農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律
法令番号: 法律第二百二号
公布年月日: 昭和24年6月8日
法令の形式: 法律
農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百二号
農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律
(産業組合からの資産の讓受等)
第一條 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)その他協同組織の発達を図ることを目的とする法律により設立された農業協同組合その他の組合(産業組合を除く。以下組合という。)で産業組合の組合員たる者の全部又は一部をその組合員とし、且つ、その産業組合の事業と同種の事業を行うことを目的とするものは、行政廳の認可を受けて、その産業組合に対し、その資産の讓受又は資産の讓受及び債務の引受に関する協議を求めることができる。
2 前項の規定により讓り受ける資産の額のその産業組合の資産の総額に対する割合は、その産業組合の組合員の持分の総額のうち、同項の認可を受けた組合の組合員たる者がその産業組合の組合員として有する持分の額の占める割合をこえることができない。
3 前項の規定の適用については、持分の額は、第一項の認可のあつた時以前でこれに最も近い時において、その産業組合の定款の定めるところにより算定された持分の額による。
4 第一項の場合において、協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、同項の認可を受けた組合は、行政廳に対し、裁定を申請することができる。
5 前項の申請があつたときは、行政廳は、遅滯なく、当事者の意見をきいて、裁定をしなければならない。
6 前項の裁定は、その申請の範囲をこえることができない。
7 第五項の裁定があつたときは、その裁定のあつた日に、その裁定の定めるところにより、当事者間に、協議がととのつたものとみなす。
8 行政廳は、第五項の裁定をしたときは、遅滯なく、その旨を当事者に通知しなければならない。
9 第五項の裁定に定める対價について不服のある者は、訴をもつて、その金額の増額を請求することができる。但し、前項の通知を受けた日から三箇月を経過したときは、この限りでない。
10 第一項の認可の取消又は第五項の裁定の取消若しくは変更を求める訴は、その認可を受けた日又は第八項の通知を受けた日から三箇月を経過したときは、提起することができない。
(産業組合連合会からの資産の讓受等)
第二條 前條第一項に規定する法律により設立された農業協同組合連合会その他の連合会(産業組合連合会を除く。以下連合会という。)は、行政廳の認可を受け、左の各号の定めるところにより、産業組合連合会に対し、その資産の讓受又は資産の讓受及び債務の引受に関する協議を求めることができる。
一 産業組合連合会の会員たる者の全部又は一部をその会員とし、且つ、その産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
二 前條の規定により産業組合から資産の讓受又は資産の讓受及び債務の引受をした組合を会員とし、且つ、その産業組合を会員とする産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
三 消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第百四條の規定により産業組合から消費生活協同組合となつた組合を会員とし、且つ、その産業組合を会員とした産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
四 消費生活協同組合法第百六條の規定により産業組合から市街地信用組合となつた後において更に前條第一項に規定する他の法律により市街地信用組合でない組合となつたものを会員とし、且つ、その産業組合を会員とした産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
2 前項(第二号を除く。)の場合には、前條第二項から第十項までの規定を準用する。この場合において、同條第二項中「前項」とあり、同條第三項、第四項及び第十項中「第一項」とあるのは「第二條第一項」と、同條第二項から第四項までの規定中「産業組合」とあるのは「産業組合連合会」と、「組合員」とあるのは「会員」と、「組合」とあるのは「連合会」と読み替えるものとする。
3 第一項第二号の規定により連合会が産業組合連合会から讓り受ける資産の額のその産業組合連合会の資産の総額に対する割合は、その産業組合連合会の会員たる産業組合につき前項において準用する前條第二項の規定を適用して算定した割合のうち、その産業組合から同條の規定による資産の讓受又は資産の讓受及び債務の引受をした組合でその連合会の会員たるものにつき同條第二項の規定により算定した割合に相当する部分の割合をこえることができない。
