戦時補償特別措置法施行規則
法令番号: 勅令第497号
公布年月日: 昭和21年10月29日
法令の形式: 勅令

審議経過

朕は、戰時補償特別措置法施行規則を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十月二十八日
內閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郞
內務大臣 大村淸一
文部大臣 田中耕太郞
農林大臣 和田博雄
遞信大臣 一松定吉
商工大臣 星島二郞
厚生大臣 河合良成
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋湛山
勅令第四百九十七號
戰時補償特別措置法施行規則目次
第一章
總則
第二章
課稅價格、控除及び免除
第三章
申吿及び納付
第四章
代位納付
第五章
雜則
戰時補償特別措置法施行規則
第一章 總則
第一條 戰時補償特別措置法(以下法といふ。)第一條第一項に規定する特定機關は、左に揭げるものとする。
一 產業設備營團
二 日本倉庫統制株式會社
三 損害保險中央會
四 法別表一第十四號又は別表二第一號若しくは第二號に揭げる保險金に係る保險契約をなした損害保險會社
五 木船保險組合
六 漁船保險組合
七 國民更生金庫
八 帝國鑛業開發株式會社
九 日本石炭株式會社
十 船舶運營會
十一 その他大藏大臣の定めるもの
第二條 法第一條第一項第一號の企業整備資金措置法第五條に規定する更改による決濟の方法に準ずる決濟の方法は、政府(法第一條第二項の政府をいふ。)又は前條の特定機關が戰時補償請求權(法第一條に規定する戰時補償請求權をいふ。以下同じ。)について支拂はるべき金額の全部又は一部を金融機關(法第十四條第四項に規定する金融機關をいふ。以下同じ。)への債權者の預金(その拂戾につき特殊預金に準ずる制限のあるものに限る。)となすことによつて決濟をなす方法とする。
第三條 法第一條第一項第一號の債權は、政府特殊借入金、債務者特殊借入金、特殊預金及び特殊金錢信託の外、左に揭げるものとする。
一 戰時金融金庫特殊借入金
二 前條に規定する決濟の方法によつて設定された預金
第四條 法第一條第二項及び第三條の公共團體は、左に揭げるものとする。
一 都府縣組合、府縣組合、都市町村組合、市町村組合、町村組合竝びに東京都內の區及び市町村內の區
二 水利組合、水利組合聯合及び北海道土功組合
第五條 法第一條第三項の預金は、日本興業銀行への預金で、その拂戾につき特殊預金に準ずる制限のあるものとする。
第六條 法第一條第四項の通常の業務に關して生じた請求權は、左に揭げるものとする。但し、舊陸軍省、舊海軍省及び舊軍需省航空兵器總局の業務(これらの官衙の委託に基いて昭和二十年勅令第一號の規定によりなされた業務を含む。)に關して生じた請求權については、第一號に揭げる請求權及び金錢の寄託その他これに準ずるものを原因として生じた請求權とする。
一 俸給、賃金、年金、退職金その他の給與の請求權
二 土地、建物、施設その他の物の讓渡、賃貸、建造、改良、維持又は修理その他の給付の供給で日常の活動に必要なものに關して生じた請求權
三 日常の活動に係る金錢の貸借、寄託その他これらに準ずるものを原因として生じた請求權
四 前三號に揭げるものを除く外、日常の活動に關して生じた請求權
第七條 法第四條第四號の請求權は、左に揭げるものとする。但し、法第十七條の規定に依り消滅した部分の金額に相當する部分を除く。
一 法別表一第十一號及び第十二號の請求權に係る產業設備營團の政府に對する損失補償請求權
二 法別表一第十三號の請求權に係る日本倉庫統制株式會社の政府に對する請求權
三 法別表一第十四號及び別表二第一號の舊戰時特殊損害保險法又はこれによる旨を定めた勅令に基く戰爭保險契約による戰爭保險金の請求權、別表二第二號の舊損害保險國營再保險法に基く勅令に揭げる戰爭保險金の請求權又は從前の損害保險中央會法第十八條第一項に揭げる海上保險金(木船保險の保險金を含む。)の請求權に係る損害保險會社又は木船保險組合の損害保險中央會に對する再保險金の請求權
四 前號の再保險金の請求權又は法別表二第二號の從前の損害保險中央會法第十八條第一項に揭げる海上保險金の請求權に係る損害保險中央會の政府に對する損失補償の請求權
五 法別表一第十四號又は別表二第一號の戰爭保險金の請求權(第三號に揭げるものを除く。)に係る損害保險會社の政府に對する損失補償の請求權
六 法別表二第二號の漁船保險法施行令第二條第二項の保險金の請求權に係る漁船保險組合の政府に對する再保險金の請求權
七 法別表三の請求權に係る國民更生金庫、產業設備營團、帝國鑛業開發株式會社及び日本石炭株式會社の政府に對する請求權但し、國民更生金庫及び產業設備營團の請求權については、法第二十二條第二項若しくは法第四十條第二項において準用する法第二十二條第一項の規定又は法第三十九條第二項において準用する同條第一項の規定により消滅した貸付金の債權の金額に相當する部分を除く。
前項に定めるものの外法第四條第四號の請求權は、大藏大臣が、これを定める。
第八條 戰時補償請求權について決濟を受けた法人について、法施行前に分割があつた場合においては、分割に因り消滅した法人が戰時補償請求權について受けた決濟については、分割に因り設立された法人が分割に因り消滅した法人から承繼した財產の價額(分割に因り債務を承繼したときは、承繼した財產の價額からその債務の金額を控除した金額)のうち各自その受けた利益の價額の占める割合に應じて、分割に因り設立された法人が、各々その一部の決濟を受けたものとみなす。
第九條 法第七條の政府特殊借入金は、戰時補償請求權の決濟のため設定された政府特殊借入金で第五條に規定する預金を取得するためその債權が日本興業銀行に讓渡されたもの以外のものとする。
第十條 法第七條の特殊預金等は、戰時補償請求權の決濟のため設定された特殊預金、特殊金錢信託及び債務者特殊借入金の外、第三條各號に揭げる債權及び第五條に規定する預金とする。
第二章 課稅價格、控除及び免除
第十一條 法別表一第十四號又は別表二第一號若しくは第二號の請求權の價額又はこれらの請求權について決濟のあつた金額は、これらの請求權に係る保險契約に因り支拂はるべき又は支拂はれた保險金の額による。但し、商法第八百三十九條(漁船保險法第二十八條及び木船保險法第三十六條において準用する場合を含む。)の規定に該當する場合においては、當該保險金の額から同條の規定により取得した權利の價額を控除した金額による。
第十二條 法第五條の場合において、相續人が二人以上あつたときは、法別表一の請求權で被相續人が決濟を受けたものにつき、法第十條第一項及び第二項の規定により、各相續人についての課稅價格から控除される金額は、同條第一項及び第二項の規定による控除金額に法第二十四條第一項に規定する割合を乘じて算出した金額による。
第十三條 法第六條第三項の場合において、法別表一又は別表二の請求權で分割に因り消滅した法人が決濟を受けたものにつき、法第十條第一項乃至第四項の規定により、分割に因り設立された法人についての課稅價格から控除される金額は、同條第一項乃至第四項の規定による控除金額に第八條に規定する割合を乘じて算出した金額による。
第十四條 戰時補償請求權の讓渡があつた場合において、當該戰時補償請求權についての課稅價格から控除される金額は、當該戰時補償請求權を最初に取得した者を納稅義務者とみなして法第十條第一項乃至第九項の規定を適用して算出した金額による。
前項の場合において、當該戰時補償請求權を最初に取得した者が、當該戰時補償請求權以外の戰時補償請求權をも最初に取得した者であつたときは、法第十條第三項第一號、第五項及び第九項の規定は、その者が最初の取得者たる戰時補償請求權の課稅價格の合計額について、これを適用する。
第一項の場合において、左の各號の一に該當するときは、法第十條の規定により各戰時補償請求權について課稅價格から控除される金額は、左の各號の定めるところによる。
一 戰時補償請求權の一部について讓渡があつた場合(第二號に定める場合を除く。)においては、當該請求權の各部分の課稅價格から控除される金額は、當該請求權について課稅價格から控除される金額を、當該請求權の各部分についての課稅價格に按分して算出した金額とする。
二 法第十條の規定による控除につき、前項の規定により法第十條第三項第一號、第五項又は第九項の規定の適用があつた場合においては、控除につきこれらの規定の適用があつた各戰時補償請求權(戰時補償請求權の一部について讓渡があつたときはその各部分)について課稅價格から控除される金額は、同條の規定による控除金額を法別表一の戰時補償請求權についての控除金額、法別表二の戰時補償請求權についての控除金額及び法別表三の戰時補償請求權についての控除金額の區分に從ひ、各區分ごとに計算した金額を、當該別表の各戰時補償請求權(戰時補償請求權の一部について讓渡があつたときはその各部分)について課稅價格に按分した金額による。
前項第二號の場合において、法別表一の戰時補償請求權についての控除金額及び法別表二の戰時補償請求權についての控除金額の區分に從ひ、各區分ごとに控除金額を計算するには、左の各號の定めるところによる。
一 當該請求權を最初に取得した者が個人であつた場合においては、法第十條第三項第一號の規定による控除金額を以て、法別表二の戰時補償請求權の課稅價格から控除される金額とし、同條第一項乃至第五項の規定による控除金額から同條第三項第一號の規定による控除金額を控除した金額を以て、法別表一の戰時補償請求權の課稅價格から控除される金額とする。
二 當該請求權を最初に取得した者が法人であつた場合においては、法第十條第一項乃至第五項の規定による控除金額を、法別表一の戰時補償請求權の課稅價格及び法別表二の戰時補償請求權の課稅價格に按分して算出した金額を以て、各々法別表一及び別表二の戰時補償請求權の課稅價格から控除される金額とする。
法第十條第三項第一號、第五項及び第九項の規定は、納稅義務者につき課稅價格から控除される金額が、前四項の規定による控除に因り、同條第三項第一號、第五項又は第九項に規定する金額を超える場合には、その適用がないものとする。
第十五條 保險の目的の讓渡なくして保險契約に因り生じた權利の讓渡があつた場合(當該權利の讓渡後當該權利に因り生じた戰時補償請求權の讓渡があつた場合を含む。)においては、課稅價格から控除される金額は、前條の規定にかかはらず、保險事故が發生した時において當該保險の目的を所有してゐた者を納稅義務者とみなして、法第十條第一項乃至第九項の規定を適用して算出した金額による。
前條第二項乃至第五項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第十六條 法第七條の場合においては、同條の規定の適用に因る課稅價格から控除される金額は、前二條の規定にかかはらず、各讓受人につき二千圓とする。
第十四條第五項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第十七條 法第十條第一項及び第三項第二號の一請求權とは、左に揭げるものをいふ。
一 法別表一第十四號竝びに別表二第一號及び第二號の請求權については、一の保險契約に基いて一の事故に因り生じた請求權
二 法別表一第八號竝びに別表二第三號及び第四號の請求權については、一の船舶につき一の事故に因り生じた請求權
三 法別表一第九號の請求權については、一の事故に因り生じた請求權
四 前各號の請求權以外の請求權については、一の命令、處分又は契約に因り生じた請求權、但し、賃貸契約、傭船契約、電氣又は瓦斯の供給契約その他これらに準ずる契約にあつては、當該契約に因る對價の各辨濟期における請求權
