(この法律の目的)
第一條 この法律は、主要食糧等のやみ取引を防止し、その有効な活用を促進するため、飮食営業の合理的な規整を行うことを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「飮食営業」とは、設備を設け、客に飮食物を提供して飮食させる営業をいう。
(飮食営業の許可)
第三條 飮食営業を営もうとする者は、左に掲げる営業の種類ごとに、主務大臣の定める手続により、都道府縣知事の許可を受けなければならない。
一 外食券食堂(外食券と引換に、食事を提供する営業をいう。)
二 めん類外食券食堂(外食券と引換にうどん、そば、冷麦、中華そばその他のめん類を提供する営業をいう。)
三 旅館(一泊又は半泊定の宿泊料を取つて、客を宿泊させ、外食券と引換に、宿泊に伴う食事を提供する営業をいう。)
四 軽飮食店(食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)第二條の規定による主要食糧及びこれを調理加工したもの(以下「指定主食」という。)以外の料理又は酒類その他の飮物を提供する料亭、待合、カフエー、キヤバレーその他の営業をいう。)
五 喫茶店(酒類以外の飮物、果物又は指定主食を原材料としない菓子類を提供する営業をいう。)
2 都道府縣知事は、左の各号の法律の規定により許可を受けなければならないものとされている営業については、それらの法律の規定による許可を受けた者以外の者には、前項の規定による許可をしてはならない。
一 食品衞生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第二十一條
二 風俗営業取締法(昭和二十三年法律第百二十二号)第二條
三 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三條
3 都道府縣知事は、同一の場所にあつては第一項の飮食営業の二種類以上を許可してはならない。但し、特別の事情のある場合は、この限りでない。
4 都道府縣知事は、第一項の規定による許可をしようとするときは、営業の設備及び場所、來客予想数等を調査し、食糧の合理的消費に妨げがあると認めるときは、その許可をしてはならない。
(営業の標示)
第四條 前條の規定により営業の許可を受けた者は、都道府縣知事の交付する許可証をその営業設備内に備え、且つ、店頭その他見易い場所に、主務大臣の定める樣式の標識を掲げなければならない。
(委託加工の禁止)
第五條 飮食営業を営む者は、消費者の委託を受けて、その持参する飮食物の調理加工をしてはならない。
(指定主食に関する制限)
第六條 旅館、外食券食堂又はめん類外食券食堂を営む者が、その営業上提供する場合を除き、飮食営業を営む者は、指定主食を提供してはならない。
第七條 旅館、外食券食堂又はめん類外食券食堂を営む者は、外食券と引換でなければ、食事を提供してはならない。
(料理提供に関する制限)
第八條 軽飮食店を営む者は、主務大臣の定める副食券と引換でなければ、料理を提供してはならない。
(統制額の遵守)
第九條 飮食営業を営む者は、その提供する飮食物の價格につき、物價統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)の規定に基いて定められた統制額を遵守しなければならない。
(報告の義務)
第十條 飮食営業を営む者は、主務大臣の定めるところにより、第七條又は第八條の規定に從つて引き換えた外食券又は副食券の数につき、市区町村長又は主務大臣の定める者の確認を受け、これを都道府縣知事に報告しなければならない。
(営業の停止又は営業許可の取消)
第十一條 都道府縣知事は、飮食営業を営む者が、この法律若しくはこの法律に基く命令若しくは処分に違反し、虚僞の申請若しくは報告をし、又は原料の入手その他につき不正の事実があつた場合において著しく第一條の目的に反すると認めたときは、その営業を停止し、又はその営業の許可を取り消すことができる。
2 前條の外食券又は副食券の数が、主務大臣の定める期間内に、主務大臣の定める数に達しなかつたときは、都道府縣知事は、やむを得ない事由があると認めた場合を除き、その飮食営業を営む者の営業を停止し、又はその営業の許可を取り消さなければならない。
3 都道府縣知事は、前二項の処分をしようとするときは、当該営業者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聽聞を行わなければならない。
4 都道府縣知事は、第一項又は第二項の処分の原因と認められる違反行爲並びに聽聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに当該営業者に通告し、且つ、聽聞の期日及び場所を公示しなければならない。
(罰則)
第十二條 第三條第一項の規定による許可を受けないで飮食営業を営んだ者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第十三條 第五條から第八條までの規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十四條 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第三條第一項の都道府縣知事の許可を受けるに当り、虚僞の申請をした者
三 第十條の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
第十五條 第十二條の違反行爲を行つた者に対しては、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
第十六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して第十二條から第十四條までの違反行爲を行つた場合には、その行爲者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の刑を科する。