4 第一項第二号の場合には、前條第三項から第十項までの規定を準用する。この場合において、同條第三項、第四項及び第十項中「第一項」とあるのは「第二條第一項」と、同條第三項中「前項」とあるのは「第二條第三項」と、「産業組合」とあるのは「産業組合連合会」と、同條第四項中「組合」とあるのは「連合会」と読み替えるものとする。
(有價証券移轉税及び地方税の免除)
第三條 組合又は連合会が第一條又は前條の規定による資産の讓受により有價証券を取得する場合には、有價証券移轉税を課さない。
2 地方公共團体は、前項の資産の讓受により財産を取得する場合には、地方税を課することができない。
3 消費生活協同組合法第百四條又は第百六條の規定により産業組合から消費生活協同組合又は市街地信用組合となつた組合がその産業組合の財産を承継する場合には、前二項の規定を準用する。
(登録税の軽減)
第四條 組合又は連合会が第一條又は第二條の規定により讓り受けた不動産又は船舶に関する権利の取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産又は船舶の價格の千分の四とする。但し、登録税法(明治二十九年法律第二十七号)により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
2 前項の不動産又は船舶の價格は、産業組合又は産業組合連合会の讓渡直前の帳簿價格による。
3 消費生活協同組合法第百四條の規定により産業組合から消費生活協同組合となつた組合がその産業組合から承継した不動産又は船舶に関する権利の取得につき登記を受ける場合には、前二項の規定を準用する。
4 消費生活協同組合法第百六條の規定により産業組合から市街地信用組合となつた組合がその産業組合から承継した不動産に関する権利の取得につき登記を受ける場合における登録税の算定については、第二項の規定を準用する。
(所管行政廳)
第五條 第一條及び第二條中行政廳とあるのは、第一條又は第二條の規定により協議を求める産業組合又は産業組合連合会の区域が都道府縣又は特別市の区域をこえる場合にあつては農林大臣、その他の場合にあつては都道府縣知事又は特別市の市長とする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。但し、第三條及び第四号の規定は、この法律施行の日前に消費生活協同組合法第百四條又は第百六條の規定により産業組合から消費生活協同組合又は市街地信用組合となつた組合がその産業組合から承継した財産についても、適用する。
大藏大臣 池田勇人
厚生大臣 林讓治
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 稻垣平太郎
内閣総理大臣 吉田茂
農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百二号
農業協同組合等による産業組合の資産の承継等に関する法律
(産業組合からの資産の譲受等)
第一条 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)その他協同組織の発達を図ることを目的とする法律により設立された農業協同組合その他の組合(産業組合を除く。以下組合という。)で産業組合の組合員たる者の全部又は一部をその組合員とし、且つ、その産業組合の事業と同種の事業を行うことを目的とするものは、行政庁の認可を受けて、その産業組合に対し、その資産の譲受又は資産の譲受及び債務の引受に関する協議を求めることができる。
2 前項の規定により譲り受ける資産の額のその産業組合の資産の総額に対する割合は、その産業組合の組合員の持分の総額のうち、同項の認可を受けた組合の組合員たる者がその産業組合の組合員として有する持分の額の占める割合をこえることができない。
3 前項の規定の適用については、持分の額は、第一項の認可のあつた時以前でこれに最も近い時において、その産業組合の定款の定めるところにより算定された持分の額による。
4 第一項の場合において、協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、同項の認可を受けた組合は、行政庁に対し、裁定を申請することができる。
5 前項の申請があつたときは、行政庁は、遅滞なく、当事者の意見をきいて、裁定をしなければならない。
6 前項の裁定は、その申請の範囲をこえることができない。
7 第五項の裁定があつたときは、その裁定のあつた日に、その裁定の定めるところにより、当事者間に、協議がととのつたものとみなす。
8 行政庁は、第五項の裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当事者に通知しなければならない。
9 第五項の裁定に定める対価について不服のある者は、訴をもつて、その金額の増額を請求することができる。但し、前項の通知を受けた日から三箇月を経過したときは、この限りでない。
10 第一項の認可の取消又は第五項の裁定の取消若しくは変更を求める訴は、その認可を受けた日又は第八項の通知を受けた日から三箇月を経過したときは、提起することができない。
(産業組合連合会からの資産の譲受等)
