外務省設置法
法令番号: 法律第百三十五号
公布年月日: 昭和24年5月31日
法令の形式: 法律
外務省設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百三十五号
外務省設置法
目次
第一章
総則(第一條―第四條)
第二章
本省
第一節
内部部局(第五條―第十一條)
第二節
附属機関(第十二條―第十四條)
第三節
地方支分部局(第十五條―第十九條)
第三章
在外公館(第二十條―第二十二條)
第四章
職員(第二十三條・第二十四條)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、外務省の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二條 國家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三條第二項の規定に基いて、外務省を設置する。
2 外務省の長は、外務大臣とする。
(外務省の任務)
第三條 外務省は、左に掲げる國の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。
一 外交政策の企画立案及びその実施
二 通商航海に関する利益の保護及び増進
三 外交使節及び領事官の派遣及び接受
四 條約その他の國際約束の締結
五 國際機関及び國際会議への参加並びに國際協力の促進
六 外國に関する調査
七 内外事情の報道及び外國との文化交流
八 海外における邦人の保護並びに海外渡航及び移住のあつ旋
九 連合國官憲との連絡及びこれに関連する各行政機関の事務の総合調整
十 前各号に掲げるものの外、対外関係事務の処理及び総括
(外務省の権限)
第四條 外務省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、條約、確立された國際法規及び法律(法律に基く命令を含む。)に從つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行爲をすること。
二 收入金を徴收し、所掌事務の遂行に必要な支拂をすること。
三 所掌事務遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務遂行に直接必要な事務用品等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をし、及び管理すること。
八 職員に貸與する宿舍を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務に関する文書、調査資料及び統計を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに從い、必要な措置をとること。
十一 外務省の公印を制定すること。
十二 日本國政府を代表して外國政府と交渉し、國際機関及び國際会議に参加すること。
十三 全権委任状、大使及び公使の信任状及び解任状並びに領事及び名誉領事の委任状を作成してこれを交付すること。
十四 外國の外交使節の全権委任状、外國の大使及び公使の信任状及び解任状並びに外國の領事及び名誉領事の委任状を受理し、並びに外國の領事の認可状を作成してこれを交付すること。
十五 條約その他の國際約束を締結し、解釈し及び実施し、並びに渉外法律事項を処理すること。
十六 通商航海に関する利益を保護し、及び増進するために外國官憲との交渉、商取引のあつ旋等を行うこと。
十七 海外における邦人の生命、身体及び財産を保護するために外國官憲と交渉し、日本人相互及び日本人と外國人との間に生じた民事上の事件に関し和解をさせ、又は仲裁をし並びに身分関係事項の届出を受理し、及び登録すること。
十八 日本人の海外渡航及び移住に関しあつ旋、保護その他必要な措置をとること。
十九 旅券を発給し、及び査証すること。
二十 在日外國人等の待遇に関する事務を行うこと。
二十一 日本と外國にわたる身分関係事項その他の事実について日本及び外國の官公署が発給した文書を証明すること。
二十二 外交に関する事項の発表を行うこと。
二十三 外國人及び外國に在住する日本人に対する栄典の授與について推薦をすること。
二十四 外務省所管の社團法人又は財團法人の許認可を行うこと。
二十五 朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域における日本の公私の財産及び負債並びに企業その他の諸施設の整理につき必要な措置をとること。
二十六 邦人の引揚に関する事務を行うこと。
二十七 國又は公共團体の機関に対して、所掌事務の遂行に必要な調査、報告及び資料の提出を求めること。
二十八 前各号に掲げるものの外、法律(法律に基く命令を含む。)に基き外務省に属せしめられた権限及び條約の実施及び確立された國際法規の履行のために必要な権限。
第二章 本省
第一節 内部部局
(内部部局)
第五條 本省に、大臣官房及び左の五局を置く。
政務局
條約局
調査局
管理局
連絡局
2 政務局に、情報部を置く。
(大臣官房の事務)