第十八條 法第十條第十二項の戰時補償請求權で存外資產たるものとは、戰時補償請求權で左に揭げるものをいふ。
一 法施行地外にある財產を保險の目的とする保險契約による保險金の請求權(法施行地において決濟を受けた又は受くべきものを除く。)
二 前號の外、法施行地外にある動產、不動產及びこれらのものに關する權利に關する請求權
三 前二號の外、法施行地外にある事業又は營業に關する請求權
四 前三號の外、法施行地外において決濟を受けた又は受くべき請求權
第十九條 納稅義務者が戰時補償請求權の二以上について戰時補償特別稅を課せられる場合において、法第十四條に規定する申吿期限內にこれらの戰時補償請求權の全部について申吿書の提出がなかつた場合においても、これらの戰時補償請求權のうち、あるものについて申吿書の提出があつたときは、當該申吿書に記載された請求權については、法第十條の規定を適用する。
第二十條 法第十二條第一項の法人又は團體は、民法第三十四條の規定により設立した法人及び宗敎法人竝びに大藏大臣の指定するその他の團體とする。
第二十一條 前條の法人又は團體が法第十二條の規定により輕減又は免除される戰時補償特別稅額は、十萬圓を超えることができない。但し、特別の自由があるときは、この限りでない。
第二十二條 法第十二條第一項の規定により法別表二第一號の請求權につき戰時補償特別稅の輕減又は免除を受けようとする者は、法第十四條の規定による申吿書の提出前又はその提出と同時に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書その他大藏大臣の定める書類を、納稅地の所轄稅務署長を經由して、大藏大臣に提出しなければならない。
第二十三條 稅務署長が前條の規定による申請書その他大藏大臣の定める書類を受け取つたときは、法第十二條第二項の規定による稅金の納付の猶豫の處分があつたものとする。
前項の規定に該當する場合においては、法第十四條又は第三十五條の規定による申吿書にその旨を記載して提出しなければならない。
第二十四條 法第十二條第二項の規定により稅金の納付の猶豫があつた場合において、輕減若しくは免除の申請が取り消されたとき又は同條第一項の規定による輕減若しくは免除に關する處分の確定後、納稅義務者若しくは代位納付義務者(納稅義務者に代位して戰時補償特別稅を納付する義務があるものをいふ。以下同じ。)の納付すべき稅金があるときは、稅務署長は、納期限を指定して、當該稅金を徵收する。
第三章 申吿及び納付
第二十五條 納稅義務者は、昭和二十一年十一月三十日(以下一般申吿期限といふ。)までに、大藏大臣の定める事項を記載した申吿書を、納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。
納稅義務者が法第十四條第二項各號の一に該當するときは、納稅義務者は、當該各號の定める金融機關を經由して、(該當する金融機關が二以上ある場合においては、當該金融機關を經由して各別に、)前項の申吿書を提出しなければならない。
第二十六條 通信、交通その他の狀況により、一般申吿期限內に前條第一項の申吿書を提出することができない者は、狀況が止んだ後一箇月以內に、これを納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。
法第十四條第二項の規定は前項の場合には、これを適用しない。
第二十七條 課稅價格が法第十條に規定する控除金額以下の場合において、戰時補償請求權の全部が左の各號に該當するときは、納稅義務者は、前二條の規定による申吿書を提出する必要がない。
一 法施行前において金錢で支拂を受けてゐるとき
二 企業整備資金措置法第五條に規定する更改による決濟の方法(第二條に規定する決濟の方法を含む。)で決濟を受け、且つ、法施行前において政府特殊借入金(法第七條の政府特殊借入金をいふ。以下第四十條に規定する場合を除く外同じ。)又は特殊預金等(法第七條の特殊預金等をいふ。以下同じ。)の全額につき、拂戾、解除若しくは償還又は混同に因る消滅があつたとき
戰時補償請求權で在外資產たるものについては、納稅義務者は、前二條の規定による申吿書を提出する必要がない。但し、大藏大臣が必要があると認めてその提出につき特別の定をなした場合は、この限りでない。
第二十八條 法及びこの勅令において金融機關とは銀行及び信託會社の外、左に揭げる法人をいふ。
一 無盡會社
二 保險會社
三 農林中央金庫
四 商工組合中央金庫
五 庶民金庫
六 戰時金融金庫
七 都道府縣農業會
八 市街地信用組合
九 信用組合
十 市町村農業會
十一 國民更生金庫
第二十九條 納稅義務者は、法第十四條の規定による申吿期限內に、戰時補償特別稅を納付しなければならない。
前項の場合において、金錢を以て戰時補償特別稅を納付しようとするときは、大藏大臣の定める書式による納付書を添へて、日本銀行の本店、支店又は代理店に納付しなければならない。
第一項の場合において、政府特殊借入金の債權を政府に讓渡し、これを以て戰時補償特別稅の納付に充てようとするときは、大藏大臣の定める書式による納付書を添へて、政府特殊借入金證書又は政府特殊借入金證書交付通知書を日本銀行の本店、支店又は代理店に提供し、納付方を申し出なければならない。
前項の規定による申出があつたときは、政府特殊借入金の讓渡による戰時補償特別稅の納付があつたものとする。
前二項の場合において、戰時補償特別稅の納付に充てるため讓渡の申出があつた政府特殊借入金の債權の全部若しくは一部が存在しなかつたとき、納稅義務者が當該債權の全部若しくは一部について權利を有してゐなかつたとき又は當該債權の全部若しくは一部が法第七條の政府特殊借入金でなかつたときは、當該部分の金額の限度においては、初めから戰時補償特別稅の納付がなかつたものとする。
第三十條 納稅義務者が法第十四條第二項の規定により申吿書を提出した場合においては、同項に規定する金融機關は、申吿書の提出と同時に、納稅義務者から戰時補償特別稅を徵收しなければならない。
前條第二項乃至第五項の規定は、前項の場合において、納稅義務者が金融機關に戰時補償特別稅を納付する場合に、これを準用する。
第三十一條 金融機關は、前條第一項の規定により戰時補償特別稅を徵收したときは、一般申吿期限の屬する月の翌月末日までに、大藏大臣の定める書式による納付書を添へて、これを日本銀行の本店、支店又は代理店に拂ひ込まなければならない。
前項の場合において、金融機關は、前條第二項において準用する第二十九條第三項の規定により政府特殊借入金の債權を以て戰時補償特別稅を徵收したときは、一般申吿期限の屬する月の翌月末日までに、大藏大臣の定める書式による納付書及び同項の規定により提供された政府特殊借入金證書又は政府特殊借入金證書交付通知書を添へて、その旨を、日本銀行の本店、支店又は代理店に通知しなければならない。
第三十二條 法第十九條第一項又は第二項の規定に該當する場合においては、納稅義務者が一般申吿期限內に法第十四條第一項の規定による申吿書を提出しなかつた場合の外、左の各號の一に該當する場合において、日本銀行本店所在地の所轄稅務署長又は特殊預金等の預入先の金融機關(特殊金錢信託については受託者たる金融機關、債務者特殊借入金については債務者たる金融機關をいふ。以下同じ。)は、法第十九條第一項又は第二項の規定により當該各號に規定する戰時補償特別稅を徵收する。
一 納稅義務者が法第十四條第一項の規定による申吿書を提出したが戰時補償特別稅を納付しなかつた場合においては、その納付しなかつた戰時補償特別稅
二 申吿書に記載すべき戰時補償請求權について、申吿書の記載に脫漏があつた場合においては、當該戰時補償請求權に對する戰時補償特別稅
第三十三條 特殊預金等の預入先の金融機關は、法第十九條第二項の規定により戰時補償特別稅を徵收したときは、一般申吿期限の屬する月の翌月末日までに、大藏大臣の定める書式による納付書を添へ、これを日本銀行の本店、支店又は代理店に拂ひ込まなければならない。
第三十四條 法第十八條又は第十九條第二項の規定による政府特殊借入金の債權の讓渡又は特殊預金等の期限前の拂戾、解除若しくは償還については、企業整備資金措置法(昭和二十一年法律の企業整備資金措置法を廢止する等の法律附則の規定によりなほその效力を有するものとされた同法をいふ。)第十二條又は第十四條(昭和二十一年法律の企業整備資金措置法を廢止する等の法律附則の規定によりなほ效力を有するものとされた臨時資金調整法第十條ノ二第三項において準用する場合を含む。)の規定は、これを適用しない。
第三十五條 納稅義務者が法第十八條の規定により特殊預金等について期限前の拂戾、解除又は償還を申し出たときは、その特殊預金等の預入先の金融機關は、他の法令又は契約にかかはらず、その申出に應じなければならない。
第三十六條 法第十八條の規定により戰時補償特別稅が納付された場合において、政府特殊借入金の債權又は特殊預金等について擔保權が存してゐたとき又は强制執行手續、國稅徵收法による强制徵收手續その他これらの手續に準ずるものが進行中であつたときは、納稅義務者は、擔保權者又は差押債權者(國稅徵收法により强制徵收手續その他これらの手續に準ずるものが進行中であつたときは、差押をなした收稅官吏又はこれに準ずる者を含む。)にその旨を通知しなければならない。
前項の規定は、法第十九條の規定により戰時補償特別稅が徵收された場合について、これを準用する。この場合において、同項中「納稅義務者」とあるのは、「政府特殊借入金の債權については、日本銀行本店所在地の所轄稅務署長、特殊預金等については、その預入先の金融機關」と讀み替へるものとする。
第三十七條 前三條の規定は、法第十二條第二項の規定により徵收を猶豫された戰時補償特別稅を、國稅徵收法により特殊預金等を以て徵收する場合について、これを準用する。
第三十八條 法第二十二條第一項の規定に該當する金融機關が損害保險會社又は損害保險中央會に對し二以上の貸付金の債權を有する場合においては、各貸付金の金額のうち同項の規定により消滅する金額は、當該金融機關が一般申吿期限の翌日において有する各債權の金額に按分して計算した金額による。
前項の規定は、法第二十二條第二項の規定に該當する金融機關が國民更生金庫又は產業設備營團に對し各二以上の貸付金の債權を有する場合について、これを準用する。
第三十九條 法第二十二條第一項又は第二項の場合においては、金融機關は、一般申吿期限後二箇月以內に、大藏大臣の定める事項を、本店又は主たる事務所の所在地の所轄稅務署長に屆け出るとともに、損害保險會社若しくは損害保險中央會又は國民更生金庫若しくは產業設備營團に通知しなければならない。
第四十條 法第二十三條第一項の規定により物納に充てることができる財產は、左に揭げるものとする。
一 國債(政府特殊借入金を含む。)及び地方債
二 社債及び特別の法令により設立された法人で會社でないもの(以下特殊法人といふ。)の發行する債券竝びに全額拂込濟の株式及び特殊法人に對する出資。但し、換價が容易なものに限る。
三 不動產
第四十一條 法第二十三條第一項の規定により物納に充てる場合における前條の財產の收納價額は、財產稅法第三章の規定及びこれに基いて發する命令により算定した價額による。
第四十二條 戰時補償特別稅の物納を申請しようとする者は、法第十四條の規定による申吿書の提出前若しくはその提出と同時に、又は法第二十九條第一項の規定による納期限前に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書を、納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。
