第一條 薪炭の需給を調節するため國が行う薪炭の買入、賣渡又は貯藏に関する一切の歳入歳出は、これを一般会計と区分して特別会計を設置する。
第二條 この会計は、農林大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 この会計において、薪炭の買入代金以外の経費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、借入金をなすことができる。
第四條 この会計において、薪炭の買入代金の財源に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、一年内に償還する証券を発行し、又は同期間内に償還する借入金をなすことができる。
この会計において、薪炭の買入代金の支拂上一時現金に不足があるときは、この会計の負担において、当該年度内に償還する証券を発行し、又は同期間内に償還する一時借入金をなすことができる。
第五條 前條第一項の規定により発行する証券又は借り入れる借入金の借換のため、この会計の負担において、一年内に償還する証券を発行し、又は同期間内に償還する借入金をなすことができる。その借換についても、また同樣とする。
前項の規定は、前條第二項の規定により発行する証券又は借り入れる一時借入金の借換について、これを準用する。この場合において、前項中「一年内」とあるのは、「当該年度内」と読み替えるものとする。
第六條 この会計の負担に属する証券、借入金及び一時借入金の額は、通じて最高三十億円とする。
第七條 第三條乃至第五條に規定する証券、借入金及び一時借入金の起債、償還等に関する事務は、大藏大臣が、これを行う。
第八條 この会計の負担に属する証券(第四條第二項及び第五條第二項の規定により発行する証券を除く。)及び借入金の償還金、証券、借入金及び一時借入金の利子並びに証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、國債整理基金特別会計にこれを繰り入れなければならない。
第九條 この会計においては、薪炭の賣渡代金、証券(第四條第二項及び第五條第二項の規定により発行する証券を除く。)の発行による收入金、借入金及び附属雑收入を以てその歳入とし、薪炭の買入代金、薪炭の買入、賣渡、貯藏及び運搬に関する諸費、証券(第四條第二項及び第五條第二項の規定により発行する証券を除く。)及び借入金の償還金並びに証券、借入金及び一時借入金の利子その他の諸費を以てその歳出とする。
第十條 農林大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十一條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十二條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込並びに当該年度以降の支出予定額
第十三條 この会計において、支拂上現金に余裕があるときは、大藏省預金部にこれを預け入れることができる。
第十四條 この会計において、決算上剰余を生じたときは、翌年度の歳入にこれを繰り入れるものとする。
第十五條 農林大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十六條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
第十七條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三條の規定にかかわらず、大藏大臣の承認を経ることを要しない。
農林大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大藏大臣及び会計檢査院にこれを通知しなければならない。
第十八條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。