第六條 大臣官房においては、外務省の所掌事務に関し、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 大臣の官印及び省印を管守すること。
四 文書の証明を行うこと。
五 公文書(但し、連合國官憲との往復文書を除く。)及び電信を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
六 條約書その他の外交文書を保管すること。
七 外交史料を編さんすること。
八 飜訳を行うこと。
九 経費及び收入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
十 行政財産及び物品を管理すること。
十一 職員の衞生、医療その他福利厚生に関すること。
十二 図書を保管し、及び統計を作成すること。
十三 外交使節及び領事官の派遣及び接受その他儀典に関すること。
十四 外國人に対して栄典を授與すること及び外國勲章又は外國記章を日本人が受領することに関しあつ旋を行うこと。
(政務局の事務)
第七條 政務局においては、左の事務をつかさどる。
一 外國に関する政務を処理すること。
二 通商航海に関する利益を保護し、及び増進すること。
三 國際経済機関との協力及び通商航海條約その他の通商経済上の協定に関すること。
四 國際経済事情の調査並びに國際経済に関する統計の作成及び資料の收集を行うこと。
五 各國との文化交流及び國際文化機関との協力に関すること。
六 内外新聞通信及び報道並びに國際事情に関する知識の普及に関すること。
七 連合國による日本の占領及び管理に関する文書及び記録の收集及び研究を行うこと。
八 法令案の審査を行うこと。
九 所管行政の考査を行うこと。
十 所管行政に関する総合調整を行うこと。
十一 前各号に掲げるものの外、外務省の所掌事務で他局及び他の機関の所掌に属しない事務に関すること。
2 情報部においては、前項第五号及び第六号に掲げる事務をつかさどる。
(條約局の事務)
第八條 條約局においては、左の事務をつかさどる。
一 條約その他の國際約束の締結に関すること。
二 國際法及び渉外法律事項に関すること。
三 國際機関及び國際会議への参加並びに國際行政に関すること。
(調査局の事務)
第九條 調査局においては、左の事務をつかさどる。
一 國際関係の動向及び國際機関の活動に関する調査研究を行うこと。
二 各國の政治、経済及び外交に関する調査研究を行うこと。
三 前二号に規定する事項について資料の收集及び整理を行うこと。
(管理局の事務)
第十條 管理局においては、左の事務をつかさどる。
一 海外における邦人の生命、身体及び財産の保護並びに身分関係事項に関すること。
二 海外渡航及び移住に関すること。
三 旅券の発給及び査証に関すること。
四 在日外國人等の待遇及び送出に関すること。
五 朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域に関する整理事務を行うこと。
六 前号に規定する地域における日本の公私の財産、負債及び企業(閉鎖機関を含む。)に関すること。
七 邦人の引揚に関すること。
(連絡局の事務)
第十一條 連絡局においては、左の事務をつかさどる。
一 連合國官憲との文書の往復その他連絡に関すること。
二 連合國官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の調整に関すること。
三 連合國官憲の要求に基く調査及び報告に関すること。
四 連合國の行う軍事裁判に関すること。
五 連絡調整事務局に関すること。
第二節 附属機関
(附属機関)
第十二條 本省に、左の附属機関を置く。
外務省研修所
中央連絡協議会
(外務省研修所)
第十三條 外務省研修所は、外務省の職員に対して、外交官又は領事官として職務を行うに必要な訓練を行う機関とする。
2 外務省研修所は、東京都に置く。
3 外務省研修所に、所長を置く。
4 所長は、所務を掌理する。
5 前各項に規定するものを除く外、外務省研修所に関し必要な事項は、外務省令で定める。
(中央連絡協議会)
第十四條 中央連絡協議会は、連合國官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の緊密な連絡を図るために関係行政機関が協議する機関とする。
2 中央連絡協議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令で定める。
第三節 地方支分部局
(地方支分部局)
第十五條 本省に、地方支分部局として、連絡調整事務局を置く。
(所掌事務)
第十六條 連絡調整事務局は、本省の所掌事務のうち、左に掲げる事務を分掌する。
一 第十一條第一号から第四号までの事務
二 連合國による日本の占領及び管理に関する文書及び記録の收集に関すること。
三 引揚に関する調査及び旅券に関すること。
四 國際事情に関する知識の普及に関すること。
2 連絡調整事務局は、前項に掲げる事務の外、賠償廳の所掌に属する事務を分掌する。
3 連絡調整事務局の長は、前項に掲げる事務につき賠償廳長官の指揮監督を受ける。
(名称、位置及び管轄区域)