第二十三條の規定は、前項の規定による申請書の提出があつた場合に、これを準用する。この場合において、同條第一項中「法第十二條第二項」とあるのは、「法第二十三條第四項」と讀み替へるものとする。
第四十三條 稅務署長は、納稅義務者の物納に充てようとする財產が管理又は處分をなすに不適當と認めるときは、その變換を命じ又は物納を許可しないことができる。
第四十四條 納稅義務者が前條の規定により物納に充てようとする財產の變換を命ぜられた場合において、他の財產を以て物納に充てようとするときは、その旨の通知を受けた後二十日以內に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書を、納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。
納稅義務者が前項の期間內に同項の申請書を提出しなかつたときは、物納の申請はその效力を失ふ。
第四十五條 物納の許可を受けた稅額に相當する戰時補償特別稅は、物納に充てようとする財產の引渡、所有權移轉の登記その他法令により第三者に對抗することのできる要件を充足した時において納付があつたものとする。
第四十六條 第四十二條第二項において準用する第二十三條の規定により稅金の納付の猶豫の處分があつた場合において、物納の申請が取り消されたとき、又は物納の許可若しくは不許可の處分の確定後若しくは第四十四條第二項の規定により物納の申請がその效力を失つた後において納稅義務者の納付すべき稅金があるときは、稅務署長は、納期限を指定して、當該稅金を徵收する。
第四十七條 法第二十三條第一項の規定により戰時補償特別稅の延納を申請しようとする者は、法第十四條の規定による申吿書の提出前若しくはその提出と同時に又は法第二十九條第一項の規定による納期限前に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書を納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。
納稅義務者が第四十二條の規定による申請書を提出した場合において、物納を許可されなかつたとき又は第四十四條第一項の規定により物納に充てようとする財產の變換を命ぜられたときは、當該戰時補償特別稅については、前項の規定にかかはらず、その旨の通知を受けた後二十日以內に、前項の申請書を提出することができる。
第二十三條の規定は、前二項の規定による申請書の提出があつた場合に、これを準用する。この場合において、同條第一項中「法第十二條第二項」とあるのは、「法第二十三條第四項」と讀み替へるものとする。
第四十八條 法第二十三條第一項に規定する擔保の種類は、左に揭げるものとする。
一 國債、地方債竝びに稅務署長において確實と認める社債(特殊法人の發行する債券を含む。)及びその他の有價證券
二 土地
三 保險に附した家屋
四 保險に附した立木
五 保險に附した船舶
六 工場財團、鑛業財團、漁業財團、鐵道財團、軌道財團、運河財團及び自動車交通事業財團
七 稅務署長において確實と認める保證人の保證
第四十九條 擔保として前條第一號の財產を提供しようとする者はこれを供託し、その供託受領證を納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。但し、登錄國債又は社債等登錄法により登錄した社債等については、その登錄を受け登錄濟通知書又は登錄濟書を提出し、なほ乙種國債登錄簿に登錄したものについては、記名國債證券を供託し、その供託受領證をも提出しなければならない。
擔保として前條第二號乃至第六號の財產を提供した者があるときは、稅務署長は、抵當權の登記又は登錄を登記所又は登錄官廳に囑託しなければならない。
第五十條 稅務署長は、擔保物の價額が減少したと認めるとき又は保證人の資力が納稅を擔保するに足りなくなつたと認めるときは增擔保を提供させ又は保證人を變換させることができる。
擔保として提供した第四十八條第一號に規定する財產について償還、支拂等を受けるに至つたとき、又は家屋、立木若しくは船舶が滅失したとき若しくはその保險契約が消滅したときは、納稅義務者はこれに代る擔保を提供しなければならない。
第五十一條 前條の規定により擔保を提供しなければならない場合においてこれを提供せず、又は保證人を變換しなければならない場合においてこれを變換しないときは、稅務署長は、延納の許可を取り消して稅金を一時に徵收することができる。延納稅金を滯納した場合においてもまた同じ。
第五十二條 延納の許可を受けた者が延納稅金を滯納した場合において、擔保物があるときは、擔保物を公賣に付し延納稅金(督促手數料、延滯金及び公賣の費用を含む。以下本條において同じ。)に充て、又、保證人があるときは、保證人に通知して延納稅金を納付させる。
前項の規定による公賣手續については、國稅滯納處分の場合における公賣の例による。
第一項の規定により擔保物を公賣に付しようとする場合において、擔保物の價額が延納稅金に充てなほ不足があると認めるときは、納稅義務者の他の財產につき滯納處分を行ふことができる。
納稅義務者に對して滯納處分を執行した場合において、その財產の價額が徵收すべき延納稅金及び滯納處分費に充てなほ不足があると認めるときは、保證人に對して滯納處分を行ふことができる。
前項の保證人は、國稅徵收法第三十二條第一項の規定の適用については、これを滯納者とみなす。
第五十三條 延納稅金が完納されたときは、稅務署長は、擔保解除の手續をしなければならない。
第五十四條 法第二十三條第五項の規定により延納稅額に加算する稅額は、延納稅額の未納額(滯納に係る額を除く。)に、第一回に納付すべき延納稅額については、法第十五條第一項又は法第二十九條第一項の納期限の翌日から、第二回以後に納付すべき延納稅額については、前回の延納稅額の納期限の翌日から、各延納稅額の納期限までの日數に應じ、年百分の十の割合を乘じて算出した金額による。
第五十五條 第四十七條第三項において準用する第二十三條の規定により稅金の納付の猶豫の處分があつた場合において、延納の申請が取消されたとき、又は延納の許可若しくは不許可の處分の確定後納稅義務者の納付すべき稅金があるときは、稅務署長は、納期限を指定して、當該稅金を徵收する。
第五十六條 法第二十五條第一項の預金、貯金その他の債權は、左に揭げるものとする。但し、擔保權が存するものを除く。
一 銀行、市町村農業會、信用組合、市街地信用組合その他大藏大臣の指定する者に對する定期預金、定期貯金、据置貯金又は定期積金
二 信託會社(信託業務を兼營する銀行を含む。)に對する合同運用信託(所得稅法第七條に規定する合同運用信託をいふ。以下同じ。)に關する權利、但し、納稅義務者が委託者であり、且つ、受益者であるものに限る。
三 恩給金庫に對する定期寄託金
第五十七條 納稅義務者が前條に揭げる定期預金、定期貯金、据置貯金若しくは定期寄託金の全部若しくは一部につき期限前の拂戾を請求し、又は定期積金若しくは合同運用信託につき契約を解除し若しくは變更してその拂ひ込んだ掛金若しくは信託した金額の全部若しくは一部に相當する金額の給付を請求しようとするときは、第二十九條第二項(第三十條第二項において準用する場合を含む。)に規定する納付書又はこれに準ずる書類に、大藏大臣の定める事項について、納稅地の所轄稅務署長の證明を受け、これを金融機關に呈示しなければならない。
前項の場合において金融機關が納稅義務者から同項の規定による證明のある書類の呈示を受けたときは、金融機關は納稅義務者の請求に應じなければならない。
前項の規定により金融機關が請求金額の拂戾又は給付をなす場合においては、金融機關は、主務大臣の定めるところにより、その金額に對する利子、利子相當額又は利益額を支拂はなければならない。
第五十八條 前條の場合においては、金融機關は、何らの名義を以てするを問はず、納稅義務者から補償金、手數料その他これらに類するものを受けることができない。
第四章 代位納付
第五十九條 法第三十三條第二項の場合において、代位納付義務者が二人以上あるときは、各代位納付義務者の納付すべき戰時補償特別稅の稅額は、課稅價格につき法第十條乃至第十三條の規定を適用して算出した戰時補償特別稅の額から納稅義務者の法施行の際現に有する政府特殊借入金の債權又は特殊預金等の金額を控除した金額を、各代位納付義務者が法施行の際現に有する政府特殊借入金の債權又は特別預金等の金額に按分して計算した金額とする。
前項の規定は、法第三十四條第一項及び第二項の場合に、これを準用する。
第六十條 法第三十四條第一項の企業整備資金措置法第五條に規定する更改による決濟の方法に準ずる決濟の方法は、第二條に規定する決濟の方法とする。
第六十一條 法第四十一條第一項の場合においては、代位納付義務者は、政府特殊借入金の債權又は特殊預金等の取得に要した對價のうち、戰時補償特別稅の納付に充てた政府特殊借入金の債權又は特殊預金等の取得に要した部分に相當する金額について、讓渡人に對し、求償をなすことができる。
第六十二條 法第四十一條第二項の場合においては、讓渡人は、求償に應じて履行をした金額の限度において、政府特殊借入金の債權又は特殊預金等のうち納稅に充てられた部分の取得に要した對價に相當する金額について、その政府特殊借入金の債權又は特殊預金等を讓渡した者に對し、求償をなすことができる。
第六十三條 法第三十四條の規定により戰時補償特別稅を納付した代位納付義務者は、納稅義務者その他同條に規定する債務の決濟をなした者に對し、その納付した戰時補償特別稅の稅額について、求償をなすことができる。
前條の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第六十四條 第二十五條第一項、第二十六條及び第二十七條の規定は、法第三十五條の規定による代位納付義務者の申吿書の提出について、これを準用する。この場合において、第二十六條第二項中「法第十四條第二項」とあるのは、「法第三十五條第二項」と讀み替へるものとする。
第二十九條乃至第三十七條の規定は、代位納付義務者が、戰時補償特別稅を納付する場合又は代位納付義務者から戰時補償特別稅を徵收する場合について、これを準用する。この場合において、第二十九條第一項中「法第十四條」とあるのは、「法第三十五條」、「戰時補償特別稅」とあるのは、「戰時補償特別稅(法第三十九條第一項又は第二項の規定により稅金納付の義務を免除される分を除く。)」、第三十條第一項中「法第十四條第二項」とあるのは、「法第三十五條第二項」、第三十二條中「法第十九條第一項又は第二項」とあるのは、「法第三十八條第一項又は第二項」、「法第十四條第一項」とあるのは、「法第三十五條第一項」、第三十三條中「法第十九條第二項」とあるのは、「法第三十八條第二項」、第三十四條中「法第十八條又は第十九條第二項」とあるのは、「法第三十八條第二項又は法第四十條第一項において準用する法第十八條」、第三十五條及び第三十六條第一項中「法第十八條」とあるのは、「法第四十條第一項において準用する法第十八條」、第三十六條第二項中「法第十九條」とあるのは、「法第三十八條」と讀み替へるものとする。
