酒類配給公団法
法令番号: 法律第百七十二号
公布年月日: 昭和22年12月12日
法令の形式: 法律
酒類配給公團法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月十二日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百七十二号
酒類配給公團法
第一章 総則
第一條 酒類配給公團は、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続に基き、酒類の適正な配給に関する業務を行うことを目的とする。
この法律において酒類とは、酒税法に規定する酒類をいう。
酒類配給公團は、法人とする。
第二條 酒類配給公團は、主たる事務所を東京都に置く。
酒類配給公團は、主務大臣の認可を受けて、配給に関する業務を行うため必要の地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 酒類配給公團の基本金は、三千万円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
酒類配給公團の運営資金は、必要があるときは、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四條 酒類配給公團は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五條 酒類配給公團は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 酒類配給公團には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、酒類配給公團の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第七條 酒類配給公團は、臨時物資需給調整法の失効又は経済安定本部総務長官の命令に因り解散する。
前項に定めるものの外、酒類配給公團の解散に関して必要な事項は、政令でこれを定める。
第八條 酒類配給公團でない者は、酒類配給公團という名称又はこれに類似する名称を用いることができない。
第九條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、酒類配給公團にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十條 酒類配給公團に、役員として、総裁一人、副総裁二人以内、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、酒類配給公團を代表し、第十五條の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、酒類配給公團を代表し、総裁を補佐して酒類配給公團の業務を掌理し、総裁に事故のあるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、酒類配給公團を代表し、総裁及び副総裁を補佐して酒類配給公團の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。
監事は、酒類配給公團の業務を監査する。
第十一條 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十二條 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、酒類配給公團の職員の中から、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関して一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十三條 酒類配給公團の役員及び職員は、酒類の製造、保管、賣買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四條 酒類配給公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、大藏次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
酒類配給公團の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときは、これによるものとする。
第三章 業務
第十五條 酒類配給公團は、経済安定本部総務長官の定める酒類の配給に関する基本的な政策及び計画に基いて主務大臣のなす指示及び監督に從い、左の業務を行う。
一 物價廳の定める價格による酒類の一手買取及び一手賣渡
二 酒類の保管及び輸送
三 前各号の事業に附帶する業務
第十六條 酒類配給公團は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同樣とする。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七條 酒類配給公團は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同樣とする。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八條 酒類配給公團の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九條 酒類配給公團は、前條の各期ごとに財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎期経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前期の承認を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
酒類配給公團は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つ、これを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
酒類配給公團は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剩余金を國庫に納付しなければならない。
酒類配給公團は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十條 経済安定本部総務長官は、酒類の配給に関する基本的な政策及び計画に関して、酒類配給公團を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、酒類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときは、酒類配給公團に対して、主務大臣を通じて監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、酒類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときは、酒類配給公團に対して、経済安定本部総務長官の定める酒類の割当計画及び配給手続に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときは、酒類配給公團に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨檢檢査させる場合においては、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帶させなければならない。
第二十一條 酒類配給公團は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときは、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同樣とする。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二條 主務大臣は、酒類配給公團の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときは、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、酒類配給公團の役員が酒類配給公團の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときは、これを解任することができる。
第二十三條 主務大臣は、酒類配給公團の業務を行うため必要があると認めるときは、大日本酒類販賣株式会社、都道府縣酒類販賣株式会社、麦酒配給株式会社、全國果実酒卸共販組合又は全國雜酒卸共販組合(以下酒類配給会社又は組合という。)の清算人に対し、当該会社又は組合の所有に属する施設の全部又は一部を、酒類配給公團に貸與することを命ずることができる。