第十七條 連絡調整事務局の名称及び位置は、左の通りとし、その管轄区域は、各連絡調整事務局に対應する連合國官憲の管轄区域によることを例とする。
名称
位置
横浜連絡調整事務局
横浜市
北海道連絡調整事務局
札幌市
東北連絡調整事務局
仙台市
横須賀連絡調整事務局
横須賀市
東海北陸連絡調整事務局
名古屋市
京都連絡調整事務局
京都市
近畿連絡調整事務局
大阪市
神戸連絡調整事務局
神戸市
中國連絡調整事務局
呉市
四國連絡調整事務局
高松市
九州連絡調整事務局
福岡市
(内部部局)
第十八條 連絡調整事務局に、必要に應じて、外務省令で定めるところにより、三部以内の部を置くことができる。
(附属機関)
第十九條 連絡調整事務局に、その附属機関として地方連絡協議会を置くことができる。
2 地方連絡協議会は、各連絡調整事務局に対應する連合國官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の緊密な連絡を図るため関係行政機関が協議する機関とする。
3 前項に掲げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令で定める。
第三章 在外公館
(在外公館)
第二十條 在外公館は、外務大臣の管理に属し、外國において本省の所掌事務を行い、且つ、條約、確立された國際法規及び法律(法律に基く命令を含む。)に從つて、在外公館に属する権限を行使する。
第二十一條 特命全権大使及び特命全権公使の任免については、天皇の認証を要するものとする。
第二十二條 前二條に規定するものの外、在外公館に関しては、法律又は政令に別段の定のある場合を除くの外、当分の間、從前の法令の定めるところによる。
第四章 職員
(職員)
第二十三條 外務省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、國家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。
(定員)
第二十四條 外務省に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
2 左の法令は、廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定のある場合を除くの外、從前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
外務省官制(明治三十一年勅令第二百五十八号)
臨時外務省に外交顧問を置くの件(昭和十三年勅令第六百三十二号)
連絡調整事務局臨時設置法(昭和二十三年法律第四号)
連絡調整事務局臨時設置法施行令(昭和二十三年政令第二十二号)
3 前項但書の規定は、職員の定員に関する法律の適用に影響を及ぼすものではない。
外務大臣 吉田茂
内閣総理大臣 吉田茂
外務省設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百三十五号
外務省設置法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
本省
第一節
内部部局(第五条―第十一条)
第二節
附属機関(第十二条―第十四条)
第三節
地方支分部局(第十五条―第十九条)
第三章
在外公館(第二十条―第二十二条)
第四章
職員(第二十三条・第二十四条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、外務省の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、外務省を設置する。
2 外務省の長は、外務大臣とする。
(外務省の任務)
第三条 外務省は、左に掲げる国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。
一 外交政策の企画立案及びその実施
二 通商航海に関する利益の保護及び増進
三 外交使節及び領事官の派遣及び接受
四 条約その他の国際約束の締結
五 国際機関及び国際会議への参加並びに国際協力の促進
六 外国に関する調査
七 内外事情の報道及び外国との文化交流
八 海外における邦人の保護並びに海外渡航及び移住のあつ旋
九 連合国官憲との連絡及びこれに関連する各行政機関の事務の総合調整
十 前各号に掲げるものの外、対外関係事務の処理及び総括
(外務省の権限)
第四条 外務省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、条約、確立された国際法規及び法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 収入金を徴収し、所掌事務の遂行に必要な支払をすること。
三 所掌事務遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務遂行に直接必要な事務用品等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をし、及び管理すること。