第三十八條及び第三十九條の規定は、代位納付義務者たる金融機關又は、代位納付義務者の有する特殊預金等の預入先の金融機關が、法別表一第十四號、別表二第一號若しくは第二號又は別表三に揭げる請求權の決濟に必要な資金を損害保險會社若しくは損害保險中央會又は國民更生金庫若しくは產業設備營團に融通したため、貸付金の債權を有する場合について、これを準用する。この場合において、第三十八條第一項中「法第二十二條第一項」とあるのは、「法第三十九條第一項又は法第四十條第二項において準用する法第二十二條第一項」、同條第二項中「法第二十二條第二項」とあるのは、「法第三十九條第二項又は法第四十條第二項において準用する法第二十二條第二項」、第三十九條中「法第二十二條第一項又は第二項」とあるのは、「法第三十九條第一項若しくは第二項又は法第四十條第二項において準用する法第二十二條第一項若しくは第二項」と讀み替へるものとする。
第五章 雜則
第六十五條 日本銀行及び第一條に揭げる特定機關は、大藏大臣の定める調書を、昭和二十一年十二月三十日までに、納稅地の所轄稅務署長に提出しなければならない。
第六十六條 財務局長は、戰時補償特別稅の調査に關し必要があるときは、日時及び場所を指定し、法第四十九條第一項に規定する者の出頭を命ずることができる。
第六十七條 法第五十三條の場合においては、納稅義務者は、その納付した戰時補償特別稅額又は法第四十一條第一項乃至第三項竝びに法第四十二條第一項及び第二項の規定により求償に應じて履行した金額の限度において、その戰時補償請求權(法第十條の規定による控除金額に相當する部分を除く。)の取得に要した對價に相當する金額について、讓渡人に對し、求償なすことができる。
第六十二條の規定は、第一項の場合について、これを準用する。
第六十八條 法第五十四條の規定により、個人の所得稅法による所得、營業稅法による純益又は舊臨時利得稅法による利益の金額から控除すべき事業の收益で戰時補償請求權に因るものの金額は、當該戰時補償請求權について課せられた戰時補償特別稅の稅額を限度とする。
第六十九條 法第五十四條の規定の適用を受けようとする者は、戰時補償特別稅の納付又は徵收のあつた日(戰時補償特別稅の延納の申請をなした場合においては、その申請の日)の翌日から三十日以內に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書その他大藏大臣の定める書類を、所轄稅務署長に提出しなければならない。
稅務署長は、特別の事情があると認めたときは、大藏大臣の定めるところにより、前項の申請がなかつた場合においても、法第五十四條の規定による免除をなすことができる。
第七十條 法第五十五條の規定により、法人の法人稅法による各事業年度の普通所得、營業稅法による各事業年度の純益、舊臨時利得稅法による利益又は特別法人稅法による各事業年度の剩餘金の金額から控除すべき戰時補償請求權に因る益金の金額は、當該戰時補償請求權について課せられた戰時補償特別稅の稅額を限度とする。
第七十一條 法第五十五條の規定の適用を受けようとする法人は、戰時補償特別稅の納付又は徵收のあつた日(戰時補償特別稅の延納の申請をなした場合においては、その申請の日)の翌日から五十日以內(當該戰時補償特別稅の納付、徵收又は延納の申請のあつた日の後決算の確定した事業年度分については、當該決算の確定した日の翌日から五十日以內)に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書その他大藏大臣の定める書類を、所轄稅務署長に提出しなければならない。
第六十九條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第七十二條 法第五十七條第一項の規定により、相續稅の課稅價格から控除すべき戰時補償特別稅額は、左の各號に定めるところによる。
一 相續人(受遺者及び受贈者を含む。以下同じ。)が戰時補償特別稅の納稅義務者であるときは、當該戰時補償特別稅額(相續人が求償することができる金額を除く。)
二 前號の場合において代位納付義務者が戰時補償特別稅を納付したときは、當該戰時補償特別稅額のうち代位納付義務者が相續人に對して求償することができる金額(相續人が求償することができる金額を除く。)
三 相續人が戰時補償特別稅の代位納付義務者であるときは、當該戰時補償特別稅額のうち相續人が讓渡人に對して求償することができる金額を控除した金額
四 相續財產たる戰時補償請求權の讓渡を受けた者が戰時補償特別稅の納稅義務者であるときは、當該戰時補償特別稅額のうちその納稅義務者が相續人に對して求償することができる金額(相續人が求償することができる金額を除く。)
第七十三條 法第五十八條の規定を適用する場合において、同條に規定する割合の計算の基礎となすべき戰時補償特別稅額は、左の各號に定めるところによる。
一 相續人が戰時補償特別稅の納稅義務者であるときは、當該戰時補償特別稅額
二 前號の場合において代位納付義務者が戰時補償特別稅を納付したときは、當該戰時補償特別稅額のうち代位納付義務者が相續人に對して求償することができる金額
三 相續財產につき生じた戰時補償請求權の讓渡を受けた者が戰時補償特別稅の納稅義務者であるときは、當該戰時補償特別稅額のうちその納稅義務者が相續人に對して求償することができる金額
前項の場合において、法第五十八條に規定する割合の計算の基礎となすべき戰時補償特別稅額は、當該相續財產の課稅價格から法第十條の規定により控除された金額で當該戰時補償請求權に係る部分を控除した金額を限度とする。
第七十四條 法第五十七條又は第五十八條の規定は、左の各號に定める戰時補償特別稅額については、これを適用しない。
一 法第二十三條第五項の規定により加算する戰時補償特別稅の加算稅額
二 法第六十條の規定により、土地若しくは建物又は鑛業權若しくは砂鑛權が舊所有者又は舊鑛業權者若しくは舊砂鑛權者に讓渡された場合における同條第一項に規定する對價の請求權につき課せられた戰時補償特別稅額
第七十五條 法第五十七條又は第五十八條の規定の適用を受けようとする者は、相續稅法第十一條に規定する期間內(同條に規定する期限がこの勅令施行後六十日前に滿了するときは、この勅令施行後六十日以內)に、大藏大臣の定める事項を記載した申請書を、所轄稅務署長に提出しなければならない。
第六十九條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第七十六條 法第六十條第一項の規定により土地又は建物が讓渡された場合において、法施行の際現に當該土地若しくは建物が公用若しくは公共の用に供せられてゐるとき、國若しくは地方公共團體において當該土地若しくは建物が公用若しくは公共の用に供せられることが決定してゐるとき、又は當該土地若しくは建物がその所有者たる特定機關の用に供せられてゐるときは、當該公用若しくは公共の用に供せられてゐる期間又は特定機關の當該用途に供せられてゐる期間に限り、國、地方公共團體又は特定機關は引續き當該土地又は建物を使用することができる。
法第六十條第一項の規定により土地又は建物を讓渡された場合において、法施行の際現に當該土地又は建物が國、地方公共團體又は特定機關により他人の使用に供せられてゐるときは、法施行の際現にこれを使用してゐる者は、その際現に存する契約又は處分に定める期間に限り、引續き當該土地又は建物を使用することができる。
前二項の場合においては、對價その他使用に關する條件は當事者間の協議による。
前項の場合において、協議ができないとき又は協議が調はないときは、當事者の請求により、裁判所がこれを定める。
第七十七條 法第六十條第一項に規定する土地若しくは建物又は鑛業權若しくは砂鑛權の讓渡又は收用の對價の支拂を受けた者が、他の戰時補償請求權についてもこれを最初に取得した者であつた場合において、これらの戰時補償請求權について戰時補償特別稅を課せられたため、法第十條第五項の規定の適用があつたときは、法第六十條第二項の規定する對價の請求權に課せられた戰時補償特別稅額は、當該請求權の課稅價格から、第十四條第三項及び第四項の規定により計算した法第十條の規定による控除金額を控除した金額による。
第七十八條 第七十六條第二項の場合において、國、地方公共團體又は特定機關以外の者が土地又は建物につき有益費を出したときは、舊所有者は、その費用の額に相當する金額をその費用を出した者に、支拂はなければならない。
第七十九條 法第六十條第四項の規定により、政府が地方公共團體又は特定機關に對し戰時補償特別稅に相當する金額の一部を交付する場合は、當該土地若しくは建物又は鑛業權若しくは砂鑛權の地方公共團體又は特定機關への讓渡又は收用に際し、政府が補助金等の交付により對價の一部を負擔してゐた場合とする。
前項の場合における交付金の金額は、戰時補償特別稅に相當する金額から政府の負擔した金額を控除した金額による。
第八十條 法第六十一條第一項の場合は、鑛業權又は砂鑛權が國、地方公共團體又は特定機關に讓渡された後に消滅した場合の外、鑛業權者が、企業整備の目的を以て日本石炭株式會社との契約に基いて鑛業權の登記を抹消した場合とする。
法第六十一條第一項の請求權とは、對價の請求權の外、前項の鑛業權者が同項の契約に基き取得した日本石炭株式會社に對する戰時補償請求權とする。
第八十一條 法第六十一條第一項の規定の適用を受けようとする者は、鑛業法の定めるところに從ひ、地方商工局長に出願しなければならない。
前項の出願に際しては、商工大臣の定める書類を、出願に關する書類に添附しなければならない。
第八十二條 會社その他の法人が昭和二十年八月十五日以前においてなした資金の融通、有價證券の應募、引受若しくは買入又は債務の引受若しくは保證に因り生じた又は生ずべき損失で、政府において補償すべきものは、他の法令又は契約にかかはらず、これを補塡しない。但し、左に揭げる損失補償、損失再補償又は補給については、この限りでない。
一 日本銀行特別融通及損失補償法第四條第一項の規定に基く政府と日本銀行との間の契約による損失補償
二 不動產融資及損失補償法第六條の規定に基く政府と日本勸業銀行又は北海道拓殖銀行との間の契約による損失補償
三 農林中央金庫特別融通及損失補償法第五條第一項の規定に基く政府と農林中央金庫との間の契約による損失補償
四 農村負債整理資金特別融通及損失補償法第五條第一項又は第六條の規定に基く政府と都道府縣又は農林中央金庫、日本勸業銀行、若しくは北海道拓殖銀行との間の契約による補給又は損失補償
五 國民更生金庫法第三十七條第一項の規定に基く政府と國民更生金庫との間の契約による損失補償で國民更生金庫の同法第十七條第一項第二號及び第三號に揭げる業務に關するもの
六 舊銀行等資金運用令第七條の規定に基く政府と日本勸業銀行との間の契約による損失補償で、庶民金庫のなした生計應急資金及び簡易住宅建設資金の融通につき日本勸業銀行のなした債務の保證に因るもの
七 昭和九年二月十日公布の豫算外國庫の負擔契約の件のうち、「一般會計商工省所管罹災地中小商工業復興資金融通損失再補償」の權限に基く政府と都道府縣又は市との間の契約による損失
八 昭和十二年三月三十日公布の豫算外國庫の負擔契約の件のうち、「一般會計商工省所管中小商工業資金融通損失再補償」(昭和十三年三月六日、昭和十四年三月一日、昭和十六年三月五日及び昭和十九年二月十五日公布の豫算外國庫の負擔契約の件により改定された分を含む。)の權限に基く政府と都道府縣又は市との間の契約による損失再補償
第八十三條 政府が會社その他の法人のためになした保證は、法施行の日において、その效力を失ふ。但し、左に揭げるものについてなした保證はこの限りでない。
一 更生債券
二 庶民債券
三 住宅債券
四 交通債券
五 醫療債券
六 農地開發債券
七 大日本育英會の借入金
第八十四條 法第二十一條及び第二十七條乃至第二十九條(法第四十條第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第五十條竝びに第五十一條中政府とあるのは、納稅地の所轄稅務署長とし、法第三十條及び第三十一條(法第四十條第三項において準用する場合を含む。)中政府とあるのは、納稅地の所轄財務局長とする。
