第八條 戰時補償特別税は、この法律施行の際現に存する戰時補償請求權の價額又はこの法律施行前に戰時補償請求權について決濟のあつた金額を課税價格として、これを賦課する。
この法律施行の際現に存する戰時補償請求權の價額は、請求金額の確定してゐる請求權についてはその金額、請求金額の確定してゐない請求權については權利者の請求しようとする金額の全額による。
前項に規定するものを除く外、戰時補償請求權の價額又は戰時補償請求權について決濟のあつた金額の算定について必要な事項は、命令で れを定める。
第九條 別表一、別表二又は別表三に掲げる請求權以外の戰時補償請求權については、この法律施行前に決濟のあつた金額(企業整備資金措置法第五條に規定する更改による決濟の方法によつて決濟があつた場合においては、この法律施行前に政府特殊借入金又は特殊預金等について償還、拂戻若しくは解除又は混同に因る消滅があつた金額に限る。)は、これを課税價格に算入しない。
第十條 別表一に掲げる請求權については、一請求權ごとに一萬圓が課税價格から控除される。
前項の規定は、別表一第十號に掲げる請求權については、課税價格のうち、この法律施行前に決濟がなかつた金額には、これを適用しない。
別表二に掲げる請求權については、左に掲げる金額が課税價格から控除される。
二 納税義務者が法人の場合においては 一請求權ごとに 一萬圓
個人が別表二に掲げる請求權の二以上について戰時補償特別税を課せられる場合においては、その請求權の價額又はその請求權について決濟のあつた金額を合算し、その總額について、前項第一號の規定を適用する。
前四項の規定により、課税價格から控除される金額は、各納税義務者につき、その總額が十萬圓を超えることができない。
前項の規定の適用について必要な事項は、命令でこれを定める。
別表三に掲げる請求權については、五萬圓が課税價格から控除される。
第四項の規定は、個人又は法人が別表三に掲げる請求權の二以上について戰時補償特別税を課せられる場合に、これを準用する。
前二項の規定は、この法律施行の際現に別表一又は別表二に掲げる請求權を有し、又はこの法律施行前に別表一又は別表二に掲げる請求權について決濟を受けた者については、第一項乃至第六項の規定による控除金額の總額が五萬圓以下である場合に限り、これを適用する。この場合における前二項の規定による控除金額は、五萬圓から第一項乃至第六項の規定による控除金額の總額を控除した金額とする。
第五條又は第六條の場合において、課税價格から控除される金額の算定については、命令で第一項乃至前項の規定に對する特例を定めることができる。
戰時補償請求權の讓渡があつた場合において、課税價格から控除される金額の算定については、第一項乃至第九項の規定にかかはらず命令の定めるところによる。保險の目的の讓渡なくして保險契約に因り生じた權利の讓渡があつた場合において、課税價格から控除される金額の算定についてもまた同じ。
第一項乃至前項の規定は、戰時補償請求權で在外資産たるものには、これを適用しない。
第一項及び第三項第二號の一請求權竝びに前項の戰時補償請求權で在外資産たるものの意義は、命令でこれを定める。
第十一條 前條の規定は、第十四條に規定する申告期限内に同條の規定による申告書の提出がない場合には、これを適用しない。但し、課税價格が前條に規定する控除金額以下の場合においては、この法律施行前に戰時補償請求權について、金錢で支拂はれた、又は特殊預金等について拂戻、解除若しくは償還若しくは混同に因る消滅のあつた金額については、申告書の提出がない場合においても、同條の規定は、これを適用する。
前項但書に規定する場合を除く外、第十四條の規定による申告書の提出なくして、しかも前條の規定を適用すべき場合は、命令でこれを定める。
第十二條 民法第三十四條の規定により設立した法人その他の營利を目的としない法人又は團體で命令で定めるものが、この法律施行の際現に別表二第一號に掲げる請求權を有し、又はこの法律施行前に同號に掲げる請求權について決濟を受けた場合においては、政府は、命令の定めるところにより、戰時補償特別税審査委員會の諮問を經て、戰時補償特別税を輕減又は免除することができる。
政府は、前項の場合において、同項の規定による輕減又は免除に關する處分が確定するまで、命令の定めるところにより、税金の納付を猶豫することができる。
戰時補償特別税審査委員會に關する規程は、勅令でこれを定める。
第十三條 戰時補償特別税の税率は、百分の百とする。