八 職員に貸与する宿舎を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務に関する文書、調査資料及び統計を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに従い、必要な措置をとること。
十一 外務省の公印を制定すること。
十二 日本国政府を代表して外国政府と交渉し、国際機関及び国際会議に参加すること。
十三 全権委任状、大使及び公使の信任状及び解任状並びに領事及び名誉領事の委任状を作成してこれを交付すること。
十四 外国の外交使節の全権委任状、外国の大使及び公使の信任状及び解任状並びに外国の領事及び名誉領事の委任状を受理し、並びに外国の領事の認可状を作成してこれを交付すること。
十五 条約その他の国際約束を締結し、解釈し及び実施し、並びに渉外法律事項を処理すること。
十六 通商航海に関する利益を保護し、及び増進するために外国官憲との交渉、商取引のあつ旋等を行うこと。
十七 海外における邦人の生命、身体及び財産を保護するために外国官憲と交渉し、日本人相互及び日本人と外国人との間に生じた民事上の事件に関し和解をさせ、又は仲裁をし並びに身分関係事項の届出を受理し、及び登録すること。
十八 日本人の海外渡航及び移住に関しあつ旋、保護その他必要な措置をとること。
十九 旅券を発給し、及び査証すること。
二十 在日外国人等の待遇に関する事務を行うこと。
二十一 日本と外国にわたる身分関係事項その他の事実について日本及び外国の官公署が発給した文書を証明すること。
二十二 外交に関する事項の発表を行うこと。
二十三 外国人及び外国に在住する日本人に対する栄典の授与について推薦をすること。
二十四 外務省所管の社団法人又は財団法人の許認可を行うこと。
二十五 朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域における日本の公私の財産及び負債並びに企業その他の諸施設の整理につき必要な措置をとること。
二十六 邦人の引揚に関する事務を行うこと。
二十七 国又は公共団体の機関に対して、所掌事務の遂行に必要な調査、報告及び資料の提出を求めること。
二十八 前各号に掲げるものの外、法律(法律に基く命令を含む。)に基き外務省に属せしめられた権限及び条約の実施及び確立された国際法規の履行のために必要な権限。
第二章 本省
第一節 内部部局
(内部部局)
第五条 本省に、大臣官房及び左の五局を置く。
政務局
条約局
調査局
管理局
連絡局
2 政務局に、情報部を置く。
(大臣官房の事務)
第六条 大臣官房においては、外務省の所掌事務に関し、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 大臣の官印及び省印を管守すること。
四 文書の証明を行うこと。
五 公文書(但し、連合国官憲との往復文書を除く。)及び電信を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
六 条約書その他の外交文書を保管すること。
七 外交史料を編さんすること。
八 翻訳を行うこと。
九 経費及び収入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
十 行政財産及び物品を管理すること。
十一 職員の衛生、医療その他福利厚生に関すること。
十二 図書を保管し、及び統計を作成すること。
十三 外交使節及び領事官の派遣及び接受その他儀典に関すること。
十四 外国人に対して栄典を授与すること及び外国勲章又は外国記章を日本人が受領することに関しあつ旋を行うこと。
(政務局の事務)
第七条 政務局においては、左の事務をつかさどる。
一 外国に関する政務を処理すること。
二 通商航海に関する利益を保護し、及び増進すること。
三 国際経済機関との協力及び通商航海条約その他の通商経済上の協定に関すること。
四 国際経済事情の調査並びに国際経済に関する統計の作成及び資料の収集を行うこと。
五 各国との文化交流及び国際文化機関との協力に関すること。
六 内外新聞通信及び報道並びに国際事情に関する知識の普及に関すること。
七 連合国による日本の占領及び管理に関する文書及び記録の収集及び研究を行うこと。
八 法令案の審査を行うこと。
九 所管行政の考査を行うこと。
十 所管行政に関する総合調整を行うこと。
十一 前各号に掲げるものの外、外務省の所掌事務で他局及び他の機関の所掌に属しない事務に関すること。
2 情報部においては、前項第五号及び第六号に掲げる事務をつかさどる。
(条約局の事務)
第八条 条約局においては、左の事務をつかさどる。
一 条約その他の国際約束の締結に関すること。
二 国際法及び渉外法律事項に関すること。
三 国際機関及び国際会議への参加並びに国際行政に関すること。
(調査局の事務)
第九条 調査局においては、左の事務をつかさどる。
一 国際関係の動向及び国際機関の活動に関する調査研究を行うこと。
二 各国の政治、経済及び外交に関する調査研究を行うこと。
三 前二号に規定する事項について資料の収集及び整理を行うこと。
(管理局の事務)
第十条 管理局においては、左の事務をつかさどる。
一 海外における邦人の生命、身体及び財産の保護並びに身分関係事項に関すること。