附 則
この勅令は、法施行の日から、これを施行する。
朕は、戦時補償特別措置法施行規則を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 大村清一
文部大臣 田中耕太郎
農林大臣 和田博雄
逓信大臣 一松定吉
商工大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
運輸大臣 平塚常次郎
大蔵大臣 石橋湛山
勅令第四百九十七号
戦時補償特別措置法施行規則目次
第一章
総則
第二章
課税価格、控除及び免除
第三章
申告及び納付
第四章
代位納付
第五章
雑則
戦時補償特別措置法施行規則
第一章 総則
第一条 戦時補償特別措置法(以下法といふ。)第一条第一項に規定する特定機関は、左に掲げるものとする。
一 産業設備営団
二 日本倉庫統制株式会社
三 損害保険中央会
四 法別表一第十四号又は別表二第一号若しくは第二号に掲げる保険金に係る保険契約をなした損害保険会社
五 木船保険組合
六 漁船保険組合
七 国民更生金庫
八 帝国鉱業開発株式会社
九 日本石炭株式会社
十 船舶運営会
十一 その他大蔵大臣の定めるもの
第二条 法第一条第一項第一号の企業整備資金措置法第五条に規定する更改による決済の方法に準ずる決済の方法は、政府(法第一条第二項の政府をいふ。)又は前条の特定機関が戦時補償請求権(法第一条に規定する戦時補償請求権をいふ。以下同じ。)について支払はるべき金額の全部又は一部を金融機関(法第十四条第四項に規定する金融機関をいふ。以下同じ。)への債権者の預金(その払戻につき特殊預金に準ずる制限のあるものに限る。)となすことによつて決済をなす方法とする。
第三条 法第一条第一項第一号の債権は、政府特殊借入金、債務者特殊借入金、特殊預金及び特殊金銭信託の外、左に掲げるものとする。
一 戦時金融金庫特殊借入金
二 前条に規定する決済の方法によつて設定された預金
第四条 法第一条第二項及び第三条の公共団体は、左に掲げるものとする。
一 都府県組合、府県組合、都市町村組合、市町村組合、町村組合並びに東京都内の区及び市町村内の区
二 水利組合、水利組合連合及び北海道土功組合
第五条 法第一条第三項の預金は、日本興業銀行への預金で、その払戻につき特殊預金に準ずる制限のあるものとする。
第六条 法第一条第四項の通常の業務に関して生じた請求権は、左に掲げるものとする。但し、旧陸軍省、旧海軍省及び旧軍需省航空兵器総局の業務(これらの官衙の委託に基いて昭和二十年勅令第一号の規定によりなされた業務を含む。)に関して生じた請求権については、第一号に掲げる請求権及び金銭の寄託その他これに準ずるものを原因として生じた請求権とする。
一 俸給、賃金、年金、退職金その他の給与の請求権
二 土地、建物、施設その他の物の譲渡、賃貸、建造、改良、維持又は修理その他の給付の供給で日常の活動に必要なものに関して生じた請求権
三 日常の活動に係る金銭の貸借、寄託その他これらに準ずるものを原因として生じた請求権
四 前三号に掲げるものを除く外、日常の活動に関して生じた請求権
第七条 法第四条第四号の請求権は、左に掲げるものとする。但し、法第十七条の規定に依り消滅した部分の金額に相当する部分を除く。
一 法別表一第十一号及び第十二号の請求権に係る産業設備営団の政府に対する損失補償請求権
二 法別表一第十三号の請求権に係る日本倉庫統制株式会社の政府に対する請求権
三 法別表一第十四号及び別表二第一号の旧戦時特殊損害保険法又はこれによる旨を定めた勅令に基く戦争保険契約による戦争保険金の請求権、別表二第二号の旧損害保険国営再保険法に基く勅令に掲げる戦争保険金の請求権又は従前の損害保険中央会法第十八条第一項に掲げる海上保険金(木船保険の保険金を含む。)の請求権に係る損害保険会社又は木船保険組合の損害保険中央会に対する再保険金の請求権
四 前号の再保険金の請求権又は法別表二第二号の従前の損害保険中央会法第十八条第一項に掲げる海上保険金の請求権に係る損害保険中央会の政府に対する損失補償の請求権
五 法別表一第十四号又は別表二第一号の戦争保険金の請求権(第三号に掲げるものを除く。)に係る損害保険会社の政府に対する損失補償の請求権
六 法別表二第二号の漁船保険法施行令第二条第二項の保険金の請求権に係る漁船保険組合の政府に対する再保険金の請求権
七 法別表三の請求権に係る国民更生金庫、産業設備営団、帝国鉱業開発株式会社及び日本石炭株式会社の政府に対する請求権但し、国民更生金庫及び産業設備営団の請求権については、法第二十二条第二項若しくは法第四十条第二項において準用する法第二十二条第一項の規定又は法第三十九条第二項において準用する同条第一項の規定により消滅した貸付金の債権の金額に相当する部分を除く。
前項に定めるものの外法第四条第四号の請求権は、大蔵大臣が、これを定める。
第八条 戦時補償請求権について決済を受けた法人について、法施行前に分割があつた場合においては、分割に因り消滅した法人が戦時補償請求権について受けた決済については、分割に因り設立された法人が分割に因り消滅した法人から承継した財産の価額(分割に因り債務を承継したときは、承継した財産の価額からその債務の金額を控除した金額)のうち各自その受けた利益の価額の占める割合に応じて、分割に因り設立された法人が、各々その一部の決済を受けたものとみなす。
第九条 法第七条の政府特殊借入金は、戦時補償請求権の決済のため設定された政府特殊借入金で第五条に規定する預金を取得するためその債権が日本興業銀行に譲渡されたもの以外のものとする。
第十条 法第七条の特殊預金等は、戦時補償請求権の決済のため設定された特殊預金、特殊金銭信託及び債務者特殊借入金の外、第三条各号に掲げる債権及び第五条に規定する預金とする。
第二章 課税価格、控除及び免除
第十一条 法別表一第十四号又は別表二第一号若しくは第二号の請求権の価額又はこれらの請求権について決済のあつた金額は、これらの請求権に係る保険契約に因り支払はるべき又は支払はれた保険金の額による。但し、商法第八百三十九条(漁船保険法第二十八条及び木船保険法第三十六条において準用する場合を含む。)の規定に該当する場合においては、当該保険金の額から同条の規定により取得した権利の価額を控除した金額による。
第十二条 法第五条の場合において、相続人が二人以上あつたときは、法別表一の請求権で被相続人が決済を受けたものにつき、法第十条第一項及び第二項の規定により、各相続人についての課税価格から控除される金額は、同条第一項及び第二項の規定による控除金額に法第二十四条第一項に規定する割合を乗じて算出した金額による。
第十三条 法第六条第三項の場合において、法別表一又は別表二の請求権で分割に因り消滅した法人が決済を受けたものにつき、法第十条第一項乃至第四項の規定により、分割に因り設立された法人についての課税価格から控除される金額は、同条第一項乃至第四項の規定による控除金額に第八条に規定する割合を乗じて算出した金額による。
第十四条 戦時補償請求権の譲渡があつた場合において、当該戦時補償請求権についての課税価格から控除される金額は、当該戦時補償請求権を最初に取得した者を納税義務者とみなして法第十条第一項乃至第九項の規定を適用して算出した金額による。
前項の場合において、当該戦時補償請求権を最初に取得した者が、当該戦時補償請求権以外の戦時補償請求権をも最初に取得した者であつたときは、法第十条第三項第一号、第五項及び第九項の規定は、その者が最初の取得者たる戦時補償請求権の課税価格の合計額について、これを適用する。
第一項の場合において、左の各号の一に該当するときは、法第十条の規定により各戦時補償請求権について課税価格から控除される金額は、左の各号の定めるところによる。
一 戦時補償請求権の一部について譲渡があつた場合(第二号に定める場合を除く。)においては、当該請求権の各部分の課税価格から控除される金額は、当該請求権について課税価格から控除される金額を、当該請求権の各部分についての課税価格に按分して算出した金額とする。
二 法第十条の規定による控除につき、前項の規定により法第十条第三項第一号、第五項又は第九項の規定の適用があつた場合においては、控除につきこれらの規定の適用があつた各戦時補償請求権(戦時補償請求権の一部について譲渡があつたときはその各部分)について課税価格から控除される金額は、同条の規定による控除金額を法別表一の戦時補償請求権についての控除金額、法別表二の戦時補償請求権についての控除金額及び法別表三の戦時補償請求権についての控除金額の区分に従ひ、各区分ごとに計算した金額を、当該別表の各戦時補償請求権(戦時補償請求権の一部について譲渡があつたときはその各部分)について課税価格に按分した金額による。
前項第二号の場合において、法別表一の戦時補償請求権についての控除金額及び法別表二の戦時補償請求権についての控除金額の区分に従ひ、各区分ごとに控除金額を計算するには、左の各号の定めるところによる。
一 当該請求権を最初に取得した者が個人であつた場合においては、法第十条第三項第一号の規定による控除金額を以て、法別表二の戦時補償請求権の課税価格から控除される金額とし、同条第一項乃至第五項の規定による控除金額から同条第三項第一号の規定による控除金額を控除した金額を以て、法別表一の戦時補償請求権の課税価格から控除される金額とする。
二 当該請求権を最初に取得した者が法人であつた場合においては、法第十条第一項乃至第五項の規定による控除金額を、法別表一の戦時補償請求権の課税価格及び法別表二の戦時補償請求権の課税価格に按分して算出した金額を以て、各々法別表一及び別表二の戦時補償請求権の課税価格から控除される金額とする。
法第十条第三項第一号、第五項及び第九項の規定は、納税義務者につき課税価格から控除される金額が、前四項の規定による控除に因り、同条第三項第一号、第五項又は第九項に規定する金額を超える場合には、その適用がないものとする。
第十五条 保険の目的の譲渡なくして保険契約に因り生じた権利の譲渡があつた場合(当該権利の譲渡後当該権利に因り生じた戦時補償請求権の譲渡があつた場合を含む。)においては、課税価格から控除される金額は、前条の規定にかかはらず、保険事故が発生した時において当該保険の目的を所有してゐた者を納税義務者とみなして、法第十条第一項乃至第九項の規定を適用して算出した金額による。
前条第二項乃至第五項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第十六条 法第七条の場合においては、同条の規定の適用に因る課税価格から控除される金額は、前二条の規定にかかはらず、各譲受人につき二千円とする。
第十四条第五項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第十七条 法第十条第一項及び第三項第二号の一請求権とは、左に掲げるものをいふ。
一 法別表一第十四号並びに別表二第一号及び第二号の請求権については、一の保険契約に基いて一の事故に因り生じた請求権
二 法別表一第八号並びに別表二第三号及び第四号の請求権については、一の船舶につき一の事故に因り生じた請求権
三 法別表一第九号の請求権については、一の事故に因り生じた請求権
四 前各号の請求権以外の請求権については、一の命令、処分又は契約に因り生じた請求権、但し、賃貸契約、傭船契約、電気又は瓦斯の供給契約その他これらに準ずる契約にあつては、当該契約に因る対価の各弁済期における請求権