第二条 前条第一項に規定する法律により設立された農業協同組合連合会その他の連合会(産業組合連合会を除く。以下連合会という。)は、行政庁の認可を受け、左の各号の定めるところにより、産業組合連合会に対し、その資産の譲受又は資産の譲受及び債務の引受に関する協議を求めることができる。
一 産業組合連合会の会員たる者の全部又は一部をその会員とし、且つ、その産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
二 前条の規定により産業組合から資産の譲受又は資産の譲受及び債務の引受をした組合を会員とし、且つ、その産業組合を会員とする産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
三 消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第百四条の規定により産業組合から消費生活協同組合となつた組合を会員とし、且つ、その産業組合を会員とした産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
四 消費生活協同組合法第百六条の規定により産業組合から市街地信用組合となつた後において更に前条第一項に規定する他の法律により市街地信用組合でない組合となつたものを会員とし、且つ、その産業組合を会員とした産業組合連合会の事業と同種の事業を行うことを目的とする連合会にあつては、その産業組合連合会
2 前項(第二号を除く。)の場合には、前条第二項から第十項までの規定を準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあり、同条第三項、第四項及び第十項中「第一項」とあるのは「第二条第一項」と、同条第二項から第四項までの規定中「産業組合」とあるのは「産業組合連合会」と、「組合員」とあるのは「会員」と、「組合」とあるのは「連合会」と読み替えるものとする。
3 第一項第二号の規定により連合会が産業組合連合会から譲り受ける資産の額のその産業組合連合会の資産の総額に対する割合は、その産業組合連合会の会員たる産業組合につき前項において準用する前条第二項の規定を適用して算定した割合のうち、その産業組合から同条の規定による資産の譲受又は資産の譲受及び債務の引受をした組合でその連合会の会員たるものにつき同条第二項の規定により算定した割合に相当する部分の割合をこえることができない。
4 第一項第二号の場合には、前条第三項から第十項までの規定を準用する。この場合において、同条第三項、第四項及び第十項中「第一項」とあるのは「第二条第一項」と、同条第三項中「前項」とあるのは「第二条第三項」と、「産業組合」とあるのは「産業組合連合会」と、同条第四項中「組合」とあるのは「連合会」と読み替えるものとする。
(有価証券移転税及び地方税の免除)
第三条 組合又は連合会が第一条又は前条の規定による資産の譲受により有価証券を取得する場合には、有価証券移転税を課さない。
2 地方公共団体は、前項の資産の譲受により財産を取得する場合には、地方税を課することができない。
3 消費生活協同組合法第百四条又は第百六条の規定により産業組合から消費生活協同組合又は市街地信用組合となつた組合がその産業組合の財産を承継する場合には、前二項の規定を準用する。
(登録税の軽減)
第四条 組合又は連合会が第一条又は第二条の規定により譲り受けた不動産又は船舶に関する権利の取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産又は船舶の価格の千分の四とする。但し、登録税法(明治二十九年法律第二十七号)により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
2 前項の不動産又は船舶の価格は、産業組合又は産業組合連合会の譲渡直前の帳簿価格による。
3 消費生活協同組合法第百四条の規定により産業組合から消費生活協同組合となつた組合がその産業組合から承継した不動産又は船舶に関する権利の取得につき登記を受ける場合には、前二項の規定を準用する。
4 消費生活協同組合法第百六条の規定により産業組合から市街地信用組合となつた組合がその産業組合から承継した不動産に関する権利の取得につき登記を受ける場合における登録税の算定については、第二項の規定を準用する。
(所管行政庁)
第五条 第一条及び第二条中行政庁とあるのは、第一条又は第二条の規定により協議を求める産業組合又は産業組合連合会の区域が都道府県又は特別市の区域をこえる場合にあつては農林大臣、その他の場合にあつては都道府県知事又は特別市の市長とする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。但し、第三条及び第四号の規定は、この法律施行の日前に消費生活協同組合法第百四条又は第百六条の規定により産業組合から消費生活協同組合又は市街地信用組合となつた組合がその産業組合から承継した財産についても、適用する。
大蔵大臣 池田勇人
厚生大臣 林譲治
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 稲垣平太郎
内閣総理大臣 吉田茂