、加算税額及重加算税額ヲ除ク以下本條中同ジ)百円ニ付一日四銭ノ割合ヲ乘ジ計算シタル金額ニ相当スル延滯加算税額ヲ当該滯納税額ノ属スル税目ノ国税トシテ滯納税額ニ加算シテ徴收ス
前項ノ場合ニ於テ滯納税額ノ一部ノ納付アリタルトキハ当該納付ノ日ノ翌日以後ノ期間ニ係ル延滯加算税額ノ計算ノ基礎トナルベキ滯納税額ハ当該納付アリタル税金額ヲ控除シタル金額ニ依ル
第三項ノ延滯加算税額ハ督促状ノ指定ノ期限ヲ経過シタル時ニ於ケル滯納税額ニ対シ百分ノ五ノ割合ヲ乘ジ計算シタル金額ヲ起ユルコトヲ得ズ
延滯納税額ヲ計算スルニ当リ滯納税額ニ千円未満ノ端数アルトキハ其ノ端数ハ之ヲ切捨テ計算ス
前四項ニ依リ計算シタル延滯加算税額ノ金額ガ百円未満ナルトキハ延滯加算税額ハ之ヲ徴收セズ
第三項ノ延滯加算税額ヲ徴收スベキ場合ニ於テ滯納者ノ納付ニ依ル税金額ガ督促状ノ指定ノ期限ヲ経過シタル時ニ於ケル滯納税額ニ達スルマデハ当該納付ニ係ル税金額ハ先ヅ当該滯納税額ニ充テラレタルモノトス
同條第六項中「前三項ニ依ル延滯金」を「第三項ノ延滯加算税額」に改める。
第十條第一号中「、延滯金」を削り、「税金」の下に「(延滯加算税額ヲ含ム)」を加え、同條第二号中「第一号及第七号ノ場合ニ於テ」を「各号(第四号ヲ除ク)ニ該当スル」に、「完納セザルトキ」を「完納セザル場合ニ於テ差押フベキ財産アルトキ」に改める。
第十二條中「、延滯金」を削る。
第十六條に次の一項を加える。
滯納者ノ受クベキ俸給、給料、賃銀、歳費、年金、恩給及賞與並此等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ其ノ支拂期ニ受クベキ金額ノ中其ノ百分ノ七十五ニ相当スル金額ヲ超エザル部分ハ之ヲ差押フルコトヲ得ズ
第十七條中「、延滯金」を削る。
第二十一條の次に次の一條を加える。
第二十一條ノ二 收税官吏ハ財産ノ差押ノ為滯納者ノ財産ヲ調査スル必要アルトキハ滯納者又ハ滯納者ノ財産ヲ占有スル第三者若ハ滯納者ノ財産ヲ占有スルト認ムルニ足ル相当ノ理由アル第三者ニ対シ質問ヲ為スコトヲ得
收税官吏ハ財産ノ差押ノ為滯納者ノ財産ヲ調査スル必要アルトキハ左ニ掲グル者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ第一号若ハ第二号ニ掲グル者ニ付当該各号ニ掲グル債務若ハ財産ニ関スル帳簿書類若ハ第三号ニ掲グル者ニ付株式若ハ出資ニ関スル帳簿書類ヲ検査スルコトヲ得
一 滯納者ニ対シ金銭又ハ物品ノ給付ヲ為ス債務アリト認ムルニ足ル相当ノ理由アル者
二 滯納者ヨリ財産ヲ取得シタリト認ムルニ足ル相当ノ理由アル者
三 滯納者ガ株主又ハ出資者タル法人
前二項ノ質問又ハ検査ノ権限ハ犯罪捜査ノ為認メラレタルモノト之ヲ解スルコトヲ得ズ
收税官吏第一項又ハ第二項ニ依ル質問又ハ検査ヲ為ストキハ其ノ身分ヲ証スル証票ヲ示スベシ
第二十三條ノ一第二項中「、延滯金」を削る。
第二十五條に次の一項を加える。
公売ニ付スルモ買受人ナキ物件又ハ其ノ価格見積価格ニ達セザル物件ハ其ノ見積価格ヲ下ラザル価格ヲ以テ随意契約ニ依リ之ヲ売却スルコトヲ得
第二十七條中「公売」の下に「(政府ニ依ル買上及随意契約ヲ以テスル売却ヲ含ム)」を加える。
第二十八條、第二十九條及び第三十一條中「、延滯金」を削る。
第三章ノ二を次のように改める。
第三章ノ二 再調査、審査及訴訟
第三十一條ノ二 国税ノ賦課徴收ニ関スル処分又ハ滯納処分ニ関シ異議アル者ハ所得税法其ノ他別ニ法律ヲ以テ定ムルモノノ外当該処分ニ係ル通知ヲ受ケタル日(当該処分ニ付通知ナキトキハ当該処分ノアリタルコトヲ知リタル日)ヨリ一箇月以内ニ政令ノ定ムル所ニ依リ不服ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ以テ当該処分ヲ為シタル税務署長(当該処分ヲ為シタル者ガ税務署ノ職員ナルトキハ当該職員ノ属スル税務署ノ税務署長)ニ対シ再調査ノ請求ヲ為スコトヲ得但シ当該処分ニ係ル調査ガ国税庁若ハ国税局ノ職員ニ依リ為サレタル旨ノ記載アル書面ニ依リ税務署長ヨリ当該処分ニ係ル通知ヲ受ケタル者又ハ税務署以外ノ行政機関ノ長若ハ其ノ職員ニ依リ当該処分ヲ受ケタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
通信、交通其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ前項ノ期間内ニ同項ノ再調査ノ請求(以下再調査ノ請求ト謂フ)ヲ為スコト能ハザル者ニ付テハ政令ノ定ムル所ニ依リ国税庁長官又ハ税務署長ハ当該期間ヲ延長スルコトヲ得
再調査ノ請求ハ税金ノ徴收又ハ滯納処分ノ続行ヲ妨ゲズ但シ税務署長ハ相当ノ事由アリト認ムルトキハ税金ノ全部若ハ一部ノ徴收ヲ猶予シ又ハ滯納処分ノ続行ヲ停止スルコトヲ得
税務署長ハ再調査ノ請求アリタル場合ニ於テ当該請求ノ方式又ハ手続ニ欠陷アルトキハ相当ノ期間ヲ定メ其ノ欠陷ノ補正ヲ為サシムルコトヲ得
税務署長ハ再調査ノ請求アリタル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ当該各号ニ定ムル決定ヲ為シ其ノ理由ヲ附記シタル書面ヲ以テ之ヲ当該請求ヲ為シタル者ニ通知スベシ
一 再調査ノ請求ガ第一項ノ期間経過後ニ為サレタルトキ又ハ前項ニ依リ欠陷ノ補正ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ欠陷ノ補正ガ為サレザルトキハ当該請求ヲ却下スル決定
二 再調査ノ請求ノ全部ニ付理由ナシト認ムルトキハ当該請求ヲ棄却スル決定