第十八条 法第十条第十二項の戦時補償請求権で存外資産たるものとは、戦時補償請求権で左に掲げるものをいふ。
一 法施行地外にある財産を保険の目的とする保険契約による保険金の請求権(法施行地において決済を受けた又は受くべきものを除く。)
二 前号の外、法施行地外にある動産、不動産及びこれらのものに関する権利に関する請求権
三 前二号の外、法施行地外にある事業又は営業に関する請求権
四 前三号の外、法施行地外において決済を受けた又は受くべき請求権
第十九条 納税義務者が戦時補償請求権の二以上について戦時補償特別税を課せられる場合において、法第十四条に規定する申告期限内にこれらの戦時補償請求権の全部について申告書の提出がなかつた場合においても、これらの戦時補償請求権のうち、あるものについて申告書の提出があつたときは、当該申告書に記載された請求権については、法第十条の規定を適用する。
第二十条 法第十二条第一項の法人又は団体は、民法第三十四条の規定により設立した法人及び宗教法人並びに大蔵大臣の指定するその他の団体とする。
第二十一条 前条の法人又は団体が法第十二条の規定により軽減又は免除される戦時補償特別税額は、十万円を超えることができない。但し、特別の自由があるときは、この限りでない。
第二十二条 法第十二条第一項の規定により法別表二第一号の請求権につき戦時補償特別税の軽減又は免除を受けようとする者は、法第十四条の規定による申告書の提出前又はその提出と同時に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書その他大蔵大臣の定める書類を、納税地の所轄税務署長を経由して、大蔵大臣に提出しなければならない。
第二十三条 税務署長が前条の規定による申請書その他大蔵大臣の定める書類を受け取つたときは、法第十二条第二項の規定による税金の納付の猶予の処分があつたものとする。
前項の規定に該当する場合においては、法第十四条又は第三十五条の規定による申告書にその旨を記載して提出しなければならない。
第二十四条 法第十二条第二項の規定により税金の納付の猶予があつた場合において、軽減若しくは免除の申請が取り消されたとき又は同条第一項の規定による軽減若しくは免除に関する処分の確定後、納税義務者若しくは代位納付義務者(納税義務者に代位して戦時補償特別税を納付する義務があるものをいふ。以下同じ。)の納付すべき税金があるときは、税務署長は、納期限を指定して、当該税金を徴収する。
第三章 申告及び納付
第二十五条 納税義務者は、昭和二十一年十一月三十日(以下一般申告期限といふ。)までに、大蔵大臣の定める事項を記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
納税義務者が法第十四条第二項各号の一に該当するときは、納税義務者は、当該各号の定める金融機関を経由して、(該当する金融機関が二以上ある場合においては、当該金融機関を経由して各別に、)前項の申告書を提出しなければならない。
第二十六条 通信、交通その他の状況により、一般申告期限内に前条第一項の申告書を提出することができない者は、状況が止んだ後一箇月以内に、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
法第十四条第二項の規定は前項の場合には、これを適用しない。
第二十七条 課税価格が法第十条に規定する控除金額以下の場合において、戦時補償請求権の全部が左の各号に該当するときは、納税義務者は、前二条の規定による申告書を提出する必要がない。
一 法施行前において金銭で支払を受けてゐるとき
二 企業整備資金措置法第五条に規定する更改による決済の方法(第二条に規定する決済の方法を含む。)で決済を受け、且つ、法施行前において政府特殊借入金(法第七条の政府特殊借入金をいふ。以下第四十条に規定する場合を除く外同じ。)又は特殊預金等(法第七条の特殊預金等をいふ。以下同じ。)の全額につき、払戻、解除若しくは償還又は混同に因る消滅があつたとき
戦時補償請求権で在外資産たるものについては、納税義務者は、前二条の規定による申告書を提出する必要がない。但し、大蔵大臣が必要があると認めてその提出につき特別の定をなした場合は、この限りでない。
第二十八条 法及びこの勅令において金融機関とは銀行及び信託会社の外、左に掲げる法人をいふ。
一 無尽会社
二 保険会社
三 農林中央金庫
四 商工組合中央金庫
五 庶民金庫
六 戦時金融金庫
七 都道府県農業会
八 市街地信用組合
九 信用組合
十 市町村農業会
十一 国民更生金庫
第二十九条 納税義務者は、法第十四条の規定による申告期限内に、戦時補償特別税を納付しなければならない。
前項の場合において、金銭を以て戦時補償特別税を納付しようとするときは、大蔵大臣の定める書式による納付書を添へて、日本銀行の本店、支店又は代理店に納付しなければならない。
第一項の場合において、政府特殊借入金の債権を政府に譲渡し、これを以て戦時補償特別税の納付に充てようとするときは、大蔵大臣の定める書式による納付書を添へて、政府特殊借入金証書又は政府特殊借入金証書交付通知書を日本銀行の本店、支店又は代理店に提供し、納付方を申し出なければならない。
前項の規定による申出があつたときは、政府特殊借入金の譲渡による戦時補償特別税の納付があつたものとする。
前二項の場合において、戦時補償特別税の納付に充てるため譲渡の申出があつた政府特殊借入金の債権の全部若しくは一部が存在しなかつたとき、納税義務者が当該債権の全部若しくは一部について権利を有してゐなかつたとき又は当該債権の全部若しくは一部が法第七条の政府特殊借入金でなかつたときは、当該部分の金額の限度においては、初めから戦時補償特別税の納付がなかつたものとする。
第三十条 納税義務者が法第十四条第二項の規定により申告書を提出した場合においては、同項に規定する金融機関は、申告書の提出と同時に、納税義務者から戦時補償特別税を徴収しなければならない。
前条第二項乃至第五項の規定は、前項の場合において、納税義務者が金融機関に戦時補償特別税を納付する場合に、これを準用する。
第三十一条 金融機関は、前条第一項の規定により戦時補償特別税を徴収したときは、一般申告期限の属する月の翌月末日までに、大蔵大臣の定める書式による納付書を添へて、これを日本銀行の本店、支店又は代理店に払ひ込まなければならない。
前項の場合において、金融機関は、前条第二項において準用する第二十九条第三項の規定により政府特殊借入金の債権を以て戦時補償特別税を徴収したときは、一般申告期限の属する月の翌月末日までに、大蔵大臣の定める書式による納付書及び同項の規定により提供された政府特殊借入金証書又は政府特殊借入金証書交付通知書を添へて、その旨を、日本銀行の本店、支店又は代理店に通知しなければならない。
第三十二条 法第十九条第一項又は第二項の規定に該当する場合においては、納税義務者が一般申告期限内に法第十四条第一項の規定による申告書を提出しなかつた場合の外、左の各号の一に該当する場合において、日本銀行本店所在地の所轄税務署長又は特殊預金等の預入先の金融機関(特殊金銭信託については受託者たる金融機関、債務者特殊借入金については債務者たる金融機関をいふ。以下同じ。)は、法第十九条第一項又は第二項の規定により当該各号に規定する戦時補償特別税を徴収する。
一 納税義務者が法第十四条第一項の規定による申告書を提出したが戦時補償特別税を納付しなかつた場合においては、その納付しなかつた戦時補償特別税
二 申告書に記載すべき戦時補償請求権について、申告書の記載に脱漏があつた場合においては、当該戦時補償請求権に対する戦時補償特別税
第三十三条 特殊預金等の預入先の金融機関は、法第十九条第二項の規定により戦時補償特別税を徴収したときは、一般申告期限の属する月の翌月末日までに、大蔵大臣の定める書式による納付書を添へ、これを日本銀行の本店、支店又は代理店に払ひ込まなければならない。
第三十四条 法第十八条又は第十九条第二項の規定による政府特殊借入金の債権の譲渡又は特殊預金等の期限前の払戻、解除若しくは償還については、企業整備資金措置法(昭和二十一年法律の企業整備資金措置法を廃止する等の法律附則の規定によりなほその効力を有するものとされた同法をいふ。)第十二条又は第十四条(昭和二十一年法律の企業整備資金措置法を廃止する等の法律附則の規定によりなほ効力を有するものとされた臨時資金調整法第十条ノ二第三項において準用する場合を含む。)の規定は、これを適用しない。
第三十五条 納税義務者が法第十八条の規定により特殊預金等について期限前の払戻、解除又は償還を申し出たときは、その特殊預金等の預入先の金融機関は、他の法令又は契約にかかはらず、その申出に応じなければならない。
第三十六条 法第十八条の規定により戦時補償特別税が納付された場合において、政府特殊借入金の債権又は特殊預金等について担保権が存してゐたとき又は強制執行手続、国税徴収法による強制徴収手続その他これらの手続に準ずるものが進行中であつたときは、納税義務者は、担保権者又は差押債権者(国税徴収法により強制徴収手続その他これらの手続に準ずるものが進行中であつたときは、差押をなした収税官吏又はこれに準ずる者を含む。)にその旨を通知しなければならない。
前項の規定は、法第十九条の規定により戦時補償特別税が徴収された場合について、これを準用する。この場合において、同項中「納税義務者」とあるのは、「政府特殊借入金の債権については、日本銀行本店所在地の所轄税務署長、特殊預金等については、その預入先の金融機関」と読み替へるものとする。
第三十七条 前三条の規定は、法第十二条第二項の規定により徴収を猶予された戦時補償特別税を、国税徴収法により特殊預金等を以て徴収する場合について、これを準用する。
第三十八条 法第二十二条第一項の規定に該当する金融機関が損害保険会社又は損害保険中央会に対し二以上の貸付金の債権を有する場合においては、各貸付金の金額のうち同項の規定により消滅する金額は、当該金融機関が一般申告期限の翌日において有する各債権の金額に按分して計算した金額による。
前項の規定は、法第二十二条第二項の規定に該当する金融機関が国民更生金庫又は産業設備営団に対し各二以上の貸付金の債権を有する場合について、これを準用する。
第三十九条 法第二十二条第一項又は第二項の場合においては、金融機関は、一般申告期限後二箇月以内に、大蔵大臣の定める事項を、本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に届け出るとともに、損害保険会社若しくは損害保険中央会又は国民更生金庫若しくは産業設備営団に通知しなければならない。
第四十条 法第二十三条第一項の規定により物納に充てることができる財産は、左に掲げるものとする。
一 国債(政府特殊借入金を含む。)及び地方債
二 社債及び特別の法令により設立された法人で会社でないもの(以下特殊法人といふ。)の発行する債券並びに全額払込済の株式及び特殊法人に対する出資。但し、換価が容易なものに限る。
三 不動産
第四十一条 法第二十三条第一項の規定により物納に充てる場合における前条の財産の収納価額は、財産税法第三章の規定及びこれに基いて発する命令により算定した価額による。
第四十二条 戦時補償特別税の物納を申請しようとする者は、法第十四条の規定による申告書の提出前若しくはその提出と同時に、又は法第二十九条第一項の規定による納期限前に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