主務大臣は、酒類配給公團の業務を行うため必要があると認めるときは、酒類配給公團に必要な施設の所有者又は占有者に対して、当該施設を酒類配給公團に貸與することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官が、その予め定める方針に基いて適正に定めるものとする。
前項の規定により使用料が定められたときは、酒類配給公團は、第七條第一項に定められた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて、第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、酒類配給公團の業務を行うため必要があると認めるときは、酒類配給会社又は組合の清算人に対して、当該会社又は組合が所有し、又は占有している資材の全部又は一部を酒類配給公團に讓り渡し、又は引き渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときは、酒類配給公團は、同項の資材の讓渡又は引渡を受けた日から一箇月以内に、関係者に対して、正当な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規定を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、酒類配給公團が賃借した施設を管理することに関し、又、必要があると認めるときは、保險を附する等の措置を酒類配給公團に採らしめることに関し、監督を怠らない責任があるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について酒類配給公團又は関係各大臣を含む関係者に対して迅速な措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十四條 前條第一項、第二項又は第五項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十五條 左の場合においては、その違反行爲をなした酒類配給公團の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五條に規定しない業務を行つた場合
二 第二十條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十六條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十七條 前三條の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して第二十四條の違反行爲を爲したときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して同條の罰金刑を科する。
第二十八條 第八條の規定に違反して、酒類配給公團という名称又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年十二月十一日から、これを施行する。
第二條 この法律は、昭和二十三年四月一日又は経済安定本部廃止の時のいずれか早い時に、その効力を失う。
酒類配給公團は、前項の時に解散する。但し、その時までになした行爲に対する罰則の適用及び酒類配給公團の清算に関しては、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
第三條 酒類配給公團が成立したときは、酒類配給会社又は組合は解散する。
前項の規定による酒類配給会社又は組合の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第四條 政府は、設立委員を命じて、酒類配給公團の設立に関する事務を処理させる。
第五條 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときは、設立委員は、遅滯なく基本金の拂込を請求しなければならない。
第六條 基本金の拂込があつたときは、設立委員は、遅滯なくその事務を酒類配給公團の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときは、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
酒類配給公團は、設立の登記をすることに因り成立する。
第七條 第八條の規定は、この法律施行の際現に酒類配給公團という名称又はこれに類似する名称を用いている者については、この法律施行後六箇月を限り、これを適用しない。
大藏大臣 栗栖赳夫
内閣総理大臣 片山哲
酒類配給公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月十二日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百七十二号
酒類配給公団法
第一章 総則
第一条 酒類配給公団は、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続に基き、酒類の適正な配給に関する業務を行うことを目的とする。
この法律において酒類とは、酒税法に規定する酒類をいう。
酒類配給公団は、法人とする。
第二条 酒類配給公団は、主たる事務所を東京都に置く。
酒類配給公団は、主務大臣の認可を受けて、配給に関する業務を行うため必要の地に従たる事務所を設けることができる。
第三条 酒類配給公団の基本金は、三千万円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
酒類配給公団の運営資金は、必要があるときは、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四条 酒類配給公団は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五条 酒類配給公団は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 酒類配給公団には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、酒類配給公団の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第七条 酒類配給公団は、臨時物資需給調整法の失効又は経済安定本部総務長官の命令に因り解散する。
前項に定めるものの外、酒類配給公団の解散に関して必要な事項は、政令でこれを定める。
第八条 酒類配給公団でない者は、酒類配給公団という名称又はこれに類似する名称を用いることができない。
第九条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、酒類配給公団にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十条 酒類配給公団に、役員として、総裁一人、副総裁二人以内、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、酒類配給公団を代表し、第十五条の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、酒類配給公団を代表し、総裁を補佐して酒類配給公団の業務を掌理し、総裁に事故のあるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、酒類配給公団を代表し、総裁及び副総裁を補佐して酒類配給公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。
監事は、酒類配給公団の業務を監査する。
第十一条 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十二条 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、酒類配給公団の職員の中から、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関して一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十三条 酒類配給公団の役員及び職員は、酒類の製造、保管、売買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四条 酒類配給公団の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、大蔵次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