三 再調査ノ請求ノ全部又ハ一部ニ付理由アリト認ムルトキハ当該請求ノ目的トナリタル処分ノ全部又ハ一部ヲ取消ス決定
第三十一條ノ三 前條第一項但書ニ該当スル者又ハ同條第五項ニ依ル通知ヲ受ケタル者同條第一項但書ノ通知ニ係ル事項若ハ処分又ハ同條第五項ニ依ル決定(以下再調査ノ決定ト謂フ)ニ対シ異議アルトキハ当該処分ニ係ル通知ヲ受ケタル日(当該処分ニ付通知ナキトキハ当該処分ノアリタルコトヲ知リタル日)又ハ同條第五項ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ一箇月以内ニ政令ノ定ムル所ニ依リ不服ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ以テ国税庁長官若ハ国税局長又ハ税関長ニ審査ノ請求ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テ当該審査ノ請求ガ再調査ノ決定ニ対スルモノナルトキハ当該再調査ノ目的トナリタル処分ニ対スル審査ノ請求ガ併セ為サレタルモノト看做ス
前條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
再調査ノ請求アリタル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ当該各号ニ規定スル日ニ於テ当該各号ニ規定スル税務署長ノ管轄区域ヲ所轄スル国税局長ニ対シ第一項ノ審査ノ請求(以下審査ノ請求ト謂フ)アリタルモノト看做ス
一 税務署長再調査ノ請求ヲ審査ノ請求トシテ取扱フコトヲ適当ト認メ且再調査ノ請求ヲ為シタル者ガ之ニ同意シタルトキハ当該同意ノアリタル日
二 再調査ノ請求アリタル日ヨリ三箇月以内ニ前條第五項ニ依ル通知ガ為サレザル場合ニ於テ再調査ノ請求ヲ為シタル者ガ当該請求ヲ審査ノ請求トシテ取扱フコトヲ税務署長ニ申出タルトキハ当該申出ノアリタル日
前條第四項ノ規定ハ審査ノ請求アリタル場合ニ付之ヲ準用ス
国税庁長官若ハ国税局長又ハ税関長ハ審査ノ請求アリタル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ当該各号ニ定ムル決定ヲ為シ其ノ理由ヲ附記シタル書面ヲ以テ之ヲ当該請求ヲ為シタル者(第三項ノ再調査ノ請求ヲ為シタル者ヲ含ム)ニ通知スベシ此ノ場合ニ於テ第一項後段ニ依リ再調査ノ目的トナリタル処分ニ対スル審査ノ請求ガ併セ為サレタルモノト看做サレタルトキハ第二号又ハ第三号ニ依ル決定ハ当該各請求ニ付之ヲ為スベシ
一 審査ノ請求ガ第一項ノ期間経過後ニ為サレタルトキハ前項ニ於テ準用スル前條第四項ニ依リ欠陷ノ補正ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ欠陷ノ補正ガ為サレザルトキハ当該請求ヲ却下スル決定
二 審査ノ請求ノ全部ニ付理由ナシト認ムルトキハ当該請求ヲ棄却スル決定
三 審査ノ請求ノ全部又ハ一部ニ付理由アリト認ムルトキハ当該請求ノ目的トナリタル処分ノ全部又ハ一部ヲ取消ス決定
国税庁長官又ハ国税局長前條第五項第一号ニ依ル再調査ノ決定ニ対スル審査ノ請求ニ付前項第二号ニ依ル法定ヲ為シタルトキハ同項後段ノ規定ニ拘ラズ第一項後段ニ依リ併セ為サレタルモノト看做サレタル再調査ノ目的トナリタル処分ニ対スル審査ノ請求ハ棄却セラレタルモノト看做ス
第三十一條ノ三ノ二 再調査ノ請求又ハ審査ノ請求ノ目的トナル処分ニ関スル事件ニ付テハ訴願法ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第三十一條ノ四 再調査ノ請求又ハ審査ノ請求ノ目的トナル処分ノ取消又ハ変更ヲ求ムル訴ハ第三十一條ノ三第五項ニ依ル決定(以下審査ノ決定ト謂フ)ヲ経タル後ニ非ザレバ之ヲ提起スルコトヲ得ズ但シ再調査ノ請求アリタル日ヨリ六箇月ヲ経過シ仍再調査ノ決定ノ通知ナキトキ、審査ノ請求アリタル日ヨリ三箇月ヲ経過シタルトキ又ハ再調査ノ決定若ハ審査ノ決定ヲ経ルコトニ依リ著シキ損害ヲ生ズル虞アルトキ其ノ他正当ナル事由アルトキハ再調査ノ決定又ハ審査ノ決定ヲ経ズシテ訴ヲ提起スルコトヲ得
再調査ノ請求若ハ審査ノ請求ノ目的トナル処分又ハ審査ノ決定ノ取消又ハ変更ヲ求ムル訴ハ前項但書ノ場合ヲ除クノ外行政事件訴訟特例法第五條第一項又ハ第四項ノ規定ニ拘ラズ審査ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
第一項但書ニ依リ再調査ノ請求アリタル日ヨリ六箇月ヲ経過シタル日後ニ当該再調査ノ目的トナリタル処分ノ取消又ハ変更ヲ求ムル訴ヲ提起スル場合ニ於テハ当該再調査ノ請求アリタル日ヨリ九箇月以内ニ当該訴ヲ提起スルコトヲ要ス
前二項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス
第二項ノ訴ガ提起セラレタル場合ニ於テ税務署長又ハ国税局長ガ当事者又ハ参加人トナリタルトキハ国税庁又ハ国税局ノ職員ハ昭和二十二年法律第百九十四号(国ノ利害ニ関係アル訴訟ニ付テノ法務総裁ノ権限等ニ関スル法律)第五條第一項ノ適用ニ付テハ之ヲ当該税務署長又ハ国税局長ノ所部ノ職員ト看做ス
再調査ノ請求又ハ審査ノ請求ニ対シテハ第一項但書ニ依リ訴ノ提起アリタル場合ニ於テモ決定ヲ為スコトヲ妨ゲズ
第二項ノ訴ニ於テハ裁判所ガ相手方当事者タル国税庁長官、国税局長、税関長若ハ税務署長又ハ其ノ他ノ行政機関ノ長ノ主張ヲ合理的ナリト認メタルトキハ当該訴ヲ提起シタル者ニ於テ先ヅ証拠ノ申出ヲ為シ其ノ後ニ於テ相手方当事者之ヲ為スベキモノトス