第二十三条の規定は、前項の規定による申請書の提出があつた場合に、これを準用する。この場合において、同条第一項中「法第十二条第二項」とあるのは、「法第二十三条第四項」と読み替へるものとする。
第四十三条 税務署長は、納税義務者の物納に充てようとする財産が管理又は処分をなすに不適当と認めるときは、その変換を命じ又は物納を許可しないことができる。
第四十四条 納税義務者が前条の規定により物納に充てようとする財産の変換を命ぜられた場合において、他の財産を以て物納に充てようとするときは、その旨の通知を受けた後二十日以内に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
納税義務者が前項の期間内に同項の申請書を提出しなかつたときは、物納の申請はその効力を失ふ。
第四十五条 物納の許可を受けた税額に相当する戦時補償特別税は、物納に充てようとする財産の引渡、所有権移転の登記その他法令により第三者に対抗することのできる要件を充足した時において納付があつたものとする。
第四十六条 第四十二条第二項において準用する第二十三条の規定により税金の納付の猶予の処分があつた場合において、物納の申請が取り消されたとき、又は物納の許可若しくは不許可の処分の確定後若しくは第四十四条第二項の規定により物納の申請がその効力を失つた後において納税義務者の納付すべき税金があるときは、税務署長は、納期限を指定して、当該税金を徴収する。
第四十七条 法第二十三条第一項の規定により戦時補償特別税の延納を申請しようとする者は、法第十四条の規定による申告書の提出前若しくはその提出と同時に又は法第二十九条第一項の規定による納期限前に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
納税義務者が第四十二条の規定による申請書を提出した場合において、物納を許可されなかつたとき又は第四十四条第一項の規定により物納に充てようとする財産の変換を命ぜられたときは、当該戦時補償特別税については、前項の規定にかかはらず、その旨の通知を受けた後二十日以内に、前項の申請書を提出することができる。
第二十三条の規定は、前二項の規定による申請書の提出があつた場合に、これを準用する。この場合において、同条第一項中「法第十二条第二項」とあるのは、「法第二十三条第四項」と読み替へるものとする。
第四十八条 法第二十三条第一項に規定する担保の種類は、左に掲げるものとする。
一 国債、地方債並びに税務署長において確実と認める社債(特殊法人の発行する債券を含む。)及びその他の有価証券
二 土地
三 保険に附した家屋
四 保険に附した立木
五 保険に附した船舶
六 工場財団、鉱業財団、漁業財団、鉄道財団、軌道財団、運河財団及び自動車交通事業財団
七 税務署長において確実と認める保証人の保証
第四十九条 担保として前条第一号の財産を提供しようとする者はこれを供託し、その供託受領証を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。但し、登録国債又は社債等登録法により登録した社債等については、その登録を受け登録済通知書又は登録済書を提出し、なほ乙種国債登録簿に登録したものについては、記名国債証券を供託し、その供託受領証をも提出しなければならない。
担保として前条第二号乃至第六号の財産を提供した者があるときは、税務署長は、抵当権の登記又は登録を登記所又は登録官庁に嘱託しなければならない。
第五十条 税務署長は、担保物の価額が減少したと認めるとき又は保証人の資力が納税を担保するに足りなくなつたと認めるときは増担保を提供させ又は保証人を変換させることができる。
担保として提供した第四十八条第一号に規定する財産について償還、支払等を受けるに至つたとき、又は家屋、立木若しくは船舶が滅失したとき若しくはその保険契約が消滅したときは、納税義務者はこれに代る担保を提供しなければならない。
第五十一条 前条の規定により担保を提供しなければならない場合においてこれを提供せず、又は保証人を変換しなければならない場合においてこれを変換しないときは、税務署長は、延納の許可を取り消して税金を一時に徴収することができる。延納税金を滞納した場合においてもまた同じ。
第五十二条 延納の許可を受けた者が延納税金を滞納した場合において、担保物があるときは、担保物を公売に付し延納税金(督促手数料、延滞金及び公売の費用を含む。以下本条において同じ。)に充て、又、保証人があるときは、保証人に通知して延納税金を納付させる。
前項の規定による公売手続については、国税滞納処分の場合における公売の例による。
第一項の規定により担保物を公売に付しようとする場合において、担保物の価額が延納税金に充てなほ不足があると認めるときは、納税義務者の他の財産につき滞納処分を行ふことができる。
納税義務者に対して滞納処分を執行した場合において、その財産の価額が徴収すべき延納税金及び滞納処分費に充てなほ不足があると認めるときは、保証人に対して滞納処分を行ふことができる。
前項の保証人は、国税徴収法第三十二条第一項の規定の適用については、これを滞納者とみなす。
第五十三条 延納税金が完納されたときは、税務署長は、担保解除の手続をしなければならない。
第五十四条 法第二十三条第五項の規定により延納税額に加算する税額は、延納税額の未納額(滞納に係る額を除く。)に、第一回に納付すべき延納税額については、法第十五条第一項又は法第二十九条第一項の納期限の翌日から、第二回以後に納付すべき延納税額については、前回の延納税額の納期限の翌日から、各延納税額の納期限までの日数に応じ、年百分の十の割合を乗じて算出した金額による。
第五十五条 第四十七条第三項において準用する第二十三条の規定により税金の納付の猶予の処分があつた場合において、延納の申請が取消されたとき、又は延納の許可若しくは不許可の処分の確定後納税義務者の納付すべき税金があるときは、税務署長は、納期限を指定して、当該税金を徴収する。
第五十六条 法第二十五条第一項の預金、貯金その他の債権は、左に掲げるものとする。但し、担保権が存するものを除く。
一 銀行、市町村農業会、信用組合、市街地信用組合その他大蔵大臣の指定する者に対する定期預金、定期貯金、据置貯金又は定期積金
二 信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)に対する合同運用信託(所得税法第七条に規定する合同運用信託をいふ。以下同じ。)に関する権利、但し、納税義務者が委託者であり、且つ、受益者であるものに限る。
三 恩給金庫に対する定期寄託金
第五十七条 納税義務者が前条に掲げる定期預金、定期貯金、据置貯金若しくは定期寄託金の全部若しくは一部につき期限前の払戻を請求し、又は定期積金若しくは合同運用信託につき契約を解除し若しくは変更してその払ひ込んだ掛金若しくは信託した金額の全部若しくは一部に相当する金額の給付を請求しようとするときは、第二十九条第二項(第三十条第二項において準用する場合を含む。)に規定する納付書又はこれに準ずる書類に、大蔵大臣の定める事項について、納税地の所轄税務署長の証明を受け、これを金融機関に呈示しなければならない。
前項の場合において金融機関が納税義務者から同項の規定による証明のある書類の呈示を受けたときは、金融機関は納税義務者の請求に応じなければならない。
前項の規定により金融機関が請求金額の払戻又は給付をなす場合においては、金融機関は、主務大臣の定めるところにより、その金額に対する利子、利子相当額又は利益額を支払はなければならない。
第五十八条 前条の場合においては、金融機関は、何らの名義を以てするを問はず、納税義務者から補償金、手数料その他これらに類するものを受けることができない。
第四章 代位納付
第五十九条 法第三十三条第二項の場合において、代位納付義務者が二人以上あるときは、各代位納付義務者の納付すべき戦時補償特別税の税額は、課税価格につき法第十条乃至第十三条の規定を適用して算出した戦時補償特別税の額から納税義務者の法施行の際現に有する政府特殊借入金の債権又は特殊預金等の金額を控除した金額を、各代位納付義務者が法施行の際現に有する政府特殊借入金の債権又は特別預金等の金額に按分して計算した金額とする。
前項の規定は、法第三十四条第一項及び第二項の場合に、これを準用する。
第六十条 法第三十四条第一項の企業整備資金措置法第五条に規定する更改による決済の方法に準ずる決済の方法は、第二条に規定する決済の方法とする。
第六十一条 法第四十一条第一項の場合においては、代位納付義務者は、政府特殊借入金の債権又は特殊預金等の取得に要した対価のうち、戦時補償特別税の納付に充てた政府特殊借入金の債権又は特殊預金等の取得に要した部分に相当する金額について、譲渡人に対し、求償をなすことができる。
第六十二条 法第四十一条第二項の場合においては、譲渡人は、求償に応じて履行をした金額の限度において、政府特殊借入金の債権又は特殊預金等のうち納税に充てられた部分の取得に要した対価に相当する金額について、その政府特殊借入金の債権又は特殊預金等を譲渡した者に対し、求償をなすことができる。
第六十三条 法第三十四条の規定により戦時補償特別税を納付した代位納付義務者は、納税義務者その他同条に規定する債務の決済をなした者に対し、その納付した戦時補償特別税の税額について、求償をなすことができる。
前条の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第六十四条 第二十五条第一項、第二十六条及び第二十七条の規定は、法第三十五条の規定による代位納付義務者の申告書の提出について、これを準用する。この場合において、第二十六条第二項中「法第十四条第二項」とあるのは、「法第三十五条第二項」と読み替へるものとする。
第二十九条乃至第三十七条の規定は、代位納付義務者が、戦時補償特別税を納付する場合又は代位納付義務者から戦時補償特別税を徴収する場合について、これを準用する。この場合において、第二十九条第一項中「法第十四条」とあるのは、「法第三十五条」、「戦時補償特別税」とあるのは、「戦時補償特別税(法第三十九条第一項又は第二項の規定により税金納付の義務を免除される分を除く。)」、第三十条第一項中「法第十四条第二項」とあるのは、「法第三十五条第二項」、第三十二条中「法第十九条第一項又は第二項」とあるのは、「法第三十八条第一項又は第二項」、「法第十四条第一項」とあるのは、「法第三十五条第一項」、第三十三条中「法第十九条第二項」とあるのは、「法第三十八条第二項」、第三十四条中「法第十八条又は第十九条第二項」とあるのは、「法第三十八条第二項又は法第四十条第一項において準用する法第十八条」、第三十五条及び第三十六条第一項中「法第十八条」とあるのは、「法第四十条第一項において準用する法第十八条」、第三十六条第二項中「法第十九条」とあるのは、「法第三十八条」と読み替へるものとする。
第三十八条及び第三十九条の規定は、代位納付義務者たる金融機関又は、代位納付義務者の有する特殊預金等の預入先の金融機関が、法別表一第十四号、別表二第一号若しくは第二号又は別表三に掲げる請求権の決済に必要な資金を損害保険会社若しくは損害保険中央会又は国民更生金庫若しくは産業設備営団に融通したため、貸付金の債権を有する場合について、これを準用する。この場合において、第三十八条第一項中「法第二十二条第一項」とあるのは、「法第三十九条第一項又は法第四十条第二項において準用する法第二十二条第一項」、同条第二項中「法第二十二条第二項」とあるのは、「法第三十九条第二項又は法第四十条第二項において準用する法第二十二条第二項」、第三十九条中「法第二十二条第一項又は第二項」とあるのは、「法第三十九条第一項若しくは第二項又は法第四十条第二項において準用する法第二十二条第一項若しくは第二項」と読み替へるものとする。