二 海外渡航及び移住に関すること。
三 旅券の発給及び査証に関すること。
四 在日外国人等の待遇及び送出に関すること。
五 朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島その他の地域に関する整理事務を行うこと。
六 前号に規定する地域における日本の公私の財産、負債及び企業(閉鎖機関を含む。)に関すること。
七 邦人の引揚に関すること。
(連絡局の事務)
第十一条 連絡局においては、左の事務をつかさどる。
一 連合国官憲との文書の往復その他連絡に関すること。
二 連合国官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の調整に関すること。
三 連合国官憲の要求に基く調査及び報告に関すること。
四 連合国の行う軍事裁判に関すること。
五 連絡調整事務局に関すること。
第二節 附属機関
(附属機関)
第十二条 本省に、左の附属機関を置く。
外務省研修所
中央連絡協議会
(外務省研修所)
第十三条 外務省研修所は、外務省の職員に対して、外交官又は領事官として職務を行うに必要な訓練を行う機関とする。
2 外務省研修所は、東京都に置く。
3 外務省研修所に、所長を置く。
4 所長は、所務を掌理する。
5 前各項に規定するものを除く外、外務省研修所に関し必要な事項は、外務省令で定める。
(中央連絡協議会)
第十四条 中央連絡協議会は、連合国官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の緊密な連絡を図るために関係行政機関が協議する機関とする。
2 中央連絡協議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令で定める。
第三節 地方支分部局
(地方支分部局)
第十五条 本省に、地方支分部局として、連絡調整事務局を置く。
(所掌事務)
第十六条 連絡調整事務局は、本省の所掌事務のうち、左に掲げる事務を分掌する。
一 第十一条第一号から第四号までの事務
二 連合国による日本の占領及び管理に関する文書及び記録の収集に関すること。
三 引揚に関する調査及び旅券に関すること。
四 国際事情に関する知識の普及に関すること。
2 連絡調整事務局は、前項に掲げる事務の外、賠償庁の所掌に属する事務を分掌する。
3 連絡調整事務局の長は、前項に掲げる事務につき賠償庁長官の指揮監督を受ける。
(名称、位置及び管轄区域)
第十七条 連絡調整事務局の名称及び位置は、左の通りとし、その管轄区域は、各連絡調整事務局に対応する連合国官憲の管轄区域によることを例とする。
名称
位置
横浜連絡調整事務局
横浜市
北海道連絡調整事務局
札幌市
東北連絡調整事務局
仙台市
横須賀連絡調整事務局
横須賀市
東海北陸連絡調整事務局
名古屋市
京都連絡調整事務局
京都市
近畿連絡調整事務局
大阪市
神戸連絡調整事務局
神戸市
中国連絡調整事務局
呉市
四国連絡調整事務局
高松市
九州連絡調整事務局
福岡市
(内部部局)
第十八条 連絡調整事務局に、必要に応じて、外務省令で定めるところにより、三部以内の部を置くことができる。
(附属機関)
第十九条 連絡調整事務局に、その附属機関として地方連絡協議会を置くことができる。
2 地方連絡協議会は、各連絡調整事務局に対応する連合国官憲との連絡に関連する各行政機関の事務の緊密な連絡を図るため関係行政機関が協議する機関とする。
3 前項に掲げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令で定める。
第三章 在外公館
(在外公館)
第二十条 在外公館は、外務大臣の管理に属し、外国において本省の所掌事務を行い、且つ、条約、確立された国際法規及び法律(法律に基く命令を含む。)に従つて、在外公館に属する権限を行使する。
第二十一条 特命全権大使及び特命全権公使の任免については、天皇の認証を要するものとする。
第二十二条 前二条に規定するものの外、在外公館に関しては、法律又は政令に別段の定のある場合を除くの外、当分の間、従前の法令の定めるところによる。
第四章 職員
(職員)
第二十三条 外務省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。
(定員)
第二十四条 外務省に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
2 左の法令は、廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定のある場合を除くの外、従前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
外務省官制(明治三十一年勅令第二百五十八号)
臨時外務省に外交顧問を置くの件(昭和十三年勅令第六百三十二号)
連絡調整事務局臨時設置法(昭和二十三年法律第四号)
連絡調整事務局臨時設置法施行令(昭和二十三年政令第二十二号)
3 前項但書の規定は、職員の定員に関する法律の適用に影響を及ぼすものではない。
外務大臣 吉田茂
内閣総理大臣 吉田茂