相手方当事者ハ前項ノ規定ニ拘ラズ随時証拠ノ申出ヲ為スコトヲ得
第三十一條ノ五中「、延滯金」を削る。
第三十一條ノ六第一項中「、延滯金」を削り、「十銭」を「四銭」に改め、同條に次の二項を加える。
二以上ノ納期ニ於テ又ハ二回以上ニ分チテ納付シタル国税、督促手数料及滯納処分費ニ付過誤納ヲ生ジタル場合ニ於ケル第一項ノ適用ニ付テハ過誤納額ニ相当スル国税、督促手数料及滯納処分費ハ最後ノ納付ノ日ニ於テ納付アリタルモノトシ当該過誤納額ガ其ノ日ニ於ケル納付額ヲ超ユルトキハ過誤納額ニ達スルマデ順次遡リテ各納付ノ日ニ於テ其ノ納付アリタルモノトス
適法ニ納付シタル国税、督促手数料及滯納処分費が納付スベキ税金額ノ法律ノ規定ニ依ル変更又ハ消滅ニ因リ過納トナルニ至リタル場合ニ於ケル第一項ノ適用ニ付テハ当該過納額ニ相当スル国税、督促手数料及滯納処分費ハ其ノ過納トナリタル日ニ於テ納付アリタルモノトス但シ所得税法第三十條、第三十一條若ハ第三十三條第二項(確定申告書及農業確定申告書以外ノ申告書ニ係ル部分ニ限ル)若ハ第四項ニ依リ納付シタル所得税額(同法第四十五條ニ依リ納付シタル所得税額ヲ含ム)又ハ法人税法第十九條若ハ第二十條第一項ニ依リ提出シタル申告書(同法第二十三條ニ依リ提出シタル申告書ニシテ同法第二十條第一項ノ事項ヲ記載シタルモノヲ含ム)ニ記載シタル法人税額、同法第十九條第五項ニ依リ提出アリタルモノト看做サレタル申告書ニ係ル法人税額若ハ同法第二十六條第三項各号ニ掲グル法人税額並此等ノ所得税額又ハ法人税額ニ係ル利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額及延滯加算税額ニ係ル過納額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二條を次のように改める。
第三十二條 納税者滯納処分ノ執行ヲ受クル前ニ於テ当該処分ノ執行ヲ免ルル目的ヲ以テ其ノ財産ヲ隠蔽シ、損壞シ、国ノ不利益ニ処分シ又ハ財産ノ負担ヲ虚為ニ増加スル行為ヲ為シテ当該処分ノ執行ヲ受ケタル場合ハ之ヲ三年以下ノ懲役若ハ二十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス当該処分ノ執行ヲ受ケタル後其ノ執行ヲ免ルル目的ヲ以テ此等ノ行為ヲ為シタル場合ニ付亦同ジ
納税者ノ財産ヲ占有スル第三者納税者ヲシテ滯納処分ノ執行ヲ免レシムル目的ヲ以テ前項ノ行為ヲ為シタル場合ハ当該処分ノ執行ノ前後ヲ区別シ同項ノ例ニ依ル
納税者ニ対スル滯納処分ノ執行前情ヲ知リテ第一項ノ行為ニ付納税者又ハ其ノ財産ヲ占有スル第三者ノ相手方トナリタル者納税者ニ付滯納処分ノ執行アリタルトキハ之ヲ二年以下ノ懲役若ハ十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス滯納処分ノ執行アリタル後情ヲ知リテ同項ノ行為ニ付納税者又ハ其ノ財産ヲ占有スル第三者ノ相手方トナリタル者亦同ジ
法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者其ノ法人又ハ人ノ業務又ハ財産ニ関シ前三項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ当該各項ノ罰金刑ヲ科ス
第四章中第三十二條の次に次の一條を加える。
第三十二條ノ二 第二十一條ノ二第二項ニ依ル收税官吏ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ之ヲ三万円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
2 この法律施行前に收税官吏が、国税徴收法施行規則(明治三十五年勅令第百三十五号)第二十九條の規定により、地方公共団体又は清算人に交付を求めた国税並びにその督促手数料、延滯金及び滯納処分費と地方公共団体の徴收金(国税徴收法第二條第一項に規定する地方公共団体の徴收金をいう。)との間における徴收の順位については、なお従前の例による。
3 改正前の国税徴收法第九條第三項の規定により徴收すべきであつた延滯金については、督促手数料と同順位として同法第二條の改正規定に準じてこれを徴收するの外、その徴收については、なお従前の例による。但し、この法律施行後の期間に対応する延滯金は、徴收しない。
4 この法律施行前に国税徴收法第九條第一項の規定による督促をなしこの法律施行の際になお税額を完納しない国税で、当該督促の指定の期限が昭和二十五年三月三十一日以前であるもの(同日以前に財産の差押があつた国税の税額を除く。)に対する同法第九條第三項の改正規定による延滯加算税額は、同年四月一日から税金納付の日までの日数に応じ、滯納税額(同法第九條第三項に規定する滯納税額をいう。以下本項中同じ。)百円につき一日四銭の割合を乘じて計算した金額とする。但し、当該延滯加算税額は、この法律施行の際における滯納税額に対し百分の五の割合を乘じて計算した額をこえることができない。
5 前項の規定による延滯加算税額については、この法律施行の日において国税徴收法第六條の規定による告知をしたものとみなす。
6 この法律施行前にした租税の賦課徴收に関する処分又は滯納処分に対する審査、訴願及び訴訟については、なお従前の例による。
7 この法律施行前に徴收した延滯金及び第三項の規定により徴收した延滯金に過誤納があつた場合の充当並びに同項の規定により徴收すべき延滯金に対する過誤納に係る国税、督促手数料及び滯納処分費並びに国税徴收法第三十一條ノ六の規定による還付加算金の充当については、なお従前の例による。