第五章 雑則
第六十五条 日本銀行及び第一条に掲げる特定機関は、大蔵大臣の定める調書を、昭和二十一年十二月三十日までに、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
第六十六条 財務局長は、戦時補償特別税の調査に関し必要があるときは、日時及び場所を指定し、法第四十九条第一項に規定する者の出頭を命ずることができる。
第六十七条 法第五十三条の場合においては、納税義務者は、その納付した戦時補償特別税額又は法第四十一条第一項乃至第三項並びに法第四十二条第一項及び第二項の規定により求償に応じて履行した金額の限度において、その戦時補償請求権(法第十条の規定による控除金額に相当する部分を除く。)の取得に要した対価に相当する金額について、譲渡人に対し、求償なすことができる。
第六十二条の規定は、第一項の場合について、これを準用する。
第六十八条 法第五十四条の規定により、個人の所得税法による所得、営業税法による純益又は旧臨時利得税法による利益の金額から控除すべき事業の収益で戦時補償請求権に因るものの金額は、当該戦時補償請求権について課せられた戦時補償特別税の税額を限度とする。
第六十九条 法第五十四条の規定の適用を受けようとする者は、戦時補償特別税の納付又は徴収のあつた日(戦時補償特別税の延納の申請をなした場合においては、その申請の日)の翌日から三十日以内に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書その他大蔵大臣の定める書類を、所轄税務署長に提出しなければならない。
税務署長は、特別の事情があると認めたときは、大蔵大臣の定めるところにより、前項の申請がなかつた場合においても、法第五十四条の規定による免除をなすことができる。
第七十条 法第五十五条の規定により、法人の法人税法による各事業年度の普通所得、営業税法による各事業年度の純益、旧臨時利得税法による利益又は特別法人税法による各事業年度の剰余金の金額から控除すべき戦時補償請求権に因る益金の金額は、当該戦時補償請求権について課せられた戦時補償特別税の税額を限度とする。
第七十一条 法第五十五条の規定の適用を受けようとする法人は、戦時補償特別税の納付又は徴収のあつた日(戦時補償特別税の延納の申請をなした場合においては、その申請の日)の翌日から五十日以内(当該戦時補償特別税の納付、徴収又は延納の申請のあつた日の後決算の確定した事業年度分については、当該決算の確定した日の翌日から五十日以内)に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書その他大蔵大臣の定める書類を、所轄税務署長に提出しなければならない。
第六十九条第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第七十二条 法第五十七条第一項の規定により、相続税の課税価格から控除すべき戦時補償特別税額は、左の各号に定めるところによる。
一 相続人(受遺者及び受贈者を含む。以下同じ。)が戦時補償特別税の納税義務者であるときは、当該戦時補償特別税額(相続人が求償することができる金額を除く。)
二 前号の場合において代位納付義務者が戦時補償特別税を納付したときは、当該戦時補償特別税額のうち代位納付義務者が相続人に対して求償することができる金額(相続人が求償することができる金額を除く。)
三 相続人が戦時補償特別税の代位納付義務者であるときは、当該戦時補償特別税額のうち相続人が譲渡人に対して求償することができる金額を控除した金額
四 相続財産たる戦時補償請求権の譲渡を受けた者が戦時補償特別税の納税義務者であるときは、当該戦時補償特別税額のうちその納税義務者が相続人に対して求償することができる金額(相続人が求償することができる金額を除く。)
第七十三条 法第五十八条の規定を適用する場合において、同条に規定する割合の計算の基礎となすべき戦時補償特別税額は、左の各号に定めるところによる。
一 相続人が戦時補償特別税の納税義務者であるときは、当該戦時補償特別税額
二 前号の場合において代位納付義務者が戦時補償特別税を納付したときは、当該戦時補償特別税額のうち代位納付義務者が相続人に対して求償することができる金額
三 相続財産につき生じた戦時補償請求権の譲渡を受けた者が戦時補償特別税の納税義務者であるときは、当該戦時補償特別税額のうちその納税義務者が相続人に対して求償することができる金額
前項の場合において、法第五十八条に規定する割合の計算の基礎となすべき戦時補償特別税額は、当該相続財産の課税価格から法第十条の規定により控除された金額で当該戦時補償請求権に係る部分を控除した金額を限度とする。
第七十四条 法第五十七条又は第五十八条の規定は、左の各号に定める戦時補償特別税額については、これを適用しない。
一 法第二十三条第五項の規定により加算する戦時補償特別税の加算税額
二 法第六十条の規定により、土地若しくは建物又は鉱業権若しくは砂鉱権が旧所有者又は旧鉱業権者若しくは旧砂鉱権者に譲渡された場合における同条第一項に規定する対価の請求権につき課せられた戦時補償特別税額
第七十五条 法第五十七条又は第五十八条の規定の適用を受けようとする者は、相続税法第十一条に規定する期間内(同条に規定する期限がこの勅令施行後六十日前に満了するときは、この勅令施行後六十日以内)に、大蔵大臣の定める事項を記載した申請書を、所轄税務署長に提出しなければならない。
第六十九条第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第七十六条 法第六十条第一項の規定により土地又は建物が譲渡された場合において、法施行の際現に当該土地若しくは建物が公用若しくは公共の用に供せられてゐるとき、国若しくは地方公共団体において当該土地若しくは建物が公用若しくは公共の用に供せられることが決定してゐるとき、又は当該土地若しくは建物がその所有者たる特定機関の用に供せられてゐるときは、当該公用若しくは公共の用に供せられてゐる期間又は特定機関の当該用途に供せられてゐる期間に限り、国、地方公共団体又は特定機関は引続き当該土地又は建物を使用することができる。
法第六十条第一項の規定により土地又は建物を譲渡された場合において、法施行の際現に当該土地又は建物が国、地方公共団体又は特定機関により他人の使用に供せられてゐるときは、法施行の際現にこれを使用してゐる者は、その際現に存する契約又は処分に定める期間に限り、引続き当該土地又は建物を使用することができる。
前二項の場合においては、対価その他使用に関する条件は当事者間の協議による。
前項の場合において、協議ができないとき又は協議が調はないときは、当事者の請求により、裁判所がこれを定める。
第七十七条 法第六十条第一項に規定する土地若しくは建物又は鉱業権若しくは砂鉱権の譲渡又は収用の対価の支払を受けた者が、他の戦時補償請求権についてもこれを最初に取得した者であつた場合において、これらの戦時補償請求権について戦時補償特別税を課せられたため、法第十条第五項の規定の適用があつたときは、法第六十条第二項の規定する対価の請求権に課せられた戦時補償特別税額は、当該請求権の課税価格から、第十四条第三項及び第四項の規定により計算した法第十条の規定による控除金額を控除した金額による。
第七十八条 第七十六条第二項の場合において、国、地方公共団体又は特定機関以外の者が土地又は建物につき有益費を出したときは、旧所有者は、その費用の額に相当する金額をその費用を出した者に、支払はなければならない。
第七十九条 法第六十条第四項の規定により、政府が地方公共団体又は特定機関に対し戦時補償特別税に相当する金額の一部を交付する場合は、当該土地若しくは建物又は鉱業権若しくは砂鉱権の地方公共団体又は特定機関への譲渡又は収用に際し、政府が補助金等の交付により対価の一部を負担してゐた場合とする。
前項の場合における交付金の金額は、戦時補償特別税に相当する金額から政府の負担した金額を控除した金額による。
第八十条 法第六十一条第一項の場合は、鉱業権又は砂鉱権が国、地方公共団体又は特定機関に譲渡された後に消滅した場合の外、鉱業権者が、企業整備の目的を以て日本石炭株式会社との契約に基いて鉱業権の登記を抹消した場合とする。
法第六十一条第一項の請求権とは、対価の請求権の外、前項の鉱業権者が同項の契約に基き取得した日本石炭株式会社に対する戦時補償請求権とする。
第八十一条 法第六十一条第一項の規定の適用を受けようとする者は、鉱業法の定めるところに従ひ、地方商工局長に出願しなければならない。
前項の出願に際しては、商工大臣の定める書類を、出願に関する書類に添附しなければならない。
第八十二条 会社その他の法人が昭和二十年八月十五日以前においてなした資金の融通、有価証券の応募、引受若しくは買入又は債務の引受若しくは保証に因り生じた又は生ずべき損失で、政府において補償すべきものは、他の法令又は契約にかかはらず、これを補填しない。但し、左に掲げる損失補償、損失再補償又は補給については、この限りでない。
一 日本銀行特別融通及損失補償法第四条第一項の規定に基く政府と日本銀行との間の契約による損失補償
二 不動産融資及損失補償法第六条の規定に基く政府と日本勧業銀行又は北海道拓殖銀行との間の契約による損失補償
三 農林中央金庫特別融通及損失補償法第五条第一項の規定に基く政府と農林中央金庫との間の契約による損失補償
四 農村負債整理資金特別融通及損失補償法第五条第一項又は第六条の規定に基く政府と都道府県又は農林中央金庫、日本勧業銀行、若しくは北海道拓殖銀行との間の契約による補給又は損失補償
五 国民更生金庫法第三十七条第一項の規定に基く政府と国民更生金庫との間の契約による損失補償で国民更生金庫の同法第十七条第一項第二号及び第三号に掲げる業務に関するもの
六 旧銀行等資金運用令第七条の規定に基く政府と日本勧業銀行との間の契約による損失補償で、庶民金庫のなした生計応急資金及び簡易住宅建設資金の融通につき日本勧業銀行のなした債務の保証に因るもの
七 昭和九年二月十日公布の予算外国庫の負担契約の件のうち、「一般会計商工省所管罹災地中小商工業復興資金融通損失再補償」の権限に基く政府と都道府県又は市との間の契約による損失
八 昭和十二年三月三十日公布の予算外国庫の負担契約の件のうち、「一般会計商工省所管中小商工業資金融通損失再補償」(昭和十三年三月六日、昭和十四年三月一日、昭和十六年三月五日及び昭和十九年二月十五日公布の予算外国庫の負担契約の件により改定された分を含む。)の権限に基く政府と都道府県又は市との間の契約による損失再補償
第八十三条 政府が会社その他の法人のためになした保証は、法施行の日において、その効力を失ふ。但し、左に掲げるものについてなした保証はこの限りでない。
一 更生債券
二 庶民債券
三 住宅債券
四 交通債券
五 医療債券
六 農地開発債券
七 大日本育英会の借入金
第八十四条 法第二十一条及び第二十七条乃至第二十九条(法第四十条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第五十条並びに第五十一条中政府とあるのは、納税地の所轄税務署長とし、法第三十条及び第三十一条(法第四十条第三項において準用する場合を含む。)中政府とあるのは、納税地の所轄財務局長とする。
附 則
この勅令は、法施行の日から、これを施行する。