酒類配給公団の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給与、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときは、これによるものとする。
第三章 業務
第十五条 酒類配給公団は、経済安定本部総務長官の定める酒類の配給に関する基本的な政策及び計画に基いて主務大臣のなす指示及び監督に従い、左の業務を行う。
一 物価庁の定める価格による酒類の一手買取及び一手売渡
二 酒類の保管及び輸送
三 前各号の事業に附帯する業務
第十六条 酒類配給公団は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七条 酒類配給公団は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八条 酒類配給公団の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九条 酒類配給公団は、前条の各期ごとに財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎期経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前期の承認を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
酒類配給公団は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つ、これを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
酒類配給公団は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剰余金を国庫に納付しなければならない。
酒類配給公団は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十条 経済安定本部総務長官は、酒類の配給に関する基本的な政策及び計画に関して、酒類配給公団を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、酒類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときは、酒類配給公団に対して、主務大臣を通じて監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、酒類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときは、酒類配給公団に対して、経済安定本部総務長官の定める酒類の割当計画及び配給手続に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときは、酒類配給公団に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨検検査させる場合においては、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第二十一条 酒類配給公団は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を与える必要があるときは、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二条 主務大臣は、酒類配給公団の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときは、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、酒類配給公団の役員が酒類配給公団の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときは、これを解任することができる。
第二十三条 主務大臣は、酒類配給公団の業務を行うため必要があると認めるときは、大日本酒類販売株式会社、都道府県酒類販売株式会社、麦酒配給株式会社、全国果実酒卸共販組合又は全国雑酒卸共販組合(以下酒類配給会社又は組合という。)の清算人に対し、当該会社又は組合の所有に属する施設の全部又は一部を、酒類配給公団に貸与することを命ずることができる。
主務大臣は、酒類配給公団の業務を行うため必要があると認めるときは、酒類配給公団に必要な施設の所有者又は占有者に対して、当該施設を酒類配給公団に貸与することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官が、その予め定める方針に基いて適正に定めるものとする。
前項の規定により使用料が定められたときは、酒類配給公団は、第七条第一項に定められた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて、第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、酒類配給公団の業務を行うため必要があると認めるときは、酒類配給会社又は組合の清算人に対して、当該会社又は組合が所有し、又は占有している資材の全部又は一部を酒類配給公団に譲り渡し、又は引き渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときは、酒類配給公団は、同項の資材の譲渡又は引渡を受けた日から一箇月以内に、関係者に対して、正当な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規定を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、酒類配給公団が賃借した施設を管理することに関し、又、必要があると認めるときは、保険を附する等の措置を酒類配給公団に採らしめることに関し、監督を怠らない責任があるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について酒類配給公団又は関係各大臣を含む関係者に対して迅速な措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十四条 前条第一項、第二項又は第五項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十五条 左の場合においては、その違反行為をなした酒類配給公団の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五条に規定しない業務を行つた場合
二 第二十条第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十六条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十七条 前三条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第二十四条の違反行為を為したときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
第二十八条 第八条の規定に違反して、酒類配給公団という名称又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第一条 この法律は、昭和二十二年十二月十一日から、これを施行する。
第二条 この法律は、昭和二十三年四月一日又は経済安定本部廃止の時のいずれか早い時に、その効力を失う。
酒類配給公団は、前項の時に解散する。但し、その時までになした行為に対する罰則の適用及び酒類配給公団の清算に関しては、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
第三条 酒類配給公団が成立したときは、酒類配給会社又は組合は解散する。
前項の規定による酒類配給会社又は組合の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第四条 政府は、設立委員を命じて、酒類配給公団の設立に関する事務を処理させる。
第五条 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときは、設立委員は、遅滞なく基本金の払込を請求しなければならない。
第六条 基本金の払込があつたときは、設立委員は、遅滞なくその事務を酒類配給公団の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときは、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
酒類配給公団は、設立の登記をすることに因り成立する。
第七条 第八条の規定は、この法律施行の際現に酒類配給公団という名称又はこれに類似する名称を用いている者については、この法律施行後六箇月を限り、これを適用しない。
大蔵大臣 栗栖赳夫
内閣総理大臣 片山哲