8 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)第三十六條第七項(同法第三十六條の二第三項において準用する場合を含む。)及び法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第二十六條の三第五項の規定による充当は、第三項の規定により徴收すべき延滯金に対してもすることができる。
9 この法律施行前に納付した国税、督促手数料、延滯金及び滯納処分費につき過誤納があつたため、この法律施行後に金銭をもつて還付し、又は他の未納の国税、督促手数料、延滯金及び滯納処分費に充当する場合において、当該過誤納額に加算する国税徴收法第三十一條ノ六の規定による還付加算金(延滯金に対するものを含む。)の金額は、納付の日の翌日から昭和二十五年三月三十一日までの日数に応じ、過誤納額百円につき一日十銭の割合を乘じて計算した金額と同年四月一日から還付のため支出し、又は当該充当をした日までの日数に応じ、過誤納額百円につき一日四銭の割合を乘じて計算した金額との合計金額とする。
10 改正後の国税徴收法第三十一條ノ六の規定は、第三項により徴收した延滯金について過誤納があつた場合に準用する。
11 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
12 他の法令中その先取特権の順位が国税又は地方税に次ぐものと規定されている公課及び債権については、当該法令の規定にかかわらず、この法律施行後においては、その先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
13 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九條ノ七中「第三十一條ノ二」を「第三十一條ノ三」に改める。
14 酒税法(昭和十五年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第四十六條第二項中「、延滯金」を削り、同條第三項中「第一項」を削り、「滯納者」を「納税者」に改める。
15 所得税法の一部を次のように改正する。
第十條第二項中「及び通行税法第十一條ノ三第一項又は第十一條ノ四第一項の規定により徴收する軽加算税額又は重加算税額は、」を「、通行税法第十一條ノ三第一項又は第十一條ノ四第一項の規定により徴收する軽加算税額又は重加算税額及び国税徴收法第九條第三項の規定により徴收する延滯加算税額(第三十條乃至第三十四條、第四十五條及び第四十七條の規定により納付又は徴收すべき所得税額に加算して徴收するものを除く。)は、」に改める。
16 法人税法の一部を次のように改正する。
第九條第二項中「又は通行税法第十一條ノ三第一項若しくは第十一條ノ四第一項の規定により」を「、通行税法第十一條ノ三第一項若しくは第十一條ノ四第一項又は国税徴收法第九條第三項の規定により」に、「若しくは軽加算税額又は重加算税額に相当する所得税又は通行税」を「、軽加算税額若しくは重加算税額に相当する所得税若しくは通行税又は延滯加算税額に相当する国税」に改める。
第十六條第二項中「利子税額」の下に「及び国税徴收法第九條第三項の規定による延滯加算税額」を加える。
第十九條第一項中「及び重加算税額」の下に「並びに国税徴收法第九條第三項の規定による延滯加算税額」を加える。
第二十六條の三第五項中「、延滯加算金」を削る。
17 富裕税法(昭和二十五年法律第一七四号)の一部を次のように改正する。
第三十二條第一項中「及び重加算税額」を「、重加算税額及び延滯加算税額に相当する富裕税額」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
国税徴収法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十九号
国税徴収法の一部を改正する法律
国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第二条を次のように改める。
第二条 国税並其ノ督促手数料及滞納処分費ハ総テノ他ノ公課(地方税並其ノ督促手数料、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、延滞金、延滞加算金及滞納処分費(以下地方公共団体ノ徴収金ト謂フ)ヲ除ク以下本条中同ジ)及債権ニ先チテ之ヲ徴収ス
国税ノ滞納ニ因リ財産ノ差押ヲ為シタル場合ニ於テハ当該財産ノ価格ヲ限度トシ其ノ差押ニ係ル国税並其ノ督促手数料及滞納処分費ハ地方公共団体ノ徴収金ニ先チテ之ヲ徴収ス
納税人公課ノ滞納ニ因リ滞納処分ヲ受ケタルトキ、強制執行ヲ受ケタルトキ、競売ノ開始アリタルトキ又ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキニ於テ収税官吏ガ当該行政機関、公共団体、執行裁判所、執達吏、強制管理人又ハ破産管理人ニ対シ交付ヲ求メタル国税並其ノ督促手数料及滞納処分費ハ此等ノ者ニ対シ交付ヲ求メタル地方公共団体ノ徴収金ニ先チテ之ヲ徴収ス
納税人地方公共団体ノ徴収金ノ滞納ニ因リ滞納処分ヲ受ケタルトキニ於テ収税官史ガ当該地方公共団体ニ対シ交付ヲ求メタル国税並其ノ督促手数料及滞納処分費ハ当該滞納処分ニ因リ差押ヲ受ケタル財産ノ価格ヲ限度トシ当該地方公共団体ノ徴収金ニ先チテ之ヲ徴収セズ
納税人公課ノ滞納ニ因リ滞納処分ヲ受ケタルトキ、強制執行ヲ受ケタルトキ、競売ノ開始アリタルトキ又ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキニ於テ収税官吏ガ当該行政機関、公共団体、執行裁判所、執達吏、強制管理人又ハ破産管財人ニ対シ交付ヲ求メタル国税並其ノ督促手数料及滞納処分費ハ当該公課ノ督促手数料、延滞金及滞納処分費、強制執行費用、破産手続上ノ費用又ハ競売費用ニ先チテ之ヲ徴収セズ
国税ノ督促手数料及滞納処分費ハ国税ニ先チテ之ヲ徴収ス
第四条ノ一第二号中「府県税」を「地方税」に改め、同条第五号の次に次の一号を加える。
五ノ二 納税人ニ付相続ノ開始アリタル場合ニ於テ相続人ガ限定承認ヲ為シタルトキ
第四条ノ二を次のように改める。
第四条ノ二 削除
第四条ノ三及び第四条ノ四中「、延滞金」を削る。
第九条第三項から第五項までを次のように改める。
第一項ニ依リ督促ヲ為シタル場合ニ於テ督促状ノ指定ノ期限マデニ税金ヲ完納セザルトキハ督促状ノ指定ノ期限ノ翌日ヨリ税金納付ノ日マデノ日数ニ応ジ滞納税額(所得税法其ノ他ノ法律ニ依リ税額ニ併セ納付スベキ利子税額並税額ニ加算シテ徴収セラルベキ過少申告加算税額、過少納付加算税額、無申告加算税額、源泉徴収加算税額、軽加算税額、加算税額及重加算税額ヲ除ク以下本条中同ジ)百円ニ付一日四銭ノ割合ヲ乗ジ計算シタル金額ニ相当スル延滞加算税額ヲ当該滞納税額ノ属スル税目ノ国税トシテ滞納税額ニ加算シテ徴収ス
前項ノ場合ニ於テ滞納税額ノ一部ノ納付アリタルトキハ当該納付ノ日ノ翌日以後ノ期間ニ係ル延滞加算税額ノ計算ノ基礎トナルベキ滞納税額ハ当該納付アリタル税金額ヲ控除シタル金額ニ依ル
第三項ノ延滞加算税額ハ督促状ノ指定ノ期限ヲ経過シタル時ニ於ケル滞納税額ニ対シ百分ノ五ノ割合ヲ乗ジ計算シタル金額ヲ起ユルコトヲ得ズ
延滞納税額ヲ計算スルニ当リ滞納税額ニ千円未満ノ端数アルトキハ其ノ端数ハ之ヲ切捨テ計算ス
前四項ニ依リ計算シタル延滞加算税額ノ金額ガ百円未満ナルトキハ延滞加算税額ハ之ヲ徴収セズ
第三項ノ延滞加算税額ヲ徴収スベキ場合ニ於テ滞納者ノ納付ニ依ル税金額ガ督促状ノ指定ノ期限ヲ経過シタル時ニ於ケル滞納税額ニ達スルマデハ当該納付ニ係ル税金額ハ先ヅ当該滞納税額ニ充テラレタルモノトス
同条第六項中「前三項ニ依ル延滞金」を「第三項ノ延滞加算税額」に改める。
第十条第一号中「、延滞金」を削り、「税金」の下に「(延滞加算税額ヲ含ム)」を加え、同条第二号中「第一号及第七号ノ場合ニ於テ」を「各号(第四号ヲ除ク)ニ該当スル」に、「完納セザルトキ」を「完納セザル場合ニ於テ差押フベキ財産アルトキ」に改める。
第十二条中「、延滞金」を削る。
第十六条に次の一項を加える。
滞納者ノ受クベキ俸給、給料、賃銀、歳費、年金、恩給及賞与並此等ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ其ノ支払期ニ受クベキ金額ノ中其ノ百分ノ七十五ニ相当スル金額ヲ超エザル部分ハ之ヲ差押フルコトヲ得ズ
第十七条中「、延滞金」を削る。
第二十一条の次に次の一条を加える。
第二十一条ノ二 収税官吏ハ財産ノ差押ノ為滞納者ノ財産ヲ調査スル必要アルトキハ滞納者又ハ滞納者ノ財産ヲ占有スル第三者若ハ滞納者ノ財産ヲ占有スルト認ムルニ足ル相当ノ理由アル第三者ニ対シ質問ヲ為スコトヲ得
収税官吏ハ財産ノ差押ノ為滞納者ノ財産ヲ調査スル必要アルトキハ左ニ掲グル者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ第一号若ハ第二号ニ掲グル者ニ付当該各号ニ掲グル債務若ハ財産ニ関スル帳簿書類若ハ第三号ニ掲グル者ニ付株式若ハ出資ニ関スル帳簿書類ヲ検査スルコトヲ得
一 滞納者ニ対シ金銭又ハ物品ノ給付ヲ為ス債務アリト認ムルニ足ル相当ノ理由アル者
二 滞納者ヨリ財産ヲ取得シタリト認ムルニ足ル相当ノ理由アル者
三 滞納者ガ株主又ハ出資者タル法人
前二項ノ質問又ハ検査ノ権限ハ犯罪捜査ノ為認メラレタルモノト之ヲ解スルコトヲ得ズ
収税官吏第一項又ハ第二項ニ依ル質問又ハ検査ヲ為ストキハ其ノ身分ヲ証スル証票ヲ示スベシ
第二十三条ノ一第二項中「、延滞金」を削る。
第二十五条に次の一項を加える。
公売ニ付スルモ買受人ナキ物件又ハ其ノ価格見積価格ニ達セザル物件ハ其ノ見積価格ヲ下ラザル価格ヲ以テ随意契約ニ依リ之ヲ売却スルコトヲ得
第二十七条中「公売」の下に「(政府ニ依ル買上及随意契約ヲ以テスル売却ヲ含ム)」を加える。
第二十八条、第二十九条及び第三十一条中「、延滞金」を削る。
第三章ノ二を次のように改める。
第三章ノ二 再調査、審査及訴訟
第三十一条ノ二 国税ノ賦課徴収ニ関スル処分又ハ滞納処分ニ関シ異議アル者ハ所得税法其ノ他別ニ法律ヲ以テ定ムルモノノ外当該処分ニ係ル通知ヲ受ケタル日(当該処分ニ付通知ナキトキハ当該処分ノアリタルコトヲ知リタル日)ヨリ一箇月以内ニ政令ノ定ムル所ニ依リ不服ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ以テ当該処分ヲ為シタル税務署長(当該処分ヲ為シタル者ガ税務署ノ職員ナルトキハ当該職員ノ属スル税務署ノ税務署長)ニ対シ再調査ノ請求ヲ為スコトヲ得但シ当該処分ニ係ル調査ガ国税庁若ハ国税局ノ職員ニ依リ為サレタル旨ノ記載アル書面ニ依リ税務署長ヨリ当該処分ニ係ル通知ヲ受ケタル者又ハ税務署以外ノ行政機関ノ長若ハ其ノ職員ニ依リ当該処分ヲ受ケタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
通信、交通其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ前項ノ期間内ニ同項ノ再調査ノ請求(以下再調査ノ請求ト謂フ)ヲ為スコト能ハザル者ニ付テハ政令ノ定ムル所ニ依リ国税庁長官又ハ税務署長ハ当該期間ヲ延長スルコトヲ得
再調査ノ請求ハ税金ノ徴収又ハ滞納処分ノ続行ヲ妨ゲズ但シ税務署長ハ相当ノ事由アリト認ムルトキハ税金ノ全部若ハ一部ノ徴収ヲ猶予シ又ハ滞納処分ノ続行ヲ停止スルコトヲ得
税務署長ハ再調査ノ請求アリタル場合ニ於テ当該請求ノ方式又ハ手続ニ欠陥アルトキハ相当ノ期間ヲ定メ其ノ欠陥ノ補正ヲ為サシムルコトヲ得
税務署長ハ再調査ノ請求アリタル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ当該各号ニ定ムル決定ヲ為シ其ノ理由ヲ附記シタル書面ヲ以テ之ヲ当該請求ヲ為シタル者ニ通知スベシ
一 再調査ノ請求ガ第一項ノ期間経過後ニ為サレタルトキ又ハ前項ニ依リ欠陥ノ補正ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ欠陥ノ補正ガ為サレザルトキハ当該請求ヲ却下スル決定
二 再調査ノ請求ノ全部ニ付理由ナシト認ムルトキハ当該請求ヲ棄却スル決定
三 再調査ノ請求ノ全部又ハ一部ニ付理由アリト認ムルトキハ当該請求ノ目的トナリタル処分ノ全部又ハ一部ヲ取消ス決定
第三十一条ノ三 前条第一項但書ニ該当スル者又ハ同条第五項ニ依ル通知ヲ受ケタル者同条第一項但書ノ通知ニ係ル事項若ハ処分又ハ同条第五項ニ依ル決定(以下再調査ノ決定ト謂フ)ニ対シ異議アルトキハ当該処分ニ係ル通知ヲ受ケタル日(当該処分ニ付通知ナキトキハ当該処分ノアリタルコトヲ知リタル日)又ハ同条第五項ニ依ル通知ヲ受ケタル日ヨリ一箇月以内ニ政令ノ定ムル所ニ依リ不服ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ以テ国税庁長官若ハ国税局長又ハ税関長ニ審査ノ請求ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テ当該審査ノ請求ガ再調査ノ決定ニ対スルモノナルトキハ当該再調査ノ目的トナリタル処分ニ対スル審査ノ請求ガ併セ為サレタルモノト看做ス
前条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
再調査ノ請求アリタル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ当該各号ニ規定スル日ニ於テ当該各号ニ規定スル税務署長ノ管轄区域ヲ所轄スル国税局長ニ対シ第一項ノ審査ノ請求(以下審査ノ請求ト謂フ)アリタルモノト看做ス
一 税務署長再調査ノ請求ヲ審査ノ請求トシテ取扱フコトヲ適当ト認メ且再調査ノ請求ヲ為シタル者ガ之ニ同意シタルトキハ当該同意ノアリタル日
二 再調査ノ請求アリタル日ヨリ三箇月以内ニ前条第五項ニ依ル通知ガ為サレザル場合ニ於テ再調査ノ請求ヲ為シタル者ガ当該請求ヲ審査ノ請求トシテ取扱フコトヲ税務署長ニ申出タルトキハ当該申出ノアリタル日
前条第四項ノ規定ハ審査ノ請求アリタル場合ニ付之ヲ準用ス
国税庁長官若ハ国税局長又ハ税関長ハ審査ノ請求アリタル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ当該各号ニ定ムル決定ヲ為シ其ノ理由ヲ附記シタル書面ヲ以テ之ヲ当該請求ヲ為シタル者(第三項ノ再調査ノ請求ヲ為シタル者ヲ含ム)ニ通知スベシ此ノ場合ニ於テ第一項後段ニ依リ再調査ノ目的トナリタル処分ニ対スル審査ノ請求ガ併セ為サレタルモノト看做サレタルトキハ第二号又ハ第三号ニ依ル決定ハ当該各請求ニ付之ヲ為スベシ
一 審査ノ請求ガ第一項ノ期間経過後ニ為サレタルトキハ前項ニ於テ準用スル前条第四項ニ依リ欠陥ノ補正ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ欠陥ノ補正ガ為サレザルトキハ当該請求ヲ却下スル決定
二 審査ノ請求ノ全部ニ付理由ナシト認ムルトキハ当該請求ヲ棄却スル決定
三 審査ノ請求ノ全部又ハ一部ニ付理由アリト認ムルトキハ当該請求ノ目的トナリタル処分ノ全部又ハ一部ヲ取消ス決定
国税庁長官又ハ国税局長前条第五項第一号ニ依ル再調査ノ決定ニ対スル審査ノ請求ニ付前項第二号ニ依ル法定ヲ為シタルトキハ同項後段ノ規定ニ拘ラズ第一項後段ニ依リ併セ為サレタルモノト看做サレタル再調査ノ目的トナリタル処分ニ対スル審査ノ請求ハ棄却セラレタルモノト看做ス
第三十一条ノ三ノ二 再調査ノ請求又ハ審査ノ請求ノ目的トナル処分ニ関スル事件ニ付テハ訴願法ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第三十一条ノ四 再調査ノ請求又ハ審査ノ請求ノ目的トナル処分ノ取消又ハ変更ヲ求ムル訴ハ第三十一条ノ三第五項ニ依ル決定(以下審査ノ決定ト謂フ)ヲ経タル後ニ非ザレバ之ヲ提起スルコトヲ得ズ但シ再調査ノ請求アリタル日ヨリ六箇月ヲ経過シ仍再調査ノ決定ノ通知ナキトキ、審査ノ請求アリタル日ヨリ三箇月ヲ経過シタルトキ又ハ再調査ノ決定若ハ審査ノ決定ヲ経ルコトニ依リ著シキ損害ヲ生ズル虞アルトキ其ノ他正当ナル事由アルトキハ再調査ノ決定又ハ審査ノ決定ヲ経ズシテ訴ヲ提起スルコトヲ得
再調査ノ請求若ハ審査ノ請求ノ目的トナル処分又ハ審査ノ決定ノ取消又ハ変更ヲ求ムル訴ハ前項但書ノ場合ヲ除クノ外行政事件訴訟特例法第五条第一項又ハ第四項ノ規定ニ拘ラズ審査ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
第一項但書ニ依リ再調査ノ請求アリタル日ヨリ六箇月ヲ経過シタル日後ニ当該再調査ノ目的トナリタル処分ノ取消又ハ変更ヲ求ムル訴ヲ提起スル場合ニ於テハ当該再調査ノ請求アリタル日ヨリ九箇月以内ニ当該訴ヲ提起スルコトヲ要ス
前二項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス
第二項ノ訴ガ提起セラレタル場合ニ於テ税務署長又ハ国税局長ガ当事者又ハ参加人トナリタルトキハ国税庁又ハ国税局ノ職員ハ昭和二十二年法律第百九十四号(国ノ利害ニ関係アル訴訟ニ付テノ法務総裁ノ権限等ニ関スル法律)第五条第一項ノ適用ニ付テハ之ヲ当該税務署長又ハ国税局長ノ所部ノ職員ト看做ス
再調査ノ請求又ハ審査ノ請求ニ対シテハ第一項但書ニ依リ訴ノ提起アリタル場合ニ於テモ決定ヲ為スコトヲ妨ゲズ
第二項ノ訴ニ於テハ裁判所ガ相手方当事者タル国税庁長官、国税局長、税関長若ハ税務署長又ハ其ノ他ノ行政機関ノ長ノ主張ヲ合理的ナリト認メタルトキハ当該訴ヲ提起シタル者ニ於テ先ヅ証拠ノ申出ヲ為シ其ノ後ニ於テ相手方当事者之ヲ為スベキモノトス
相手方当事者ハ前項ノ規定ニ拘ラズ随時証拠ノ申出ヲ為スコトヲ得
第三十一条ノ五中「、延滞金」を削る。
第三十一条ノ六第一項中「、延滞金」を削り、「十銭」を「四銭」に改め、同条に次の二項を加える。
二以上ノ納期ニ於テ又ハ二回以上ニ分チテ納付シタル国税、督促手数料及滞納処分費ニ付過誤納ヲ生ジタル場合ニ於ケル第一項ノ適用ニ付テハ過誤納額ニ相当スル国税、督促手数料及滞納処分費ハ最後ノ納付ノ日ニ於テ納付アリタルモノトシ当該過誤納額ガ其ノ日ニ於ケル納付額ヲ超ユルトキハ過誤納額ニ達スルマデ順次遡リテ各納付ノ日ニ於テ其ノ納付アリタルモノトス
適法ニ納付シタル国税、督促手数料及滞納処分費が納付スベキ税金額ノ法律ノ規定ニ依ル変更又ハ消滅ニ因リ過納トナルニ至リタル場合ニ於ケル第一項ノ適用ニ付テハ当該過納額ニ相当スル国税、督促手数料及滞納処分費ハ其ノ過納トナリタル日ニ於テ納付アリタルモノトス但シ所得税法第三十条、第三十一条若ハ第三十三条第二項(確定申告書及農業確定申告書以外ノ申告書ニ係ル部分ニ限ル)若ハ第四項ニ依リ納付シタル所得税額(同法第四十五条ニ依リ納付シタル所得税額ヲ含ム)又ハ法人税法第十九条若ハ第二十条第一項ニ依リ提出シタル申告書(同法第二十三条ニ依リ提出シタル申告書ニシテ同法第二十条第一項ノ事項ヲ記載シタルモノヲ含ム)ニ記載シタル法人税額、同法第十九条第五項ニ依リ提出アリタルモノト看做サレタル申告書ニ係ル法人税額若ハ同法第二十六条第三項各号ニ掲グル法人税額並此等ノ所得税額又ハ法人税額ニ係ル利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額及延滞加算税額ニ係ル過納額ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二条を次のように改める。
第三十二条 納税者滞納処分ノ執行ヲ受クル前ニ於テ当該処分ノ執行ヲ免ルル目的ヲ以テ其ノ財産ヲ隠蔽シ、損壊シ、国ノ不利益ニ処分シ又ハ財産ノ負担ヲ虚為ニ増加スル行為ヲ為シテ当該処分ノ執行ヲ受ケタル場合ハ之ヲ三年以下ノ懲役若ハ二十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス当該処分ノ執行ヲ受ケタル後其ノ執行ヲ免ルル目的ヲ以テ此等ノ行為ヲ為シタル場合ニ付亦同ジ
納税者ノ財産ヲ占有スル第三者納税者ヲシテ滞納処分ノ執行ヲ免レシムル目的ヲ以テ前項ノ行為ヲ為シタル場合ハ当該処分ノ執行ノ前後ヲ区別シ同項ノ例ニ依ル
納税者ニ対スル滞納処分ノ執行前情ヲ知リテ第一項ノ行為ニ付納税者又ハ其ノ財産ヲ占有スル第三者ノ相手方トナリタル者納税者ニ付滞納処分ノ執行アリタルトキハ之ヲ二年以下ノ懲役若ハ十万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス滞納処分ノ執行アリタル後情ヲ知リテ同項ノ行為ニ付納税者又ハ其ノ財産ヲ占有スル第三者ノ相手方トナリタル者亦同ジ
法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者其ノ法人又ハ人ノ業務又ハ財産ニ関シ前三項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ当該各項ノ罰金刑ヲ科ス
第四章中第三十二条の次に次の一条を加える。
第三十二条ノ二 第二十一条ノ二第二項ニ依ル収税官吏ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ之ヲ三万円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
2 この法律施行前に収税官吏が、国税徴収法施行規則(明治三十五年勅令第百三十五号)第二十九条の規定により、地方公共団体又は清算人に交付を求めた国税並びにその督促手数料、延滞金及び滞納処分費と地方公共団体の徴収金(国税徴収法第二条第一項に規定する地方公共団体の徴収金をいう。)との間における徴収の順位については、なお従前の例による。
3 改正前の国税徴収法第九条第三項の規定により徴収すべきであつた延滞金については、督促手数料と同順位として同法第二条の改正規定に準じてこれを徴収するの外、その徴収については、なお従前の例による。但し、この法律施行後の期間に対応する延滞金は、徴収しない。
4 この法律施行前に国税徴収法第九条第一項の規定による督促をなしこの法律施行の際になお税額を完納しない国税で、当該督促の指定の期限が昭和二十五年三月三十一日以前であるもの(同日以前に財産の差押があつた国税の税額を除く。)に対する同法第九条第三項の改正規定による延滞加算税額は、同年四月一日から税金納付の日までの日数に応じ、滞納税額(同法第九条第三項に規定する滞納税額をいう。以下本項中同じ。)百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した金額とする。但し、当該延滞加算税額は、この法律施行の際における滞納税額に対し百分の五の割合を乗じて計算した額をこえることができない。
5 前項の規定による延滞加算税額については、この法律施行の日において国税徴収法第六条の規定による告知をしたものとみなす。
6 この法律施行前にした租税の賦課徴収に関する処分又は滞納処分に対する審査、訴願及び訴訟については、なお従前の例による。
7 この法律施行前に徴収した延滞金及び第三項の規定により徴収した延滞金に過誤納があつた場合の充当並びに同項の規定により徴収すべき延滞金に対する過誤納に係る国税、督促手数料及び滞納処分費並びに国税徴収法第三十一条ノ六の規定による還付加算金の充当については、なお従前の例による。
8 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)第三十六条第七項(同法第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)及び法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第二十六条の三第五項の規定による充当は、第三項の規定により徴収すべき延滞金に対してもすることができる。
9 この法律施行前に納付した国税、督促手数料、延滞金及び滞納処分費につき過誤納があつたため、この法律施行後に金銭をもつて還付し、又は他の未納の国税、督促手数料、延滞金及び滞納処分費に充当する場合において、当該過誤納額に加算する国税徴収法第三十一条ノ六の規定による還付加算金(延滞金に対するものを含む。)の金額は、納付の日の翌日から昭和二十五年三月三十一日までの日数に応じ、過誤納額百円につき一日十銭の割合を乗じて計算した金額と同年四月一日から還付のため支出し、又は当該充当をした日までの日数に応じ、過誤納額百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した金額との合計金額とする。
10 改正後の国税徴収法第三十一条ノ六の規定は、第三項により徴収した延滞金について過誤納があつた場合に準用する。
11 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
12 他の法令中その先取特権の順位が国税又は地方税に次ぐものと規定されている公課及び債権については、当該法令の規定にかかわらず、この法律施行後においては、その先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
13 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条ノ七中「第三十一条ノ二」を「第三十一条ノ三」に改める。
14 酒税法(昭和十五年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第四十六条第二項中「、延滞金」を削り、同条第三項中「第一項」を削り、「滞納者」を「納税者」に改める。
15 所得税法の一部を次のように改正する。
第十条第二項中「及び通行税法第十一条ノ三第一項又は第十一条ノ四第一項の規定により徴収する軽加算税額又は重加算税額は、」を「、通行税法第十一条ノ三第一項又は第十一条ノ四第一項の規定により徴収する軽加算税額又は重加算税額及び国税徴収法第九条第三項の規定により徴収する延滞加算税額(第三十条乃至第三十四条、第四十五条及び第四十七条の規定により納付又は徴収すべき所得税額に加算して徴収するものを除く。)は、」に改める。
16 法人税法の一部を次のように改正する。
第九条第二項中「又は通行税法第十一条ノ三第一項若しくは第十一条ノ四第一項の規定により」を「、通行税法第十一条ノ三第一項若しくは第十一条ノ四第一項又は国税徴収法第九条第三項の規定により」に、「若しくは軽加算税額又は重加算税額に相当する所得税又は通行税」を「、軽加算税額若しくは重加算税額に相当する所得税若しくは通行税又は延滞加算税額に相当する国税」に改める。
第十六条第二項中「利子税額」の下に「及び国税徴収法第九条第三項の規定による延滞加算税額」を加える。
第十九条第一項中「及び重加算税額」の下に「並びに国税徴収法第九条第三項の規定による延滞加算税額」を加える。
第二十六条の三第五項中「、延滞加算金」を削る。
17 富裕税法(昭和二十五年法律第一七四号)の一部を次のように改正する。
第三十二条第一項中「及び重加算税額」を「、重加算税額及び延滞加算税額に相当する富裕税額」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